「………ギィ……」
二週間、それが体感で眠っていた時間
ずっとオラクル損耗を回復するために眠っていた…みたい
今度は別に嫌な感じはしないけど
「ギッ!」
すっかり鈍ってしまった感覚を叩き起こして、体を動かし、まずは起き上がる
「ギジギナキュウ」
深呼吸して、体の軋みや痛みを確認する、ゆっくり丁寧に体をほぐして
…といっても、私の体は丁寧な扱いを要するほど複雑な構造をしていないのだけど
体をほぐしてから視界を見回す
場所は…贖罪の街のエリアE
端っこの影に隠れるような位置に転がっていたらしい、よかった、GEに見つかっていたら即死だった
「…ミュー…」
この頼りない声は、
「ガガォン?」
「ニュッ!」
近寄ってきた黒い球に
アバドン?
そう呼んだら驚かれた
私はそんなに死体じみてたのか?
「…ギィ…」
ため息をつきながら
そっとそれに近づき、いつものようにツノを繰り出すと、やはりいつものように
アバドンは背中を滑っていく
こいつ、私が危なくなったらすぐ逃げるくせに調子いいなぁ
「ガガキィキッ」
「ピッニィ、ミミキュア?」
可愛く首を傾げても無駄やぞおまえ
「ヒニキュウ、ミュッミィ」
「
騒がしいアバドンを黙らせて
まずは状況を確認する
いつかもやったけど、自身の細胞が活性化した後は、休眠状態から復帰するのに
多量のエネルギーを必要とする、そのために補給を必要とするのだけど
…今回はそんなこともないみたい
なんでだろう?
まぁいっか、便利なことに変わりはないし、体が動くに越したことも無いだろう
「ガーガァガァ?」
ラーヴァナと戦っていたのは覚えているのだけど…最後の一撃のあと、どうなったのだろうか?
……まぁ、私より先に目覚めて帰ったと言う可能性が濃厚だな
「…」
「ミュッミィ」
「ジギィ」
心なしか低温に感じる空気を吸って
私は廃材を探し始めて…
「ミュァァ♪」
アバドンがどこかへ走り去って…しばらくしたら廃材…スタングレネードを咥えて持ってきた
「
「ミュッ!」
「ガガゴンガッガギィ ゲッギィガケガィ!」
アバドンには勝てなかったよ
アバドン神属のアラガミはのちにハンニバルが出現するまで最速を誇ったアラガミ、鈍重で知られるアラガミであるドレッドパイクの私がアイテム回収競走で勝てるわけがない
勝とうとする事自体が間違いだったよ
いくら知識的にアイテムの落ちている場所がわかってもそこに辿り着かなければ意味はないのだ
「…ジュガァィ…」
「ミッツ!ミッツ!」
ドヤ顔しているアバドンが集めてきた
空腹を満たししているうちに
状況はだいたいわかった
アバドンは私を置いて逃げた後
実は戻ってきて、ドーム状の屋根の上に登って、私のことを見ていたらしい
それで私が吹っ飛ばされて動かなくなってからすぐに私を引きずって
ちなみに、ラーヴァナはというと
あの戦いの小一時間後には目を覚まして、すぐにフィールドから立ち去ったらしい
それは嬉しいのだけど
…なんというか、少し悔しい
相手は一時間で目を覚まして
私は二週間以上眠り続けていたなんて、完全に負けている証拠だ
たとえ一撃報いたとはいえ、それではあまりにも不完全だし、結局ラーヴァナを倒してのオラクル捕食もできなかった
「…ガァ…」
軽くため息をついた私は、まずもっと小型を食べて力をつけることを誓った
一週間ほど時間がたったが
倒したアラガミの数は
ザイゴート堕天×2、オウガテイル通常種×1堕天種×1コクーンメイデン通常種×2
私としては高いスコアだと思う
オウガテイルとか、それこそ
そのコクーンメイデンの質も少しずつ上がっているし、極東種は基本強い
私自身も極東に適応している個体だけど、個体の強さ的に突出しているとは言えないレベルであって
結局のとこオウガテイルやザイゴート、コクーンメイデンなんかの小型種を一体一体狩るのが精一杯である、
正直、
コア捕食で倒したザイゴート一体しかコアを取れていない…
私のリザレクション知識からするに、アラガミの進化は新たなコアの捕食によって起こるというのに、その肝心なコアを取り込めないのでは
せいぜいヴァジュラテイルのような微妙な成長が天井だとおもう
「…ギァ…」
ちなみに、私の外見はというと
ラーヴァナ戦後に得られた特長として、少し足が速くなった事と体の重量が軽くなった事、および
「
オラクルを込めるとツノが赤く輝いて、突進時に轟音を立てるようになった事
私はこの技を、かつて見ていたアニメの主人公の一人が使う大技をなぞらえて
ゴッドフィンガーと読んでいる
え?別にフィンガーじゃないだろって?……君のような勘のいいガキは嫌いだよ
「ガガォン」
「ミッツ!」
いつものようにアバドンを呼び、
贖罪の街の隅から出て
多少強化された視力で敵を探す
今日の獲物はどこかな?
どこのだれでもいいけれど
私たちが生きるために
糧になってよね