て、手抜きはしてませんよ?
皆さんはじめまして。赤城 美希です。実は今日は皆さんにお話ししたい事があるんですよ。なんと私の兄貴、赤城 良司が生まれて初めて好きな人が出来たそうなんです。
まぁ周りからしたら「知らんがな」って話なんでしょうけど、兄貴を昔から知ってる人からしたら軽い事件なんですよ。多分親に言っても信じない位には。
さて、問題は何故私がそんな事を知っているのか。それは昨日、私が兄貴の家に行った際、兄貴が好意を持っているらしい相手を知ったからなのよ。兄貴はどうやらその人を映画に誘ったらしく、返事が来る間ずっとスマホを気にしていたの。
そしてその人から連絡が来た時のリアクションで私は確信しました。
兄貴はこの人の事が好きなんだ、と。
そんな面白い事を知ったらもう放って置くわけにはいかないんだなぁこれが。と言うわけで、私はある事をすることにした。
それは勿論、尾行。
会うのが次の日だと言う事はわかっても、二人が会うのが何時なのかわからない為、私は朝から兄貴の家の前に張り込む事にした(我ながら何をやってるんだって話ではあるが)。
念の為、帽子に伊達眼鏡の簡単な変装を。張り込みのお供には当然あんぱんと牛乳を装備と言う完璧な張り込み態勢。
現在時刻は朝9時30分。いつ出てくるか分からないので目が離せない。
「と言っても流石に暇なんだよねぇ」
ドラマの真似事みたくこんな事をしてみたが、暇には勝てない。世の警察の粘り強さには脱帽だ。
私には兄貴の様な読書の趣味は無い為、暇潰しの本など手元には無い。スマホがあるのが唯一の救い。偉い人、スマホを作ってくれてありがとう。
それから30分程して動きがあった。兄貴が家から出てきたのだ。
「出てきた!」
姿を見失わない様に且つ気づかれない様に一定の距離を保ちながら私は跡をつけた。
「こっちって駅の方だよね?って事は駅で待ち合わせ?いや、映画館で現地集合って事もあるか」
行き先を予想しながらしばらく歩くと兄貴は何故か本屋へと入って行った。
「あれ、ここって確か千堂さんの店だよね?」
私も何度かこの店に来たので覚えている。
ならこの店で待ち合わせ?それとも単純に本を買いに家を出ただけ?中に入ればわかるかも知れないけど、それだとバレてしまう可能性が高い為、それは出来ない。
「出て来るまで待つか」
でも、それからしばらく経っても兄貴はなかなか出て来なかった。
「出て来ないしそれらしい人は誰も来ない。もしかしてもう相手は店の中に?」
そう考えたが、それにしても中にいる時間が長すぎる気がする。
「もしかして中で千堂さんと話し込んでる?」
兄貴の事だ。本絡みの話が長引いてるのかも知れない。
「多分待ち合わせの時間までここで過ごす気だ」
やれやれ。張り込んでる妹の立場も少しは考えてもらいたいね。
「張り込みは根気が大事ってね」
昔そんなセリフを刑事ドラマで言ってた気がする。何だったかはもう忘れたけど。
勝手に張り込んでる私が言うのもおかしいけどさ、流石に長過ぎない?
兄貴が店から出てきたのは店に入ってから二時間くらい経ってからだった。
「いやいや、確かに他のお客さん入って来なかったけどさ」
仮に千堂さんと話してたにしても長すぎでしょ。ずっと見てたけどその間誰も来ないってあの店大丈夫なのかな?それとも本屋ってどこもそんなものなの?
「おっと、兄貴を追いかけないと」
馬鹿な事を考えてるうちに危うく見失う所だった。
そのまま兄貴は駅まで行くと辺りを見渡して誰かを探していた。まぁ考えるまでもなく今回のデートの相手だよね。
「確か名前はリサさんだっけ?」
連絡が来た時に兄貴のスマホの画面を見た時にそうあった気がする。
でもまだ来ていなかったのか、いないと分かると兄貴は近くのベンチに座ってさっき買ったらしい本を読み始めた。
「こんな時まで本読むなんて兄貴相変わらずだなぁ」
さてもうすぐそんな兄貴が恋したらしいリサさん?のお顔を拝見させてもらおう。
そう待ち続けて十数分。兄貴の元に一人の女性が近寄ってきた。
(あの人がリサさん?)
兄貴の待ち合わせの相手は予想に反して見た目が派手な人だった。ギャルっぽいって言った方が正しいかな?てっきり大人しそうな人だと思ってたから意外だった。
でもその人が話しかけても兄貴は本に夢中で全然気づいてない。もしかして人違い?
そう思ってしばらく見ていると兄貴もやっと彼女に気づいてその人の顔を見た。反応からして本当にあの人が兄貴のデートの相手ってわけだ。
見た目で言えば共通点も無さそうな二人なのに、何処で知り合ったんだろう?
「っと、二人を追わないと」
考えている間に二人が駅の方へと移動したので急いで後を追う。
数十分後、特に何も起きもせず、二人は映画館へと辿り着いた。
勿論少し離れて私もそれを見ている。
「二人共何話してるのか全然聞こえないじゃん」
距離がある上に人が多いから仕方ないか。
そしてしばらくして二人はシアター内へと入って行きました。チケットも無ければ映画を見る気も無いから一先ずここまで。
「映画終わるまで他で時間潰してよ」
暇だから近くの喫茶店でも行こっと。
数時間後、映画館へ戻って張り込んでいるとすぐに二人が出てきた。
「お、出てきた。結構楽しそうに話してんじゃん」
相変わらず何を話してるかは聞こえないけど何となく楽しそうなのはわかった。
「さてさてこの後二人は何処へ行くのか。流石にここで解散はしないと思うけど」
予想通り、二人はそのまま外へ出ると近くの喫茶店へと入って行った。当然私も入る。
「・・・またここかぁ」
どうでも良いけど実はここ、さっきも入った店なんだよね。どうでも良いけど。
しばらくして喫茶店を出ると、次に二人はゲームセンターへ行った。
人が多いから気をつけないと見失いそうだ。
見てると一つの台を二人で見ていた。ぬいぐるみを取るみたい。
「でも兄貴ってクレーンゲーム得意だっけ?」
私の知る限り兄貴にそんな特技は無い。
案の定、あっという間にお金が飲み込まれた。
(あーあれじゃダメだよ。チマチマ100円入れてないで500円入れないと1クレ損するだけじゃん。500円で6回できるのに)
思わずあれこれ言いたくなるのはクレーンゲーム経験者なら仕方ないよね。
しばらくしてようやく取れたようだ。
(兄貴めっちゃ喜んでるよ。しかも周りにギャラリーできてるし)
あんなに喜んでる兄貴初めて見た。
(あ、兄貴すぐぬいぐるみ渡した。何言ってるか聞こえないけど)
大方それなりに格好をつけて渡しているんだろう。
その後二人は駅の方へと歩いていった。
(もう良いや。ここで終わりにしよう)
リサさん?に手を引かれながら歩いて行く兄貴の姿を見ながら私は一つ確かに思った事があった。
(・・・彼氏欲しい)
て言うか今日の私虚し過ぎない?でもそれよりやっぱり兄貴に対してこう思う私はブラコンなのかな?
「取り敢えず兄貴、おめでとう」
誰に言うわけでもなくそう呟いて私も帰る事にした。
「その前にラーメンでも食べて行こうかな」
そうして彼女は人混みの中へと姿を消した。
この後偶然にもラーメン屋で二人を見つけたのはまた別の話。
たまには他のキャラの視点でもと思って今回は妹ちゃんを登場させました。そのうち千堂さんとか他のキャラが増えたらそのキャラ達視点でもやろうかな。
(困った時はこのやり方でやれば何話か話数稼げるな)
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大橋 一麻様
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ではまた次回。