色々あって、研究所
超展開ってのは、重なって来るもんなのだろうか。
1つ目。
事故で死んだと思ったら、いつの間にか人生リスタートしていた。
2つ目。
どうやら転生したみたいで、しかもその世界は「リリカルなのは」だった。
3つ目。
通う事になった小学校が、「聖祥大付属小学校」で、しかも主人公こと高町なのはと同じクラスになってた。
4つ目。
ある日、家族で飛行機に乗って旅行に行ったら飛行機が墜落、気が付いたらどっかの実験施設で実験体になっていた。
とまあ、こんな事を体験している訳で。
今は実験施設を転々と移動されられながら、実験されている。
いきなりで申し訳ない、とりあえず自己紹介だ。
転生してからの名前は、名倉周平。
ここで実験体にされてからは、17番と呼ばれている。
普通に取り立てて特徴も無い、黒髪黒眼の少年だ。
魔法だって、全然使えなかったし。
過去形になってるのは、今なら使えるから。
僕が今されている実験は、リンカーコアが無い、つまり魔法が使えない人間にも魔法を使用可能にしようというもの。
それに使われているのが、「レネゲイド」という特殊なウィルス。
これに感染し、うまく行けば、「オーヴァード」という特殊な魔導士になる事が出来、魔法も使える様になる……らしい。
まあ、僕は実際に魔法を使ってる訳で。だから、研究者から聞いたこの話も当たっているのだろう。
ただ、このウィルスに感染、発症するだけで魔法が使える……なんてタダで美味しい話じゃない。
当然、リスクが伴う。
僕等、オーヴァードは力を使えば使う程、理性を無くしていく。
力の使い過ぎ、もしくは感情の起伏等により、暴走状態に陥る事がある。
そこから元に戻る事が出来たなら、それは問題無い。
けど、暴走状態が続いてしまえば……いずれ、ジャームと呼ばれる、ただの化物に成り下がる。そうなれば、もう元には戻れない。
ジャーム化した「実験体仲間」達は、みんな姿を消した……多分、「処分」されてしまったんだろう。
そんな感じで、ジャーム化の恐怖に怯えながらの実験に僕等は付き合わされているのだった。
で。
『では、これより実験を開始する』
僕はまた実験戦闘に駆り出されているのだった。
主に行われるのは、データの採取。
とにかくレネゲイドについて解らない事は多いので、戦闘を多くするに越した事は無いんだとか。ちなみに、新しい、オーヴァード用のデバイス等のテスト等も兼ねる事がある様だ。
そして、僕等実験体達も、意外にも協力的な奴が多かった。
勿論、抵抗したり、嫌な顔をする奴もいる。
だけど、大抵の奴は努力している。とりわけ、能力のコントロールにおいて。
完璧に暴走しなくなれば、この研究から解放される。
そんな噂が、どこからともなく流れていたせいでもあるのだろう。
もっとも、解放されてもどうなるか解ったもんじゃないんだけど。
この研究所が有るのは、地球でもミッドチルダでもない、どこかの管理外世界という事しか解ってない。
そんな所じゃ、外でもやっぱり無事の保証は無い。脱走を考えなかった理由がそれだ。
さて、僕の目の前には、1人の少年。
僕と同年代……中学生位だろう。
いつも隅っこにいる、大人しい美少年なんだけど……戦えるのか?
『それでは、17番と32番、戦闘を開始してくれ』
スピーカーからのアナウンス。
さて……。
腰を屈め、幾つかの体勢にいつでも移行出来る様に準備して、相手の様子を窺う。
まだ相手の能力を知らないから、慎重に。
と。
相手は手に持つ物……注射器をいきなり首に押し当てた。
パシュ、という音と共に中身が相手の体内に打ち込まれる。
変化は、一瞬だった。
「う、ぐうウウ、ウぐグ、グア、ガアアアアアアアアア!」
叫び声と共に、その身体が大きく隆起。
服は破れ、先程までの結構な美少年の姿は無くなった。
目の前にいたのは、1匹の獣。
頭は狼、細かった手は凶悪な鉤爪に変わり果て、全身が白い毛並みに覆われている。
ちなみに、その大きさは3メートル前後。
……嫌な予感しかしない。
早めに対処した方が良さそうだ。
赤紫色の炎の魔力弾を数発生成。
敵めがけて発射。
「グガアアアア!」
大して怯まずに、敵はこちらに突進してくる。
魔力で重力を操作、跳躍力を高めて横に跳び、回避。
「ガアアアアア!」
電撃を纏いながら振るわれる鉤爪を、しゃがみ、後ろに跳び、魔力弾をぶつける事で避けていく。
……もしかしてさっきの注射。意図的に暴走させてるのか?
ってやば!
「ぐあっ!?」
考え事をしてたら、肩に鈍い痛み。掠ったか。
「いてて。やってくれる」
こりゃ、手抜きは無理だな。全力じゃないと。
魔力収束。
ちょうど、敵との距離は離れている……今がチャンス。
喰らえ、僕の全力全開……!
「レッドシフトブレイザー!」
高温、重力変異を伴った砲撃が、相手の身体に直撃した。
……砲撃だけを練習し続けた甲斐があった。
イメージは、勿論あの子の砲撃。
やれば、案外出来るもんだ。威力はまだまだかもしれないけど。
『そこまで』
相手が動かない事を確認し、戦闘終了を知らせる声。
『なかなかの威力だ、17番』
「練習し続けた。それだけだよ」
『しかし、新薬でもこの有り様か。もう少し改善の余地が有るな』
そう話していると。
ビーッ!ビーッ!
けたたましいアラームが鳴り響いた。
スピーカーの向こうから、声が漏れ聞こえてくる。
『大変です、侵入者です!数はおよそ20!』
『……身元は?』
『はい、時空管理局の連中です!モニター映します!』
時空管理局。
来てくれたのか。
『嗅ぎ付けられたか。よし、撤退するぞ。出来る限りの実験体を移送する。17番、君にも来て貰おう』
戦闘スペースのドアが開き、大男が3体入ってきた。
……ガシャン、なんて歩く度に音がしたり、マスクで隠れてる隙間から赤い光が見えたりしてるけど。
これあれだよね。ぶっちゃけロボットだよね。
「32番は?」
『動けない奴に用は無い。今は君の方が重要だ』
と。
派手な音がして、別のドアが吹き飛んだ。
そこから飛び込んでくるのは、1人の少女。
「時空管理局です!大人しく投降して下さ……あ、あれ?」
それは、白が似合う少女。
はは。
流石主人公だ。
「久しぶり。高町なのは」
という訳、始まりました。
主人公の1人、名倉周平の登場、及び軽い戦闘です。
あっさりしてるのは……技術不足ですすみません。
ただ、相手も暴走していて、単調になっていたというのもありますが。
なのはさんも登場し、超展開が続くと思われます。
……感想やアドバイスをお待ちしております。