読書家男と本屋の彼女   作:シフォンケーキ

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どうもお久しぶりです。
他ごとをあれやこれやとやってたら全然話書いてませんでしたね(早よ書け馬鹿野郎)。
前回の話を覚えてない方は過去の話を読んでもらえたら幸いです。読まなくても問題は無いと思いますけどね。
長々と話すのも何なので本編をどうぞ。


22話

 良司がやっとの思いで仕事を終わらせて会社を出た時には既に20時を過ぎていた。

「ヤベェ、千堂さん待ってるよ。店閉まるまでに着けるか?」

 残り30分。大分ギリギリな時間だ。だが普段のペースを考えれば間に合う。兎に角急いで向かうしかない。

 

 

 一方その頃、良司の到着を待っていた千堂とリサは未だに彼が姿を表さない事に少しばかり焦りを感じていた。

「・・・来ねえな」

「・・・来ませんね」

 客もいない店内で二人が呟く。

「いつだったか閉店時間ギリギリで来た時を思い出すな」

「何度かありましたね」

「時間過ぎても来なかったらどうするよ?リサちゃん帰るか?」

「いえ、良くんが来るまで待ってます。でないといつになっても言えなくなりそうなので」

「お前さんも頑固だねぇ」

 そんな事を言ってはいるが、千堂はそれ以上揶揄うつもりも無かった。

 本人が悩んだ挙句に出した答えだ。誰がそれを笑えるだろうか?

「秘密を打ち明けたら良ちゃん、どんな反応するだろうな」

「どうでしょうね。でもなんだかんだで普段と変わらずに接してくれるとは思ってます」

 それは自身の願望を抜きにしてリサが思った事だ。

「と言うか、そもそもこの事を私が大袈裟に考えすぎなのもわかってるんですけどね」

「でも、リサちゃんにとっては大事な事なんだろ?」

「はい。やっぱり、好きな人には隠し事したくないんです」

「まあ彼が来るまでゆっくり考えときな。俺はちょっとタバコ吸ってくるから」

 そう言って千堂は店から出て行った。

「良くん、早く来ないかなぁ」

 待ち人は今どこだろうか?

 

 

 リサの待ち人こと良司は電車に揺られていた。

(こりゃマジで閉店時間ギリギリだな。取り敢えず今度モバイルバッテリー買っとこう)

 そんな反省をしつつ、呼び出された理由を考え始めた。

(一番可能性が高いのならまた仕事の手伝いを頼むとかだよな。でも今はリサもいるし、今までこんな話の切り出し方は無かった)

 仮に手伝いを頼まれてもストレートに言ってくるのが普段の千堂だ。

(まさか遂に店の売り上げが傾いて店閉めるとか?)

 いや、なんだかんだ言っても毎日お客さんが来ているのだからそれは無いだろう。

 となれば他の可能性はなんだろうか?

(まさか千堂さんに恋人だか好きな人でも出来たか?)

 だとしたら今度はこちらが揶揄ってやろう(勿論話は真面目に聞くが)。

(リサに関しての相談事とかだったりしてな。まさかそんな訳無いか)

 そのまさかである。

(何にしろさっさと行って話聞けば済むな)

 そんな事を考えていると同時に電車が目的の駅に辿り着いた。電車を降りて改札を抜けると良司は真っ直ぐに千堂の店へと向かうのだった。

 

 

 時刻は20時50分。間もなく閉店時間だ。

(結局良くん来なかったなぁ。仕事忙しいのかな・・・)

 リサも一度はそう思った。だが彼の性格を考えれば、遅くなるにしても連絡の一つくらいは入れそうなものだが。

(でも仕方ないよね。今打ち明けたいって言うのは私の我儘で、良くんには良くんの時間が有るんだから)

 自分に言い聞かせる様に言ってはいるが色んな感情が押し寄せてきていた。

 とその瞬間、店の扉が開いた。反射的にリサがそちらに目を向ける。

「良くん!?」

「・・・悪い、俺だ」

 入ってきたのは千堂だった。タバコを吸い終えて戻ってきたらしい。

 無意識に良司の事で頭の中が埋め尽くされていた。

「気持ちはわかるが、接客はちゃんとやってくれよ」

「はーい」

 確かに今のが千堂だったから良かったが、他のお客さんであれば面倒な事になりかねない。とリサが思っていると同時に再び扉が開く音がした。

「いらっしゃいませ」

 そちらに視線を向けると待ち望んでいた人物がいた。

「良くん!?」

「おう。リサ、お疲れ様。千堂さんいる?」

「いるよ」

 どうにかリサは平然を装いつつ良司の対応をする。

「お、良ちゃんいらっしゃい。遅かったな」

「どうも。急な残業を片付けてましてね。それでいきなりなんですけど俺に用って何なんですか?また仕事のヘルプですか?」

「いや、実は話があるのは俺じゃなくてリサちゃんなんだよ」

「リサが?」

「ああ。俺は店閉めて裏で待ってるから話終わったら呼んでくれ」

 そう言って千堂は店を閉めるとそのまま店の奥に行ってしまった。

「それで?リサからの話って何?」

「えっと、ね。実は良くんに言わなきゃいけない事っていうか、言いたい事があるんだ」

「言いたい事?」

 リサがわざわざ言いたい事とは何だろうか?良司は考えたがそれらしい答えが見つからなかった。

「うん。・・・実は、実は私が」

 意を決してリサは言葉を紡いだ。

 

「実は私が小説家の『衣崎 真理紗』なの」

 

 リサがその事実を口にした後、数秒程静寂に包まれた。

 果たしてこの事実を聞いて良司がどんな反応をするのか、リサは怖くて仕方がなかった。そしてすぐに良司が応える。

「・・・えっと。知ってたよ?」

「え?」

 再度数秒程静寂に包まれる。今彼は確かに知っていると言った。何を?当然自分が小説家だという事をだ。何故?千堂が教えていたのだろうか?いや、この事を千堂がバラしていたとは考えにくい。そしていつから知っていたのだろうか?そうなれば自分が今まで隠していたのは何だったのか。

 色々な考えが頭の中で巡るが、当然リサが答えに辿り着く事はない。

「と言っても知ったのは最近なんだけどね」

「・・・えっと、いつ、どうやって知ったの?」

「少し前にサイン会の話聞いてさ、そういえばどんな人なのかよく知らないなと思ってネットで検索したんだよ。そしたら名前と一緒にリサの顔が写ってたからさ」

 言われてリサは思い出した。確かに新人賞を取った時に一度インタビューと同時に撮影があった筈だ。恐らくその時のものだろう。

「えっと、じゃあ何でその時に聞かなかったの?」

 当然と言えば当然の疑問だ。

「リサも千堂さんも何も言わなかったからてっきり知られたくないんだろうと思ってたよ。だったらそれに首を突っ込むのは野暮ってもんだろ?」

「あー、・・・あはは。そっかぁ」

 良司の言葉を聞いてリサは全身の力が抜けるのを感じた。でももう一つ、リサは聞きたかった事がある。

「それじゃあ、さ。私が小説を書いてるって知って、私が小説家だって知ってどう思った?」

「どうって言われてもなぁ。不思議と驚きはしなかったんだよなぁ。と言うか何か納得した」

「納得?」

「いや偶にさ、衣崎先生の話すると何かリサの反応が変っていうか居心地悪そうに感じたからさ」

「あー」

 なるべく顔に出ないようにしていたつもりだったがどうやら思いっきり顔に出ていたらしい。

「でもリサが衣崎先生本人だって言うなら納得だ。そりゃ自分の話を目の前でされたら反応に困るだろうさ」

 見事に心理を読み解かれたリサはもう色々と恥ずかしさが湧き上がった。

「でも何でその事を俺に言おうと思ったの?」

「良くんといるとさ、やっぱり楽しいんだ。好きな小説の話して、何でも無い事で笑い合って。そんな事が嬉しいの。だから隠し事もしたくないって思ったんだよね。今回のサイン会で多分良くんは知ったら来ると思ったし、そこで隠し事がバレるっていうのが嫌だったの」

「別に隠したい事の一つや二つ誰でもあるだろ?」

「確かにそうだと思う。でも私は嫌だったんだよ。良くんには隠したくなくて、いつか自分から言いたかった。だからこれは私のワガママみたいなもの。まあ実際はバレるのが怖くて自分からサイン会の事も言えなかったけどね」

 どこかバツが悪そうにリサが笑って言った。

「・・・そっか。まぁなんて言うか、言ってくれてありがとう」

 何処か照れ臭そうに良司が言った。

「でも俺はリサが衣崎先生だったとしてもこれからの付き合いを変える気もないし今まで通り関わっていきたいけどな」

「へへっ。ありがとう」

 リサも笑って返す。

「それじゃあ、当日を楽しみにしてるよ。衣崎先生」

「その名前で呼ばないで!」

 堪らず叫ぶリサを見て笑う良司。

(やっぱり、良くんとこうやって話せるのが一番楽しいな)

 そんな事を再確認する。そして真実を知っても尚、変わらずに関わってくれる事に感謝をした。やはりリサとしても畏まられるより、気楽に話せる方が良いに決まっている。

 何とも呆気なく解決したが、リサにとってはこれは大きな出来事だ。

「人に知られたくないなら俺も周りには言わない事にするよ」

「ふふ。お願いね」

「でもやっぱりあれか?知り合いとかに自分が小説家だって知られるのって結構恥ずかしさってあるのか?」

「んー。小説家だって事に対してなら何とも無いよ?けど作品を読んだ人が相手なら話は別かな。私が書いたって知ってると『こんな考え方してるんだ』とか背景だとか私自身の事を想像されるとちょっと気恥ずかしさ?みたいなのがあるよ」

「あー、何か言いたい事はわかる気がする」

「あはは。だから知ってるのは店長と家族くらいかな?」

「他の友達とかにも言ってないの?」

「あー、うん。友達かぁ。言ってないなー。あはは・・・」

(もしかして何か地雷踏んだか?)

 リサの反応から何となく察する良司だった。

「ま、何にしてもこれからもよろしくな。リサ」

「うん。よろしくね。良くん」

「おう。次に会うのはサイン会の日か?さっきも言ったけど、楽しみにしてる」

「楽しみにしてて☆」

 とびきりの笑顔で答えるリサを見て良司の鼓動が高鳴ったのは言うまでもないだろう。

「じゃあ俺は帰るよ。おやすみ」

「うん。おやすみ!」

 言葉を交わし、良司は店から出て行った。

「もう終わったかい?」

 タイミングを見て千堂が出てきた。

「はい。一先ずは言いたい事は言えましたよ」

「なら良かったな」

 これでリサの中に潜むモヤモヤは解消された(良司が既に知っていた事には驚いたが)。

 途中色々あったが、これで心置きなくサイン会に臨めると言うものだ。あとは当日を楽しみながら乗り切るだけだった。

(不安もあるけど、サイン会頑張るぞ!)

 誰に言うでもなく張り切るリサだった。




最近話が進むごとに投稿頻度が伸びてるのが目に見えて悪化してる気がしてならないですね。
年内にもう一話くらい載せれたらなとは思ってます。
それともしよければもう片方の東方の二次創作も読んでいただければと思ってます。
では次も良ければぜひ見てやってください。

誤字脱字、ご意見ご感想等有ればコメントお願いします。
ではまた次回。
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