…あれから時はたち……たち……
経ってないよ!全然経ってないよ!
「…グリュ…」
「ギュ……」
ドーモ。ヴァジュラ=サン
サイジャクアラガミ、デス
アイサツ完了の0.02秒後(気分)私は跳んだ!
後悔は死んでからすれば良い!今は目の前のヴァジュラから逃れねばならぬ!
「グゥゥァァッ!」
私は決断的ダッシュでその場を離れる!
「
うら若き乙女に似つかわしくはないような濁った悲鳴をあげながら崖側へと走り
当然私以上の機動力で追ってきているヴァジュラを振り向き…
「ッ!」
ジャンプのように身を沈めて、
力を貯めるポーズを見せる
私自身はやったことないけど
ジャンプの時はアニメキャラはみんなこうしてたし、これで多分…!
「グラァッ!」
よし!
狙い通りにジャンプしたヴァジュラは私のはるか頭上を飛び越え…崖の下へと落ちていった
バカめ、といって差し上げますわ!
(豊乳感)
残念だけど、ヴァジュラと戦って勝てるほど私は強くない…そもそも
動きが違うのだから
勝てるわけもない
今しがた生まれたばかりの私がランク10並みの戦力を持ったドレッドパイクってわけではないだろうし
「
とりあえず生存を喜びながら
ヴァジュラがいた地面あたりにかすかに残っているヴァジュラの細胞がないか探してみる
細胞って簡単に剥落するし、
ちょっと落ちてないかな?
「……ヴェ…」
ないなぁ…
…あっても細胞一つ二つじゃ足りないと思うけどさ…
ん〜この辺ちょっとヴァジュラ味する〜!
ヴァジュラ味なんて知らないけど、そもそも離乳食とかほぼ味のない糊みたいな謎の物体とか煮込まれすぎて不味い人参あたりの野菜?みたいなものしか食べた事ないからわかんないし
…でもヴァジュラ味なんだよなぁ
匂いがヴァジュラ臭いし
さっきあいつが足かけてたところだから、多分ヴァジュラの細胞だよね
「
ってか土舐めるのに何も抵抗ないとか、私人間性死んできてない?
まぁ、構ったものじゃないけど
ヴァジュラの細胞を食べきる
そして、私は取りあえず
霞を食って生きる訓練を始めた
だって、オラクル細胞って
捕食するとき、なんでも食べるんでしょ?なら空気中の窒素とか酸素とか炭素を分解して再構成してるんじゃないの?
水と空気あれば
H2OとCO2揃うし、
炭化水素を合成すれば炭水化物作れるし、その気になれば分解と合成を繰り返してアルコールだって作れる
みんな大好きポリエステルだって所詮はジ カルボン酸と2価アルコールの縮合重合で高分子体を形成できる化合物
結局は水素H.酸素O. 炭素Cで記述できる物質に過ぎない
まさかとは思うが
活動原理自体は既存の細胞と同じである以上、尋常なアデノシン3リン酸の分解反応で熱を取り出してるはずだし、オラクル細胞でも同様の働きがあると考えれば
空中の水分や炭素から直接吸収したベンゼン環を分解して…とかは望めなくても
光合成の原理で分解できるとおもうし、『単独で生命活動を完結できる』単細胞生物であるオラクル細胞の群体生物たるアラガミならオラクル細胞単体での機能を発揮できて当然なはず
それにCO2+2H2O→2O2+C2+H2で光合成
(多分実際はもっと複雑だし炭素固定で生育する植物においては炭素は放出する物質としては出てこない)
が出来る植物の葉緑体がもつ技能を取得したアラガミもいるそうだし
結論、
霞を食っていれば大体生きられる
ということで、やってみよう
まずは水を飲みます
…………飲めない
どうしよう、自分が手のないドレッドパイクなの忘れてたよ、足のないナイトホロウとは本当に正対する性質なんだよねゴメンねナイトホロウ
ずっとバカにしてて
君の手をくれ、本当に
手がないって切実に不便なんだ
たすけて
諦めます
諦めてちょっと移動します
水の湧いてるあたりに直接潜って水を飲みます、
「
そもそも泳ぐ事がなかった私には水泳のことなんて全然わかんないけど
とりあえずヤバあので足をバタバタさせて
あれ?呼吸厳しくならない?
呼吸器官の損壊は体験済みだけどその時の苦痛はこんなものじゃなかったし
「
本当にどういう事?
…いやまて、落ち着け
時間はある、苦しくもない
大丈夫、大丈夫
よし
とりあえず水が湧いてるところ
(ちょっと深い)から離脱して
水上に上がる
…タオル欲しいけど、ないよなぁ
ん、乾いた乾いた
多分水を全身の細胞が『喰った』んだとおもうけど、まぁいいや
次に深呼吸をします…すぅ…
「
ゆっくりと深呼吸をして、オラクルを消費するような行動をし続ければ
枯渇したオラクル細胞を補充するために捕食を必要とする、と体が判断するはず
そのタイミングで水と酸素を与えてやればそこから栄養を取ろうとする筈だ
「
オラクルを消費するような行動ってあったかな、ドレッドパイクにそんな行動ないね
「………」
どうすればいいんだろう
ちーん
とりあえず運動すればエネルギーは枯渇するか、よし、走って走って走り回ろう
前世では走るどころか
歩くことさえ苦痛だったけど
今は違う、鈍重だけど真っ当に歩けるし、膝が悲鳴をあげたり、腿が動かなくなったりしない
あぁ、世界が広い
歩くのは、楽しいや