ドレッドなツノが生えてきた   作:魚介(改)貧弱卿

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西暦2068年 4月2日 午後1時02分

神機ごと吹き飛ばされた俺は、空中で体勢をとりなおし、反転して着地するも

そこからさらに追撃を躱すので手一杯になってしまう

 

「うごぁぁっ!」

 

神機を手放さなかった己を内心称賛しながらも、ようやく防御姿勢を取った瞬間

()()()()()()()()のだ

 

「なん…だ…と…」

 

先ほどまで影も形もなかったはずのアラガミ、コクーンメイデンが、背後に出現したのだ

 

「おらぁぁっ!」

 

反射的に神機を払い、背後の脅威を切り捨てる

しかし、その瞬間にはまた別の場所にコクーンメイデンが出現する

 

「クソ!」

「うるさい!」

 

そこら中に次々と生えてくるコクーンメイデンを撃破しているうちに

また突風が吹き、今度は姿勢を整えて耐え切る

 

寸前に、白い影が瞬き

二人ともゴミのように吹き飛ばされる

 

「このっ!」

 

ロングブレードとバスターブレード

ともに人の使うサイズ基準から逸脱した大剣達が振り抜かれ

白い影と黒い影

 

コクーンメイデンとシユウαを退ける

 

「うぉぉっ!」

 

短い咆哮と共に剣が振り抜かれ

連発される攻撃が嵐のようにシユウのオラクルを削ぎ取っていく

しかし、終わらない

 

どれほどの攻撃を叩き込もうと

一向にすり減り切らない

 

「クソ!キリがないぞ!」

バスターソードをいくら振っても

いくら当てても削りきれない

通常の接触禁忌種ならばもう羽の箇所くらいは結合崩壊してもおかしくないというのに

 

「この!」

 

剣を思いっきり張り切って

その慣性で体を振り込み

 

一気に翼の下を潜り抜け

その背中に拳をくれてやってから

走る

 

しかし、シユウを追い抜いたその直後

コクーンメイデンに視界を塞がれ

強引に跳躍して飛び越すが、やはりその先にもコクーンメイデン

 

抜き去れない

 

そう判断すると同時に

着地してバスターブレードを振り切る

 

最大限に体重を乗せた跳躍チャージクラッシュで一撃の元にコクーンメイデンを葬り去る

 

捕食はもったいないが無視し

ひたすら格闘戦を続ける

 

「…まずい…こいつらっ!」

 

山崎はロングブレードを弾かれたのか

空中に奴のロングが飛んでいるのが見えた

 

「山崎っ!」

「ぐぁぁっ!」

 

空に舞うロングブレード

俺の姿勢は悪い

棚上はシユウの拳とコクーンメイデンの砲撃にさらされている

 

何をどうするべきか

何が出来るのか

何をしたいのか

 

頭の中で光が走る

 

「う…ウォォォっ!」

 

この手に握る神機に命じる

 

ただ一言

 

“喰らえ”と

 

瞬時に膨張し、変形し

刃としてのあるべき形すら放り捨てた神機は、その御魂を荒ぶるがままに開放して

 

全てを喰らう大顎を顕現し

大顎は展開する端から天へと伸びて

いまだ空にあった白金の神機、シャムシールを噛み締める

 

「ゼァぁぁぁぁあっ!」

 

俺は、右手に握られた神機を

ただ一息に振り落とす

 

「!」

 

神機は黄金色の輝きを放ち

その輝きは、顎から繋がるロングブレードの刃へと伝播し

 

一撃で、

シユウの翼を切り落とした

 

「グァァァッ!」

 

血を吐き出して倒れるシユウに神機を離した大顎が食らい付き、その肉体を喰い千切る

 

「うぉぉっ!」

 

伏せたシユウの元に刺さったロングブレード、その持ち主である山崎は

何処か呆けたような表情でこちらを見て

その直後に鋭く動いた

 

「スタングレネード!」

「了!」

 

敵味方の動きが止まったブレイクタイム

その瞬間を最大限に活かすために

スタングレネードを起動し、一言叫ぶと同時にそれを地面に叩きつけたのだ

 

咄嗟に俺も腕で目元を覆い

放たれる閃光から身を守る

 

しかし、腕のないコクーンメイデンの群れにそんな芸当は敵わず

そして、ただ傍観していたサリエルに、それを防ぐだけの力量はなく

倒れているシユウにはそもそも防ぎようがない

 

よって、戦場全域を満たした閃光は、その場にいたアラガミ全員をスタンに陥れ

 

「どぅぁぁっ!」

「せらぁぁっ!」

 

再び、バスターブレードとロングブレードの二振りが、敵に埋め尽くされた戦場を切り開いた

 


なんか急に戦い始まっちゃったんだけど!

話が違うんだけど!

なんか行き違いとか起こってないかな?!

 

みんななんでそんなに殺意マシマシのガチmodeなの?期間限定なの?イベント掘り中の資材枯渇なの?

 

甲海域で毛根枯らすの?

 

みんなちょっと待って(リンバ ジョドド ラデデ!)

 

出来る限りに声を張り上げても

サリエルの声帯では大声を出せない

 

私の最大レベルの大声は

あっさりと戦闘音にかき消され

誰の耳にも届かなかった

 

私は別に怪我とかしてないのに(パダギパデヅビ ベガドバ ギデバギ ボビ)…」

 

いやまぁ、発端になってしまったのが私である以上、私が責任を取るべきだろう

 

…アレ?私が責任を取るとしたら

どういう形で責任を取るのだろう

 

私には特に権限とかあるわけじゃないし、書類上げるような組織もない

となれば金銭の類が有力?

いや、この世界での金銭は『fc』(フェンリルクレジット)に統一されているし、当然電子マネー化もされている、アラガミである私が入手することはできない

 

…いやそんな事考えている暇はない!

 

みんなやめて!私のために(リンバジャレデ! パダギンダレビ)争わないで(ガサゴパバギゼ)!」

 

 

咄嗟に叫んだのは

そんな月並みな内容だった

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