「まあ、トゲの出現地点は覚えた。ビビっても仕方ない、進むぜ」
美子がそう言うと、スタート地点に戻されたヒーローを再び前進させた。
「時間制限あるけど、気にせず慎重に行きましょう」
江奈が言った。
「ああ……と、ここだな。よし、ジャンプで回避!」
ヒーローは先程のトゲのトラップを跳躍でかわした。
「その調子その調子ぃ」
「へへへ。おっ、何か歩いて来たぞ」
ヒーローの前方から、目玉のついた黒い丸い物体が突進してきた。
「敵……か?」
「いや、どうみても敵でしょ。かわしてもいいけど、せっかくだし応戦しましょ」
「おう。ビームヒーローっていうぐらいだから、ビームで攻撃できるんだろう。攻撃はこのボタンだな」
美子はコントローラのボタンのひとつを押した。
すると、ヒーローはオノを取り出し、敵キャラを切り裂いた。
「ビームじゃねぇのかよ!」
「……タイトル詐欺もいいとこね。しかも、仮にもヒーローの武器がオノってどうなのよ?」
「きっと、実家が木こりか何かなんだろう」
「……またどうでもいい裏設定が増えたわね」
「まあ、敵は倒せたんだ。この調子でどんどん行こうぜ」
「ふー、何とか中盤まで来たぜ」
一息ついた美子が言った。
「……十回死んだけどね」
江奈が言った。
「それを言うなよ。初見殺しのトラップまみれだから仕方ないだろ」
「それにしても以外と単調ね。アイテムとかないのかしら」
「確かに、何かあってもいいよな……ん?」
「どうした?」
「いや、何かそこの背景の木の所から気配が」
「気配? あんた何言ってんの、大丈夫?」
「おい、ヤバイやつ扱いやめろ。何か気になるんだよな、攻撃してみるか」
ヒーローは背景の木の近くでオノを振った。
すると、その背景が切り裂かれ、中から木の実らしきものが出現した。
「ほら、隠しアイテムだ」
「……隠しもなにも初アイテムなのだけど」
「なんだこれ? りんごか?」
「イチゴじゃないの?」
「イチゴは木から採れないだろ」
「じゃあ、りんごでいいんじゃないの?」
「……本当にそうか?」
「いや、そこどうでもいいから! とっととそのアイテム取りなさいよ」
「分かったよ。ほい」
ヒーローは木の実を食べた。
そして、ヒーローは消滅した。
「いやいや、おかしいおかしい」
「……罠アイテムだったのね」
「わざわざ隠しといて、取っちゃダメなやつとかどんだけ性格悪いんだよ」
「何かもう、余計なことしない方がよさそうね」
「くそぅ、もう一回トライだ」
美子はコントローラを握り直した。