レイジside
「うわぁ……」
「広い……」
「うお、これは……」
「おー、良い感じだな」
エリオとキャロが、目の前の大きな浴槽を見て感嘆の声をあげる。
その隣で、俺とレオンも思わず呟いていた。
「っと……とりあえず頭洗ってやるか。こっち来いよ2人共」
「え……あ、大丈夫ですよ」
「えっと、ちゃんと自分で出来ますから」
「別に遠慮とかしなくて良いのに。よし。僕がエリオをやってあげるから。レイジがキャロをやってあげなよ」
おい周平。
何で俺をキャロ担当に決めつけるんだ。嫌がらせか。
それでもまあ、とりあえず躊躇いがちの2人を引っ張って俺と周平の前に座らせ、赤髪と桃髪をにシャンプーを付けた両手でワシャワシャとしてやる。
レオンは自分だけをしてから湯船に浸かり。
その次にエリオとキャロが、それから自分の身体を洗い終えた俺と周平が浸かる。
ふと、俺の目に「こちら露天」という文字が見えた。
……行ってみるか。
「ちょっとあっち行ってくるわ。2人をよろしくな」
「解った」
「……ふう」
湯の気持ち良さに溜め息をつきながら、空を仰ぐ。
今日は晴天、しかも満月と、なかなか良い感じだ。
周りに案の定、人はいない。この調子だと、女性の方も似た様な感じだろう。
和めるな、こういうのは……悪くない。
レネゲイド。
オーヴァード。
ジャーム。
「……一体何がどうなってんだか」
もうこの状況に身をおいて数年にもなるにも関わらず、思わず口に出てしまう。
原作にこんなモノは当然無かった……ハズ。
そういえば漫画……Forceに何かウィルス出て来てたな……ちょっとしか読んでないんだけど、何だったっけあれ。
まさかあれがレネゲイド……?
いや、だとしても。
この世界だと、レネゲイドは10数年前に発見され、しかも発症者はまだ多くないものの、ある程度広がっているらしい。
しかも、もうレネゲイド対策の部隊も設立されていて、機動六課とも提携している。
この時点で、もう原作とは変わっている。
……やっぱり、俺とかの「転生者」の存在によるバグみたいなモノか……?
だとしたら、俺って悪い事したんじゃ……。
と、そんな事を考えていると。
戸が開く音が。
どうやら、人が露天風呂に入って来たらしい。
誰だろ……周平か、もしくはレオンか?
あ、エリオがキャロから逃げて来たという可能性もあるか。
その音が開いた方を見る……ってあれ?
あっちって……あれ、俺が来たのはこっちだよな。
そんな疑問が俺の頭をよぎった次の瞬間、入って来た人の姿が明確に見えてしまった。
空に浮かぶ満月の様に綺麗な金髪。
透き通った輝きを放つ紅の瞳。
バスタオル越しでも大体解ってしまう身体のライン。
「……え?」
「……あ」
そう、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだった。
「え、えええぇぇぇ!?な、何で!?何でレイジがいるの!?」
「い、いやそれ俺の台詞だから!こっち、男湯だよな!?」
「ええ!?違うよ、私確かに女湯の方から……はやてから逃げて来たんだよ!」
……一体何やったんだあの狸部隊長。
そんな事を考えながらも、ふと脳内に引っ掛かるとある文字。
思わず、あ、と声を漏らしてから、首を傾げるフェイトに確認。
「なあフェイト……もしかして、この露天……『混浴』って書かれてなかったか?」
「……………あ」
……少しの間、奇妙な沈黙。
「……うん、悪い。俺出るわ」
「え、あ、その!私が出るよ!レイジが最初に入ってたんだし!」
「いやいや、フェイトははやてから逃げて来たんだろ?俺が出れば問題無しだ」
「いやでも、最初に勘違いしちゃったのは私の責任だし!」
「いやいやいや……!」
「いやいやいや……っ!」
……やっといてあれだけど、何だこの会話。不毛過ぎる。
「……あー、とりあえず、浸かった方が良いって……風邪引くぞ?」
「え、あ……う、うん」
ゆっくりと湯船に身を沈めるフェイト。
……ヤバいな。
さっきのは一瞬だった筈なのに、フェイトのバスタオル姿がやたら目に焼き付いてしまってるんだけど。
目をフェイトから逸らしながら、何とか気持ちを落ち着けようと努力してみる。
「……ふふ」
「……どした?」
フェイトがちょっと笑ったのが気になって、聞いてみる。
「あ、ううん。……こうやって誰かと一緒にお風呂に入るのは久し振りだな……って。ちょっと前には、エリオとかキャロとか、一緒に入ってたんだけど」
「あー……まあキャロはともかく、エリオは流石に勘弁してやったら良いんじゃないかな。一応男だぞ、あいつも」
「え……でも、まだ10歳の男の子だよ?」
「男の子でもそれ位の年ならキツいものはキツいんです」
「そうなの?」
「そうなの」
……何だ、意外に普通に話せるじゃん。
上を向いて深呼吸……よし、このまま乗り切れば……。
「って、うぉう!?」
考え事をしている間に、フェイトが近付いてきて、訝しげに俺の顔を見ていた。
「どうしたの、ぼぅっとして……」
「な、何でもない」
そうやって誤魔化すが、フェイトはじっと俺の顔を見たまま。
それから、また微笑んだ。
「ん?今度は何?」
「……だいぶ、暖かそうな眼になったなぁ、って」
あー……前にも言ってたな、それ。
「……そうか?あんまり変わった気がしないけど」
「ううん。変わったよ、確かに」
そう言いながら、フェイトは移動して、俺の側に並んで座る。
そして次に、俺の身体に来るどこか柔らかい感触。
……ん?え?あ?
密着、され、てる……!?
「えーと、その、ふ、フェイトさん?これはどういう状況?」
「まだ、ちょっと寒そうな眼だから……あっためてあげようかな、って。ほら、人が側にいるとあったかくなるでしょ?」
いや、確かにそれはそうだろうけどさ!それって体温の話じゃねぇの!?
と、いつもならすぐさまツッコミを入れるんだが……今の俺にそんな余裕は無い。無いったら無い。
ていうかヤバい。
密着した肌の柔らかさとか。
金の髪からほのかに来る良い匂いとか。
うなじの辺りとか。
バスタオルでかえって強調されてそうな胸元とか。
とりあえず俺の理性がヤバい。
い、いや、落ち着け俺!きっとこれはあれだ!レネゲイドが予想外な状況で活性化しちまってるんだ!
ってそれもそれで問題だよ馬鹿野郎!
そんな風に内心ではギャーギャー騒ぎながらも、身体は慣れない感覚に硬直中。
「ふふ……でも、こういうのも久し振りだなぁ……エリオにもキャロにも、こんな事は出来なかったしね……」
頭を俺の肩に乗せながら言うフェイト。
いや、そういうのはなのはにやれば良いんじゃないかな!
密着度合いが更に増して俺辛いんですけど!
……え、俺マジでどうしたら良いの?
何かこっちからもアクション起こすべきなの?
いやどうすんだ。うっかりして墓穴掘りたくないぞ。
そんな風に少々まともじゃない思考の後。
俺はふと右腕を伸ばしてフェイトの肩に回した。
……って。
何やってんだ俺ええぇぇ!?
フェイトを抱き寄せる様な形になってむしろ密着度合い増すじゃねーかこれ!?
内心とんでもなく焦る俺だが……何故かフェイトは抵抗もしない。
……え、えーと。
このままでとりあえず問題は無い……のか?
そんな訳で。
そのまま少しの間、心中穏やかじゃないままで2人の時間を過ごしたのだった。
おや?レイジのフェイトへのロイスの様子が……?
まあ、まだ本格的な変化は無いけどな!
とある作者のとある作品のついこないだの展開で何か来たので書いてみた。後悔はしていない。
……2828って結構書くの苦労しますよね。改めて思い知りました。
うーん……。
まあ、感想やアドバイスは是非下さい。それを参考に色々考えてみようかな、と思ってたり。
……未だに10000UA記念の話が決まらない……orz