「ああ、今日も学校疲れたな。なあ、江奈?」
江奈の部屋で大の字になった美子が言った。
「……当たり前のように私の部屋にいるわね、あんた」
江奈が言った。
「しょうがねぇだろ、家にいたってやることねぇんだから」
「やることないなら部活でも入れば?」
「……それはやだな」
「……私もそう思う」
江奈の部屋の中は数秒の静寂に包まれた。
「……よし、一回落ち込んだ所でゲームでも始めるか」
「……斬新な導入ね。まあ、いいけど」
「今日もハードなゲームに挑戦! ……と、いきたいところだが」
「ん?」
「ここのところ、ゲームのやり過ぎで疲労がたまっているからな。今日は趣向を変えて……」
「え?」
美子はカバンから何かを取り出した。
「じゃん! その名も「ミリオンミニゲーム」だ!」
「結局ゲームかよ! 疲れてんじゃないのかよ!」
「いや、だからゲームの疲れをミニゲームで癒すんだよ」
「……あんたも大概、ゲーム廃人の思考回路してるわね」
「お前には言われたくないな。まあ、詳細を説明するとだ。このゲームにはタイトル通り、沢山のミニゲームが収録されているんだ」
「なるほどね。しかし、ミリオン、百万とはハッタリ利かせすぎじゃない?」
「いや、ハッタリじゃない。実際に百万種類のミニゲームが収録されているんだ」
「……は?」
「え?」
「いやいや、容量どうなってんのよ。それもおばさんからもらった一昔前のソフトよね?」
「そうだけど?」
「……オーパーツにもほどがあるわね」
「おぱんつ? よく分からんが、始めようぜ」
「……はい、そうですね」
「ソフトを入れて……と。はい、起動!」
江奈の掛け声と共にテレビ画面が切り替わり、スタート画面が表示された。
「まあ、今日は息抜きってことで、肩の力を抜いて純粋にミニゲームを楽しむとするぜ」
「四六時中肩の力抜きっぱなしの奴がよく言うわね」
「……何か言ったか?」
「別に」
「まあいい。じゃあスタートぉ!」
美子はスタートボタンを押した。
『遊びたいミニゲームを選んでね!』
「……何か馴れ馴れしいな」
「そこ引っかかるとこぉ!?」
「だってよ初対面の相手だぜ。この態度はないだろう」
「いやいや、親しみやすくていいじゃないのよ」
「そうかぁ? まあ今回は大目に見てやろう。次から気を付けろよ!」
美子がテレビ画面を指差しながら言った。
「……誰に向かって話しているのだか。もう、バカなことやってないで始めなさいよ」
「分かった、分かった……えーと」
美子は無言で選択画面のページをめくった。
「……マジに百万種類ありそうだな」
「……こうなるともう逆に不便ね」
二人は額に冷や汗を浮かべた。