ゼルダの伝説〜異世界の兵士共 NS(イセカイのツワモノドモ ニュー・ストーリー)〜   作:油揚げパン

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 〈〉が帝都共用語になります。


国会へ 〜NS~

 一部を除き、ある意味案の定に生卵(・・)などに対しての”食あたり(地球の海外の卵事情の如く)”に対する不安を抱えるなど、ちょっとしたハプニングはあったが……(おおむ)ね、初めての日本の食事に満足していた特地御一行。その後は迫る国会に向け……洋服の○山にて、テュカ及びリンクの”エルフ組の礼服”を買う事になった。彼女からは特段に不満はなかったものの、対する彼は違った。彼が普段から着ている”緑の衣(いつもの服)”は、ハイラルの南部に存在する”コキリの森”に暮らすコキリ族の民族衣装(・・・・・・・・・)を模した服になる。特段に防御性能が高い(防火や潜水性能)などがある訳じゃあないが、ここまでの冒険でずっと着通してきたが故に、相当お気に入りなのだろう……。だが、”洗濯”や”入浴”、”服の替え”は、毎度どうしてるんだとはツッコんではならない……。

 

 だが、国会招致までの時間はそこらで”草刈り(ルピーや補給品を探せる)”が出来るような余裕もなく、ゴネるリンクを他所にサッサと服のチョイスは行われて行くのであった……。そうして試着室から出てきたリンクは、大海原を駆けた時代()の勇者が”クスリ(赤or緑or青の)”を飲む前後に見せる”嫌そうな表情”に……勝るとも劣らない”微妙な表情”を見せていた。しかしながら、他の一同はそこそこに似合う装いに軽く表情を(ほころ)ばせていたのであった。その内容としては……白タイツに黒の短パン、Yシャツにブレザーと”小学生の礼服”を彷彿とさせる物であった。お馴染みの”サンタな緑帽子”はなかったが、ここで”黒縁の伊達メガネ”と”蝶ネクタイ”を付ければ……常に事件解決には頭脳とサッカー(・・・・・・・)よりも剣と魔法(・・・・)を用いていそうな”洋風な迷探偵(真実は、いつもトライフォースッ!)”が……!?

 

 

 

 「……生地はしっかりしてるけど……動き辛いなぁ……」

 

 ”時の勇者の時代”には存在してなかったが……遙か未来(息吹の勇者)の時代では、その圧倒的な強さに”先生や師匠”と密かに呼ばれたりする、”ケンタウロスな魔(◯銀のラ◯ネル)物”に匹敵する強敵が居れば、先程の呟き(動きにくい服だと、回避が……)も納得出来そうモノだが……。ここは”ハイラル(人外魔境)”ではなく、日本(比較的、遥かに安全な)である。既にフォーマルスーツに袖を通していたテュカなどを含め、リンクは伊丹達自衛官御一行に”天井から落下してくるトラ(フ◯ールマ◯ター)ウ魔物”の如く強制連行させられては、またも”ビックなクルマ”で移動する事になったのである。【……あっ、アレなら……エポナの様な馬がダメだったら、良いのかな? ……手持ちのルピーを換金出来たら、後で買えるかイタミに聞いてみようっと……】――道中、そんな胸の内を呟いていたリンクが車窓越しに眺めていたのは、横を通り抜ける”鉄の馬(バイク)”であった。遙か未来(息吹の勇者)の時代の者であれば、また違った(マ◯ターバ◯ク零式がある故の)感想があったかもしれないが……。

 

 そんな”心のメモ書き”も、(あまり変わり映えしないが)見た事のない風景の連続に、徐々に薄れていくリンク。だが、国会に行く道中……ハイラル場門とかにあった大きな”お堀”の横を通った際にふと彼は異変を感じた。ルピーや”鉄の馬”に対する心配でも……況してや、昼間の”ギュウドンorコッコより小さい卵”に当たった訳じゃあない……。こう……何故か、革製の指抜きグローブを嵌めた左手が、疼いて仕方ない感じなのだ……。当の本人は、この事がイタミ達の耳に入れば、以前の”恥ずかしい思い(チュウニビョウ)”と関係していると勘違いされそうな事だとは、露にも思わないが……。そう、それはまるで……”ハイラル”じゃあないこの(ニホン)で……そんな遠くない場所に、【トライフォース】がある様な感覚だった……。

 

 

 

 ”ビックなクルマ”で走り続ける事しばらくして……リンク達特地ご一行様は、ニホンの元老院(国会議事堂)へと到着した。着替えたにも関わらず、相変わらず肌に突き刺さるような寒さに身震いしつつもクルマから降りると、ハイラル城の城門よりかはチョッピリ小さな門の傍に立っていた、”案内の人”が奥へと案内をしてくれた。

 

 「……ヤバい。前に侵入した”ハイラル城”より豪華だぞ……!?」

 

 巡回する衛兵も居ないにも関わらず……趣向は違う物の、赤々とした絨毯(じゅうたん)や、真っ白(大理石)な壁や床、ハイラル城内にも負けない豪華な装飾などなどを前に時折、落ち着かない状況になるリンク。そんなソワソワ感が続く中、ようやっと元老院(国会)会議会場(衆議院第一委員室)に出る事になった。

 

 「あれが特地の人間……」

 

 「人間だよな?」

 

 「女の子ばかりね」

 

 「あの少年が……」

 

 「最後のコ、何持ってるの?」

 

 様々な思惑を持った元老院の人達に、奇異な目で見られていたリンク達。あまり気分の良いものではなかったが、またもハイラルにはない場所として物珍しげに見回していた時……司会席と思われる場所から、進行役らしき人が議会を進め始めるのであった……。

 

 『え〜皆さん静粛に。これより、特地に関する参考人質問を開始します。質問者、幸原(こうはら)みずき議員……』

 

 タルミナの中心地にある”クロックタウン”。そこの”町長の奥さん(ア◯マ夫人)”か……あるいは、ハイラルやタルミナの各地に点在していた”大妖精の泉”に存在する、妖精達の元締めと言える”大妖精”……そんな彼女達のケバさ(・・・)には負けるが、何処か嫌味な雰囲気のある”女性の議員”が出て来てはパネルが出され、何かが書かれていた。

 

 『自衛隊に保護された特地住民・民間人犠牲者、百五十名……。コダ村避難民総数六百名、難民キャンプ収容総数二十六名……』

 

 まだまだ読み書きを含め、”ニホンゴ”に関しては勉強が必要だったリンク。だが、それでも全く学んでいない者とは違うワケであり……パネルを見た際に何となく、現在話している女の人が”イチャモンオバちゃん”臭いなと感じるのであった……。

 

 「伊丹参考人、単刀直入にお尋ねします。自衛隊の保護下にあった避難民……その四分の一である約百五十名が、通称ドラゴンの犠牲になったのは何故でしょうか?」

 

「え〜それは、ドラゴンが強かったからじゃないですかねぇ……?」

 

「私は自衛隊の方針や、政府の対応に問題は無かったかと聞いているのです! 現場指揮官として犠牲者が出た事に対して、どう受け止めているのですかッ!? その答弁はあなたの”力量不足”であり、保身欲しさにする”タダの責任転換”ではないのですかッ!?」

 

「大勢の方が亡くなってしまった事は……残念に思います。後、力不足を感じましたね。……銃の威力に」

 

 「……ハァ?」

 

 「ハッキリ言って豆鉄砲でした。あの時”メ○粒子砲”や”超◯磁砲”が合ったら、もっと多くの人命を救えたのに……。大体、皆さんは軍を悪(・・・)だと言いますが……軍事の何を知っているんですか? そもそも”GPS”や”インターネット”も、元々は軍が開発したもの(技術)ですし……皆さんの言い分を厳守するのであれば即刻、今後の使用は”厳禁”と言える程に控えるべきではないでしょ〜か? ……それに”介護用パワースーツ”だって、消防や自衛隊が導入すれば災害の時どれだけ役に立つ事やら……。ぶっちゃけ、総合的に言って仕舞えば……”軍隊が悪”って、目先の事(・・・・)よりも先な事(・・・)を考えた事がありますでしょ〜か?」

 

 「何だ! その答弁はッ!?」

 

 「不謹慎だぞッ!?」

 

 「……え〜皆さん? 大変恐縮ながら、本省から補足説明をよろしいでしょうか?」

 

 『……承認しましょう。では防衛副大臣、渡辺良三君』

 

 「特地甲種害獣、通称”ドラゴン”のサンプルを解析した結果……鱗の強度はタングステン並。モース硬度(摩擦に対する硬さ)で言うと、”ダイヤモンド”に次ぐ『9』という硬さで、それでいて重さは”七分の一”になります。更にその対象は、高温の火炎を吐くのが確認されています。いわば……”空飛ぶ戦車”です」

 

 その際に議会に居る一堂が、一斉に引くようにザワめきをするが……それも長くは続かず、話題はすぐにレレイ達へと移り変わった。まず、レレイへの質問はキャンプで必要な物がチャンとあるか確認された事だった。これにはリンクも首を傾げんばかりに、『今更何を言ってるんだ(馬宿や野宿よりも快適っだのに……)?』……と愚鈍としか思えない質問であった。次に注目されたのはテュカとリンクの”エルフ組”だった。

 

 主に、二人がエルフだった事による(にエルフ耳があった)事実に、物凄い数の”ニホンの写し絵の箱(カメラ)”がパシャパシャと動いていた。その光景に思わず、両耳を塞ぎたいと思いそうになったリンク。……だったのだが……タルミナに訪れる前、自分を襲ったスタルキッドに呪いを掛けられ、デクナッツの姿(デクナッツリンク)にされた時……その直前に見た(オ◯リナッツの大群に囲まれ、追い回される)幻覚……あれに比べればまだまだマシだったと思ったのだろう……。チョッピリ不快な気分に陥ってしまった彼だったが……自身の答弁の番が来た事で、何とか気持ちを入れ直して答えるのであった……!

 

 「……え〜では、リンクさん? ドラゴンに襲われた時、自衛隊の行動に問題ありませんでしたか?」

 

 「……あの”ジュウ”と言う武器、ドラゴン、全く効いて無かった。もっと良いソウビ持ってる、ニホン、あげて下サイ」

 

 「……日本語がお上手ですね。リンクさんは、ハイラル王国の出身と資料でお伺いしてますが……具体的に、ハイラルは何処にあるのですか?」

 

 「……アルヌスから東、エポナで二ヶ月ぐらいの所にありマス。デュマ山脈、帝都近くの海まで行く、テルタ街がある。そこから北上シテ、氷雪山脈がある。自分達、一番高い山を、”ラネール山”、言ってマス。その山、北東に超えたサキ、ハイラル王国、ありマス」

 

 「では、どうしてハイラル王国を出たのですか?」

 

 「……ヤクソクとトモダチを探すタメ。占い師にキいた。西に向かいなさい、言われた。拠点、作って、情報収集。無イ、旅をスル」

 

 「……友達とは?」

 

 「妖精。ニタモノがありました。ケンモンでダメ、今は持ってナイ」

 

 「……すみません、再び恐縮ですが……本省から少し補足をよろしいでしょうか」

 

 『……承認しましょう。では防衛副大臣、渡辺良三君』

 

 「お預かりした妖精は、日本でどんな影響が出るか不明だったのでお預かりしました。急ぎの為、資料は皆様にお渡し出来ませんでしたが……こちらがそのお預かりした妖精になります」

 

 そうして出されたのは、オレが持っている”写し絵”よりも……遥かに大きい写し絵(デジカメ写真)に写った”瓶に入った妖精の絵”だった。

 

 その大きさに思わず驚いていたリンクだったが……予想外な質問が、幸原議員から出て来るのであった。

 

 「ところでリンクさん? ”マスターソード”は持っていますか? また、ハイラル王国には”マスターソード”は置いてあるのでしょうか?」

 

 ……ッ!? なんでマスターソードを知っているんだ? イタミが言ってた、物語か?

 

 「……それには答えられナイ」

 

 「……では”神々のトライフォース”は存在するのでしょうか?」

 

 「……その質問の答え、話せナイ質問」

 

 「どうして話が出来ないのですか?」

 

 「〈……お前、何でそこまで聞きたがる……?〉」

 

 「あなたは何故その質問をするのか……と言っている」

 

 レレイがそう通訳するその言葉に、リンクはマイクスタンドを握っては、魔力を高めてゆく……! どうしてかと言えば、コイツは【トライフォース】を狙う敵なのか……そこの見極めを行なっていたのだ。

 

 ただその反動で、マイクスタンドの金属がお亡くなり寸前(リンクの魔力と握力によって)となってしまい……魔力を感じられない日本人でさえも、微かに感じ取れる程の”空間の歪み”がリンクの周囲に現れ出ていたのだ……!?

 

 【不味い!? ”イタリカの鬼門番”が出てきちまうだろッ!?】――尋常じゃあない気迫を、リンクから感じ取っていた伊丹。本能的に不味いと思った彼は、これから巻き起こる”オニごっこ(一方的な)”を回避するべく……リンクの立つ答弁台へと、素早く彼と入れ替わるように入るのであった……!

 

 「議長ッ! 幸原議員は、本議題の主旨に全く関係ない質問をしておりますッ!」

 

 「……伊丹参考人の主張を認める」

 

 「では……特地や帝都では、ハイラル王国の風習はあったり……交流はあったりしますか」

 

 「……あんまり無いデス。理由、ハイラル王国の地形、ある。ハイラル王国、入る、五本の道、ありマス。ヘブラ山……雪山、超えルート。ゲルド砂漠、超えルート。フローネの森、超えルート。デスマウンテン……火山、超えルート。碧海(へきかい)、流れてる、オリョクル大河。登ってハイラル川、入り込んでる、ハイリア湖、行く道。一部、人、出入りしてる。大々的、道、ある訳ではナイ。大体死ぬ、デス」

 

 「……えっ? 死ぬ……のですか?」

 

 「エルフ、森、ルート、一番優しい。慣れない人、その森、迷う。食べ物、困ル。森の物、食べる、呪い、受ける。死ぬ、スタルフォス……死体なっちゃう、森、歩き周る、日光、当たる、消滅スル。

 

 火山、ルート。トッテモトッテモ熱い、普通、人間、五分入れれば、大した者。

 

 砂漠、ルート。天然、魔力、砂嵐、ビュンビュンある。大体迷う、流砂、巻き込まれる、死ぬマス。

 

 ヘブラ山、ルート。大きい、獣、タクサン、良く襲われる。夏、獣、餌、欲しい。縄張り、争う、激しくなる。近付く人、イナイ。冬、寒スギ、身体コオル。

 

 川、ルート。途中、高い滝、アル。滝登り、出来ル、種族ダケ、ソコ、通れる。

 

 理由、以上。外の人、ハイラル、入る、難シイ。街で、話、タマ二魔道士、腕、覚え、ある探検家、挑戦。けど、返り討ち。聞いてマス」

 

 「……でっ、では! ハイラル王国の人は、どうやって出入りしているのですか?」

 

 「シーカー族、作る道具。抜け出す為、アイテム、アル。それ、使う。元々、それぞれ種族、いる。その人達、頼厶。例える……コレ」

 

 そう言ってリンクは、”ポーチ”から【まことの(魔力を使って)メガネ(真実が見える)】を取り出すのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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