私、救済手段がなければ作るタイプです。ドヤァ 作:母は歯はいい
「ねぇ、キリト? ご飯を一緒に食べましょう?」
「…………」
「キリト」
「あなたとあの青い男のために私は繋がりを神聖術で作り上げました。もう一度必ず会いましょう。そして、約束を果たすのです」
「……う、うう…………あ、あ……」
「……その胸飾りはまた会うための、えぇ、言わば契約書です。相手はそれがあればあなたの居場所が分かるらしい」
「…………」
「ご飯も食べ終えさせることができました。そろそろ寝ましょうか」
「…………」
ねぇ、キリト? あなたの世話を始めて半年になりますが、私は密かに寂しいです。もう一度お話しをしましょう? あなたが暮らす元の世界の物語を、私に聴かせて?
『あっ、あ〜。何つったらイイか分からねぇが、この青い男のイケメンは俺が、
『いえ、私たちが育てます。あっ少年君、この世界のルールをまだ詳しく知らないので教えて下さいね♪』
思い出すのはあの腹の立つ男。しかし、戦闘スタイルはアレでもコミュニケーションは、まぁ、マシと言うべきか……。最終決戦を行ったセントラルカセドラルの最上階で話をしてくれた。誠意を持って話をする気はあったようで簡潔な中身を教えてくれました。
一つ、この世界を観察する存在(ひがみさんと仮称)によって、キリトは治療のために中に入ることができた
二つ、ひがみさんの力及ばず、現在キリトに攻撃が入ってしまった
三つ、あの二人は別に治療のために入っている訳でなく、手段も全く異なるから問題なし
と、三つだけ教えてくれました。知識の共有をしておくことが説明を簡単にするそうで、こう言ったやりとりには非常に手慣れたような相手でした。しかし、
『キリトの説明をする際に必ず話しておいてくれ』とは何とも上からでしたけれど、そこまで腹の立つ相手ではなかったのは事実。「アリス、だったか……」と私の名前の確認を初めに行った一言には少しばかり驚かされましたから。
『キリトを救うんだ。アンタがカギなんだ。……手伝ってくれ』
「……涙を滲ませながら女にそんなことを頼むなんて、男らしくありませんよ」
けれど、あれだけの誠意だ。無視はできない。何より無視をする気にならない。
本来であれば彼らを除いた三人だけで挑むことになっただろうに、無茶を押し通してでも最高司祭様を打倒してくれた。それも、どちらも致命的なダメージを負うことはなく。
「……果たして、一体どこにいるのでしょうか?」
人間界————どうやら人界というらしい————から逃げ出して東の大門から出て北にはオークの居住先、そのまま進めば巨大な城があるのはある程度遠目が利く俺がいればそこまで難易度の高いレベルではない。感知した時点で里の少なそうな南に直行。他里との距離を目算で測り、城へ集まるルートを考えた結果。南に見えた高い山を基準にせざるを得なかった。中身は結構でかい遺跡だったから隠れるのはあんまり難しい話じゃない。
けれど、補給を人界からするのはメンドクサイのも事実というところまでは考えたのだ。
まぁ、勢力にしては人が足りない。背ェ高のっぽと、小さな博識と、青い剣士だけだ。これからもうちょい集めなきゃいかん。にしても殺風景だ。このイケメンをこんなところに……。うぅ、……
「ゴメンな、ユージオ。堂々と禁を破って生活しちまって」
そう言って青い剣士ことユージオを見ると苦笑気味に首を振ってくれた。まだ、キリト君と別れてから時間も経ってない。仲良さそうだったからな、辛い思いをしてるだろう。
騎士サマたちとキリト君が話せばわかるレベルの関係だったことは明確ではないがある程度信頼できるレベルだった。なぜなら、頭領を倒しあの場所まで登って来ていたから。騎士とか剣士として育って来たやつって『技を交わせば通じ合うところはある』って考え方の奴が多いから。しかし、俺たちの場合上ってきたんじゃなくて、落ちてきたんだから。しかも、壁を壊しての侵入。捕まることは確定事項であるというのはアリスが断言してくれた。あの舐めプして女王倒した俺を僅かとはいえ信じてくれたのだ。そこは感謝するところである。
結論、俺たちはあの巨大な塔から逃げるべきである。
次に誰を連れていくか。選択肢の一つ目、俺が煽って倒した女王さまアドミニストレータ。二つ目、青い恰好のイケメンことユージオくん。三つ目、その両方。両方とも気絶してくれている。もうさっきの話でキリトとアリスは共にいてくれることは承諾済み。俺たちはこの世界の情報を持っていなかった追われの身……。
悩んでいれば、ユージオ君は目を覚ましたようでむくっと体を起こした。キリト君に関してはその場で説明してどちらに行く? と聞いてみると予想以上に元気な声が返ってきたのだ。
「助けてくれるとありがたいんです。僕を連れていくことはできますか?」
「もちろんいいよ! むしろ話が早く済む!」
俺はユージオを連れていくことが確定すれば次の質問も至ってシンプルだった。
「けれど、あの女王様ってどうすればいいの?」
俺の質問に表情を一番渋らせたのはアリスだった。何でも、キリト君と女王様を近づけるべきではないと考えているらしい。詳しく聞けば彼をいつ殺そうとしてもおかしくはないという話だった。そうだろうね。乱入した2人を抜けば完全な敵対だもんね。
結果いい返答をくれた人はこれまたユージオ。
「僕に一応考えはあります。最後の部分しか聞けてないんですけど、あの女王をどうにかしたいんですよね?」
何とか交渉の席には立っててくださいという話だったので仕方ないという返答はしておいた。思いもよらない場所がこの世界にあるなんて。そういった結論に至り、話は比較的簡単に片付いた。
「いや、別にいいんですよ? 師匠たちの技術はどこをとっても質の確かなものですし、僕の修行になってるのは事実なんですから」
「……私はもう仕込み慣れてるから構わないけど、言わせてもらうわ」
話しかけるのはキャロルだ。しかし、場所は少し低いところからの視線ではあるけれど。正直な話何も道具のない今、土木作業は俺のパラメーター的に役に立つのはミジンコレベルであることは昔から知っていたので残業をしようとしたのだが『あなたは何もしないで』という指示に大人しく従うことにした。
本来この世界でパラメーターをこんな極上げスタイルにするのは不可能だ。レベル上昇して進行方向を決定可能というのがこの振り方のやり方だが、レベルアップしたら今までの経験からより自分に合ったスタイルになりますよって感じ。なんというか成長していく流れを見てるとそう感じた。
しかし、そんな人間観察よりも泥だらけに汚れてしまったその姿を見て、簡単で基礎的な結論は出てしまった。
結果、土木するにはマンパワーが必要。だから集めよう。
「折角の弟子をこんな所まで連れて来て果てには剣を教えるほどの技術は持ち合わせてないのに師匠とは? ただの詐欺師よ?」
そんな結論を脳内の必須タスクに書き込みながら呻り続ける。頭の中で『すべきこと』、『できること』はもちろんある。だが、残念なことにそれが結果的に規模がデカすぎて流してきた『やりたいこと』に繋がってしまうのでどうしようかなと考えているのだ。
「いや、しかし……。んなこと言われてもなぁ……
出来ることは結構限られてるんだ。
一つ目、騎士様に仲間とは言えないが敵ではない存在であることを認知させる
二つ目、敵を殺さずなるべく俺たちを認知させない。まぁ、情報収集は兼ねる
三つ目、敵の中でも話の分かりそうなやつを見つけ深い内情を聞くという必須内容が存在しているのです」
「しかし、この三つを達成するには俺が斥候、キャロルには現在作成中の施設を守護、ユージオには情報収集のためとか色々目的はあるけど遊撃の行動をやって行かないとまずい」
というところで話は一度きりよく収める。戦闘スタイル的にこれ以上の解はあるかは知らんので。俺は諸葛孔明じゃない。すねてはないが俺の得意分野じゃないことは確実に知っている。他に理想的なものがあればササッと捨てる気満々でいた。けれど、否定はしないようだ。なら何の問題もない、かな。
「俺たちも何の因果か神器ってやつはあるし、それの解放だっけ? 切り札を用意するためにも場所を感知されない訓練場が必要であるとせめて、散開する音を減らし、遠くから見ても見つかりにくいための地下構造が理想で?
今頑張って作った結果少しばかし酷いものになったけど」
いやぁ、掘るのは簡単なんだけどね。規模が俺の身体レベルの小くていいモノなら俺にもできる。なるべく縦は俺の身長くらい。広さはお任せって感じでキャロルに投げた。現実で家の設計経験のあるキャロルの指示に従っていたのだ。
結果を言おう。範囲広めな直方体を地下に作る感じで掘り進めたら、上部の縁からツチが溢れるようにこぼれてきた。原因はすぐに分かったけど……。
「……壁の構築と地盤の緩さが原因でしょ? 定番の家づくりの悩みね」
これが問題点一つ目、広めに作ってモルタルか何かで壁の補強をすればいいのかとも思ったが『これ、そう簡単な話なのか』とプロじゃない部分だったからこそ想像ができなかったのだ。微塵もやる気にならない。
それに土木系の定番モルタルの組成は焼いた炭酸カルシウム+砂とかなんだが『海も川も湖も、近くにないなぁ……』と。あの町はどうやって家創ってんだろう?
そんなわけであの人らから離れて二週間。ゴミしかできていないとそんなありさまなのだ。
「良かった~、キレられなくて。『お前めっちゃ小さいな』イジリしてないのに刺されたら目も当てられんから」
いつもみたいなトークを始めようと俺は口を開いた。……この人相手に小さいって言うと危険だぞ? 特に指示に合理的な理由がなかったときは。
「ね、ェ? ダレが、ダレを、小さい、だと?」
筋力は鬼レベル+精神バーサーカー=身動き不能にしないと俺は死ぬ。
「ユージオ、君はまだ避けれないだろうから言うべきじゃないぞー、うん! とりま、逃げる」
そう言って走り出したのは山の周辺ではなく今作業中の場所。ぐるぐる回ったり、長方形の立派な穴に飛び込んだり……。早く体力を無くしてくれッ!
「待て、犬っころ。神器解放!」
ッ!? 持っていた武器を投げるのか? こんなことで?
確認すると同時にさらに逃げる。逃げる。逃げる! 念には念を。上にいるキャロルの攻撃を無為なものに指定させるために範囲は限定、穴に逃げる。隠れながら背伸びして観察の時間だ。しかし、今まで見たことすらなさそうなほど重そうな槍である。重ければうまいこと地面に圧力が……。上に放てばありえるか?
そこまで考えて一応動かず逃走ルートを確定。今ちょうど掘った穴の中心にいる。膝を曲げれば俺がどこにいるか分からない。投擲する槍の軌道は直線なのか放物線なのか
ここから一歩で何とか壁際に、それからこの穴の外に逃げて衝撃を完全に回避してみせる!
「死にさらせ!」
予想通り、放物線の軌道。放たれたその瞬間を理解、すると同時にスプリットステップ。そこからは自我も記憶もないシンプルなモーションだった。恐らく、右足で踏み込み、左足で踏切り、背中を壁に当てながらローリング。
うわっこわっ! 辛うじて避けれたがそう何度もできないなこれ
「うわっ! いきなり使いこなせてる! しかも、あんた好みだ!!」
こいつは褒めてないが投げて発動とは……。相変わらず強運というか何なんだろうな……。二度目だが褒m(ry
逃げるのは可能だったが、そうそう無理だぞ?
「この武器……私大好き❤︎」
失敗したはずの修行場所は樹木で覆われていた。ユージオ君の青薔薇とは全く違う初見殺しではないか?槍の刺さった作業場の中心から広がるように伸びていき、その隙間はほとんど見られない。根っこで辺りを呑み込むその光景は特撮のワンシーンみたいで。
俺たちの文明発展の一手目は木を切ることからスタートか……。……こいつは、先が長いゼ……。
ん? 初めて泣きそうになりました。
数か月後
『今のお前に聞きたいことがあってさぁ!』
『
「「「《俺・僕・私》たちは! ──ー」」」
「けど、僕にはずっと考えてみても分かりませんでした……」
「なら、作れば? 理想の自分」
「分かんなけりゃ、見たことないやつでもいい、決めていいのさ」
「本番までに役割定めてそれに向かって努力する」
「その参考として私たちは知識をあげられるんだから」
「なぁ、みんな? 今までの生活に不満はあるかい?」
「「「大アリだ!!」」」
ごめんなさい。ユナイタルリングっぽいこと始めちゃってる。
このフィールドとこのキャラクターを活かすならまずこれが面白そうだからですけど。
後、戦争の流れはさらに荒れさせるのは決めてます。プロローグと同じやり方ですよ。
ネタと駆け引きと読者からの笑いに期待して……
オーディナルスケール編、見たい?
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NO