「これより、目標クアドリガαの討伐作戦、最終ブリーフィングを開始する
目標は極めて高い耐久能力と火力、感知範囲を併せ持ち、さらには長距離精密狙撃の能力も持っていることが判明している
これに対し我々は、高機動型の戦闘ヘリ6機による一斉輸送作戦を展開、6カ所から同時突入を仕掛ける
推定感知範囲内に突入し次第ヘリから漸次降下し、突入ポイントから一斉に目標を目指す
接近しての戦闘においては従来のクアドリガと異なる戦闘能力は確認されておらず、また装甲強度も第一種接触禁忌種テスカトリポカ並ではあるものの『破壊不能』というほどではないという報告もある
接近さえすれば従来の手法での撃破も可能と推測される
追補として、事前にオラクル細胞の補充を行った上で専用バレット『ミスティックドレス』による感知撹乱を行うため、レーダーおよび通信はジャミングされて使用できなくなる、戦闘員は各自判断で戦闘・撤退するべし」
それは大型アラガミ『クアドリガ』
その変異種に対する攻撃として行われる極東第一・第六・第八部隊合同の強襲撃破作戦
ミッション名『ムーンライトソード』の作戦ブリーフィングであった
「なお現時点までで確認されている出現アラガミは『コクーンメイデン』『ザイゴート炎堕天種』『コンゴウ』『ボルグ・カムラン』および目標対象『クアドリガ・α』である、いずれも氷属性が有効であるため、使用属性の統一を推奨する」
作戦の打ち合わせは粛々と進む
各隊メンバーは戦闘員に
第一部隊隊長
第一部隊B分隊に
第六部隊より
第六部隊B分隊に
第八部隊に
第八部隊B分隊に
バックアップメンバーに医療班より
カノン、メイ
輸送ヘリのパイロットは
シンジ、コウ、ダイスケ、マミ、ナツカ、シイナの六人
オペレーターに第一部隊A-B担当ヒバリ
第六部隊A-B担当レイラ、第八部隊A分隊担当カズト、B分隊担当アスマの4人
防衛班や予備人員を除いた支部の殆どの人員を動員する大作戦である
「全員、作戦に異論はないな?
では総員出撃!」
《了解!》
出撃していく人員達
極東支部の中でも討伐班と呼ばれる第一部隊からの最精鋭を起用した以上
この作戦は絶対に成功させなくてはならない、そういう性質のものだ
「いつも通りやってくれ」
「お願いします」
「うっしゃ!……コマンドA
大門真司!発進ッ!」
「ブライト、頼む」「……」
「了解、コウ・ブライト、コマンドB発進します」
「俺のヘリに乗るなら、死ぬ覚悟は出来てるんだろうな?」「知ったことか」
「どうせみんなお金になる……!」
「ハハッ、なんてこった俺以上にイカれてやがる……面白え
コマンドC、この大森大輔がお前らを天国へエスコートしてやんよ!」
「マミさん、お願いします」
「シートベルトは締めた?」「もちろん」
「ならよし、それじゃあいきましょ?
何も怖くないわ!コマンドD、発進っ!」
「あいつら大丈夫かな……?」
「大丈夫よ秋人くん、私たちの育てた子達なんだから、信じてあげよう、ね?」
「そうだな……よし、お願いします!」
「相変わらずお熱いことで……コマンドE、
「よぉし……!」
ヘリに乗り込み、ケースに入ったままの神機を握る
「いつでも行けます!」
「頼んだ!」
「では行きますよ……コマンドF takeoffッ!」
トシオと俺の声に応え、この作戦の中核となるヘリパイロット、
他の隊の乗ったヘリ達も次々に飛んでいく
「俺たちはAとEの間、六角形のこの辺に行くことになるんだっけ?」
「そう、忘れんなよ?……きたきた」
空中を飛ばすヘリに寄って来たのは高空を飛んでいたザイゴートの群れ
「よぉし……」
アサルトを構えたトシオは素早くヘリのタラップに出て、そのまま神機を起動
アサルトお得意の速射でザイゴートを撃ち落としていく、その数なんと15体
こっちはともかくスナイパーとかブラストは大丈夫だろうか
このレベルの群れにぶつかってしまったら戦闘前にオラクルが枯渇してしまうのではないだろうか?
「いけそうか?」
「よゆーよゆー、オレ舐めんな」
トシオは軽口を叩きながらでも余裕がありそうだ
「こっちはもともとザイゴートの群れが居るあたりです、敢えてこのルートにしたのはアサルト組を対空に回すため、砂組はステルスフィールドでアラガミの少ない場所を突っ切ってますよ」
「じゃあブラストは?」
「問題ないの一点張り」
「「なら問題ないな」」
俺とトシオの声が重なる
第六部隊はイカれたメンバーの集まり、その逸話はウロボロス単独討伐に始まり
曰く、セクメト3体を炎ショートブレードで5分
曰く、ボルグ・カムランをパイロで焼き払う
曰く、独自改造型の神機でスナイパーライフルを連射して支部を防衛
曰く、オラクルアンプルを爆発させて遠距離攻撃を行うバスターブレード使い
少し考えればわかるようなデマのように聞こえても実話なんだからしょうがない
「突っ切りますよ……『ミスティックドレス』展開ッ!」
ブシュウウウウッ、音としては物が破裂するときのそれに近い音が鳴る
それは瞬間的に高密度なオラクル細胞を幕状に展開し、霧のように戦場に漂わせ
レーダー上では巨大アラガミと同様の存在になる
「ミスティックドレス展開時間残り600秒っ!」
この後にクアドリガの索敵範囲へ突入することを考えれば許される使用時間は極少
僅かな時間も惜しまなくてはならない
豊富なオラクル細胞が放出された事で
周囲のオラクル細胞濃度が向上、それを餌と誤認したアラガミの集合を招き
同時に巨大アラガミが唐突に出現するというありうべからざる現象によって警戒を招く
「いっくぞぉぉっ!」
畝るレーザーが次々にザイゴートを貫き
空中型・飛行型アラガミ『ヨルムンガルド』『サリエル』を撃ち倒していく
普段なら即座にオラクルが枯渇するところだが、今は周囲のオラクル細胞が放出されたレーザーを強化してくれるため、その火力の底上げと同時に使用弾数の削減を為し、アラガミの一方的な殲滅を可能としていた
「残り550秒っ!」
「おーらい、片付いたぜ!」
「ミスティックドレス停止、残りは540秒です」
「1分も使っちまったのか……」
「まぁしょうがないだろ、経費経費」
トシオの方は若干落ち込んでいるが無視した