仮面ライダーディケイド 現実と幻想の狭間   作:神咲胡桃

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今回はなかなか書けた。


~回りだす運命~

 

「ハアア!」

「オリャア!」

 

士がライドブッカーで敵を切り裂き、ユウスケは拳を振るい敵を殴り飛ばす。

数は多いが幸いにも、強敵は居ないためそれほど苦戦はしていなかった。

 

「超変身!」

 

ユウスケがバックルのボタンを押すと同時に、その身体が赤色から青色に変わる。

それと同時にグロンギの持っていた棒を奪い取る。すると奪った棒の形状が変わり、クウガドラゴンフォームの専用武器「ドラゴンロッド」になる。

 

「行くぞッ!ラアアア!」

 

ドラゴンロッドを振り回し、次々とグロンギやロイミュードを叩き伏せていく。

ユウスケが周囲の敵を攻撃し終えると、次々とクウガの紋章が浮かび上がり爆発が起こった。

 

 

 

「フッ!ハア!・・・こいつで行くか」

《KAMENRIDE DEN-O》

 

士がディケイドライバーにカードを装填すると、士の姿が変わり上半身に赤いアーマーが装着される。

ディケイド電王に変身した士は、ライドブッカーの刀身を撫で、次々とイマジンやスマッシュを切り裂いていく。

 

《FINALATTACKRIDE DE、DE、DE、DEN-O》

「ハアアアアア!!」

 

片手間で再びバックルにカードを装填、ライドブッカーを掲げる。

ライドブッカーから赤色に光る刀身が分離し、士が振るうライドブッカーに追随する。

赤い軌跡を残しながら振るわれた刀身は、イマジンたちを切り裂き爆発させた。

 

「やった・・・・!」

「ふぅ・・・しかし、なんでこの世界にこいつらが」

 

イマジンたちを撃破した様子を見た夏海は、声を上げて喜ぶ。

ディケイドの姿に戻った士は周囲を見渡していると、唐突に聞こえた足音に振り向く。

そこには仮面ライダーゲイツがいた。

 

「月乃?」

「・・・・・・・・」

 

月乃が変身していると思った士は、目の前のゲイツに声をかける。

しかし、ゲイツは何も反応を返さず、ただただ士に向かって歩みを進める。

そしてある程度近づいたゲイツは、ジカンザックスを取り出し(・・・・・・・・・・・・)士に向けて斬りかかった。

 

「なッ!?おい!なにすんだ!」

「・・・・・・・」

「そんな・・・・どうして月乃ちゃんが士くんを襲うんですか?」

 

ジカンザックスの一撃をライドブッカーで何とか防ぎ、襲い掛かってくるゲイツに説明を求めるが何も語らない。

そして拮抗を破るようにライドブッカーを弾き、士にジカンザックスの一撃を食らわせる。

 

「グァ!・・・・問答無用ってわけか。だったら覚悟しとけよ!変身!」

《KAMENRIDE WIZARD》

《ヒ~ヒ~!ヒ~ヒ~ヒ~!》

「仮面ライダーウィザード!?」

 

ここで初めて、ゲイツは声を発する。その声は紛れもなく月乃の声だった。

ディケイドウィザードに変身した士は、もう一枚カードを装填する。

 

《ATTACKRIDE BIG》

「フン・・・ハアアアアア!」

「グッ!」

 

士は目の前に現れた魔方陣に、右手を突っ込む。

すると魔方陣を境に、士の右手が巨大化して現れる。そのまま右手を振るい、ゲイツを吹き飛ばす。

地面を転がったゲイツは、立ち上がりジカンザックスを構える。士も相対するように構えを取る。

再びぶつかるかと思われた時、夏海から話を聞いたユウスケが2人の間に割って入る。

 

「ストーップ!」

「あ?ユウスケ?」

「何があったかは知らないけど、いったん2人とも落ち着いて!ね!・・・月乃ちゃんも、何か理由があるんだろ?」

 

ユウスケの説得に、士は構えを解き変身を解く。

だが、ゲイツの方は警戒を解く様子はない。

 

「・・・仮面ライダークウガ。1つ聞かせて。そこの彼は、大ショッカー(・・・・・・)じゃないのね?」

「え?当たり前だろ!」

「・・・そう」

 

少しの間だけ悩んだゲイツは、やっと構えを解きジクウドライバーからゲイツライドウォッチを外す。

その身を覆っていたアーマーが消え、その中から出てきたのは黒髪(・・)の紅守月乃だった。

 

「やっぱり月乃ちゃん・・・」

「ですが、月乃ちゃんって黒髪じゃなかった筈ですが・・・」

 

ユウスケの元に合流した夏海が、目の前にいる月乃の姿を見て首を傾げる。士は呑気に写真を撮っていた。

当の本人は気にすることなく、ユウスケ達に問いを投げかける。

 

「また私の名前を・・・どうしてあなた達は、私の名前を知っているの?」

「え・・・」

 

まさかの問いに、ユウスケと夏海は驚きのあまり硬直する。

そんな中、士のカメラがシャッターを切る音が、不気味な静けさの中で響いた。

 

 

 

 

 

 

士たちの話を聞いた黒髪の月乃は、目の前に流れる川への転落防止の柵に寄りかかる。

 

「別の世界の私・・・そして、仮面ライダーディケイド。私の知らない、仮面ライダー」

 

反芻するように呟いた月乃は、手の中のゲイツライドウォッチを弄ぶ。

先ほどの騒ぎから場所を変えた士たちは、月乃と情報交換をしていた。

 

「月乃ちゃん・・・」

「しかし、まさかこの世界にも大ショッカーが来てたとはな」

 

ユウスケがどう声を掛けようかと迷っていると、士が別の話題を持ち出す。ユウスケも若干気まずい雰囲気だったので、これ幸いと士の話題に乗る。

 

「たしかに・・・最後に戦ったのは、シンフォギアの世界だったしな」

「・・・先週のこと。やつらはオーロラを通って、突然襲ってきた。今回のを含めれば、6回目になる。貴方たちは、あいつらのことを知ってるみたいね」

「ああ。ありとあらゆる仮面ライダーの敵たちが手を組んだ秘密結社。それが大ショッカーだ。俺たちは何度かあいつらと戦い、その度に打ち破ってきた」

 

士の説明に月乃は、士たちに向けていた顔を再び川の方に戻す。

正直言って、月乃は全てを信じている訳ではない。だが、この話に嘘があるとは思えないし、なにより仮面ライダークウガだと言うユウスケが肯定しているのなら、幾らか信用性はある。

 

「・・・それじゃ、今度はお前のことを利かせてもらうぞ」

 

そう言われた月乃は、手に握っていたライドウォッチとジクウドライバーを掲げる。

 

「なら、貴方たちは知ってるようだけど、改めて自己紹介。紅守月乃、18歳」

 

どうもこの黒髪の月乃は、こちらの月乃が15歳(一応高校生だがまだ誕生日が来ていない)という事を考えると、どうやら3歳年上らしい。

そして、この後続く言葉は、士たちを再び驚愕させるには十分だった。

 

「そして仮面ライダーゲイツ。救世主の仮面ライダーよ(・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

一方、士たちと別行動をしていたミラたちは、爆発が起きていた場所に向かったところ、大ショッカーと遭遇してしまい戦闘状態だった。

 

「ハアア!」

《ボルテックタイムブレーイク!》

「ハッ!」

《エクシードタイムバースト!》

 

2人の必殺技が決まり、大ショッカーの怪人たちは爆発する。

 

「ふぅ・・・」

「やったね月乃!」

「うん」

 

変身を解除した2人は、ハイタッチして勝利を喜ぶ。

だが、喜んでいられるような状況ではないことは理解していた。

 

「それにしても、今の怪人たちって」

「多分、話しに聞いていた大ショッカーだと思う」

「問題は、何でここに現れたかだけど・・・」

 

ミラがそう語るのには理由がある。実はミラたちがここに駆け付けた時、大ショッカーの怪人たちは一心不乱に何かを探しているようだったのだ。

士たちから大ショッカーとは、悪逆非道そのもののような存在だと聞いていた。

そんなやつらが、一体何を探していたのか。気になったミラたちは、警戒しながら奥に進んでいった。

だが、以外にも探し物はすぐに見つかった。

 

「うそ・・・・」

「これは・・・」

 

目の前に広がる光景に、2人は思わず絶句した。

 

「こんな、巨大な」

「どうしてこんな街の中に・・・・・巨大なクレーター(・・・・・・・・)が」

 

2人が見つけたのは、半径でも百mはあろうかという巨大なクレーターだった。

これほどまでに巨大なクレーターをよく今まで見つけてなかったなと、思わず場違いなことを考えてしまうくらいには、2人は動揺していた。

2人が圧倒されていると、ふとミラはクレーターの中心に光る物を見つけた。

 

「あれ・・・なんだろう?」

「どれ?」

「ほら、あそこに光ってる何かが」

「・・・・・ミラ、私には何も見えない(・・・・・・)

「あれ?遠いからかな」

 

クレーターの中心を指差すも、月乃は本当に何も見えていないようで、ミラは距離のせいだろうと納得することにした。

気を取り直し、ミラはジオウライドウォッチⅡを取り出す。

 

「どうしたの?」

「どうせなら、近くに行ってみようかなって」

「さすがにそれは危険」

 

クレーターはそこまで深くはないと言っても、大きさが大きさなだけあり深さはそれなりにある。

しかしミラは、不敵な笑いを浮かべると月乃の手を握る。

 

「まあ任せて」

「え・・・?ッ!?」

 

ミラの自信に、月乃は首を傾げるがその一瞬後に、月乃を軽い浮遊感が襲った。

気づけば、2人はクレーターの中心に立っていた。

 

「なんで・・・・・もしかして、タイムシフト?」

「正解」

 

つまり、ミラは変身することなくジオウⅡの能力を使い、”クレーターの中心に移動した未来”に移動したという事なのだろう。

これが、ミラがジオウⅡの能力の応用した「タイムシフト」であることは知っているが、まさか変身せずに使えるのは驚きだった。

いや、おそらく使えるようになった、のだろう。

 

(だんだんと、ミラが力の扱い方に慣れてきている?それ自体は別に構わない。だけど・・・)

 

月乃が思い出すのは、自身がこうして仮面ライダーになる原因。

 

(最低最悪の魔王・・・・もし、これがその予兆だとすれば・・・それだけは避けないと)

 

月乃は別に、ミラを魔王にさせたくないわけではない。ミラが望むのならば、その手伝いをすることだって躊躇うことはないだろう。

しかし、月乃の願いはあくまでミラの幸せである。もし、魔王となることがミラの破滅につながるのなら、何が何でも止めなければならない。

 

(ここ最近、スウォルツが姿を見せていないことも気になる。本当にこれが最低最悪の魔王への予兆なら、もしもの時は、私の手で・・・・)

「おーい!月乃ー!」

「はっ。今いく」

 

考えすぎだと思いながら首を振り、余計な考えを頭から追い出す。

地面にしゃがみ込んでいるミラの元にたどり着いた月乃は、ミラが何を見ているのか気になった。

 

「何を見つけたの?」

「これ・・・」

 

ミラの視線の先、半分地面に埋もれているが、そこに何か落ちていた。

ミラはそれを拾い上げ、軽く土を払う。所々破損しているようで、内部の複雑な構造が見えていた。

しかし、2人はその見た目に完全に見覚えがあった。

 

「なんで・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でこんなところに、ジオウライドウォッチが・・・・?」

 

 

 

 





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