誰かが言った…この世界にみんなを平等に愛してくれる神が欲しいと……。
また、誰かは知った…神は平等に愛してくれないと……。
ある少女は思った…これは自身の信仰心が足りないからであると。
だかある少年は言った。
「なら!俺は君が!みーーんなが笑える楽しい世界を実現する!俺は最高最善の王になるから!」
純粋なその瞳には不思議と誰もが惹かれる輝きが宿っていた。
少年はある日街から姿を消した、少女のいる教会にも来なくなった……。
だが少女はこう思った…また会える気がする……根拠はないがいつも彼は自分を支えてくれた…だからその内ひょっこり現れる予感がすると……。
ーー時は戻りーーー
千年ほど前に遡る…あれは天使、堕天使、悪魔の第三勢力が戦争を行なっていたときのこと…赤と白の二天龍が三大勢力の戦争そっちのけで大規模な大喧嘩を始めた。
三大勢力は戦争などしてる場合ではないと思い初の共闘で二天龍に戦いを挑んだ…だが……。
戦いは非情なものだった…次々と倒れていく堕天使や悪魔、そして天使達…ドラゴン達の力の前になす術がなく全員が希望を捨て絶望のみが戦場あった。
そう……
王が現れるまでは
祝福の刻!
最高!
最善!
最大!
最強王!!
オーマジオウっ!!!
唐突に現れたその者はまるで悪趣味な黄金の時計の様な見た目をしており、仮面の複眼にはカタカナでライダーと記されていた。
「ふっ……。」
その者はドラゴンを目にすると鼻で笑って見せた。
ドラゴンを前にして全くと言っていいほど恐れていなかった、むしろリラックスしているかの様だった…。
『なんだ?貴様は??』
赤いドラゴンが問う…。
「私は…最高最善の王……オーマジオウ…。」
彼が…オーマジオウが名を名取ったと同時にその場の空気が一気に変わった。
オーラが違う、堕天使でも天使でも悪魔でもない…その場の誰もが思った…こんなオーラを纏った人物に勝てる訳がない…力の桁が違う……そう……化け物だ……。
『っ!』
『こ、こいつは……っ!』
二体のドラゴンもそれを悟った様だ、当たり前だ……この空気の中で意識を保ってるのが皆精一杯なのだから。
「お前達……ここはお前達の遊び場ではない…即刻消え失せろ…」
声はとても若いが力強く…一言一言がずっしり重い…先ほどまで戦争やドラゴンとの戦いで騒がしかったのが嘘だったかの様に静まり返りオーマジオウの声のみが聞こえる。
『誰かは知らんが!!二天龍にその口の聞き方!気に入らん!!死ねぇ!!』
白のドラゴンはオーマジオウの接し方に怒りを覚え魔力弾を放った。
いわゆるプライドが許さなかったのだ…白のドラゴンが放った魔力弾はオーマジオウに直撃した。
悪魔の一人であるサーゼクスは思わず目を背けてしまった、あの一撃で多くの同胞がチリと化してしまったのを何度もみてしまったからだ……。
だが…
「口の書き方??貴様こそ弁えろ…」
王には効かなかった……。
ゴォォォォォン!!
ベルトの両サイドにあるオブジェを叩くと鐘の音が鳴り響く。
「フッ!」
『っ!?奴め!どこに消えた!?』
ドラゴンの前からオーマジオウは姿を消した。
ドラゴンは何がなんだかわからないと言ったところだった……。
すると上空から光の速度で巨大なカードがドラゴンを囲うかの様に円を作り胸の前まで伸びていた。
ディケイドの刻!ファイナルアタックライド!!
「ハアァァァァァァッ!!!」
『なに!?ぐあっ!!?』
カード順に通り抜けて行きドラゴンにディメイションキックをくらわせた。
オーマジオウの一撃を受け白のドラゴンは勢いよく吹き飛ばされた。
『ぐっ…このっ…俺がっ!アルビオンが……ッ!ぐあぁぁぁぁっ!!!』
断末魔を挙げその場で力尽き爆発した。
それと同時に辺りは響めきが生まれた。
そりゃそうだ、先ほどまで自分たちを苦しめていたドラゴンをたった一撃で亡き者にしたのだから。
「おいおい…あれを……たった一撃で…。」
驚きを隠さずたらたらと汗をかく堕天使総督…アザゼルは唾を飲み込み一歩も動かずにいた。
「彼は……味方……なのでしょうか……?」
あれほどの力を目にしてもし敵だったらと言う不安を抱える大天使ミカエル、あの力の前に神の力を持ってしても恐らく、いや確実に敗北は目に見えている。
「オーマ……ジオウ……」
サーゼクスはミカエルの問いに答える事が出来なかった、突然現れた強大な力……果たしてこれは味方と取れるのだろうか?仮に…もし仮にドラゴンを葬った後に、次に葬られるのは我々なのかもしれないと思ったからである。
『き、貴様…アルビオンを一撃で……!』
赤いドラゴン…ドライグもその力を前にして心が折れそうであった。
二天龍として恐れられていた一匹が一瞬にして無になったのだから。
「ほら?貴様はどうする?大人しく巣に戻るか、あのドラゴンの後を追うか……」
とても落ち着いた声でドライグに問う…この数秒の間、緊張に包まれていてアザゼルとミカエル、そしてサーゼクスは息をする事さえ忘れていた。
「早くしろ、出ないと手遅れになるぞ?」
オーマジオウのこの一言でドライグの決断が済んだ。
『オーマジオウとか言ったか?お前は確かに強い…だが!!この俺に!!尻尾を巻いて逃げろだと!!?侮辱するのも大概にしろ!!!』
そう……彼は決断を放棄するのを決断したのだ、考えても無駄だと思ったのだ。
ドラゴンとしてのプライド…そして勝てないと言う、事実。
そしてドライグは最後の悪あがきで最大規模の魔力弾を放とうとするが
「愚か者……」
オーマジオウの氷よりも冷たい声でドライグは心が折れてしまった。
やはり……逃げればよかった…と今更ながら後悔をした。
ゴォォォォォン!!!
再び鐘の音が響き渡りオーマジオウは宙に空きドライグに向かって蹴りを放つ。
終焉の刻!!!
逢魔時王必殺撃!!!
「ウォォォォォォッ!!」
『グギャァァァァァッ!!!!!!!』
ドライグの断末魔と共に大爆発を起こしてドライグもまた葬られた。
爆発した後のクレーターに佇むオーマジオウ…死んだドライグとアルビオンに向けて言い放つ。
「お前達に私を倒す事は不可能だ……なぜかわかるか?私は……生まれながらの王であるからだ…。」
ゾワっとその場にいた三大勢力すべての者達が鳥肌を立てた。
するとそっとオーマジオウは皆がいる方を向きゆっくりと向かってきた。
やはり今度は我々か!そう思ったサーゼクスアザゼルミカエルは戦うことを決意したがオーマジオウからは真逆の言葉が聞こえてきた。
「む?あれは……負傷兵か?どれ……」
向かう方向を変え負傷兵達のいる場所に向かった、負傷兵達の前に立つと右手を軽く添えて淡い光を放った…するとどうだろうか?先ほどまで死んでもおかしくない怪我を負っていた者達が次々と治っていく。
「これで、全員か……」
「き、君は…なぜ…我々を?」
サーゼクスは恐る恐るオーマジオウに近づいて聞いた。
なぜ助けたのかと、素朴な疑問だあった…見ず知らずの我々を助けてなんになるのかと。
「なぜ、だと?理由か…それは私が王だからだ」
「え?」
「お前達の中にも家族や友人を残し、戦場に足を運んだ者だったいるだろう?あのドラゴン達のくだらない争いごときでその者達の涙を流させるわけにはいかない、だから助けた…生きたいと、死にたくないと手を伸ばしたお前たちの手を掴んだだけだ……私は王だ…だから助けを求める者を見捨てはしない。」
愚かだった…自分達は愚か者だ……先ほどまで敵と疑わなかった事が恥ずかしい……と誰もが思った。
死と言う絶望の淵から彼は救い出してくれたんだ…。
気づけばサーゼクスは涙を流している事に気付いた……その場に膝を尽き大の大人が涙を流しながらかすれた声で
「ありがとう……ありがとう……!」
するとオーマジオウはサーゼクスの肩にそっと手を置いた。
「礼を言う必要はない……私がやりたくてやっただけだ……それにここまで持ち堪えたのは他でもなくお前達だ…私は横槍を入れたにすぎない…この勝利はお前達は勝ち取ったものだ…」
サーゼクスはあたりを見ると涙を流しているのは自分だけではなかった、悪魔のみんなもだが堕天使達や天使達でさえも彼の言葉に涙を流していた。
ミカエルやあのアザゼルでさえも。
「おっと、長居はしていられないな……」
そう言うとオーマジオウの後ろに灰色のオーロラが現れる。
「ど、どこへ?」
「私の帰るべき場所に帰る。」
「ちょ、ちょっとまちな!俺たちはまだあんたになんの礼もしてねーのに帰るだなんて!」
「先ほども言ったが…礼などいらん……」
そう言い終わるとオーマジオウはオーロラの中に入って行きオーロラごと姿を消した……。
その後オーマジオウの事は魔界中、天界中に広がり英雄として崇められた。
そしてある本にはこう書かれていた……
ー彼は英雄にして最高最善の王であるー
逢魔降臨歴より……。
ーー時代は遡り現在ーーー
ピピピピピピッ!
アラームが響く中ベット上でモゾモゾしながら出てくる少年。
「ふぁ〜…ん〜もう朝か……。」
部屋の扉を開け一回に降りると叔父が料理をテーブルに運んでいた。
「あ、ソウゴくん!おはよう!相変わらず朝は眠そうだね!ささっ!朝ごはんできてるから、冷めないうちに食べちゃって!」
眠い目を擦りながら椅子に座ると目の前に美味しそうにこんがりと焼けたパンにパリパリに焼けたウィンナーとふわふわのスクランブルエッグがあった。
別のお皿には新鮮で水々しいサラダも盛り付けてあった。
「おおー!今日も美味しそう!いただきまーーす!!」
これが最高最善の王、オーマジオウこと常盤ソウゴの1日の始まりである。
どないです?まあ近いうちに続き出せたら出してみます