「…交渉は決裂した、か
こちらが一方的に要求するような形になっていたし、高圧的だった分
むしろあちらがすんなりと退いたのが驚きだったな」
「あぁ、しかも彼女は
間違いなく、最後に『またね』と言っていた、これはつまり…」
「「まだ交渉の目は有る」」
とはいえ、ここで俺達が勝手に会議していても仕方がない、可能性は上にあげなくてはならない
その上で叩き潰される可能性もないではないが、例のサリエルα個体はなんというか
『人類に対して明確に敵対的なスタンスを取っているというわけではなかった』というのが大きいだろう
顔が知れている俺なら
そうそうホイホイと攻撃はされないと思う
「俺はもう一度行く、あの翻訳装置は使わせてもらうぞ」
「…わかった、許可は取ってみせる
頑張ってくれ」
「どうせもう無い命、使い切ってやるよ」
で、これをどうしようかな?
私はいま、とりあえず
鉄塔の森でアラガミを食べて
…残存している機械部品なども食べています
いや、機械の特性を再現するアラガミっているじゃない?クアドリガとか、神機兵とか
そういうのを真似できないかな?と思ってさ
取り上えず食べてみたんだよ
モデルはノッキンオブ・ヘブンズドアのオオグルマが使っていた
偏食因子鎧(仮称)を想定して
常に相手の嫌う偏食因子を発揮するようにね
…それってつまりノヴァの性能なわけだけど
まぁ、高位のアラガミはみんなノヴァになり得る、というかノヴァ目指して進化してる最中っていう事だし、その形やベースがどうあれ
最終形態はみんな同じだ
どこに行こうが結局同じなら
最短距離を進むのが正解だろう
というわけで、アラガミとしての身体に不可欠な偏食因子を『偏食因子を変動できるアラガミ』にすることで、これをアラガミとしての特性にする、これを目指しているのです
だって全属性持ちみたいな変態アラガミはいないし、ありえないけど
『相手の使う属性に対するメタ属性』で攻撃を仕掛けるGE 相手になら
『メタ属性に対するメタ属性』を用意するのが一番効率的じゃない?
雷弱点、火・氷・神半減のアマテラスに、さらに上乗せで神弱点、火・氷・雷半減ヴェノム無効のウロヴォロス堕天
それに
火弱点、雷・神等倍・氷半減ホールド無効のカリギュラとかの偏食因子特性を持って
瞬時に変更できるなら
相手の属性射撃に対してメタ属性を取る事で常に半減できるわけだし
最低でも弱点撃ちはされないという有利がある
…まぁ、無属性にはどうしようもないけど
「
むしゃばりと音を立てながら
なんらかの装置を食べるタケとリオを邪魔する気にはならないし、かと言って二人があらかた機械食べちゃったし、
私はさすがに電熱線(見たことがないから細かくは違うのかもしれないけど)まで食べる気にはならない
だってあれ、どう見ても周波数の変動とかに寄与してないでしょ?
「
交流から直流への電気の変換って
それはなんだが…こう
偏食因子の状態変化の鍵になるんじゃないかと思うんだけど…何か違うのかな?
(いた、あのサリエルαだ!)
通信機から聞こえた小声
それは監視対象発見の一報だった
「よし…ポイントに向かう」
通信機に声を吹き込み、同時にスナイパーライフルの機能、隠蔽を行使して
姿を隠しながら走る
1キロほどの距離を一気に走り切って
サリエルαが観測された地点に駆け込むと、そこにはヴェノム色の液溜まりと
山のように積まれた廃機材が転がっているだけだった
「…取り逃がしたか…?」
「…!佐々木!上だっ!」
「上…っ!?」
それは紛れもなく、幸運だった
唐突にかけられた声に反応が出来たこと
咄嗟に飛び退いた先に地面があったこと
ヴェノム色の液体に触れずに済んだこと
そしてなによりも発見が間に合ったこと
すべてが重なって、俺は命を繋いだ
それは…巨大な光の槍だった
全てを貫くと言わんばかりに研ぎ澄まされた尖槍は、俺へと飛来して
展開が辛うじて間に合った装甲に弾かれる
「なんだ…これ」
「うぉぉぁっ!」
バスターブレードを全力で払って
次の一撃を斬り飛ばす
「棚上!これはオラクルの槍だ!
神機でなら切り払える!」
「了解っ!」
次々に降ってくる槍をさばきながら
少しずつ前進し
そして、唐突に光が止んだ
「…
そして、風化した工場の二階から出てきたのは…やはり、サリエルα
「お前の仕業か、なんなんだこれは」
「
翻訳装置に通された声が届くよりも早く、山崎は微笑むサリエルαに剣を向ける
「攻撃性が確認された、討伐対象はサリエルα個体!戦闘を開始する!」
「まて山崎!下がれ!」
その声は届かず、剣から離された手は
ただ空を切る
その瞬間、俺は死を幻視した
「いかん!」
そして、槍は振り下ろされた
「っ!」
残酷なまでに正確に、巨大な光の槍が
天空から放たれ、そして
サリエルの羽衣を貫いた
「……な……に……」
「
そう、サリエルは…自らに剣を向けた山崎を、殺すさなかった
身を挺してまで、山崎を槍から守ったのだ
「自動攻撃を…自分で防いだ…?」
「
「っ!」
山崎はその場から飛び下がり
俺は山崎と共に剣を構える
「山崎っ!」
「すまない…迂闊だった」
「そうじゃない!あのサリエルの反応!あれは明確に!」
そういうより前に
突風が吹いて
俺達は神機ごと、吹き飛ばされていた