「―――――と、言うわけで以後ジョン・コナーンはこのT800基地にてグリフィン幹部候補生として、指揮官と共に部隊の指揮をとってもらうことになった。みんな、ジョンと仲良くしてくれよな…って、あえて言うまでもないか」
M16がそう言うのは、既にジョンがAR小隊や他の人形たちともすっかり打ち解けている様子を見たからだ。
端正な顔立ちからさわやかな印象を受けるジョンを、M4はまるで新しく出来た弟のように可愛がり、SOP2は親しい友達が出来たと大喜び……AR-15は少し要注意だ、ジョンと話す際に距離が不自然に近い様子が見られるし、若干目つきも危ない。
とはいえ、ジョンと一番親しいのはやはり思い出深いXMだろう。
「大人気だな、ジョンは。まあいずれ優秀な指揮官として私たちを率いることになるだろうさ…その時まで、ちゃんと面倒を見るんだぞXM」
「理解した」
M16の言葉に対しそう返答したXMであったが、そのやり取りを聞いていたジョンは呆れたように笑いかけてくる。
「待ってよ、それじゃダメ。前に教えたでしょう? 理解したなんて言い方は普通の人はしないよ? 言うなら、ノープロブレムだ」
「ノープロブレム…?」
「粋がってるやつをおちょくりたいときは"ダサいぜ"! そいつにケンカを売ってやろうと思ったら"さっさと失せろベイビー"だ」
「さっさと失せろベイビー」
「さもなきゃ"やるかくそ野郎"! むこうがぶるったら"ガタガタ言うんじゃねえ"! 組み合わせて使ってもいいんだよ?」
「ガタガタ言うな…くそ野郎?」
「そうだよその調子! どう、思い出した?」
「ノープロブレム」
昔の感覚を思い出し微笑むXMに、ジョンもおおいに喜ぶのだ。
微笑ましい二人のやり取りに、その場にいたみんなが笑顔になる。
おまけにXMが敵と戦う時に、口汚くなる理由を垣間見る…おそらく知らないだけで、他に多くの言葉を教わったに違いない。
さて、この基地にグリフィン幹部候補生として仮の配属になったジョンであるが、プログラムや電子系統などについてとても詳しい…というより、機械の修理や銃器の取り扱いから整備まで、実に幅広くこなすことのできるとても優秀な存在であることを見せつける。
XM曰く、本当の母親に色々教わったという…。
これには人間で唯一パソコンを使ってデータ処理の仕事を行っていたカリーナが喜んだが、幹部候補生にそのような仕事はさせないと言われ、カリーナは肩を落として部屋に戻っていった…。
戦闘はからっきしだが電子戦は得意なUMP45に対しても、無人兵器やセキュリティのハッキングを見せつけ、その腕には電子戦特化のUMP45をもうならせる。
「この時代に何でも筋肉で解決しようとする奴らばかりだったけど、ようやく最新テクノロジーを扱える人が基地に現れたわね」
そう言うのは相変わらずジョンを熱心に見つめるAR-15だ。
その様子に話を振られたM4は苦笑しながら同意する。
「ええ、とても頼もしいですね。とてもいい子そうですし」
「おまけにかわいい」
「え? えぇ…確かにかわいい顔立ちですね」
「ふふ…後で遊びにでも誘ってみようかしら…ふふ…」
「駄目ですよ?」
「何が?」
「何がって……絶対ハレンチなことを考えてましたよねAR-15は!?」
「失礼ね! 私は年上の女として、ジョンくんを正しい道に誘おうとしてるだけよ!?」
「駄目ですからね!?」
数時間後、XMとSOP2の組み合わせで鉄血の活動が報告されているエリアに向けて出撃した。
グリフィンの上級代行官さまであるヘリアンより、鉄血の攻撃で散り散りになってしまった戦術人形の救助と情報収集の任務を受けたのだ。
前回、派手にイントゥルーダーを真正面から叩きのめしたので、今回は隠密に行動し任務を遂行しよう…ということで、少人数による任務となる。
少人数とは言うが、二人はさすがに少なすぎるだろうとSOP2が言うが、酔っぱらったM16曰く『XM一人で一騎当千だから、XMとSOP2で1001人の戦力だ!』とのこと。
デス子以外みんなが納得した。
「みんな無事かな? 一人でもたくさん助けなきゃね」
「ああ、もちろんだ」
「ところで、何を待ってるのお姉ちゃん?」
「荷物を待っている。信頼できる
時刻を確認したXMが廃墟と化した町の大通りに目を向けると、彼女の予想通りのタイミングで一台の黒のアウディが現れる。
黒のアウディは二人の前で停車、降りてきたスキンヘッドに濃色のスーツ姿の男はUMP40も基地でたまに見覚えがある人物だった。
「頼んだ通りの時間にぴったりだな、フランク」
「ルールその1、『契約厳守』だ。頼まれたものを持ってきた…確認を頼む」
フランクと呼ばれた男は車のトランクを開けると中に入れられていたバッグごとXMに手渡した。
バッグの中身を確認したXMは満足げに頷くと、フランクと握手を交わす。
「報酬はいつも通りの方法で?」
「そうしてくれ。じゃあ、またな」
短いやり取りを交わした後、フランクは車に乗り込むと廃墟の奥深くへと車を走らせて行った…。
「何を届けてもらったの?」
「あぁ。実は私用にグレネードランチャーを開発してもらっていてな。今日のところは使う機会はないかもしれないが、以後役に立つだろう……よし、少し遅れたが人形たちを捜しに行こう。
「ラジャー!」
SOP2は元気に返事をすると、歩幅の大きいXMを小走りで追いかけていく…。
歩くこと数十分。
報告にあった座標に到着した二人は廃墟の物陰に隠れ、辺りを偵察する。
戦いがあったと思われる場所にはグリフィンと鉄血、双方の人形の残骸が散らばっており、激しい戦闘があったと予想する。
「見る限り、生存者はなさそうだね…どうする?」
「痕跡を辿る必要があるな…SOP2、
「おにごっこなら得意だよ!」
「よし行くぞ」
廃墟の物陰から移動し、戦闘があった場所の調査を始めたXMであったが、すぐに残された痕跡の中で奇妙なものを発見する。
XMが注目しているのは、地面に残された足跡だ。
「何を見つけたの、コマンドー?」
「足跡だ。それもデカい足跡だ」
「ニーマムかマンティコア?」
「いや、人型だ。見ろ…この足跡から推測するに、身長は190を超えるぞ」
「あんたみたいなやつがいるってこと?」
「こっちに続いている…辿るぞ」
XMは地面に残された足跡の痕跡を辿り、廃墟の奥へと向かって行く。
それと同時に増えていく人形の死骸…それもほとんどが鉄血の人形ばかりだ。
中には激しく破壊された人形もおり、相当激しい戦闘があったと予想できるが…。
その時、銃声が廃墟に響き渡る…顔を見合わせた二人は互いに頷き、音のした方へと走っていく。
銃声は絶えず響き渡る。
おそらくグリフィンの生き残った戦術人形が戦っている、手遅れになるまえに救助するべく二人は走る…そして角を曲がったところで、不意に何者かとぶつかった。
体格の良いXMはなんともないが、ぶつかってきた相手の鉄血兵ははじきとばされる。
「鉄血兵!? 仕留めなきゃ!」
「待てSOP2! 様子が変だ…」
すぐに殺そうとしたSOP2を制する。
見下ろす鉄血兵は全身ボロボロで、何かに怯えている様子だった。
「ヒャいぃぃ~~ッ!! 人形じゃねェ……! はひいィィ~~!!」
恐怖のあまり発狂している鉄血兵は、その場ですぐさま息絶える…。
一体何が起こったのか?
二人が路地を抜けた先で見たのは、多数の鉄血兵が逃げ惑う中、大柄の戦術人形が逃げる鉄血兵を追い回しめちゃめちゃにぶちのめしてる様子だった。
鉄血兵を追い回す戦術人形はとても大きく、XMと並べても遜色ない体躯だ。
そんな人形に捕まった鉄血兵はそのままバックドロップで地面に叩きつけられスクラップと化してしまう。
「待て! 私たちが悪かった、許し――――」
命乞いをする鉄血兵であったが哀れ、その体を軽々と持ち上げられるとそのまま地面に叩きつけられ、もがいているところにとどめのエルボードロップを受けて完全に破壊される。
あっという間に鉄血兵を全滅させた謎の戦術人形…反応からは、彼女こそがグリフィンの戦術人形だと分かるのだが…あまりにも人形離れした存在にSOP2も言葉が出ない。
そんなか、XMはゆっくりとその人形へ向けて歩みを進める。
すると、向こうもそれに気付き歩を進める…。
真向いに並び立った二人、身長はXMよりも相手の方がやや大きい。
「お前がグリフィンの戦術人形か?」
「Vz61【スコーピオン・キング】だよ、よろしくね」
Vz61スコーピオン・キング、確かに彼女はそう名乗った。
お互い握手、という名の力比べをし合い互いに笑いあっているではないか。
いろいろと謎な戦術人形だが、とりあえず任務成功の報告をヘリアンに入れてXMたちは基地に帰還するのだった…。
???「ロックさまの妙技を味わいな!!」
ハリウッドネタ楽しい笑
元ネタ分からなかった人に向けて補足
スコーピオン・キングとは偉大なるプロレスラーであるロック様ことドウェイン・ジョンソン(代表作:ワイルドスピード、ジュマンジ)が初スクリーンで演じたキャラクターの事ですね
・カカシ設定
【スコーピオン・キング】
本来小柄なはずのVz61スコーピオンが、I.O.Pの製造ラインで突然変異を起こし生まれた新型戦術人形。
コルト・コマンドーXM177E2に勝るとも劣らないその能力は鉄血にとって恐怖の存在でしかない。
・フランク(トランスポーター)
【契約厳守】【依頼者の名前は聞かない】【依頼品を開けない】という3つのルールを自身に課す、凄腕の運び屋。
運び屋になる前までは民営化された刑務所でデス・レースしたり、アドレナリンを出し続けないと死ぬ薬を打たれたり、心臓を1時間ごとに充電しなければならない人工心臓に変えられたり、凄腕のナイフ使いとして傭兵をやっていた