私、救済手段がなければ作るタイプです。ドヤァ 作:母は歯はいい
二部作ならα、ωにしようとしてたけど、続いちゃったからしょうがないね。因みに四部作以降ならα、β、θ、δ……になる模様。題名は「え、続くんだ」くらいの認識でOK。
————なぁ、キリト君。この世で一番
————俺はこのゲームだよ。
1week later
「ねぇ、兄ちゃん。ボクと付き合ってくれるんだよね?」
「あぁぁぁぁ、もう仕方ねぇっす! もちろん食事に付き合いますよ!! とりあえず飯食いに行こう!!」
あのデュエルの後、俺は気づけばユウキに告られてた。リアル知り合いだから、電話番号は知られているし、ファックスナンバーもメアドも知られていたからゲームしてない時間もアプローチが留まることはなかった。
年の差結構あるぜ? 相手中学生、俺大学生。
フったこととか、腹パンしたこととか、非常事態とは言え槍投げたこととか。あの後、土下座して謝ったのに煽りは効かないよセンサーがビンビンだったから言わなかったけども。それとあっさりフッたこと全部含めて苛立ってたんでしょうね。
……『女の子の日かな?』なんて男子は言ってはいけないんですよ、女の子傷つくから。アレ、ただのイジメだから。
というわけでたどり着きました、
割り振られた座席につき、向かい合うようにして俺が後から座る。レディーファーストとか言うか? 違う。俺が先に座ると木綿季は俺の隣に座ってくるからだ。操作パネルは木綿季に渡し俺はプラスチックでラミネートされたメニューを初めから順に流し見る。
バイキング店だからな、取り敢えず俺が頼むのは牛タンだ。木綿季は上カルビを頼んだ。コース最高額を一番目から選ばないとはその小さな身体で一杯食べれるのか、と思わないこともない。
トングを手に取り、牛タンを網に。『我流・なんか美味そうだと思ったからすぐに取ったけどもうちょい焼けばよかった』はまず俺にとって定石通り。間違いなく俺は焼肉&料理ヘタ勢だ。美味そうなタイミングで焼いちまうと生焼けか黒焦げかになるから、俺の分は自分でやろう。誰かのために作るなら分析すべし……。これはビギナーの俺でも知ってる。
火加減の自信は微塵も無いがとりあえず肉の種類に合わせて焼けば何とかなる。豚は危険地帯、鳥は火が通り難かった、牛は早めが勝負なんだよ、キミ〜?
手前の省スペースを使って牛タンを焼き続ける。木綿季はカルビの間に牛タンもらうね! と言って焼きながらも美味しそうなリアクションをする。故に俺は基本省スペースなのだ。ヤバいのに手をつけないように。『美味しいものは自分で作ってね』は俺と飯食うなら鉄則にせざるを得ないんです。うん、自分……頑張ってんだけどね……泣
そうやること十数分。話すために口を開いたのは木綿季だった。
「ねぇ、本当にボクと付き合わないの?」
箸でとった肉を口に放り込み、モグモグターイム。しかし、ジッと見つめ続けるのは辞めてくれる事はしない。可愛らしい小動物みたいなアプローチをすることもあるけど、今日はよく分からん。しかし、こういう時は真面目に話す、と俺は決めてる。
「木綿季、君は確かに
「けどな……」と言い訳をガタガタと垂れ流す残念な男の子の姿を続けようとしたが、それは目一杯お肉を頬張る彼女に右手を立てられて止められた。
……君、肉焼くのうまいね。まさか料理できる人?
「うん、知ってるよ。姉ちゃんも治してくれたなんて、本当に感謝してる」
思い出に浸るかのような優しい笑顔を浮かべる木綿季。その顔を見れば俺の作った商品がべらぼうに高いとは言えこの笑顔を生み出すことができたのだ、と。開発者冥利に尽きる話だ。
しかし、まだ何か言ってないのか年相応に可愛らしい笑顔に少しだけ俺の知らない何かが含まれていた。……お砂糖か、スパイスか、素敵な何かか。どれが割合多めなんでしょうか?
「もう運命だよね」
そう言って笑う木綿季はなんとも見事な照れ笑いというか。俺は逆に、テーブルへ見事にヘッドスライディングをかました。案の定、前髪と額と眉毛はレモン汁とタレでビチョビチョに汚れてしまった。それを見て笑い続ける木綿季がここにいることができるのも双子の姉と現実で会えるのも俺の功績というか頑張った結果だけども。
「いや、だからだよ!! もっと人生あるじゃん! 他の事楽しめよ!!」
俺が口を開けばそればかり。いやしかし、そうだろ? まだ木綿季は海外にも出たことないし、こんな可愛い中学生なんだ。いい同年代なんていくらでもいる。育てばみんなもっといい大人になって、いい男は目白押しだ。
なのに、今すぐ、俺を狙う?
も少し歳食えば木綿季はいい女。俺は変態なおっさんで?
あのクソッタレなAIDSという病気に対して対策は俺が独りで作れたんだ。成長したときには完治させる特効薬の一つや二つ作られてるだろうに。
「ボクが楽しんだ結果が兄ちゃんのお嫁さんになりたいなって思うことだったんだ。だから一つも問題ないよね!!」
いや、結論早いわ!!
「俺は結婚する気ねぇんすよ! 最低限人生に満足するまでは!!」
その後俺がどうするかは全く知らない。気分が変わるかもなんて常識通り嘘は使わないことが当たり前だからね
「ひ、ひどいよ! これでも結構覚悟決めてたのに!!」
「その覚悟、俺みたいなネタプレイに人生捧げるタイプに決めることじゃねぇっすよ……」
ヨヨヨと泣くかのような返しは予想外だ。俺の年代に合わせたのか、趣味を探ってんのか。これは妙に求めた反応しちまうときついアプローチしてくるぞ……。オイ、気を付けろ、俺……。
けれど、木綿季は雰囲気を変えた。今までのイタズラ娘っぽさをなくし、寧ろ探究心を前面に押し出した真面目な雰囲気を広げ始めた。
あ、偉いわ。肉は自分の皿にも俺の皿にも配ってくる。こんな良い子だったの?
「じゃあ、どうしてそんな生き方を選んだの?」
「俺が楽しいことしか、する気ねぇすから」
あえて即答。というより俺はこれくらいしかする気が起きないからというべきか。
木綿季は口を尖らせながら「えぇ~」と不満タラタラみたいだ。
「絶対ボクと結婚すれば楽しい人生になると思うんだけどなぁ」
「それと現実はまた違うっす」
なんと結婚願望のある人間からすれば嬉しい提案なのだろうか。俺はねぇけど。
ただ、理想と現実は脳の仕組みから言って全然違うのだ。理想でシミュって上手くいっても現実では大概上手くいかない。一応大学生とは言え俺の
ただまぁ、木綿季のお花畑思考も悪くないっすけど、俺の一面しか知らないんだろうな。まだキリト君の方が友人Dくらいで関わってきたからか。ここはあえて濁しながら自己紹介をしといた方がいいのかしらん? その方が合理的そうだなぁ。
「俺はノワールこと
俺の楽しいと思うことは『発明』だけっす。問題が起こるシステムを理解する。それに対してこの世で一番シンプルなシステムで逆張り、からのぼろ儲け」
幸せそうに食べながら、首を傾げている木綿季。いや、もちろん可愛いんだけどね? 俺相手にそれするのはオススメしないなぁと、思いながらも肉を取る。うわっ、今回黒焦げだッ!
「急にどうしたの? 自己紹介なんてお見合いみたいだよ? まさか、本気になってくれた? それならすごく嬉しいんだけど!」
「いや、やかましいわ!!」
お肉食べながらそうやってからかいまじりに言ってくる辺り、本気と冗談半々ってところか。これマジレスしないと木綿季さん、ワザと勘違い起こしちまうんじゃないですかい?
しかし、俺たちのクソ役立たずさをアピールしとかないと本当に結婚を諦めてくれない気がする。まぁ、あの二人も結構適当だからなぁ……。これ信じてくれるのかも分からんし、その上、所々ボカそうってハードね。
真面目にレスしないと諦めてくれないなんて……木綿季ったら恐ろしい娘!
「キャロルとリアルで知り合ったのも4、5年くらい前。紺野姉妹と初めて会った時とそう変わらないっす。本名は 白糸蓮 って名前。だから俺はシロさんって呼ぶっすけど今は結婚したから名字が違うっす。ま、呼び方は変えないつもりっすけど。
あの人は俺たちの楽しいことをなるべく失敗しないためにサポートしてくれてるっす。知識集めが趣味で、得意分野以外は勝てないレベルで博識。それと政治家に対してえぐい程嫌ってるけど、同時に実利主義っす。
もう一人は茅場さんと全く逆っす。『理想の世界の生々しさっつうロマン』を求めたのが茅場さんとするなら『理想とか知らないが人間は滅びろ』って感じの人間大嫌いな後輩っす。お互いが秘密を持つ両方にハッキングして、スッパ抜いて入れ替えて、人間関係崩すことに快楽を覚えてる最低最悪なハッカーしてるっす。
けど、面白可笑しなシステムを見かけたらハッキングして作った本人にとって一番嫌なことをするから。これに引っかかったのは有名なSAOっす。ひと月かかったみたいっすけど死者が俺の予想よりもだいぶ減ったっすね。彼には感謝しないといけないっすよ」
いや、話してても俺たちのクソさが滲み出てくる。もうちょい真面目な活動とかするべきかな? うーん、例えば地域清掃とか。ぜってぇ秘密集めに後輩歩き回るわ。あの男はネットで遊んでた方がマシな気がしてきたな……。
うへぇと苦虫噛み潰したような表情とその思い出がフラッシュバックして来れば、木綿季は首をもう一回傾げた。
「やっぱり自己紹介だよ? 政治家とか警察の報道では「私たちがなんとかしました」って言ってたけどあれ嘘なの?」
いや、ソレは知らないな。多分、ことを大きくしないためとかいう名目で、支持率上げるためだろうなぁ。相変わらず黒いよ、政府。シロさんからヘイト稼ぎまくるなぁ……。
中身を知りたいのか、俺の顔を見てくる木綿季。仕方ねぇ、話してやるか!
「もちろん、あれは嘘っすよ。SAOってゲーム内でHP0→即死って流れじゃないっすから。後輩が外でコード見て、ゲーム内で俺が仮説立てて、その仮説を実証するための理論をシロさんが立てて、俺が実験してログに残し、すぐに消されるそのログを見てルート確定させて死なせないルートに書き換えたのが後輩っす」
真面目な話。後輩はあり得ないレベルで大量殺人止めたからなぁ。中に入った俺たちがプログラムマニアである後輩の察知能力を信じてスタートしてひと月の間ずっと仮説を検証、その練度だけで噂になるし。なんとなく『コレ裏ルートじゃん』って仮説立っちゃった瞬間に脳内やること一覧に追加されたし。犯罪見つけと殺人の方法とその対策。そんなのがタスクの筆頭になったから。因みに序盤の自殺して復活ワンチャンまで手を出せないから。正規サービス始めて、すぐさま死なれるなんて運営に根本的に関わってても無理なんだよ。茅場onlyで進めてたら、一般ピーポーの俺たちには何しでかすか分かるわけない。
後輩が人間救った動機は金の欲しさと俺たち二人への貸し一つだからな。クソさは半端ねぇし、ハーゲ○ダッツの定期購入でそれ全部俺の奢りとかまじ死ねる。無論今でも続く。
ここら辺はユウキに伝えない方がいいな。あのシーン笑いながら動画で撮ったシロさんいるけど色んな人に見せる事可能だからな。拡散されたら警察と政府への信頼は土台から死ぬぞ、国民。
というわけで周囲が俺に手厳しい。ムチャ頼むからか、そうか。
「……手間かかったんだね。そりゃ凄いや」
ユウキの表情に疲れが見えてきた。これは俺への労いと見ていいのか? 分からんが流石にこれ以上プレイ中に影で頑張ってきた。いや訂正、影で頑張らさせられた中身を愚痴みたいにぶちまけるのはやめた。それぞれ面白いものはあったし。
あ、そういえば
「ただ、おんなじ事を一人でやったのが須郷さんなんすから、ある意味尊敬したっすよ。あのギブアンドテイクにはビジネススマイルを外さない人が、性格捻れてクソみたいな結果になったっすけど」
ドンマイだと思ってますよ勿論。
裏表が人格レベルだったから後輩が直接会っても嫌わなかったし、俺もお悩み聞いたら「うわっまじかよこいつ! 不憫」って感想が漏れるくらいには同情してたから。
最後の最後、ビビンバに手を出しながら配られた肉をヒョイヒョイと口の中に投げ入れる。始めと比べればだいぶペースが落ちた木綿季を見てればもうお腹いっぱいに近いかもしれない。仕方ない、箸が進まない奴から消費していこう。好物は先に食べるタイプらしいから尚更な!
そんな感じで更新された網の上に肉を置きながら焼き続ける。相変わらずの省スペース担当。もう喋る内容も無くなってきたなぁ。取り敢えず、締めるか。そこまで考えて口を開く。
「つまり、俺の周りはアホなんすよ。できないことは今説明した事以外。シロさんは結婚願望あったから家事は知識と実践で色々できるっすけど、俺は無理っす。貯蓄崩せばなんとか金はあるからとりま給付の奨学金と依頼料とか報酬とかで辛うじて今後も生きていけるっすけど家はやばいっすよ。掃除できるっすか? 料理作れるっすか? 収入不安定っすよ?」
うん、これ事実。生活スペースっつうか作業場以外埃まみれだし。卵・もやしを煮る焼く炒める&外食! でなんとか生き延びてるし。ARゲームが上手くいかないと俺の収入最盛期の一割超えないし。よく考えれば不安ポイントだらけだわ。アハハハハ、と笑えないレベルだコレ……。
天涯孤独の身だから進行形で大学生だけど仕送りなんざないし、お年玉とか小学生の頃にも貰えたっけ? 治療費に充てられた気がする。はぁ、お金が欲しいわ。
そうやって自分の生き延びる道について考えていると木綿季は「心配しなくてもダイジョウブィ!」と自信満々にピースサイン。はて? なぜに?
「大丈夫だよ。それくらい姉ちゃんから聞いてるし。ボクは兄さんと過ごしたかったから、料理も掃除もできるからね?」
ウインクさせて、まぁ! 可愛らしい! うちの家電は数世代前のジャンクショップで売られてた奴の修理・改良バージョンなんだけど、大丈夫かな? 慣れてなくてもシロさんに聞けば大体のことはできるようになっちゃうから、問題ないのか? 一人暮らしも大丈夫そうだね、この子……。
「お、おおう。バレバレすぎてプライバシー無いっす。被検者として合鍵渡したのはミスったっす。確かにレシピとかググれば出るっすもんね。待ち時間何もしないの無理だから料理しないけど」
うわっ、フツーに知られてんだ……。ホントに俺のダメさアピールで結婚から逃げようとしたけど、悉く囲まれてるわ。収入は……頑張るしかないな。GGOとか? いや、経過中の計画なんか幾つもあるしそっち頑張らないと。
考えられる逃げ道がほぼ全て封じられてる気さえする、これがお前の! やり方かぁぁぁ!
馬鹿みたいな表情浮かべていると、もう食べ終わったのか注文用のタブレットを見て口を開いた。
「早く食べないと時間ないよ? あと三十分だ」
ホントだ。今日帰ってからもやし料理作るのは非常にめんどくさい。
帰ってから鍛えねぇといかんからな。あの道場だとタダで美味い飯が配給されるから。負けたら無くなるし。
残すと追加支払い飛んでくるからそれは嫌だ。という訳で俺が頼んだ奴を軒並み自分側に。
「確かに。肉焼いてくれるっすか? こっちは米食ってるっす」
「早速だなぁ、もう」
なんというか、餌付けされている気さえしてヤバい。お金出すの俺なのにな?
☆ ☆ ☆
焼肉を余すことなく食べ終わり、二人とも席を立つまでの間も色んなことを話していた。例えば、中学にはもう一度通いたいなとか、高校って高卒認定じゃダメかな? なんて話とか。最終的に大学の話の中で学生結婚って許される? って話とかされた。色んな人から通報されちゃうから「開けっぴろげに言わないの!」なんて話せばスマホ持つ人が増えた、解せぬ。
ホントに俺って捕まらない? 大丈夫?
財布を出せばお札がぁ、一枚、二枚、三ま……。うん、大丈夫。そこそこあるな。
「今度SAOベースのARゲームを出すんすよ。今度は俺が久しぶりに組み終えたんす。SAOに関してキリト君にしてみたくて」
財布の確認を終え、ポケットに戻せばユウキは密かに楽しみそうに笑顔になった。バトルがしたいの? 何がしたいのか今のところ分からないけど、身体を鍛えることも一緒にやっておいた方がいいのかもしれんな。もちろん深くは聞かない。女の子への定番タブーだ。
「酷い人だな〜。兄ちゃんは仮にも仲間相手にそんなことするの?」
ユウキの顔を見ればジョークらしい。と言ってもそんな鬼畜スタイルなゲームじゃない。質問キツいけど解答権あるの早い者勝ちだし。俺が初の魔王ロールとか役作りと展開予測とシナリオ吟味と一番理由を考えさせるものを作らないといけない。
こういうときカーディナルが使えればシナリオ書かなくていいんだけどなぁ。斜め上のシナリオ跳んで来てグダグダにしたくないし。ってことはマジで俺だけの問題にしとかないといけないな、秘密はいくらでも仕込みたいし。どちらの選択でもハッピィー! エェンドォォ!!
しかし、作って捕まらないのは結構ハード。ゲームの中の人にはデスゲームであると思い込ませて? 外の人にも1ヶ月はマジで死なせてしまったから事実だと信じてて。頑張ったのは政府ですってそんな訳ないよ。
そんな風に言えばバッシング来るから友人相手じゃないと言わないけど。……また後手に回って信頼度落とせ、政府!
「ナチュラルに気になるんすよ。辛い思い出はもうなくした方がいいって意見が多いのか。頑張って生き延びたあの生活を無くしたくないのか。もちろんガチハッカーの後輩と医療系ギミックを作る俺だから安全性は確保するっす。この質問がしたいからって言えばあのハッカーは絶対乗り気っすよ」
ケラケラ笑う俺に対して木綿季は心配そうな顔をしている。……んー、そんな顔はして欲しくないんだけどな。
不器用な作り笑いも混ぜた笑顔で彼女は自分の意見を口に出した。
「そりゃ、意見分かれるからね。きちんと捕まらないようにしなきゃやだよ?」
心配して欲しくはない。だがそれ以上に、本音を聞いてみたかった。
後悔して欲しくはない。だがそれ以上に、挑戦して欲しかった。
だから、俺は頑張ると決めてる。結果的にどうなろうがやるなら綺麗に最後まで。心の底の奥底まで素直でいてよ。
しかし、こういう逮捕案件に関しては大丈夫だろうと思う。どこぞのクリスタルさんににっこり笑顔で「ネタバレするよ」って言えば脅しの一個になるからね! 是非もないよネ!
あとはアイツとアイツとアイツ。捕まえる側が利用できるうちに仲間に取り込まないのがい〜けないんだ、いけないんだ! 使役じゃなくて仲間な、これ重要。ボイコットかデモの代わりに胡散臭さを剥ぎ取ってやるよ、ハハハ!
……やってることがもう完全に悪役だね、ホントにJOKERじゃあるまいし。
「何回彼らに恩売って? 何回彼らの悪事を黙っていたか。
捕まえてきたら国家公務員たちの秘密を余すことなくばらして、日本の政治は臭いやつの土台から崩すっす」
絶対、日本滅ぶわ。特にデモとかで。滅びなかったらよっぽど信じてるんだね。日本人は日本人を信じすぎなんだよ。大抵常に笑顔の人が一番怖いってことを理解した方がいいと思う。そうだなぁ……例えばシロさんとか?
木綿季の苦笑いは俺のことを見てるのが簡単に判っちゃう。だから、本当に可愛いんだよ? ホント、年下の女の子って大抵愛らしいけど攻めたら犯罪だからまずは成人してからだなぁと思わなくもない。
くだらないことばかり考える俺に対して、木綿季の本音を口に出した。
「……兄さん、時々怖いよね。槍投げた時も脅すときも」
多少の警戒……と同じくらいの心配を俺に抱えてるんだろう。俺の性質に関しては警戒はもちろんとして俺の存在を心配されても困る。成功する計算が立ち、俺たちが感動する結論を得られる事をわかっていながら止められる? って聞いてくるようなもの。
スパルタクスも言ってる言ってる。『圧政者には鉄槌を!』ってな。こんなの常識の内だから。俺たちが知っちゃっただけだし、腐った世界が悪いんだ。……いや、マジでヒールだよ。ガチヴィランと断定されてもおかしくないレベルの自己肯定と酷いやり方だから。
けどま、
「キレた瞬間は誰だってこうなるっす。キレなくても真面目に対応するときはあるし。どこのどいつ相手だろうが、偶然少しだけコネがあってどんな相手でも基本的に知ってるから対応できるだけっす」
俺は別に……何も否定しない。だから、何も失わせるな。
ポリシーというか漫画で見た参考にしてる生き方だけど、強奪とかその他もろもろ何一つやらせないって決めてるだけだから。そのルールを守る。縛りプレイ乙という奴がいてもおかしくないレベルなだけだから。
……確か白金が家にあったね。
俺に対してのジョークは好きなのかな? そう思うほどに木綿季はいつもの優しい笑顔を浮かべてくれる。こんないい子が俺を恋愛対象にするのは、も少し考えた方がいいと思う。けれど、木綿季は何かを決めたの? 目の覚悟が決まってるよ?
「うふふ。自分から攻めないところに、ボクさらに惚れちゃいそう」
「いや、ダメっすよ! これ全部犯罪っすから」
即答しちゃったよ……。けれど、冗談じゃない! 普通なら俺だってしたくないし。こんな俺よりも絶対いい子いっぱいいますから! なのにそんな所を惚れられても困ってしまうだけ。それに関しちゃ言葉に出すのはあんまり良くないよ。アワワワワ……脅迫罪に銃刀法違反でしょ、抗争は普通にいかんし。絶対大ごとじゃ〜!
頭の中を物騒なことを切り離すため素数を数え始めると木綿季は何か打算でもあるのか? そう思って見ていると木綿季もまた俺がよく見る天真爛漫な笑顔に戻って口を開く。
「三年もたたないうちに結婚できるようになるから、その時はどこでする?」
「すみませ~ん! カードで払っていいっすか!」
「あ、無視したな!」
いや、ジョークにならない! そう思った俺は財布からカードを抜いて店員さんにさっさと渡す。こっちの方が絶対早い。合理的だ。支払いが終われば後は送るだけ今日はタンデムだ。
「……乗るだろ?」
「もちろん!」
今日も綺麗に終わったな。帰ってやることが増えちゃった……。
ホントにオーディナルスケールやった方がいいのかしらと思う今日この頃です?どうも、はははははいい。うーん、読みづらさがアカーン!!
SAOは『一層ボス攻略以降に死んだ人は生存』というこれまた作者的に妥当な位置に落ち着かせたけど。つまり、重村教授があの事件やる意味なくなっちゃうってことだからやるとしたら間違いなく主人公が悪役。けど捕まらないという何とも犯罪者くさい存在になりますが、やる?
というわけでどうしても見たい人は感想どうぞ。
オーディナルスケール編、見たい?
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YES
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NO