鬼殺隊「見つけたぞ鬼めぇ!!」 正邪「はぁ!?てかここどこだよ!!」 作:蕎麦屋
鬼側ルートか人間側ルートか、どっちがいいかなぁ~。
私の名前は鬼人正邪。
天邪鬼だ。
私の唯一の能力は何でもひっくり返すこと。
そして幻想郷の住人だ。
強者の強者による強者ための世界が幻想郷。
そんな世界で暮らす弱者は何もできない。強者に支配されるだけの存在である。
そんな世界に不満を抱いた。
だから私は幻想郷をひっくり返したかった。
そんなクソみたいな、強者だけが住みやすい世界なんて変えてやる。
ひっくり返して強者どもに目に物見せてやる。
そのために暴力、盗み、裏切り、嘘、できることはなんでもした。
だが、ついにそれを実現させることは無かった。
強者には敵わない。
所詮私は弱者。
それをこれでもかと思い知らされた。
だから逃げた。
諦めきれなかったから、もう一度、いや、何度でもやり直してぶっ壊してやりたかったから。
結局のところ私は幻想郷を敵に回していた。
お尋ね者となり、毎日休む間もなく刺客からの襲撃に出くわし、幻想郷中逃げまくった。
私にに対して降伏を奨めた奴もいた。しかし私はは根っからの天邪鬼、善意から来る彼女らの救済の手を全て払いのけた。
それから数か月、服はボロボロ。逃走用の道具はすべて使い果たし、もう数日眠らず、疲労も満足に回復できずにおぼつかない足取りで険しい森の中を進む。目は常に虚ろになっている。
みてみなよ、この無様な姿。
これが幻想郷の強者に喧嘩を売った、馬鹿なレジスタンスの末路ってやつだ。
こうなることはわかっていたくせに。
天邪鬼という妖怪はみんなこうなのか?
何かに反発しないと生きていけないのか?
「・・・・・・なにしてんだろうな私。」
全てを敵に回し、許されるチャンスを棒に振り、何もかもを失い、森の中をもはや走る気力すらない足で進み続ける。
惨めだ・・・ああすごく惨めだよ。畜生。
ブツブツと恨み辛みを吐きながら暫く進むと目の前に古い鳥居があることに気が付く。
そしてその先は濃い霧がかかっていた。
「なんだ・・ここ?」
明らかに入ったら戻れないような霧。引き返そうかと考えていると。
「----!!」
かすかに聞こえる叫び声、いや誰かの名前を叫んでいる。
「せいじゃーーー!!」
「っち、またかよ。」
また針妙丸だ。
追いかけてきたのか。
お尋ね者になった後も、何度も何度も懲りずに目の前に現れては対話を試みて捕まえようとしてくる。
いい加減諦めてほしい。
体力があるならさっさと逃げれるが、今はまずい。今は逃げきれない。
せめて霧に入って視界を・・。
考えている暇はない。あいつの声は近づいている。
「っち、しつけぇんだよ・・。」
愚痴を吐きながら私は霧の中へと入っていった。
そう、この日からすべてが始まった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・ん?」
目覚めるとそこは暗い森の中。
どうやら眠っていたようだ。
あの濃い霧はなくなり、あたりは不気味なくらい静かであった。
どれくらい寝ていた?
まぁいい、霧のおかげであのチビをうまく撒けたようだ。
今は霧が晴れている。見つかるのは面倒だ。くそ、なんで私は呑気に眠っていたんだ。
立ち上がり背伸びをする。
少し眠ったお陰なのか体力が少し回復していた。これなら走って逃げることもできる。
とにかく今は森を出て、あのチビから逃げないと。
暫く森を歩いていくと少しずつ違和感を感じるようになった。
妖怪の気配が微塵も感じられない。
そんなことある!?
だがありがたくもある。私を追いかける妖怪も近くにいないということだ。
束の間の安堵を感じ、久しくなかった平穏な時間を噛み締めながら歩きだす。
5分後
「まちやがれぇ!!鬼めがぁ!!」
「あいつが最後の生き残りだぁ!!」
「なんなんだよもう!!」
天邪鬼はよくわからない刀を持ったよくわからない人間どもに追っかけられていた。
「もらった!!」
横から刀を持った人間が飛び出す、奇襲!?これはまずい!
とっさに私の能力を使い、少年の向きをひっくり返す。
「な!?」
奇襲を仕掛けた少年は自身の異常に目を見開いて驚きそのままバランスを崩して転ぶ。
「気を付けろ!血鬼術を持っているぞ!」
なんだそれ!?
「そいつは厄介だな!十二鬼月の可能性は!?」
「いえ、奴の目には数字がありませんでしたのでそれはないかと!」
「ならいい!さっさと殺すぞ、鬼は死すベシ!!」
さっきから意味の分からないことを話している人間どもはなんなんだ!?
ていうかこいつら本当に人間か!?
幻想郷に、人の里でこんな奴ら動きをした人間は一度も見たことがないぞ!
人間離れした素早い動き、意味不明な剣術、一撃一撃が致命傷なのは間違いない。
混乱と恐怖で全く整理がつかない、だがこれだけはハッキリしている。
こいつらの目的は私を捕まえるんじゃなく殺すこと、そして、あの刀。
あれはヤバい、もう生理的に受け付けない。これで切られたらもう助からない。私の本能が警告している。
とにかく逃げろ!逃げるんだ!
くそ!くそ!なんでこうなるんだ!!なんて惨めなんだ私はよぉ!!
「くそぉぉぉぉ。」
人間とすらまともに戦えない惨めさを噛み締め、大量の涙を流しながら全力疾走で山を下り、刀を振り回す変人共から逃げる。
平穏なんてものは、天邪鬼には勿体ないってことだ。
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