ゼルダの伝説〜異世界の兵士共 NS(イセカイのツワモノドモ ニュー・ストーリー)〜 作:油揚げパン
異様な緊張感の中、ハロルドは飛車で相手の駒をけん制しつつ、防御を固め、18手目にして防御陣営を完成させた。
「(あ…穴熊だと!?…相当積んで来たか…)」
「…いかがされました?ツツミシタ様、貴殿の番ですよ?」
堤下は銀で乱そうとするが予定を変更し、中飛車で迎えうち、金将を取られない様中の隅に固め始めた。
「…ほう、これでそうです?」
◆
28手目でハロルド穴熊が崩れ始めるが、振り飛車と銀将棋をセットで動かしながらで堤下の防御が崩され、金将が剥き出しにされていた。
「(…将棋は解らん…優位なのはどっちだ?)」
そんなに将棋に詳しくない茂野二尉は2人の顔を見ながら見守るが、冷や汗が止まらず、手を震わせながらも必死に考える堤下内閣補佐官の様子を見ながら察するしかない
「…………!」
堤下は何かに気づいた様だ。
「…行きます!」
◆
42手目、ハロルドの金将が奪われた。するとハロルドの後ろにいた補佐役の執事服を着たシーカー族の男を見ながら話した。
「…金将を取られたか…すまんなニコル」
「……イヤ!嫌だ!!忘れたくない!!やっと子供がアアアアアアア!!!…」
ニコルと呼ばれたシーカー族の人は頭を掻きむしる様にし、ドアから出ようとするがそのまま倒れた。
「…そこの隅でも置いとけ」
他のシーカー族がニコルを持ち上げて部屋の隅に投げ捨てた。
「な…仲間じゃないのか!?」
「そうですよツツミシタ様…お客様だけリスクを追うのは不公平ですから、…ハイリア人との約束は対等であり絶対って事前に外交官の方と自衛隊の方にはハイラル王国律法書にも書いてあります。」
「…このクズめ!!」
「約束を守る為ならクズで構いません。…4七銀」
顔色を一切変えないメイドと執事のシーカー族に外交官の堤下は更に冷や汗を書き始め、顔色を青くした。
◆
そして69手目、先程の様子をみて思うように打てなくなってしまった堤下は遂に王手を掛けられてしまった。
ロウソクも残り僅かしか残っていない
「……どうされますか?ツツミシタ様」
「……………まい…リました。」
「では…良い夢を…」
ハロルドは指をパチンとすると3人の『まことの思い出』を暖炉に投げ込んだ!
すると本は青い炎をあげながら勢いよく燃え上がり始めた。
「…すまない紗織ィィ!!!…」
激しく動揺する堤下を他所にそして部屋が何にも見えない真暗に包まれ、また明るくなるとハロルドの後ろにはカメラを持った自衛官がいてメイドがお茶を運ぶお盆をひっくり返して見せると『ドッキリ大成功!!』と日本語で書かれていた。
「……………はへ?」
状況が把握出来ていない堤下…
「…く…ククク…」
必死に笑いを堪える外交官の下関
「…ツツミシタ様、コチラをご覧下さい」
そう言ってハロルドはハンドカメラのモニターを再生して見せた。
『よう!写ってるか?』
「加納総理大臣!!?」
『前にハイラル王国の秘書から、お前にどんなおもてなししたらいいか聞いて来たから、国王様に会う前で緊張でガチガチにならねぇよう仕込んじまったぜ…今度有給取っていた日、お前の結婚記念日にだろ?まぁネタはオレの好きなこの漫画からだが…まぁ、ビックリしたか?後でしっかり驚いた顔を拝ませてもらうけどな!ハーハッハッハ…家族サービスするんだろ?奥さん大事にしろよ?…それじゃ』
そこには加納前防衛大臣、現在総理大臣が『ハ○ター☓ハン○ー』を持ちながらネタバラしをする姿が写っていた。
「…なかなかお茶目で部下思いな総理大臣様ですね。私は好感が持てますよ。ハイリア人はこういう結婚や出産等の祝い事が好きな者が多いので…サオリ様と言われるのですね奥様は…」
「…じゃあ、さっき倒れた執事も…」
「演技です。…ほら」
倒れた執事がむくりと起き出すとハロルドの言葉で顔を真っ赤にする堤下は、カメラを持った自衛官に襲いかかった。
「こ…国家権力で…ドッキリ仕掛けんなぁぁぁ!!!そ…それを消せーーーーー!!///」
「すみません!お気持ちはわかりますが総理大臣命令なので無理です!」
「くぅー!!!…」
荒ぶっている堤下だが物凄く冷静なハロルドは扉を開けながら答えた。
「お気持ちはわかりますが…そろそろ謁見のお時間です…どうぞ」
「…このメンタルで!?ていうか謁見はドッキリじゃないのか!!?…うわ!もうこんなに時間が立ってるし…スゥー…ハァ…もういい、行こう」
非常に落ち着かないままハイラル王に挨拶に向かうのだった。