僕が出会った少女はガラスのような人でした   作:♡チェケ♡

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自殺の名所として有名な崖で出会った優斗と千聖。互いに何か通じあったようで場所を移した2人は一体どんな言葉を紡ぐのか


これは、僕達が諦めた何かを必死に追い求める物語。


※オリジナル設定


僕達は似ているようで似ていない

ーファミレスー

 

「…その格好は逆に目立つんじゃないの?サングラスにマスクなんて今時じゃ不審者だよ」

「仕方ないでしょ。顔バレしちゃうんだもの」

 

そう言いながら彼女。白鷺千聖はカルボナーラをせっせと口に運び始める。

……どうしてこうなった?時は1時間前に遡る。

 

 

 

「白鷺千聖。女優ですもの」

その名はテレビをあまり見ない僕も知っている。確か優菜の好きな女優

だったはずだ。僕の記憶では子役の時しか残ってないけど、変わらず整った顔立ちをしている。

 

でもなんだか、寂しそうな顔だ。

 

「…どうしてあなたはここにいるんですか?……こんなところに」

どうやらここがどんな所かは知っているみたいだ。

「僕みたいな一般人が来ることはそんな不思議じゃないと思うよ。むしろ僕は君みたいな有名人が来てることにびっくりかな」

 

とりあえずこの場を誤魔化そうと思ったが、流石にこんな人がここにいるのは気になる。でもこんなこと聞かれたくないか。

「さっきのは

「あなたも私も変わらないわ」

「え?」

遮られたと思ったら、突然の変わらないわ発言。僕みたいな一般人と有名女優の彼女と何が変わらないんだ?

増える疑問に頭を悩まされていると、彼女はその黒く濁った目を見開き、言った。

 

「あなた、私と同じ目をしているもの」

「!!」

 

初めて白鷺千聖を見た時、どこかで見たことがある目をしている。そう思った。

今考えると、すぐにわかる。普段から見ていた優菜の目だ。

それと同じ目をしている?僕が?

 

「…少し私と話をしません?こんな所で出会ったんですもの。何かの縁と思って」

僕は反射的に頷いていた。もう少し、詳しく聞きたい。そう思ったからである。

 

 

 

……こうして、今に至るわけだ。

長すぎる回想を終え、ふと前を見ると既にピザにかぶりついている白鷺千聖の姿があった。女優がピザにかぶりついている様はなかなかレアなのではないか。

 

「ってそれ僕のピザじゃん!なんで勝手に食べてんの?」

「お、美味しそうだったから…つい…」

そう言いながら食べることをやめない。

 

「…ヤケ食いかな?」

思ったのと同時に声に出してしまった。

すると彼女はこくりと頷いた。

「そうよ。ヤケ食いよ」

 

こんなに清々しい断言があるだろうか。いや、ない。

 

「…でもどうして?」

「それは私がヤケ食いをしてることについて?それとも崖にいたことについて?」

「どっちも、かな」

 

すると白鷺千聖は深呼吸をして話し始めた。

「私は昔から、女優になる事が使命のような家に生まれたの。

幼い頃からずっとお稽古。毎日毎日の努力で子役として活躍してきた。

同世代で仲のいい友達もいたし先輩も優しい人ばかりで芸能界は私にとって楽しい場所だったわ。

 

でもそれは、唐突に終わりを告げたわ。

同級生からの嫉妬。その子の周囲の大人からの嫌がらせ、自分にのしかかる親からのプレッシャーと色んな物が一気に降ってきた。

そして今日。私は新しいドラマの主演を決めるオーディションがあったの。正直、出来は最高だったと思う。他の人のも見たけど正直私の一人勝ちだろう、そう思ってた。そのくらいまで練習したんだもの。それが当然だと思った。

 

でも、主演は違う子が選ばれた。そもそもオーディションのその日で誰が受かるかが決まるなんておかしいと思って、マネージャーの後を少しつけてたら、驚きの会話が聞こえてきたわ。

主演に選ばれた子が、賄賂をしていたって話。私のマネージャーはもう表せないってくらいに怒ってた。一緒に練習してくれたんだもの。

 

でも、どうにもならなかった。大人の黒い部分には、私の力じゃどうにもならなかったの。

 

……とまあ、こんなことがあってなんとなく崖に行ってみたら似たような感じのあなたがいて、ついでにヤケ食いに誘ってみたってわけよ」

 

…壮絶なもんだな。芸能界ってのも。

そんな陳腐な感想しかでないくらい、僕には計り知れない世界だ。

 

「…良かったら、あなたの話も聞かせて欲しいわ」

…確かに、向こうが話をしてくれたのにこっちが話さないのも不公平か。でも、まだ……

 

「…ごめん。まだ心の整理がついてないんだ。また今度、なにかの縁で会った時にでも話すよ」

「……そう。わかったわ。いつか、また会いましょう。同じ目をした人」

あ、そういえば名前も教えてなかったか。名前だけなら…ありか。

「柊優斗。僕の名前。一応、教えておく」

彼女は目を丸くしてこっちを見ていた。

 

「…一応、覚えておくとするわ。柊優斗さん」

じゃ、またと手を振りながら彼女は店を出ていった。…大量の空き皿だけを残して。

 

 

必ず、このレシートを持って再開するとしよう。そう心から誓った。

 

 

 

彼女と再開の時は、そう遠くない。心のどこかでそう思ったからである




なんとか心の整理をつけようとする優斗。彼はまだ全てを諦めてはいないのかもしれない。


シリアスなんてなかったんや。うん。
読んで頂きありがとうございます。2話目なのですが、前に書いてあったかもしれませんがこのシリーズは結構トントン拍子に進んでサクッと終わってしまうくらいの長さなので、伏線とかはあまりでてこないです。
ですが、是非とも読んでいただけると嬉しいです。
それでは次の投稿でお会いしましょう。
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