リリカルクロス~裏切り者達の歌~   作:ドラゴマキナ

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舞台の裏で

??side

 

 

 

「では、これで交渉成立、だな?」

 

目の前で不気味さを醸し出しながら微笑む、1人の男。

紫色の髪と金の瞳、そして凄まじい頭脳を持つ男。

 

「貴様は貴様の欲望のままに研究を行い、我々は我々の欲望のままに力を振るう。そして敵もほぼ同じ……今になってやっと手を組むのが不思議ではあるがな」

 

その男に、もう1人の男が話していた。

神経質そうな目にサングラスを掛け、髪はオールバックにしている。

 

「ふむ。まあそれは構わないが……気を付けた方が良いよ?私は君達を敵だと見なした瞬間、排除に乗り出すだろうからね」

 

楽しそうに笑うその紫髪の男の様子に、オールバックの男は仏頂面となる。

 

「あまり調子に乗らないで貰いたい。そちらの戦力も確かに強力だろう。しかし……オーヴァードの力を、舐めるなよ?」

 

そう言い残すと、彼は行くぞ、と僕等に合図してその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、マッドサイエンティストめ」

 

歩きながら、オールバックの彼……キョージ・カスガは溜息をついた。

 

「……不服、ですか?」

 

キョージさんを挟んで僕の反対側を歩く黒い短髪の女の子が抑揚のあまり無い声で問う。

 

「まあ、な。あの手の輩は中々次の行動が読めん……本当に裏切ってくる可能性もある」

 

確かに……得体の知れない人だったなぁ。

 

「しかし、それでもあの頭脳がかなりの役に立つのも事実……それを上は優先したのだろう。ならば従わざるを得まい」

 

業腹だがな、と彼は締めくくる。

 

ある程度移動して、賑やかな街へと出た。

 

(さて。貴様等は他に為すべき事があるのか?)

 

(私は、無限書庫へ。まだまだ調べるべき事は多いので)

 

(そうか。今の所、無限書庫へ入る伝手があるのは貴様だけだったな。よろしく頼む)

 

(了解)

 

念話で会話した後、その子は会釈すると歩き去っていった。

 

(シン、貴様はどうするのだ?)

 

(僕は……今の所はやる事無いですね。本部に戻ります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……この世界の事は、イマイチ良く解っていない。

 

ダンプに衝突……それを経験したと思ったら、気が付いたらこの世界に生まれていた。

 

何か得体の知れない研究所に連れて行かれて実験体にされ……そしてキョージさんに救われた。

 

『君は、力を手に入れた。君はどうしたいかね?』

 

それは、救われた時に言われた言葉。

 

『勿論、君はその力を隠しながら生きていく事も出来る。それでも、力はいつか君自身を呑み込むだろう』

 

それなら、と彼は続けた。

 

『力を自ら使う事で手懐け……そして自らの願いを叶える。その方がよっぽど良いとは思わないか?』

 

『この力……使いこなせるんですか?』

 

そう、震えながら僕は尋ねたのを覚えている。

 

『勿論。力の使い方を教え、世界を変革する為に我々は……ファルスハーツは存在しているのだからね』

 

彼は笑って、手を差し伸べてくれたのだった。

 

こんな、オカシナ力を持つ僕を。

 

 

 

 

 

「……ふう」

 

訓練スペースにて。

回想を終えて、息を吐き出す。

 

何だかんだで、僕はこうやって生きている。

 

色んな人が……様々なオーヴァードが、命や理性を失っていった。

助けられなかった。

救えなかった。

 

僕の力は、まだまだ足りなかった。

力を使って何を叶えたいかさえ、まだ見つかっていない……。

 

早く、見つけたい。

その為に、もっと強くならないと。

 

右手に、研究所を脱出してから初めて買った、龍の形をした御守りを握り締め、剣をイメージする。

 

強く、強くイメージして、呟く。

 

 

 

「投影、開始」

 

 

 

そうすると、御守りは剣に姿を変えた。

 

輝きは黄金。

渾身の一撃が勝利を引き寄せる、まさに聖剣。

 

だけど、違う。

これは偽物だ。

 

本物の輝きは、きっとこんなものでは無いだろう。

本物の神々しさは、きっとこんなものでは無いだろう。

 

投影、なんて良いものじゃない。

僕の力……モルフェウスと言うらしい……は、あくまで自分の思うがままの形をした、「ただの」武器を創っているだけに過ぎない。

だけど、ああやって呟けば、いつもより強い武器が創れるから呟いているだけの話。

 

要するに、「おまじない」なのだ。

僕が強くなる為の。

僕がより沢山の人を助けられる様になる為の。

 

あの。

正義の味方を目指した人の様に。

 

「ふっ、はっ、せっ!」

 

その為に、今日もまた素振りを続ける。

 

強く、なるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジside

 

 

 

「ファルスハーツ、ですか?」

 

3隊長こと、なのは、フェイト、はやてと、周平、俺の合わせて5人は、部隊長室でとある人物と通信で話をしていた。

 

ユーゴ・ミストライト二等陸佐。

 

この人が、周平の上司で、レネゲイド課の部隊長か……くそ、知らなかったのが余計に残念だ。結構優しそうな人じゃん。

 

『はい。相変わらず、たまに見つかる違法研究所の摘発も行っていますが……その影に、ある組織の存在が浮かび上がってきました。それがファルスハーツです』

 

違法研究所、と聞いてフェイトの表情が僅かに堅くなり、手に力が入る様子が見えた。

 

「それは。どんな組織なんです?大体。ろくでもないというのは解りますが」

 

周平の質問に、ユーゴさんは頷く。

 

『基本、レネゲイドは広く公表されている訳ではありません。これは周平君には以前、話した事があると思いますが……他の皆さんも、オーヴァードというのは、普通の外見は何も他の魔導士や一般人と変わらない、というのは解りますよね?』

 

3人が周平や俺を見てから、頷く。

 

『オーヴァードには、確かに不安定な危険性が付きまといます。あまりレネゲイドが広がっていないはずの世界でも、この存在を公表してしまえば、多くの人が疑心暗鬼に陥り、大混乱となるでしょう』

 

あー、確かに。

自分の知り合いがもしかしたらオーヴァードで、暴走するかもしれない、なんて疑い始めたらキリがない。

 

みんなが納得したのを確認し、ユーゴさんは続ける。

 

『ですから、主にレネゲイド課が率先して、レネゲイド関連の事件や犯罪については解決しようとするのですが……ファルスハーツはその逆の立場の様です』

 

「逆、と言うと……レネゲイドを公表しようとする、って事ですか」

 

ユーゴさんの言葉に、なのはが返す。

 

『ええ。抑圧される事無く、その力を振るい、自らの願いを叶えろ。その様な事を話しているそうです……詳しくは不明ですがね』

 

「あかん……ただでさえ不安定な力を、それぞれバラバラな方向性のまま放置したら……」

 

はやての言葉に、同感です、とユーゴさんも少し語気を強めた。

 

『確実に、被害が広がると見て良いでしょう。それだけは、阻止せねばなりません』

 

まあ、主にレネゲイド課が対応する事になりますが、と彼は続ける。

 

『さて、ここからが本題ですね。機動六課が取り扱うロストロギアの中に、レネゲイド関連の物があるかもしれません。そうすると、それを狙うファルスハーツの人物の存在も否定出来ません』

 

「それを見つけたら要警戒、そして速やかにレネゲイド課にも連絡を、やね。了解です」

 

『ありがとうございます』

 

はやての了解を得てユーゴさんは微笑み、今度は視線を移した……って俺?

 

『それと、レイジ君、でしたね?あなたの身体の検査を行いたいので、明日にでもこちらに立ち寄って戴けませんか?』

 

「あ、はい……解りました」

 

『よろしくお願いします。それでは、今日はこれで』

 

その言葉を最後に、ユーゴさんとの通信は終わったのだった。

 




やれることをやった。後悔はしているが反省はしていない。
という訳で(?)新たな転生者、ファルスハーツ、キョージ・カスガと新登場テンコ盛りです!
やっぱり、FHは必要かな、と思ったんだ、うん。
こんなに早く書けるとは思わなかった……けど、やたら疲れましたww

感想やアドバイスお待ちしております。
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