ガチャを回して最強ステータスを目指せ! カードで作る異世界ハーレム!!   作:ブランチ

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ドワーフ娘の頼み

 

「聖域へ行って、『精霊の試練』を受けたいのさ」

 

 精霊の試練、大陸では昔から行われている、一種の儀式だ。

 

「そんなに、試練の報酬(●●)が欲しいか?」

「あたいはね、ステータスに★がついてるのさ」

 

 ★、そのマークがついた者は、ステータスの成長が止まる。

 すなわち『成長限界』。

 

「なのに力量は『F級』。魔法工で食っていくのは、無理だって言われてる……」

 

 この娘、オレと同じだ。

 

 ――あなたは『成長限界』を迎えてます。その意味、分かってますよねぇ?

 ――冒険者になって5年も経つのに、F級から上がれない。普通の人なら、とっくに見切りつけて転職してますよ。

 

「でも『精霊の試練』を受ければ、『限界突破』できるそうじゃないか。あたいはそれに賭ける」

 

 定めの法則――『限界突破』するには、社会的な名声を高める、『難題』を達成せねばならない。

 

 たしかに『精霊の試練』は、要件を満たしていた。

 

「でも、それがどういうものか分かってるのか?」

「もちろんさ、命を失うかもしれないんだろ」

 

 試練には過酷で危険が伴う。

 挑戦者が命を落とすのも珍しくない。

 

 F級だった頃のオレが、受けずにいた理由もそれだ。

 

「でもあたいは、命をかけて度胸試しするつもりさ」

 

 何とも無謀な女だな(汗)。

 そこまで決意してるなら、止めるつもりはないが。

 

「で、オレたちへの依頼ってのは?」

「試練を受けに行くとき、護衛して欲しいのさ」

 

 ドワーフ娘によると、精霊の聖域までの道に、魔物が出るのだそうだ。

 そのくらいなら、オレらへのリスクは低いか。

 

「分かった、では最後のテストをしよう」

「え、テストって?」

 

 ドワーフ娘はぽかんとする。

 

 スキル発動――、

 

##########

  ☆☆☆

  【愛天使(キューピッド)の矢】 消費MP9

  -…-…-…

  <魅了>、<長射程>、<放心>

##########

 

『ラブリ~!』 子供天使の幻影が、弓を射る。

 

「――うッ!?」 ドワーフ娘の胸に、幻の矢が刺さった。

 

<魅了>スキルはかけさせてもらう。

 これでドワーフ娘は、オレに好意を持つ。

 

 つまりあちらの話に、嘘や隠し事がないか確認できるのだ。

 では尋問を始めよう。

 

「お嬢さん、あんたの名前は?」

「あ、あたいは……レシィ、レシィだよ」

 

 ドワーフ娘はモジモジしながら答える。

 

「レシィ、今までの話は本当か?」

「もちろんさ! 山の精霊に誓って偽りは言ってないよ」

 

「何かオレたちに話してないことはないか?」

「実は後で話そうと思ってたことが……」

 

 お、さっそく重要そうな情報が。

 

「実はあたい、混血児(ハーフ)なんだ。人間とのね」

 

 ほう、ドワーフにしてはスタイルいいもんな。

 

「いま街の連中は余裕を失ってるだろ。だから混血のあたいも、肩身が狭くてね……」

 

 彼女も何か嫌がらせを受けてるのか?

 

「依頼を街の冒険者に頼んだけど、断られちまったのさ。混血児の護衛なんかできねえって」

 

 部外者のオレたちに、話を持ち掛けたのはそういうわけか。

 

「ドワーフって、そんなにひどい奴らなの?」

 

 アンナが憤慨の声を上げる。

 さっき受けた仕打ちと、エルフの混血児として思うところがあるのか。

 

「いや、断るのにも事情はあるんだよ」

 

 レシィは意外な返答をした。

 

「山の精霊は、混血ドワーフを嫌う。そんな言い伝えがあってね」

 

 混血児と一緒に聖域へ行くと、精霊の怒りによって天罰が下る。

 街のドワーフたちはそんな噂を信じているらしい。

 

「待てよ! 噂が本当だったら、オレたちも害を受けるんだが!」

 

 明らかに話さず隠してたな。

 こっちが知ったら、断るかもと思ったのだろう。

 

「でもしょせん噂だよ。本当かなんて分からない」

 

 レシィは食い下がった。

 

「旦那たちが断るならしょうがない。あたいは1人で試練を受けに行くよ」

 

 そこまで切羽詰まってるのか。

 

 でも、気持ちは分かる。

 

 オレだって、あのときガチャを拾わなかったら。

 思い悩んだ末、『精霊の試練』に挑戦してたかもしれない。

 

「いや断るつもりはない。あんたの護衛を引き受けよう」

「本当かい!」 「ニングさんいいの?」

 

 亜人の少女たちが詰め寄って来る。

 

「この程度のリスクで諦めてたら、冒険者なんてやってられんだろ」

 

 それにレシィのことをほっとけない。

 まるで昔の自分を見ているようでな。

 

 こうして交渉は成立した。




 連載をしばらく休止します。
 再開は1週間後くらいを考えております。

 ただハーメルンへの投稿はやめて、
 今後は小説家になろう1つに絞ることになりそうです。

 どうかご容赦ください。<m(__)m>

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