周平side
「到着だよ~」
……ほんと久し振りだね……海鳴市。
僕が連れ去られてから、もう1年は経ってるのか……そりゃ懐かしくもなるよね。
で、僕の目の前には喫茶店「翠家」が。つまりはなのはの実家な訳で。
「……えっと。本当に良いの?僕が。居候させてもらって」
「うん、大丈夫だよ。部屋も1つ余ってたはずだし」
そう言いながら、なのははドアを開ける。……いや、部屋だけの問題じゃない様な……まあ良いか。
「いらっしゃいませ……と、なのはか。お帰り」
「お帰りなさい。……あら?そちらは……」
そこにいたのは、なのはの父親、高町士郎さんとなのはの母親、高町桃子さん。
「……えっと。お久しぶりです。士郎さん。桃子さん」
「……周平君……!」
こっちでは、飛行機事故の際、遺体が乗客者数と釣り合わず、神隠しだとか何だとか色々騒がれていたらしい。
僕がここ1年程で何をやっていたかは、なのはと念話で相談しながら説明した。
で、肝心の居候のお願いについては、あっさり了承してくれた。
なんでも、衣服などもまた今度揃えてくれるとか……感謝してもしきれない。
さてと、後は学校か……。
せっかくだし、やっぱり顔は出したいよね。
そう考えると、僕は高町家の電話を借り、受話器を手に取った。
次の日。
僕は中学の制服を着込み、とある教室の前にいた。
良かった、少し大きめのを買ってたから今は丁度のサイズだ。
昨日の電話で、先生に話を通した。
あまり僕が帰ってきた事を騒ぎ立てて欲しくない、という事を伝え、そして新たに転入する、という形にして貰った。1年位の授業のブランクはあるけど、そこは前世でそこそこ(?)優秀な高校生だった僕だ、問題ない。
「さて、ここでサプライズがあります」
朝礼中の部屋の中から、先生の声が聞こえる。
あんまりプレッシャー掛けないで欲しいです先生。いや、前年度と同じ先生だから喜んで貰えるのは嬉しいんですが。
「さ、入って来て下さい」
……何で僕こんなに緊張してるんだろ。
ええい、ままよ。
ドアを開け、中に入る。
(頑張って、周平君!)
!
見れば、真ん中辺りの席に笑顔のなのはが。
ざっと見回せば、フェイトやはやても。
うわ、アリサ・バニングスと月村すずかもいる。
他にも何人か、雑談をしたり、ふざけ合ったりした奴が、いる。
なのは、フェイト、はやてを除き、前年度同じクラスだったそいつ等は皆、口をパクパクさせていた。
「……えっと。知らない人ははじめまして。知ってる人はお久しぶり。名倉周平です。まあ。色々あったんだけど。こうやって戻ってこれました。……これからもまた。よろしく」
自己紹介をして、頭を下げる……すると、皆が拍手で迎えてくれた。
……ほんと優しいなぁ、皆。
休み時間には散々質問責めにあったけど、事故後については覚えていない、という事でやり過ごした。
大した問題は無く。
授業も普通に受けて。
……日常に戻って来たんだな、と漠然と思う。
それでも、僕がオーヴァードである事は変わらない。
いつ、衝動に襲われて化物になってしまうかも解らない。
このまま、普通に日常を過ごすか。
なのは達と共に、再び魔法の世界に足を踏み入れるか。
……どうしようか。
そんなこんなで、1週間が経過。
僕は授業にも普通に参加し、クラスメートとも普通に話し、すっかりどこにでもいる中学2年生になっていた。
授業を終えて、なのは達と一緒に教室を出るのもいつも通り。
なんだけど、たまに殺気の籠もった視線を感じる。
まあ、美少女だもんね、なのはもフェイトもはやても。後、アリサもすずかもか。
……言いそびれてるけど、高町家に居候してる、なんて言ったら殺されそうだ。
「あ、そうだ。周平、今から時間大丈夫かな?」
フェイトが思い出した様に言う。何だろ。
「まあ。暇だけど」
「周平がミッドチルダで、とある人に呼ばれてるらしいんだ。こっちに寄ってもらえないかな?」
僕が?
何で呼ばれるんだ。何か悪い事は……してないよね?
でもまあ、呼ばれてるんなら仕方無いか。
「解った。ごめん。なのは。士郎さんに帰るの遅れるって言っといて」
「うん、解ったの」
そんな訳でミッドチルダ。
僕はリンディ・ハラオウンさんに連れられ、とある喫茶店に来ていた。
「えっと……あ、いたいた。あそこで手を振っている人の所に行って頂戴。じゃ、悪いけど、私はちょっと用事があるから失礼するわ。また、迎えに来るから」
「はい。ありがとうございます」
リンディさんと別れ、僕は穏やかな笑みを浮かべている男性の所へ向かう。
「わざわざ呼び出してすみません。君が、周平君ですね。私は、ユーゴ・ミストライトといいます」
男性……ユーゴさんは僕と握手し、椅子に座るよう促した。
「さて、貴方に話があるのですが……その前に、飲み物でもどうです?ああ、私が支払いますから気にしなくて結構ですよ。ここのコーヒーは美味しいんです」
「……えと。カフェオレを」
解りました、とユーゴさんはコーヒーとカフェオレ1つずつを注文をする。
注文を聞き終えたウェイトレスが去っていった所で、さて、と彼は口を開いた。
「君はつい最近実験から解放されたオーヴァード。そうですよね?」
「はい」
素直に頷く。
「君が解放されたのと同じ研究所には……理性を保てているのはほんの数人しか残っていなかったそうです。残りは全て、ジャーム化していた、と」
暗い口調で彼は続ける。
「最近、レネゲイドの違法研究所の摘発が2、3件行われましたが……そこで発見された実験結果に、時空管理局内ではオーヴァードに対する不安感や危機感が高まっています。高い能力を持つ者が暴走してしまえば、大きな被害を出してしまう以上、仕方ありませんが」
しかし、とユーゴさんは運ばれてきたコーヒーを口にした。
「オーヴァードは、君の様に見た目は人と変わらないんです。今はまだ、レネゲイドが蔓延していないと信じてはいますが……近い将来、徐々に広がっていったとするなら、最悪の場合、無差別にオーヴァードとして処分される、といった状況も来てしまいかねません」
ふむ……。
つまり、魔女狩りじみた事が起こるかもしれないって、ユーゴさんは危惧してる訳だ。
「……私自身も、オーヴァードです。出来れば、オーヴァードも、魔導士も……どんな人間も共存出来る様な世界を目指したい。その為に、オーヴァードによって構成された部隊を、時空管理局に作りたいのです。世界の平和を、魔導士達と共に護る事。それこそが……私達オーヴァードを、人間たらしめてくれるのですから」
ここまで話すと、ユーゴさんはまたコーヒーに口を付けてから、真摯に僕を見た。
「前置きが長くなりましたね。私の話……というか、お願いなのですが。……君に、私が作ろうと思う部隊に入って頂きたいのです」
なるほどね。
オーヴァードによる部隊、か。
「その部隊って。何をするんです?」
「そうですね、主にレネゲイド事件の解決、新たなオーヴァードの保護、そしてレネゲイドの解明が主となります。オーヴァード用のデバイスの開発も行ったりしますね。ああ、言い忘れていましたが、普通の魔導士にも参加して貰いますよ。オーヴァードだけでは、何かと不都合もあるでしょうからね」
……。
なのはやフェイト、はやて達と一緒の世界で戦いたい、という気持ちは勿論ある。
なら。
「今。僕は学生なんです。卒業したら。僕も参加させて貰って良いですか?」
僕の言葉に、ユーゴさんは微笑んだ。
「ええ、勿論です。お待ちしていますよ」
そうして、僕はユーゴさんと握手を交わしたのだった。
日常に帰還、そして新キャラ登場です。
はい、新キャラの元ネタはダブルクロスを知っている人なら知っているであろうあの人ですw名前とかも、ほとんどまんまですねw
色々詰め込んでみましたが……どうでしたでしょうか?良ければ、感想やアドバイスをお願いします。
では。