周平side
学校で授業を受けたり、友達と一緒に遊びに行ったり。
平凡で、そしてどこか楽しかった日常はなかなかの速さで過ぎて行き。
……あれから、2年が経った。
僕はユーゴさんが作った部隊、「時空管理局本局レネゲイド課」に入隊し、活動している。
レネゲイドの違法研究や、ジャームによる事件を突き止めれば、他の魔導士達と共にそれの解決に向かう。
事件が無ければ、レネゲイドを扱う訓練や、模擬戦によるデータ採取と、まあ毎日が忙しい。
「……ふっ!」
魔力を操作し、目の前に出て来るターゲットを撃ち抜いていく。
そろそろ、僕の砲撃魔法「レッドシフトブレイザー」にもアレンジを加えていきたいかな。ただ威力ばかりを強化するのも勿論良いけど……どうしようか。
そんな事を考えていると。
『お疲れ様です、周平君。紅茶でも淹れようかと思うのですが、いかがです?』
部隊長、ユーゴさんから連絡が入った。
「ありがとうございます。是非」
『解りました。では、食堂でお待ちしていますよ』
通信を終え、軽く背伸び。
それから、訓練室を後にした。
食堂。
行ってみれば、もうすでに3人がユーゴさんの紅茶を味わっていた。
「お待ちしていました。確か、砂糖とミルク、両方でしたよね?」
「はい。僕甘党なんで」
ポットから鮮やかな色の液体がカップに注ぎ込まれ、それから角砂糖が放り込まれ、ミルクが注がれる。
「はい、どうぞ」
ありがとうございます、とカップを受け取ってから席に座り、口を付ける。
……美味しいな……落ち着く。
感想を伝えると、ユーゴさんはありがとうございます、と微笑む。
部隊長自らが紅茶を淹れる、なんてのは多分聞かない話だろう。でも、ユーゴさんは紅茶に限らず料理とかもたまにしちゃう訳で。厨房係はいるにも関わらず、だ。
まあつまり……結構家庭的な人なんだよね。
「しっかし、ほんと部隊長が淹れる紅茶って美味しいッスよね……まさか、そういう能力使ってたり?」
そう口にしたのは、僕の隣で紅茶を飲む茶髪の少年。歳は僕より少し下……中学生位だろうか。
名前は、イサム・ヴァンシュタイン。
サラマンダー/ハヌマーンのクロスブリードであり、音の波と炎の操作を得意とするオーヴァード。
ちなみに、彼のギターはこの部隊で有名だ……主に、良い意味1割、悪い意味9割で。
「いえ、使っていませんよ。紅茶も料理も趣味みたいなもので、昔からやっていただけです」
ユーゴさんは苦笑しながらイサムに答える。
「へええ……また今度、あたしも教えて貰って良いですか?」
そこで目を輝かせながら、茶髪の少女がユーゴさんに聞いた。
アヤメ・アルテシア。それがこの少女の名前。
ノイマン/モルフェウスのクロスブリード、高速思考による射撃が得意。
いつもは明るくて他人思いで、「はにゃ」だの「うぐぅ」などと鳴く子だけど……戦闘時にはそのいつもが嘘の様に冷静、戦闘好きな狙撃手に様変わり。
最初はびっくりしたよ、ホント。
「ええ、構いませんよ」
「やった!ね、ディフィちゃんも一緒にやらない?」
「……私はいいわ」
アヤメに話を振られた長い黒髪の少女……ディフィ・ブラスタスは首を横に振る。
クール、というのがとにかく似合う少女で、基本的に無口な事も多い。
重力を操るのが得意な、バロールのピュアブリードだ。
……にしても……似てるよな。
まどかマギカの「暁美ほむら」に……魔法少女繋がり?というかやっぱり転生者なんだろうか?
「ありがとう、部隊長。美味しかったわ」
紅茶の礼を述べると、彼女は立ち上がり、食堂を出て行った。
その様子を見て、ユーゴさんはふう、と溜め息をつく。
「困りましたね……出来ればやはり、友達を作ったりして、仲良くやって貰いたいのですが……」
「まあ、あいつは基本一匹狼ッスからね」
ユーゴさんの言葉に、イサムは腕を組みながら頷き、アヤメも軽く困ったかの様に苦笑する。
そんな感じで、僕が4分の3程紅茶を飲んだ時。
「そうそう、周平君、アヤメさん。貴方達のデバイスが完成しましたよ」
ユーゴさんから嬉しい言葉が。
部隊の皆から集めたデータを元にオーヴァード用のデバイスの開発を続けていて、最近完成し始めたみたいだ。
やっと僕にも来たか……待ってました!
「ほんとですか!?」
「ええ。紅茶を飲み終えたら、実際に試して貰おうと思います」
「はい!」
「解りました!」
と、いう訳でデバイスルーム。
僕の前には赤紫色の淡い光を放つ腕輪があった。
ちなみに、アヤメの前には、十字架の形をしたネックレスが。色は群青。
「これが、貴方達のデバイスとなります。浸蝕率の確認やレネゲイドコントロール補助等、オーヴァード用に調整された機能を搭載しています」
ユーゴさんの話を聞きながら、デバイスを手に取ってみる。
「これから先、貴方達を支える相棒になる筈です。大切に扱ってあげて下さい」
「「はい」」
返事をし、腕に付けてみる……うん、悪くない。
あ、そういえば。
「このデバイス。名前はあるんですか?」
聞いてみると、ユーゴさんはふむ、と顎に手をやった。
「一応、案は有りますが……せっかくですし。ご自分で付けてみてはどうでしょう?」
ふむ。
名前、名前ねぇ……。
……よし、決めた。
「……『ライジングサン』で」
「なる程。良い名前だと思いますよ」
「うーん……どうしよう……」
僕は決まったが、アヤメはまだ迷っていた。
「なかなか思い付かないなぁ……ユーゴさん、何か良い案無いですか?」
「そうですね……『アルテミス』は、どうでしょう?」
「『アルテミス』……ですか?」
「ええ。確か……地球の神話において、月と狩猟の女神だったはずです」
ふーん……ユーゴさん、地球に来た事でも有るのかな。
「良いですね……それにします!」
アヤメも気に入ったらしい。それを聞いて、ユーゴさんも微笑む。
「それでは、実際に使ってみましょうか」
模擬戦スペース。
僕とアヤメが向かい合い、スペースの外でユーゴさんが僕達を見ている。
『非殺傷設定にしてますし、全力を出しても問題ありませんが……不具合があれば、すぐに報告をお願いします。では、始めましょうか』
スピーカーから流れる声。
……うわ、何か緊張するなぁ……デバイスを起動するの初めてだよ。
……よし。
「ライジングサン。……セットアップ!」
『Stand by、set up!』
自分の身体が、光に包まれる。
次の瞬間、僕の身体はバリアジャケットに包まれていた。
黒を基調とした、まるでどこかの戦闘服の様な姿。
所々にあしらわれた、赤紫色に鈍く光沢を放つライン。
右手には、レーザー砲を組み合わせた籠手の様な物が装着されていた。
……ヤバい……カッコいい……!
「はにゃあ……凄い……!」
アヤメの方も、セットアップを完了させていた。
あっちのバリアジャケットは、主に黄色と青から構成されていた。
両肩、両脚は金属光沢に覆われ、服はヘソ出しルック。動き易さ重視か。
その右手には、拳銃が握られている。
「じゃあ。アヤメ。行くよ?」
「へ?」
「ライジングサン!」
『Red shift blazer!』
砲撃をアヤメに向けぶっ放す。
……ってあれ?凄い、全然感覚が前とは違う!
デバイスの補助のお陰か……だいぶ楽に砲撃を撃てる様になってる。これは嬉しい!
「はにゃあああ!?」
砲撃をアヤメは慌てて回避。
そして、銃を構え、撃ち込まれてくる魔力弾を回避。
「よし。今度はこれ!ファイア!」
『Heat bullet!』
魔力弾を数発生成し、こちらも撃ち込み返す。
魔力弾の生成も苦手だったけど……だいぶやりやすくなった。ほんと凄いな……。
そうやって感心していたが、ふと僕は見てしまった。
魔力弾を避けるアヤメの鳶色の眼が、「鮮やかな青」に染まったのを。
ちょ、スイッチ入った……!?
「シュート」
『Axel shooter!』
弾幕が僕に迫る。
『Gravity shield』
「ぐ!?」
幾つかは何とか回避、残りは重力障壁を展開するも、あまり効果が無かった。砲撃の練習ばっかに集中してた結果がこれだよ!
「この!」
『Red shift blazer!』
こっちも砲撃でやり返す!
威力には自信がある、一気に押し返す……!
……そんな訳で、やたらと白熱した撃ち合いとなってしまった。
ユーゴさんの停止により模擬戦が終了した頃には、僕等はヘトヘトで。
僕は、部屋に戻るやいなや、ベッドにダイブしたのだった。
と、いう訳で、新キャララッシュと新デバイスのお披露目でした。
DXを知ってる人にはニヤニヤして頂けるよう努力したつもりですが……どうでしょうか?
戦闘は……2人とも遠距離射撃型だったので、大して変化の無い戦いになってしまい……適当になってしまいました。どうしたもんか。
感想やアドバイスお待ちしております。
では。