そうだ、これレースゲームだけど、どうやったらクリアってことにする?」
美子が尋ねた。
「んーどうせ難易度高いんでしょ? 一回でも一位取ったらクリアでいいんじゃないの?」
「ええ? ちょっと甘すぎないか?」
「甘いかどうかはやってみて判断しましょう」
「それもそうか……えー、次はコース選択か」
「初っぱなだし、このただの楕円形のコースでいいんじゃないの?」
「いや」
「それじゃあ、面白くない」
「うぉい! ウチのセリフ取るな!」
「……あのねぇ、わざわざ難易度高くしてどうするのよ」
「ちちち、ゲームをやる上で大切なのはただクリアすることじゃないのさ」
「……その心は?」
「どれだけ楽しんでクリアするかが大切なんだよ!」
「あっそう」
「……おかしいなぁ。いいこと言ったつもりなんだけど」
「バカ言ってないでさっさと決めてちょうだい」
「分かったよ。じゃあランダムで」
「いや、分かってねぇ! 変なのに決まったらどうするの……」
『毒沼トゲ山地獄コースに決まりました』
「あー、ほらぁ変なのになった」
「関係ねぇよ、地獄だろうが天国だろうが走り抜けてやる!」
「すごい自信ね。あんたレースゲーム得意なの?」
「いや、今日初めてやるけど」
「……今日は長くなりそうね」
「よし、レース開始だ。ぶっちぎるぜ」
「私達をのマシンを含んで4台でのレースね。頼んだわよ、美子」
「ああ、ビギナーズラックを期待していろよ」
「……本当に初レースゲーなのね。あ、カウント始まったわよ」
『2……1……スタート!』
「よし! 行くぜぇ……ってええ!」
スタート直後、美子のマシンの前を二台のマシンがぶっちぎっていった。
「いやいや、速すぎでしょ。 何? ロケットスタート?」
「……マシンの性能の差ってやつかしら? どうやらハズレを選んだっぽいわね」
「あれ? でも二台ってことは残り一台は?」
「画面下の小枠にノロノロ走っているのが映っているけど」
「……マシンの性能差ありすぎだろ。まあ、とにかく走るしかないな」
「不味いな、全然姿が見えない。これ追い付けるのか?」
「んーかなり厳しいわね……あれ?」
「どうした?」
「順位が二位になってるわ」
「え!……本当だ。いつ抜かしたんだ?」
「……抜かしたマシンはどうやら毒沼にはまったようね。画面下の小枠に無様な姿が映ってるわ」
「よっしゃあ! 地の利を得たな」
「いやまったく得てないから。あんたも毒沼にはまったら同じこと……」
『ボチャッ』
「あっ」
「おぅい! いってるそばから!」
美子のマシンが毒沼で犬かきをしている横を、先程抜かしたマシンが駆け抜けていった。