言い訳するとね、仕事が忙しかったり小説読んだりパチンコ行ったりで忙しかったのよ(ただのクズやないかい)。
そんな事は置いといて、本編をどうぞ。
良司達が店を後にしてから数十分後、店の中ではリサが死にかけていた。
「リサちゃん、生きてるか?って言うかまだ仕事中だぞ」
「生きてますよ。って言うか他にお客さんいないじゃないですか」
「いつものこった」
我ながら虚しい事を言っているなと思いながらも千堂が答えた。
「だって落ち込みもしますよ。どう考えたって良くん嫌な思いしたじゃないですか・・・」
「まぁ、向こうも事情を隠してたから仕方ないだろ」
「そう言う事じゃないんですよー」
あからさまに態度を悪くして接してしまったのだ。どんな事情があったとしてもいい思いをする筈が無い。
(まぁ良ちゃんの事だ。仮に不機嫌だったとしてもいつものリサちゃんの顔見ただけで機嫌は直るだろうけどな)
所詮男なんてそんな単純な生き物だ。
「正直に謝りゃ許してくれるよ。あいつはそう言う男さ」
(好きな女の子が謝ってきたら二つ返事で許すだろうさ)
流石にそうとは言えない千堂。
「・・・だったら良いんですけど」
しかしそうとは知らないリサは千堂の言葉を手放しに喜べる筈もなかった。お陰で新作のアイデアも纏まりゃしない。
(あ〜、もうダメだ〜)
暫くの間、死んだ様な顔でそんな考えを繰り返すリサであった。
それから暫くして、再び良司が店に入ってきた。
「お、良ちゃん。さっきぶりだな」
「ええ。また来ましたよ。今度は一人で」
「愛する彼女は良いのか?」
「その説明はさっき送ったでしょ」
「説明?何の話かわからねぇな?」
「LINEに既読付いてんですから嘘ついても無駄ですよ」
そんな雑談を千堂と交わしながら良司は横目でリサを見た。
(あー何か気まずい。普段みたいに喋れる気がしない)
何も悪い事などしていないのにこんな気分になるくらいなら初めから引き受けなければ良かったと思ってしまう良司だった。
だが今更そんな事を思っても後の祭り。とにかく今はこの現状を改善せねばならない。となればリサとの会話は必要不可欠なのだ。
「り、リサもさっきぶり」
「っう、うん。・・・さっきぶり」
「・・・」
「・・・」
秒で会話は終了した。
(み、見てらんねぇ)
流石に呆れかえる千堂だった。
「ほらお二人さん、さっきの事は互いに無かった事にして忘れちまえ。で、良ちゃんは何しに来たんだ?」
「何しにって、ここ本屋でしょう?本買いに来たんですよ」
「そうかい。ならさっさと選んできな」
「はいはい」
千堂に促されながら良司は棚の本を物色しに行った。
「全く。見てる方が困っちまう」
「お手数おかけします」
カウンターで座っているリサが言う。
「どうにかならねぇか?」
「どうにかしたいとは思ってるんですけどどうにもさっきのが気まずくて」
「まぁわからんでもないが」
「お陰で新作の考えも纏まらないですよ」
「一大事じゃねぇか」
小説が書けない小説家など話にならない。
そんな話をしていると本を片手に良司が戻ってきた。
「リサ、これお願い」
「はい。お預かりします。・・・こちら四点で2,570円になります」
「なら丁度で。袋は要らないから」
「かしこまりました」
言葉自体は堅苦しいが、先程よりもリサの言葉が柔らかくなっているのを良司は感じた。
(少しはまともに話せる様になったか?)
二人の様子からそう考える千堂。
「あ、あのさ良くん」
「ん?」
「その、さっきはごめんね。私態度悪かったよね?」
「別に良いよ。気にしてないから。ちょっと気まずかったけどな」
少しばかり意地悪をしたくなった良司。
「ご、ごめん」
「良いって。もう気にしないでよ」
申し訳なさそうに言うリサに良司がそう返した。
「・・・でも」
「んー、じゃあいつか飯でも奢ってよ。それで良いからさ」
この手の場合、こちらが何度良いと言っても当人は決して満足しないだろう。であればこちらから妥協案を提示した方が話が纏まるのだ。
「・・・良くんがそれで良いなら」
(さり気無くデートに誘いやがって)
良司の言葉にニヤつく千堂。
「じゃあ俺は帰るから。またな、リサ。千堂さんもまた来ますね」
「おう、気をつけてな」
「またね」
そう言って良司は店を後にした。
「あ〜緊張したぁ」
「何を緊張するんだよ。はじめましてってわけでもねぇのに」
「さっき言ったじゃないですか。結構気まずいんですよ」
全くもって面倒な事だ。
「でも良ちゃんも許してくれたみたいだし良かったじゃねぇか」
「それは確かに良かったです」
他に誰もいない店内で、今ならタイミングが良いかと思い、千堂はある事を聞く。
「リサちゃん、前から一つ聞きたかったんだが、良いか?」
「何でしょうか?」
「お前さん、良ちゃんの事好きなのか?」
前から聞こうと思っていた質問を千堂は口にした。
「・・・それは」
焦りながら言葉を濁すリサ。その時点で答えは半ば決まっているようなものである。
「それは、嫌いじゃないですよ。でなきゃ一緒に遊びに行ったりしませんし」
「そりゃそうだ」
そのくらいは誰でもわかる事だ。
「確かに良くんの事は嫌いじゃないです。もっとハッキリ言えば好きなんだと思います。でもこれが『恋愛感情として』好きかなのかがわからないんです。感情を理屈で理解しようって時点で違うのかもしれませんが」
天井を見ながらリサが答えた。
今までの人生で舞崎 リサと言う人物は恋人関係にあった相手などおらず、更に言えば誰かを好きになった経験も無かった。こんな感情を理屈で理解しようとするのがそもそも間違っているのかも知れないが、リサの中でこの感情が恋愛から来るものなのか、それがわからなかった。
「恋愛感情じゃなかったら他は何だ?人として、か?」
千堂が聞く。
「それもあるとは思います。でももう一つ。彼が『自分の作品を好きでいてくれているファンだから』。そう考えた事があるんです」
「?」
いまいち理解が出来ない千堂だった。
「彼は私が小説家だなんて知らないで接してくれています。だから読んだ作品の感想でお世辞が入るはずがありません。そして自分が書いた作品が褒められたら嬉しいのは誰だって同じです」
小説に限らず、自分のした事で誰かに褒められたり感謝されれば嬉しく思うのは確かに必然だ。
「だから私のこの感情は『自分の作品を褒めてくれる優しい人だから芽生えたものなんじゃないのか』なんて考えまで浮かんだんです」
どんな事でも褒められたら嬉しいし、褒めてくれた相手の事に対して悪い感情は基本的にはわかない。
「汚く言えば、『自分の事を褒めてくれる都合の良い人だから自分の為にもっと一緒にいたい』って思ってるんじゃないかって。そう考えたら自分が恥ずかしくて。とても恋愛感情かどうかだなんて考えられませんよ」
それを聞いて千堂は大きく溜息をついた。
(・・・一度も恋愛をせずに大人になるとこんな拗らせ方になるのかよ)
少しばかりリサと良司と言う恋愛下手の二人に呆れる千堂だった。
「リサちゃん、良いか?お前さんはさっき言ったな。恋愛って感情を理屈で理解しようとするのが間違いかもって。その通りだ。大間違いだ。さっき君が言った理屈を全部捨てて考えて答えてみろ。まず良ちゃんの事は嫌いじゃない。そうだな?」
「は、はい」
「なら良ちゃんと二人で話している時、一度でも全く楽しくないと思った事はあったか?」
「・・・無いと思います」
「そして今日、良ちゃんに彼女と思しき相手がいると知ってリサちゃんはそれに対して何かしら思う事があった。そうだな?」
「何でそれだけ確定で話を進めるんですか。・・・そうですけど」
「んなもん、見てたら誰だってわかるよ。そして、その相手が良ちゃんの彼女じゃないと知って少なからず安心した。違うか?」
「・・・はい。その通りです」
「世間一般じゃあ、それはもう恋愛的な意味で好きって事なんじゃねぇのか?」
彼と一緒にいて、好きな小説の話題で盛り上がった時はそれだけで一日中楽しく思えた。二人で遊びに行った時だってそうだ。彼から貰ったくまのぬいぐるみは今でも部屋に飾ってあるし、クリスマスの日に閉店間際に彼がやってきてプレゼントをくれた時には心が躍った(サンタコスを撮られたのは恥ずかしかったが)。
そう思ったら、答えはあっさりと決まった。
(そっか。・・・ふふっ)
難しく考えて誤魔化していただけだった事実にリサは思わず内心で笑っていた。恋愛事に言い訳しているのは自分も同じだった。柏木の事を笑えやしない。
「店長、私やっぱり、良くんの事、好きみたいです。勿論、恋愛感情として」
笑いながら彼女はそう告げた。
「そうかい」
千堂も笑顔でそう返した。
「あ、でもこの事、絶対良くんには言わないでくださいよ」
「言わねぇよ。そう言う大事な事は本人が言わなきゃ意味が無いからな」
まぁ言わなくても向こうもお前さんの事が好きだけど、とは言えない千堂だった。
「いつか自分から告白するのか?」
ふと気になり、千堂はそう聞いた。
「その前に、良くんには言わなきゃいけない事がありますけどね」
「言わなきゃいけない事?」
「『衣崎 真理紗は自分である』って。私が良くんに告白するのは私が小説家だと話してからです」
「何で態々それを言うんだ?別に恋人になるには言わなくても良いと思うが」
「好きな人には隠し事をしたくないので」
やっぱり律儀な子だ。リサの言葉を聞いて千堂はそう思わずにはいられなかった。
(リサちゃんが小説家だと知った時、良ちゃんがどんな顔するのか楽しみだ)
そう考え、千堂は笑った。
「あ、店長今絶対悪い事思ってましたね」
「いや、そんな事ねぇよ。何でそう思うんだ?」
「だって店長の今の顔、悪人が悪い事考えてる顔でしたよ」
「放っとけ!」
「ふふっ」
(良かったな良ちゃん。お前さんの恋、思ったより悪い事にはならなさそうだぞ)
楽しそうに笑うリサを見ながら、この場にいない良司に対し千堂は密かにそう思った。
「ならもし仮に、良ちゃんから告白されたらどうするんだ?付き合うのか?」
「え?やだなぁ店長。そんな事あるわけないじゃないですか」
(それがそうとも言えねぇんだよなぁ)
そんな事は決して口には出来ないが。
「・・・でもそうですね。もし本当にそうなったら、多分私は凄く嬉しいです。それでも少しだけワガママを言うと思います」
「ワガママ?」
「はい。もしその時私が小説家だって言えそうになかったら、返事は待ってもらうと思います。相手には悪いとは思いますけど」
相手を試す形で失礼とわかってはいるが、自分が小説家だと告げてそれでも何も関係が変わらなければ、その時は自分から想いを告げる。これはリサなりに譲れない部分だった(先に告白されているのだから返事をする形にはなるが)。
「面倒くさいとは自分でも思いますけどね」
「良いんじゃねぇか?誰にだって周りから大した事じゃなくても通したい筋の一つや二つは有るもんさ」
「はい。これだけは譲れません」
「良い顔して言いやがる。結婚式には呼んでくれよ」
「気が早いですよ店長」
「お、結婚まで視野に入れてるんだな。相当惚れられてるな、良ちゃん」
「っ!店長!」
顔を赤くしながら声を荒げるリサ。
「ははは!怒ると可愛い顔が台無しだぜ?」
そう答え、千堂は笑いながら閉店作業をするのであった。
明日(10/1)から恐ろしい事にタバコの値上がりが始まってしまうそうで、自分を含め、喫煙者からしてみたら地獄の始まりですね。みんなは決してタバコとギャンブルには手を出さないでね。
さて、なんだかんだで二人の想いが確定したわけですが、次回は他のキャラにスポットを当てた話にしようかと思います(二人が出ないわけじゃないよ)。
二人以外で好きなキャラがいたらコメントいただけたら嬉しいです。
お気に入り登録して下さった
NIS様
ありがとうございました。
ご意見ご感想、誤字脱字等有ればコメントお願いします。
ではまた次回。