緋弾のアリア ~if story~   作:Sinku

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後悔はしていません!
ワトソン可愛いって思ってくれたら嬉しいです(*´˘`*)


L•ワトソン編

(どうするか………)

 

俺は腕を組み顔をしかめながら携帯を見つめていた。

現在、俺こと遠山キンジは饅頭屋兼武偵企業の社長をしている。

単位か足らずに武偵高を留年、救済措置として留学、その後晴れて退学というジェットストリームアタックも真っ青な三コンボを喰らい、失意の中立ち上げたのが今の会社だ。

最初は絶望していたが、中空知、ワトソンとともに武偵饅というスイーツを生み出し、武偵企業初の防犯製菓業という新たな道を開拓した。お生憎様で最近は何とか経営が安定し、毎日黒字経営だ。

そんな俺を悩ませいる理由は———

 

(原宿のラフォーレか…)

 

そう俺は今、新たな挑戦をするべく遠山武偵事務所の第2号店を探している。

今現在、黒字経営だとしてもこれから先がない。

隣には阿久津の事務所があり、武偵業では確実に負ける。

そのため今の流れを止めず、経営に勢いをつけるための策だ。

そんなこともあり、携帯で格安物件を探していたのだが…先程やっといい物件を見つけたのだ。

だが、この店は若年層の女性客だらけである。悩みの種はそこだ。

 

(あいつらに話す前に下見だけはしたいしな…)

 

中空知とワトソンに物件を借りると提案する前に実際に一度見ておきたい。だが、店舗があるのはほぼ女性客、それも若い人しかいないラフォーレだ。そんな場所に一人で行きたくない。

 

(どうするかな…)

 

幸い今日は定休日であるため、時間は幾らでもある。

最初は社員である中空知と内見へ行こうと思ったが、わざわざ休日に会社まで脚を運ばせるのは気がひける。

とすると、会社の状態を知り、俺の知り合いでもあるワトソンしかいないのだが………。

 

(ワトソンか。頼むのはいいんだが、あいつは武偵だしな…報酬を支払わなければならん)

 

ただ遊びに行くならいいが、これは俺にとって業務の一環だ。

下見に付き合わせるのであるならば武偵としてケジメはつけねばならん。だが———金がない。

売り上げが上がってきているとはいえ、それは最近のこと。

給料も中空知に満足に支払うため俺の分は後回し。絶賛金欠だ。

お、そうだ。いい手が思いついたぞ。

 

(リハビリと称して呼び出すか)

 

この方法なら俺の財布も痛まないからな。

そう考え、即座にワトソンに電話をかける。

プルルルル————-ガチャ。

携帯を鳴らすと1コール目で出た。いや、早いな。

 

「ハイ、トオヤマ。君からかけてくるなんて珍しいね。」

 

そんなワトソンの声が聞こえてくる。

まあ、俺から誘うなんて初めてのことだ。

かなり珍しいだろう。

 

「あー、ワトソン。お前今日暇か?」

 

「今日かい?今日は特に予定もないからドライブしようと思ってたところさ」

 

お、ラッキーだ。予定はないみたいだ。

ここで畳み掛けるぞッ!

 

「そうか…。お前さえ良ければでいいんだが…その、久しぶりにリハビリとかどうだ?」

 

「ほ、ほんとかいっ?」

 

嬉しそうなワトソンの声が返ってきた。

嬉しそうだなー、こんなおままごとの何がいいのかね。

騙している事に気を悪くしながらもそう考えてしまう。

 

「いや、うーん…凄い嬉しいんだけどどうしたんだい?君から誘うのは初めてじゃないか」

 

い、いかんッ!普段は絶対言わないから怪しまれてるぞ!

なんとかせねば。

 

「あーそっか。なら辞めとくか」

 

恐らく短気なワトソンのことだ。

こうハッパをかけてやれば乗ってくるはず。

 

「ト、トオヤマッ!嫌なんて一言も言ってないじゃないかっ!わかった!今すぐ行くから待っててくれっ!」

 

よしッ!予想通り食いついてくれた。

あとは返事をするだけなんだが————-。

 

「あいつ時間も聞かずに切りやがった…」

 

返事をするだけして切るとかマジかよ。

もう一回連絡するのも面倒くさいし、メールで送っとくか。

集合時間をメールで送信ておく。

さて、ワトソンが来るまで勉強でもしとくか。

 

 

 

 

 

 

プップー。

 

車のクラクションが会社の外で聞こえた。

来たか。そう思い表に行くワトソンの愛車であるポルシェ911が止めらており、側にワトソンが立っていた。似合うねー、ほんと。

こちらに気づくと、バタンッ。とドアを閉め駆け寄ってくる。

 

「トオヤマ、待ったかい?」

 

「いや、待ったもないだろ。集合時間よりも早いしな」

 

集合よりまだ30分も早いぞ。

だがワトソンは俺の返答が気に入らなかったようだ。

頰をリスのようにプックリ膨らませている。可愛いなーこいつ。

ぷりぷり怒りそのまま腰に手を当て上目遣いになる。

 

「トオヤマっ!ここは定石なら待ってないっていうとこだぞっ!」

 

そうプンプン怒りながら言ってくる。いや、何の定石ですかね…?

プンプン怒りながらも立ち方が徐々にボクシングスタイルに変わっていく。や、やばい!

 

「あー、わかった!わかった!待ってない!俺も今来たところだ!」

 

このまま行くと殴られかねん。そう考え咄嗟にそう返す。

その答えに満足したのか徐々に置かれていった。よかった…。

 

「もう、トオヤマめ。僕は楽しみにしてたんだからな」

 

ポス…。

軽く俺を小突き、そう呟きながら笑うのであった。

 

 

 

 

 

 

「それで?今日はどこでリハビリをするんだい?」

 

ワトソンは大きな目をクリクリしつつ、首を傾げて聞いてきた。

 

「あー、原宿のラフォーレってとこはどうだ?」

 

リハビリではなく下見の為とは言わず、自然にそう提案する。

頼むっ!

 

「ラフォーレ?あ、あの大きなショッピングモールだね!一度行ってみたかったんだ!」

 

お前もしかして一人でも行くつもりだったのか。

まあ、ワトソンが乗ってくれたのだから有難く乗っておこう。

 

「よし。なら決まりだな。行こうぜ」

 

そう言いながらワトソンの車に乗り、ウキウキしているワトソンと共に原宿に向かうのであった。

 

ラフォーレに着くと思ったとおり若年層の女性客しかいない。

うげぇ。ワトソン連れてきてよかったぜ…。

心の中で安堵しながらワトソンを見ると、ワトソンは目をキラキラさせていた。

 

「可愛い服がいっぱいだ…!!トオヤマ、早く行こう!リハビリだぞ!」

 

何がそんなに嬉しいのか、リハビリを強調しながら言ってきた。

いつ抜け出そうか考えていたが杞憂だったようだ。この調子なら一瞬抜けても大丈夫だろ。

そう考えて足を踏み出すと、俺の目に武偵高の制服を来た女子3名が見えた。あれは…!鷹根たちじゃねーかっ!

彼女たちは元クラスメイト。つまりワトソンの顔を知っている。

や、やばい…!退学したとはいえ俺の顔も知られている。休日に男子二人でラフォーレとかあらぬ誤解しか招かんぞ…!!!

 

「エ、エルっ!!」

 

リハビリということもあり焦りすぎてそう呼んでしまった。

 

「え?きゃっ!」

 

一瞬嬉しそうにしたワトソンの手を掴み、そのまま周りから死角になっている壁際に押し付ける。というより、キャッて。もうお前完全に女子じゃねーか。

今俺たちは俗に言う壁ドン状態。俺の腕の中にはワトソンが小さく縮こまっていた。

 

「ト、トオヤマっ!いきなりなんだっ!僕は嬉しいけど、こういうことは時と場所を考えて————-」

 

腕の中でワトソンが何か言っているが気にしない。

俺は今やばい瀬戸際にいるんだ…!

そう壁際でやり取りをしていると視界から鷹根たちの姿が二階へ向かうのが見えた。…あ、危ねえ。間一髪ってとこか。

だが————どうする。このまま、下見を続けるにも彼女たちに見つかる可能性がある。もし見つかった場合、拳銃自殺しか方法がなくなるぞ…!!

そう考える俺に、服を丸々一セット着せられたマネキンが目に入った。それと同時に天啓がおりる。

ええい!背に腹は変えられない…!!

そう決心し、混乱中のワトソンを他所にその場から離れ、マネキンに着せられている服を即座に購入。ダッシュで戻り、ワトソンに渡す。

 

「ワトソンッ!これに着替えてくれっ!」

 

俺の言葉を聞いて正気に戻ったのか、赤い顔をしながら首を傾げる。

 

「着替える…?トオヤマ、いきなりどうたんだい?」

 

「いいからっ!なにも言わずに着替えてくれ!着替え終わったらここで待ってろ!いいな!」

 

そう言いながらワトソンに服の入った紙袋を渡し、即座にその場からいなくなる。トラブルがあったが渡りに舟だ。今のうちに下見を終わらせちまおう。と下見のために行動したのであった。

 

 

 

 

 

 

下見を無事終え、ワトソンが待つ場所に向かいながら物件のことを考える。

 

(あの場所ならいけそうだ…!!)

 

新たな挑戦が上手くいきそうな感覚がし、つい顔が綻んでしまう。

っといかんいかん。今はワトソンだな。っても何処だ…?

ワトソンを置いてきた場所にはワトソンらしき人はいない。今いるのは、ボーイッシュな服装をした女の子だけだ。

見ていると、向こうがこちらに気づいたのかパァっと笑顔を浮かべこちらに近づいてくる。ま、まさか…!!!

 

「トオヤマッ!!」

 

そんなワトソンの声が聞こえた。

 

(ってことはワトソンか!?)

 

それくらい驚くほど様相が変わっていた。

ワトソンの今の服装は、かなりボーイッシュな出で立ちだ。

下はデニムのショートパンツに黒のニーソックス、上はシャツの上に白いスウェットを着用している。ベレー帽を被り、変装のためかメガネも着用済。

 

(か、可愛い…!!!)

 

驚くほどに可愛い。正直モデルにしか見えない。

そんなワトソンを見て絶句していると——————。

 

「ト、トオヤマ…。着替えてみたけど、ど、どうかな…?」

 

そんな言葉を不安げに聞いてきた。

頭が混乱していた俺はつい咄嗟に

 

「あ、ああ。可愛いよ」

 

そんなことを言ってしまった。おい、何言ってんだ俺!

だがワトソンはそんな俺の言葉を聞いて嬉しそうにはにかむように笑った。

 

「そ、そうか。ありがとう。トオヤマ」

 

ワトソンはそう答える。

するとふと思い出したかのように

 

「けど、トオヤマにしてはいいアイデアだね。このシュチュエーションは原宿でデートってことかな」

 

どうやらリハビリのシュチュエーションだと思ってくれたようだ。

好都合だ…!このままその設定にしておこう。

 

「それじゃあ、リハビリだ!行くぞ、トオヤマ!」

 

 

 

 

ひとしきり楽しんだ後、俺たちは近くの公園に来ていた。

時刻もちょうど五時になり、日が落ち始めている。

日が落ち始めているからか、人は少ない。

チラホラと犬を散歩させている人や俺たちのように2人で歩いている人だけだ。

 

(まあ、色々とあったが目的も達成出来たし、結果的にはよかったな。)

 

いい息抜きになったよ。そう考えながら歩いていると、一緒に歩いていたワトソンが声をかけてきた。

 

「トオヤマ、今日はありがとう。僕こんな経験初めてで…凄く、凄く楽しかった」

 

ワトソンは心の底から嬉しそうだ。つい見惚れてしまうような魅力的な笑顔をしている。

 

「あー、なんだ、お前には助けて貰ってるからな」

 

気にすんな。そんな気持ちを込めながらぶっきらぼうに返す。

そんな俺を見て———キュンと言う音が聞こえるように、胸に手をあてていた。

 

「だけど、よかったのかい?嬉しいけど服も買って貰ってしまって」

 

ワトソンは申し訳なさそうに顔に影をつくりながら言ってくる。

まあ、俺の懐事情は把握してるだろうしな。さもありなん。

だけど俺は、ワトソンのそんな姿が見たくなかったのか———-。

 

「気にすんな。それにお前、女性物の服なんかセーラー服しか持ってねーだろ。学校辞めちまったからその餞別がわりだと思え。」

 

いや、どんな餞別だよ。とそう心の中でツッコミながら話す。

そんな俺の言葉を聞き、糸がほどけていくようにゆっくりと頰を緩めていく。

 

「わかった。ありがとう、トオヤマ。ずっと大切にする」

 

そう言うと朗らかに笑うのだった。

が、何とか耐えていたが無性に気恥ずかしくなってしまった。

 

「あー、ワトソン。少しベンチで休憩しようぜ」

 

それを隠すかの様にワトソンに提案した。

 

「いいよ。ずっと歩きっぱなしだったからね」

 

何の疑いもなく俺の提案を受け入れてくれる。

ふう、よかったよかった。

2人用のベンチに俺はドカリと、ワトソンはちょこんと女の子の様に足を閉じながら座る。お前やっぱ隠す気ないだろ。

そんな事を思いながらも座ったとたん話す事がなくなってしまい、お互いに何も言わずに沈んでいく夕日を見ていた。

だが、無言であるこの空間はどことなく俺に心地良さを与えてくれる。ボーっとしていると手に柔らかな感触を感じる。それと同時にワトソン特有のシナモンの香りが鼻をくすぐる。

ん?と疑問に思いとなりを見ると、ワトソンがくっつきそうなくらい近づいており、ベンチについていた俺の手を両手で握っていた。

 

 

「トオヤマ…くん。この前の約束を果たすよっ。」

 

 

ワトソンは真っ赤な顔になりながらもそう言ってきた。

 

(約束…?)

 

何のことだ?そう燻がっていると————。

 

ワトソンは一度頭をさげ、深呼吸する様に胸に手を当てている。

横から観ていると真っ赤だった顔が更に赤く、紅くなっていくのがわかる。おい、耳まで真っ赤になってるぞ。熱でも出たんじゃないか?

すると———バッと何か決意したかのような顔つきになりながら勢いよく頭を上げた。

こちらに向き直り、潤んだ瞳をしながら俺を見つめてくる。

ワトソンはシャボン玉を掴むような優しい手付きで、ゆっくり、ゆっくりと両手を上げ、俺の頰に手をあててくる。

俺は———-その様子が余りにも美しく非現実的な、まるで天使と相対しているような錯覚がしてしまい、つい固まってしまっていた。

そんな俺を見て嬉しくなったのか、フワッと優しい笑みを浮かべる。

そのまま顔を徐々に上げてきて…

 

 

キス————-してきた。

 

 

チュっと。軽く重ねるような柔らかなキス。

緊張しているのかワトソンの唇は小さく震えていた。

だが、柔らかくも弾力があり確かな存在を俺に感じさせる。

ゼロ距離になったため、シナモンのようなワトソンの香りもダイレクトにくる。

俺が固まっていると、俺の頰から手を離し、何かを噛みしめるかのようにゆっくり、ゆっくりと離れていく。

真っ赤な顔をあげると、背後の夕日と重なり神秘的な雰囲気を漂わせる。ワトソンは胸に手をあて、何かに耐えるかのように俺を見つめながら——————。

 

「キンジ、君と出会えてよかった」

 

そう、眩しく輝くような笑顔でいうのであった。




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