医者の告げる無慈悲な言葉に、修斗は……
※オリジナル設定多量摂取注意
「私を1人にしないで」
僕がこの約束を忘れることは一生ないし、破ることも無い。そう思っていた。
両親が事故で死亡してからは何があっても僕達は兄妹で仲良くやってきた。必死に。楽しく。
でも、その生活でさえ、長くは続かなかった。
「残念ですが、妹さんが目を覚ますことはもう無いでしょう。命も、もって2年かと……」
最初は、意味がわからなかった。
夜中に突然苦しみ出した優菜を連れて病院に急ぐと、すぐに優菜は運ばれ、診察が終わり、突然告げられた。
寂しそうに告げる医者の言葉が頭の中でぐるぐると回る。何度でも繰り返される。
昨日までは元気だった妹が、もう目を覚まさない。
世界的に珍しい病気。直せる確率はゼロに等しい。目を覚ます確率ですらゼロに近い。
優菜が、死んでしまう。
いてもたってもいられなかった。気づいたら走り出していた。雨が降ってることも気にできない。
辛い、苦しい。嫌だ、助けて。
父さんも母さんもいない僕にとっては、唯一の家族だった。
それさえも、失ってしまう。
もし神がいるなら、それさえ呪い殺せてしまうような感情が心を渦巻く。
どのくらい走ったのだろうか。ふと足を止めるとそこは崖だった。
僕も知ってる崖だ。通称、【天国の入口】と呼ばれてる。誰が言ったのかはわからないが、なんでも自殺する人がここで死ぬと天国に行けるらしい。
…これも、運命なのかもしれない。
そう思い、1歩踏み出そうとすると、何かにぶつかった。
「キャッ!」
「うおっ…」
どてんと音がなり、声のした方を見ると、そこにいたのは1人の女の子だった。
その瞬間体中に衝撃が走るような感覚を得る。一瞬眠っている優菜と面影が重なる。
「…どちら様で?」
そう言いこっちを見つめる少女の目は、綺麗で、黒く濁った目をしていた。
まるで、ガラス玉のように、美しい。けれど、いつも見ていた懐かしい目。
「君は…テレビで見たことがある」
「…まあそうでしょうね。私の名前はー」
俺の心は、暗く深い沼に落ちていくような感覚だった。正直に言えば、死んでもいいと思ってしまうくらいに。
しかし、目の前で
それは、この子が優菜と似た目をしているからだろう。
「白鷺千聖。女優ですもの」
そして、今の僕と同じ。何かを諦めてしまっているような目をしている。
この出会いは偶然か必然か。この出会いは悲劇の幕引きか喜劇の幕開けか。
僕達は何も知らない。何もわからない。
これは、僕達が諦めた何かを必死に追い求める物語。
『僕が出会った少女はガラスのような人でした』
シリーズスタート。
読んで頂きありがとうございます。新シリーズスタートです。まだ読んでいない方は是非とも彩が主人公の「煌めいた彩りは新しい春を運ぶ」も読んでください。
今回のシリーズはそこまで長くなるお話ではないですが、シリアス中心に書いていこうと思っています。不定期投稿ですが、なるべく早く投稿出来るよう努力しますので、読んでいただけると嬉しいです。
それでは、次の投稿でお会いしましょう。