仮面ライダーディケイド 現実と幻想の狭間   作:神咲胡桃

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今回少し長めです。
※タイトルに~追加しました


~定められた未来~

「なぜ、俺に破壊を望む」

「それは・・・」

士の当たり前の問に、ミラは言いよどむ。彼女は士のことを、鳴滝から(悪魔だの破壊者だの)聞いているはずだ。それなのに、彼女は士に世界を破壊してほしいを言った。

「はあ、悪いが俺は、この世界を破壊する気はない」

「そんなっ」

士は確かに世界の破壊者だった。だが、士はその運命に抗い、今は本当の意味で破壊者ではない。だから士は理由もなしに破壊をしない。逆に言えば、理由があれば考えなくもないのだ。

「仕方ない。おい、未来。」

「ミラ」

「・・・ミラ、とりあえず話を聞かせてもらうぞ」

なぜ会ったばかりの人間にニックネームで呼ばせるのか。そこも含めて、話を聞いた方がいいだろう。

「・・・分かりました。私も他に聞きたいことがありますし。」

「よし、それじゃあ、というかお前学校はどうした」

今更な気がするが、ミラは制服姿である。今はまだ朝のはずなのだが、ここにいて良いのだろうか。

「ん?ああ、明日から夏休みなんです。それで、今日は終業式しかなかったので」

「なるほど、大体分かった。とにかくいくぞ」

そう言い、公園の入り口に止めていたバイク、マシンディケイダーのところに行くとオーロラカーテンを使い、ミラの分のヘルメットを手に出す。オーロラカーテンは世界を繋ぐ壁のようなものと考えればいい。しかしこれも応用が利き、今回のように何かを呼び出したりできるが、本来は世界を移動するものであり、タイムマシンのように使うこともできる。さきほどの戦いで、ディケイドライバーを出したのも、オーロラカーテンを利用したのだ。

ヘルメットをミラに渡し、後ろに乗るように言う。その際、オーロラカーテンについて何か言っていたようだが無視する。そして、マシンディケイダーを走らせ、光写真館へと向かう。

 

 

「えっ、ライダー大戦の夢を見た?」

一方その頃、光写真館。ユウスケが夏海から相談を受けていた。内容は、夏海が見た夢のことだ。

「正確には、ような、ですけど。仮面ライダーはいませんでしたし」

そう、夏海が見た夢は確かにライダー大戦と類似していた。が仮面ライダーは一人としていなかったのである。

「もし、またあのようなことが起きたら」

「大丈夫だって。俺たちはあの戦いを乗り越えたんだから。あの時に、士は破壊者としての運命は終わったんだ。」

それは夏海も分かっている。あの日、士は一度は破壊者としての運命を受け入れ、そして、一度死んだ。だが、今までの旅で結んだ絆が、彼を蘇らせた。

「そう、ですね。今気にしても仕方ないですね」

「そうそう。それにもしあいつに何かあったら、また俺たちが助ければいいんだし」

その時、

「戻ったぞ」

「・・・おじゃまします」

「あ、お帰りなさい士くん、って誰ですかその子」

帰ってきた士に、声をかけた夏海は一緒に入ってきた子を見て首をかしげる。

「ユウスケ、どうやらお前の情報は間違いなかったようだぞ」

「へっ?」

「えっと、はじめまして。刻零未来です」

「こいつは仮面ライダージオウ、この世界の仮面ライダーだと。ミラ、こっちの女は光夏海、男のほうは小野寺ユウスケだ」

「この世界の仮面ライダー。えっ、君が」

ユウスケと夏海は目の前の女の子が仮面ライダーであることに驚いた。どうやら、この世界の仮面ライダーは女の子が戦うらしい。だかしかし、

「あれ?なんでその未来ちゃんが・・・」

「あ、私のことはミラと呼んでください」

「えっと、どうしてミラちゃんがここにいるんですか?」

夏海は当たり前の疑問を口にする。士は、さも当たり前のように

「こいつ、俺にこの世界を破壊してほしいらしい」

といった。

「へえ、士に・・・ってええっ!ちょっとそれどういうことだよ!」

士が気楽にいうのだから、ユウスケは乗りツッコミのように驚く。そのまま士に詰め寄り、どういうことか問い詰めようとすると

「お、お客さんかい?コーヒー入れようか。あ、そっちの君はココアとかが良いかな」

まるで計ったようなタイミングで、栄次郎が顔を出す。いきなり、ココアがいいかと質問されたミラは

「えっ、あっいや、コーヒーで大丈夫です」

普通に受け答えする。今ので落ち着いたユウスケは椅子にもどり、夏海もミラを席に勧める。士も椅子に座り

「こいつをここに連れてきたのは、その話を聞くためだ。それじゃ聞くが、何故おまえは俺に世界の破壊を求める」

全員が席に着いたところで士はミラに問う。確かにそれは夏海やユウスケも知りたいことだ。

「それは「おや、こんなところにいたのですか。我が魔王」っ!?」

突然響いた声に全員が、声の主へ目を向ける。そこには白のブラウスに黒のジーンズを履いた女性がいた。不思議なのは誰一人として、彼女に声をかけられるまで気付かなかったことである。いったい何者なのか。三人が警戒する中、彼女に声をかけるものがいた。

「リア、あなたなんでここに」

「なぜと言われましても、私の役目は我が魔王を補佐することにございます」

「えっ、ミラちゃん知り合い?」

目の前の女性をリアと呼んだミラに、思わずユウスケは聞く。ミラは頷き、彼女について説明する。

「この人は、マリア。私はリアと呼んでいます」

「どうも、我が魔王の忠実なる家臣。マリア・イグナイトと言います」

マリア、それが突如現れた女性の名前らしい。しかし、我が魔王とはどういう意味だろう。士がミラを見ると、ミラはとてもげんなりした顔を見せた。仕方ないので、士はマリアに聞くことにする。

「おい、我が魔王っていうのはどういうことだ」

「簡単なことです。そこに居られる方は、未来にて王となる方。私はその未来から、過去の我が魔王を補佐するためにこの時代にきました。ライドウォッチを持っていることが何よりの証拠」

「ライドウォッチ?」

ミラは、丸いある物を取り出すと机に置いた。それは、士が見たミラが変身の際に使っていたものだった。

「それが、魔王となる証です。やはりあなたは、魔王となる者です」

「何度も言ってるでしょ。私は王様になんかならないって。私は知ってるの。私が王になれば。最低最悪の時代になるって。だから、私は王様になんてならない!」

「しかし、未来は今のところ何も変わっていません。つまり、あなたが王となる未来を望んでいるのでは?」

「そんなこと!」

険悪なムードが広がる中栄次郎が、抜群のタイミングでコーヒーを持ってきた。

「はーい、コーヒーですよー。あら、お客さん増えてる。念のために一つ多く淹れといてよかったね」

またもや空気を一変させるのを見ると、確実に狙っているのではないかと思ってしまう。しかもなぜ、マリアが来たことを栄次郎は知らないはずなのに一つ多く淹れていたのだろうか。謎である。

「ま、まあまあとりあえずコーヒー飲んで落ち着こう」

今の内に場を落ち着かせようと、2人をユウスケが宥める。それに、従いしぶしぶとコーヒーを飲む。

「いただきます・・・あっ、おいしい」

栄次郎のコーヒーは今日も絶好調である。

「で、お前なんで王様になりたくないんだ」

士に他人を思いやるというこはできないのだろうか。いや、期待するだけ無駄だろう。

「私が初めてライドウォッチを手にした時、見えたんです。私が最低最悪の王になっているのを。最初は夢かと思っていたんです。でも、マリアが来て、未来から来たんだと分かって、あのことも本当なんだって確信したんです」

「でも、それって未来ですよね。なら今から変えようと思えば、帰れるんじゃ」

「それは無理です。たとえライドウォッチを手放そうと、彼は襲ってきますから」

マリアはあまりにもはっきりと答えた。その返答に夏海は口をつぐんでしまう。しかし、士には気になる点が一つあった。

「彼ってのは誰だ。もしかしたら、あの仮面ライダーファイズに似ている怪人か?それとも、そいつを操っているやつか?」

「士、なんだそれ」

「俺が外に出ていた時、ミラは怪人と戦っていた。しかも、仮面ライダーファイズに似ているな」

「それはおそらくアナザーファイズでしょう」

「アナザーファイズ?なんだそれ」

また初めて聞く言葉に困惑する。その疑問に答えるようにミラが口を開く。

「アナザーライダー。タイムジャッカ―が仮面ライダーの力を利用して作り出した怪人。ちなみにタイムジャッカ―というのは、時間を移動したりして歴史を変えようとする人のことです」

「彼らは過去に飛ぶことによって、その時間の仮面ライダーの力を奪いアナザーライダーを生み出します。どうやらタイムジャッカ―の目的は、我が魔王を倒し、自分がその椅子に座ることみたいですね」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って」

突然、ユウスケがストップをかける。

「それってさ、この世界には過去に他の仮面ライダーがいたってこと?」

「確かに」

ユウスケの疑問に夏海も思う。しかし、士は不思議だと思わない。別に同じライダーが複数人いたところでおかしくはないし、一つの世界に時間差で新しい仮面ライダーが生まれていても、変なことではない。でなければ、平行世界という存在すらないのだから。

「我が魔王はさきほど、アナザーファイズを倒されているようですね。ならば、ファイズウォッチを手に入れているはずです」

「話からすると、そのファイズウォッチとやらは、ファイズの力を扱えるといったところか」

「ええ、本来は仮面ライダーの力を受け継ぐのは、我が魔王のはず。なので、アナザーライダーを倒せばウォッチを手に入れることができ、全てのライダーの力を受け継いだ時、覇道が開かれます」

「何度も言わせないで。私は、私は魔王になんかならない!」

それまで口数が少なかったミラは突然、光写真館の外に飛び出し走り去っていく。

「ミラちゃん!」

夏海は追いかけようとするが、机に置いてあるものに目に入った。

「これって・・・」

「ッ!ライドウォッチ!。それがここにあるということは、今我が魔王は変身ができない。襲われるとまずいですね」

焦りを見せたマリアに、ユウスケが反応する。

「それって、危険ってことじゃないか!おれ、ちょっと探してくる」

「ユウスケ!」

「たくっ。ユウスケのやつ、ライドウォッチ持ってかないと意味ないだろう。おれもいって、ん?」

士も後を追おうとすると、床に何か落ちているのをみつけた。それを拾うと、何だろうか。ライドウォッチと形は同じだが、絵柄がなく何のウォッチか分からない。ミラが走っていく際に落としたのだろうか。とにかく今はミラの方が優先だと考え、士はそれをポケットに突っ込み、写真館を出た。




今回は、ほぼほぼ世界観についての説明になってしまいました。
今回登場したオリキャラのマリアは、本家でいうところのウォズ的なキャラです。
ここに関して、なぜオリキャラを出したかというと、男キャラとしてすでに士とユウスケがいたので、男はこれ以上いらねえ!ということでオリキャラとしました。
ちなみに、刻零未来がニックネームで呼ばせようとする理由は次に話します。
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