うるせぇ昇進した☆3と少しの☆4キャラさえいれば十分なんだよオラッ!!
「……さて、レユニオンに属する感染者の大まかな行動は理解したな? 装備や攻撃手段の差異こそあれ、基本的にはこちらの陣地、ないし指揮官たるドクターを制圧することを最優先目標として動いている。それを阻止するために、我々オペレーターが先んじて通路、ないし戦場を制圧し、敵性実体を迎撃しているわけだ」
そう。残念なことに、あれだけしっかり顔バレ対策をしているのにドクターの存在はあっさりと特定されてしまっているのだ。それはどうしてかというと、というかどうしてもなにも、その……ドクター以外にあそこまで珍奇な格好をしている輩が中々いないというか……。
そんな訳で、今のドクターは『顔立ちやら何やら詳細なデータは不明だが、とりあえずいることにはいる』という珍妙な認識をレユニオンの中でされているらしい。あとはその情報に従って戦場で露骨に怪しい格好の奴を探せば、おのずとドクターに辿り着いてしまうというわけだな。いい加減その辺りに関する対策くらい少しは考えて欲しいわけだが……うーむ。
……どうせなら周囲の建造物ごと爆破解体してしまえればいいのだがな……風の谷作戦、第2案でもドクターに諫言してみるか──
「貴様次にそれをやったら今度こそ死ぬまで訓練だからな……?」
──と思ったが気が変わった! やめておこう、うん!
私とて命は惜しい、速やかにこの案は廃棄しておこう。
……さて。今回は、もとい今回『も』レユニオンの連中の習性を習った訳ではあるが……正直これ以上やることはあるか? そこでペン片手にうんうん唸っている──なんか若干約一名ふやけた顔で舟を漕いでるように見えるが気にしないでおこう──三馬鹿はさておき、私たちがやる事はほとんどないと思うのだが……
「──なんて思っているオペレーターが大多数だろう。なあ、アルクス?」
非常に心臓に悪いので自然な流れで心を読まないで欲しい。あっ、クオーラ嬢の額にマーカーが……。とおあれさておき、確かにそう思っているオペレーターが大半だろう。ちょいちょい眠たそうにしているオペレーターが散見されるし、クーリエに至っては書類片手に電卓叩いて堂々と経理をしている。貴官にロドスとカランドの折衝の役割が任されているのは確かに知っているが、しかしそれでいいのか。
「同じ内容ばかりで退屈だなぁ──というみなさまのためにぃ(重低音ボイス)」
なんだ急にどうした教官。ついに頭がおかしくなっtぐふぅ!? ──人の心を読んでマーカーを投げつけるのは勘弁いただけないだろうか!!
なに? 偶然見つけた動画で興味深い切り返しを見た? 何見てんだ教官! 言い方は悪いが気でも狂ったのではあるまいな!? アッ待ってマーカー構えるのはやめて話せば分か──
カコンカコン、と小気味のいい音が断続的に響き、私の体は後ろにひっくり返るどころか宙を舞った。
──姿勢制御ブーストっ!!
しかしそこで黙ってやられる私では当然なく、アーツを利用して体勢を立て直す。そして、何事もなかったかのように自席へと戻った。少々額が痛いが致し方なし。
そのタイミングで、ホチキス止めのされた薄い冊子を渡された。
……なんだこれは。『感染者の効率的な仕留め方百選』?
「貴様らも知っての通り、レユニオンに属する感染者は大多数が物量、ないし個人の身体的能力に頼った力任せが主な攻撃手段となっている。ひとまず私の実体験を元に、下っ端の感染者に対する対処法を軽くだがこの冊子にまとめておいた。幹部クラスや術士が相手ではこの限りでは無くなるが、これさえあれば大抵の感染者に対抗することが可能だ」
──ほう。
私はその言葉を聞いて、一も二もなくその冊子を開いた。
まず最初に目次があり、その次のページから各感染者の解説が始まっている。……もしや、この各所に描かれているニフラムで消えそうな絵は教官直筆か? なんとまぁ情けない画風だな──私はそう思ったが、なんとか口には出さなかった
「それ以上言うと私が手ずから貴様を消すことになるぞ」
よし、心も虚無にしておこう。口も心も貝のように固く閉ざそう。読心術からのノーモーション体術とかいう処刑コンボは勘弁願いたい。
そんなことを決意した私の後ろで、ドクターは下手なことを口にして全身にマーカーがめり込んだ状態で気絶して机に突っ伏していた。理性が溶けると色々と遠慮と躊躇がなくなるからな、こうなるのは必然と言えるだろう。
さて、肝心の中身は、と……。
“レユニオン兵士”
レユニオンに参加する近距離戦闘兵。仮面や服装が統一されており、鹵獲あるいは非合法な手段で入手した武装を用いて身分を隠しながら行動する。
感染者と銘打たれてはいるがさほど症状が進行していない、ないし症状こそ進行しているが体内のオリジニウムエネルギーをうまく扱えないものが多い。機動力を重視してやや軽装であることも相まって、対人戦で使える戦法がほとんどそのまま有効となる。
つまり、内蔵攻撃が尽く致命傷であるということだ。
遠距離からの攻撃でだいたい仕留められるとは思うが、万一接近された場合はまず金的から入るのが流れを握るのに最も有効的な手法にして定石である。
相手の性別如何に関わらず多少なりとも隙が産まれるので、そこを叩けば安全に制圧、ないし殺害することが可能となる。こうした相手の弱点を意識した戦法は自身の生存にも直結するため、頭に叩き込んでおくこと。
──Oh……。
思わず私はそう零していた。解説の横にはなぜか教官がレユニオン兵士の股間を思い切り蹴り上げた瞬間の写真が高解像度で添えられており、心なしか蹴られた側の兵士の仮面が筆舌に尽くしがたい苦悶の表情を浮かべているようにも見える。哀れな。
視線だけで周りをちらりと見てみれば、女性オペレーターが憐れむような表情を浮かべ、男性オペレーターが青い顔をして自身の股間を抑えていた。ところでアンセル、何故貴官も股間を抑えて──そうか、すっかり忘れていたが貴官も男か。
「さて、今日の講義はこれで終わりにするとしよう。クオーラ、サベージ、ノイルホーン。貴様らは残れ、追試だ」
「はーい」
「──」
「ウス……」
各々が返事を返す……が、返事が一つ足りない。
「──サベージ?」
教官の疑問気な声が私の耳に届き、私は隣に顔を向ける。
サベージの顔写真が貼られた丸太が堂々と椅子の上に鎮座していた。
…………ニンジャナンデ?
私がそう呟いたのとほぼ同タイミングで、状況を理解した教官が怒りの咆哮を放つ。
「サァァアアアベェェェエエエエエエエエジッッッ!!!!!!」
ビリビリと窓ガラスが振動し、不幸にも講義室に残っていたオペレーターの何人かが突然の衝撃でひっくり返る。ついでに、理不尽にもドクターの顔面にマーカーが突き刺さり、「イダバー!!」というやはり珍妙な悲鳴とともにドクターもノックアウトされた。
生き残りのオペレーターが倒れた仲間を担いでそそくさと退避していく中、私は呆れた表情でことの行く末を見守る。
怒髪天の修羅と化した教官は目にも止まらぬ早さで動き出し、開け放たれたままの扉から飛び出した。
そして、ほどなくして廊下から聞こえてくる暴力的な音の数々。殴打音など生温いといわんばかりの斬撃音・鞭音・破壊音の数々が鳴り響き、次いでみぎゃーっ!!!! と逃げ出した馬鹿ウサギの悲鳴が響き渡る。
──哀れな。雉も鳴かずば撃たれまい……。
私がぽつりとそう零すと、近くに立っていたクオーラが青い顔でコクコクとうなずいた。
そして、私がドクターを担いで退室しようとしたタイミングで、教官がズタボロになったサベージを引きずりながら帰還。
その後の顛末は定かではないが、しばらく後に理性を取り戻したドクターが目撃した彼女はミイラのように干からびた姿だったという。
<キャラ紹介>
『アルクス・アンサングス』
本作主人公。今回は珍しくやらかしていない。
『クーリエ』
呑み込みは早いが飽きると自分の仕事に手を付け始める。
『サベージ』
ニョロロに搾り取られたケロロ状態。
『ノイルホーン』
ドーベルマンのシャウトによりしめやかに気絶。
『クオーラ』
痛い目を目撃すると覚えるタイプ。
『ドクター』
原作主人公。理不尽にも被害を受けた。
『ドーベルマン』
教育レイプ! 野獣と化した教官。
『レユニオン兵士』
玉を吹っ飛ばされてメスにされた。哀れ。