仮面ライダーディケイド 現実と幻想の狭間   作:神咲胡桃

1 / 74
プロローグ

起こるはずがなかった。

 

 

それはもう終わったはずだった。

 

 

しかし

 

 

目を開ける。

「ここは・・・」

光夏海は何もない荒野に立っていた。いや、何もないと言っては語弊があるだろう。あたり一面には焦げ跡があり、さながら戦争が起きたようだった。しかし、この場所はどこかで見た気がする。

 

どーーーーーん!!!!

 

そんな風に考えていると、それを邪魔するように突如爆発がおきた。

「きゃっ」

爆風とそれに伴う轟音が夏海をたたく。突然のことに夏海はしゃがみこみ、身をすくませた。

「今のは一体・・・?もしかして、またあの夢?」

怯えを滲ませた声で、言う。そうでもしなければ心がおしつぶされそうだった。そんな夏海をさらに追い詰めるように、空から大きなビームが、夏海の視線の先に大量に落ちてくる。それに夏海は、どこかなつかしさをおぼえていた。

「っ・・まさか、ここって」

そう、夏海には見覚えがある場所。それは、前に見ていたある夢と同じ場所だった。しかし、とある戦いを終えてからはその夢自体をみることはなかった。もし、これが夢だとしたら、なんでまたこの場所にいるのだろう。

「まさか、また同じことが」

夏海は最悪の展開を予想したが、それはすぐに覆されることとなる。夏海の頭上を影が通り過ぎる。頭上を見上げると、そこにいたのは夏海の予想と違っていた。

「えっ。人?」

そう、人間だ。生身の人間が大量に空を飛んでいるのだ。しかも、服装に統一感がなく一つの勢力だけではないのは明らかで、それがより夏海の混乱を加速させていた。その上、巨大な戦艦までが飛んでいる。まさしくあの時のような光景だった。

しかし、仮面ライダーではないことに夏海は安堵していた。これならば、またあのようにはならないかもしれない。だが、現実は無情にも彼女に絶望を突きつける。夏海の正面に一際大きな爆発が起こり、視界を埋め尽くす。そして視界が開け、その先には数人に囲まれた男が一人いた。囲んでいる人たちのことは分からない。ある者は先端に羽が生えている杖を持ち、またある者は白く光る剣を持ち、挙句には弓を持った小女までもいる。そしてその中心にはピンクの鎧を纏う男が一人。なぜ男だと分かったか。それは、夏海が彼を知っているからに他ならない。そう、彼は全ての仮面ライダーを破壊するもの(・・・・・・・・・・・)だった(・・・)

「結局、こうなる運命か」

彼は疲れたように、ともすれば諦めたようにも聞こえる呟きを漏らす。

「だったら、何度でもやってやる」

こぶしを握り締め彼は戦う。

 

 

「フッ!ハア!」

ある時は悪魔と呼ばれ、戦い

 

 

「クッ、オオ!」

ある時はその世界のライダーと絆を深め

 

 

「ハアアア!」

幾多の世界を救ってきた仮面ライダー

 

 

「何度だって破壊してやる。俺は世界の破壊者だからな!」

その名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディケイド」

 

夢はそこで終わった。

 

 

 

「う~ん」

夏海は目を覚ました。ここは光写真館、その受付である。どうやら軽く居眠りしてしまったらしい。まだ朝なのにいけないと思いつつ店の奥に進む。

「お、夏海、コーヒー飲むかい」

そう声をかけたのは、光写真館を営む光栄次郎である。夏海の祖父であり、見た目こそおじいちゃんだが、世界を移動したり、怪物が存在していてもマイペースに順応する。またコーヒーと料理の腕前はかなりのもので、たくさんの異世界の人をうならせている。最近は喫茶店みたいだと夏海は思っていたりするのだが、それは心にしまっておくのがいいだろう。

「そういえば、士くんはどうしたんですか」

「ああ、彼ならそろそろ起きてくるんじゃないかな」

「もう、もうすぐユウスケが帰ってくるのに」

ユウスケ。フルネーム小野寺ユウスケ。仮面ライダークウガであり、夏海たちが旅を始めて最初の世界の仮面ライダーである。彼の世界ではグロンギと呼ばれる怪物がおり、ユウスケはクウガとして戦っていた。そして、ある男と究極の闇であるグロンギを倒し、グロンギを壊滅させたのだ。それ以降、縁あって夏海たちと行動をともにしている。

「ふあ~あ」

噂をすればなんとやら、一人の青年が降りてくる。彼の名は門矢士。光写真館に居候しており、彼もまた仮面ライダーである。もともと、記憶喪失だったが、夏海の世界の崩壊をきかっけに仮面ライダーとなり、世界をめぐる旅にでた。そして、己の運命を打ち破り、今はいろんな世界を旅している。また、先ほどのユウスケの説明にでた、ある男とは士のことである。

「士くん、もう朝の9時ですよ」

「なんだ、べつにいいだろ、夏みかん」

夏海もうたた寝していたことを棚に上げて士を叱る。しかし、士はどこ吹く風だ。ちなみに夏みかんとは士が夏海をそう呼んでいるだけである。

「ん?ユウスケは出かけてるのか」

「はい。この世界のことを調べてもらってます。少し聞いた話では、どうやらこの世界(・・・・)には仮面ライダーはいるみたいですね」

今夏海はこの世界(・・・・)といった。つまり仮面ライダーがいない世界もあるのだ。例を挙げるのなら、シンケンジャ―の世界が該当する。この世界は侍戦隊シンケンジャ―が戦っていた。そして、今士たちがいる世界の前にも別のそういった世界に行っていた。

「しかし、この世界は一体なんなんでしょうね」

そう言う夏海の視線の先には大きな背景ロールがある。この背景ロールが変わるたびに、描かれている絵と関連している世界にいくことができるが、どんな世界かは分からずまた、選ぶこともできない。つまりは、どこの世界にいくかは運なのである。

「さあな、この世界での俺の役割もまだわからんしな。ユウスケを待つしかないだろ」

栄次郎に入れてもらったコーヒーを持って、士が戻ってきた。士と夏海が見つめる背景ロールには、巨大な時計を背後に控えさせた黄金の玉座だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めまして、人生初投稿です。ブクマ、感想励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。