あれから、何日…とかでは済まない程度の時間がたった
私が転生してから、
最低でも五年は経っているはずだ
とにかく、私の知る限りのところである原作のイベントポイントは極東の魔境化が
時系列上では西暦2067年に起こっているということ、そしてそれが去年であること
つまりは現在の西暦は
2068年であるとおぼしい
かなりな月日が経っている、日数は数えているのだけど
私の覚えている限りである、転生時5月15日なのは当てにならないので
年はともかく、今現在が何日なのか
正確なところはわからない
そもそも四季があるのかも不明
暑い場所、寒い場所、ステージの中ではあるけどバラバラだから
異常気象を世界単位で継続している
と考えた方が良さそうだ
…うわ、エヴァかよ
というか、アラガミ出現から
既存の農作業が役に立たなくなったのって、これが原因じゃない?
みかんやお茶の葉の育成には
その夏の気温が重要って話を聞くし
…まぁ、病院暮らしのわたしからすれば、ほとんど関係のない話だけど
知る限りによると
作物の育成には、気温や日照時間、光量といった、環境依存の条件が必須になる
そして、それが前提から崩されてしまったのでは、そもそも成立しない農業が立ち枯れるのも当然だろう。
フェンリルの作ったアーコロジーだって、対アラガミ装甲壁で支部を丸ごと囲むという、どう考えても非経済的な造りをしているんだから、土地が不足するのも当然
土地が不足しているのに大規模な農業なんてできるわけもなく、しても成果はない
それでは産業として衰退して当然だ
さらにフェンリルは製薬会社
薬効ある植物の工業的栽培のノウハウくらい心得ていてもおかしくない
かくして、食料を工場で生産する
という一種倒錯的な、しかし現実でも起用されているあの世界環境が出来上がったわけだ
しかもオラクル細胞に由来する技術によって生産量を水増ししてギリギリの配給制
うん、
自己生産しているように見えて決定的に破綻している、自給自足とすら言えないよねそれ
しかもオラクル細胞の補充はゴッドイーターの収穫…つまりはアラガミ頼り
もはやアラガミに依存した環境とすら言える
そう考えると、人間と、それに付随される現行の環境を滅ぼすための存在であるアラガミが
人類を生かしている
とすら思えるのだから笑い事だ
人類ってのは、本当に面白い
自分らを食おうという獣の
寄生虫まがいの存在に成り果ててなお自らの事を『気高き霊長存在』などと宣うとは
…かつて私もその一員だったのだけど
それは置いての話だ
そもそも、力持つもの、才あるものが生き残る世界、知性持つものがヒトだけではないこの世界、知性のレベルが絶対の秤にはならない
力も持たずに意味を示さない権力に縋る愚か者ほどに醜いもなはない
「…
待っていたものが、来た
思索に図っていたのは、何も頭の中の整理のためだけではない
待っていたのは、
中型アラガミ、ヴァジュラ種
第二種接触禁忌種である
【焔獣】ラーヴァナ
そう、あの時、
アバドンと共にやられた個体だ
私は長い時をかけてあの個体を探し出し
縄張りのエリアと巡回ルートを特定することに成功した、
それがここ、蒼氷の峡谷の奥側である
なぜラーヴァナが寒冷地に住んでいるのかはわからないけど、それでも
戦いを挑む価値はある
「…
「…ゴァガァァッ!」
年を跨いだ再開は
咆哮から始まった
「
静かに、呟くと同時に
殺意を叩きつける
紫色の毒が舞う、霧のように広がったそのフィールドは、しかしラーヴァナの炎の壁に遮られ、本体への接近はできない
「
「グルルルァガァっ!」
炎の壁を突き破って、
プラズマキャノン砲が飛んできた
かつては耐えることしかできなかった一撃、しかし、今の私なら
そんなものをわざわざ食らってやるような必要はない
浮き上がって射角から逃れ
羽衣を広げてオラクルを流す
「
私の浮かべた四発の拡散レーザーが
プラズマキャノン砲を放った直後のラーヴァナの顔面に突き刺さり、爆発
ちょうどよく砲塔を破壊してくれた
「ッ!」
「
レーザーをさらに展開
空中に光粒が浮かび上がり
それが光流となって放たれる
負けじと足元の地面から炎を吹き上げるラーヴァナと、真っ向からの火力で衝突する
「ゴァガァァッ!」
「フゥッ!」
ビームと炎の衝突は、炎に軍配が上がり
ビームが霧散する
しかし、私がそんな事を予測していないわけがない
炎の発動終了にあわせて
ちょうどのタイミングで上を取りつつ突進し…
「ヒュウウッ!」
毒の粉と毒ガスをまとめてぶっ放す!
「グウルウッ!?」
ヴェノムが入ったラーヴァナの呻き声に乗じて後ろを取り、手のひらから出る気弾でラーヴァナの横装甲を傷つけ、チャージした気弾の爆発で装甲を砕く
「
「…ヒャ!ッ!クルゥッ!」
着地した瞬間に砕けた砲塔を展開、炎を玉として連射するラーヴァナ
炎の弾幕は並みのゴッドイーター程度なら退ける程の火力がある
「
オラクル防壁を広域展開した私は
その炎の弾幕を凌ぎ切って
体当たりしてきたラーヴァナに吹き飛ばされる
「
体勢を崩して倒れ込む私に、マウントをとって炎熱攻撃を掛けようとするラーヴァナ
きゃー、けだものー!たすけてー
あついモノいっぱいかけられちゃう!
…なんてね?
「
ゴッドフィンガーで左手にエネルギーを貯め、ラーヴァナの炎を受けるより前に、ゴッドフィンガーを至近距離から射撃する
「ハァッ!…
本来なら、シャイニングフィンガーでしかできない爆発技、しかし、シユウのかめはめ波(偽)による爆発で形成されたそれがラーヴァナの炎を正面から押し切った
「
微笑みと同時に、私は再び
「
右手の裂け目を開き、その中にエネルギーを貯め、拳を握る、
そして、体を背けて
ラーヴァナに後ろを向ける
「ゴグォァァ!」
突進してきたラーヴァナ
しかし、私の視界は後方にもある
その動きはあまりにも大雑把で
隙だらけで、誘っているようだけど
それでも私は待ち続け
「
減速する視界の中で
ローリングアタックを発動
体を反転させ
私の一番好きな平成1期ライダー
カブトのライダーキックを模した動きのザビー式パンチで迎撃する
電撃…?入ってないよ?
ごめんね、再現度高くなくて
でも、まぁ効果あったからいいよね?
代わりに私のできる最高濃度の特濃ヴェノム、針ごとお注射してあげたし
「グァァァァガァァァァッ!」
絶叫しながらのけぞるラーヴァナから離れ、力を再度チャージして、右足を地面に叩きつけ、左足を後ろに、両手は開いて、腰を落とす
体勢を取り戻せていないラーヴァナに向かって走り出し、足から炎を上げる
彼我の距離を見計らって、ジャンプ!
空中で一回転しつつ右足を出し
右手は膝に沿わせる形で、
左手は体の下側に、ななめに出し
ポーズを固めて、叫ぶ
「サギザザ…ビブブ!!
うぉぉりゃぁぁぁっ!」
起き上がったラーヴァナのキャノピー部分に直撃した私のキックは、
頭部キャノピーを結合崩壊させ
ラーヴァナを数メートル吹き飛ばし
そして
装甲は徐々にひび割れ
そこに白い紋様が浮かび上がる
紋様は徐々に色を赤く変え
そして、赤く染まり切ったその瞬間
ラーヴァナが爆発する
「
「ガジョバサ…ラーヴァナ」
篝火は風と共に
揺らめいて、消えた
あんまり格好よく…ないかな?
ともあれ、これで一応ラーヴァナとの決着がつきました