ホロライブ短編集(カリ)   作:ゆうちょMk.

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ミオちゃんとフブキちゃんの衣装が可愛かったから……私服はずるいよね。可愛い!


ミオとフブキの日常

ーここは仮想空間。二次元世界ではないが三次元世界でもない少し不思議な世界。ここでは数多くのいきとしいける者たちが存在している。そんな仮想世界にあるとある家にてー 

 

 

「よいっしょっと……これでとりあえずお掃除はおしまいかな」

 

 この家の主である大神ミオはリビングの中心に置いてあるテーブルを拭き終えた。そしてその場で部屋をぐるりと見回してからひと仕事を終えたように満足げな顔をし、背後にあるソファへ体を預けるようにして背中から倒れ込んだ。

 

「これで準備は完璧!あーあ、早くフブキ来ないかなぁ」

 

 ミオの口調から待ち遠しいという思いがひしひしと感じられる。ミオは仰向けの体勢から横向きへごろんと体を四分の一回転。すると部屋の壁にかけられた時計が丁度視界に入った。時刻は13:40。約束した時間までまだ20分ほど余裕があった。

 

「まだかなぁ」

 

 ポツリとつぶやいたミオの目線が掛け時計からその隣にかけられている写真へと移った。写真の中では高校の制服を身にまとった二人が卒業証書を片手に持ち笑顔をみせていた。

 

「ふふっなんか懐かしいな」

 

 ミオから笑みが溢れる。それに呼応するように艷やかな黒い尻尾が親友の到着を急かすように左右に揺れた。

 

 

 ミオの催促が届いたのだろうか、訪問者の到着を告げる電子音がなった。

 

「来た!」

 

 ミオは寝転がっていたソファから飛び起きると勢いそのままに玄関へと駆ける。そこまでの動作にかかった時間はわずか2秒。さすが狼の娘だけのことはある。

 

「お邪魔しまーす!」

 

 ミオが扉を開けるとそこに立っていたのはまるでどこかの大金持ちのご令嬢なのではと思わせる一匹の狐の娘。そんな清楚感溢れる彼女こそがミオの友人である白上フブキである。小中まではお互い全く面識がなかったが、たまたま同じクラスになった高校でたまたま席が近かったため話すようになりお互いゲーム好きということもあってか意気投合。気づけば仲良く同じ大学に進学し、こうして互いの家で遊ぶぐらいの仲になった。

 二人共ケモノの娘なのだから外で遊ばないのかという質問は受け付けない。時代はインドアなのだ。

 

 

「フブキ待ってたよ!……なんか今日のフブキいつもと雰囲気が違うね」

「ちょっと今日は気合入れておしゃれしてみた。外行きキーツネ!ってね」

 

 フブキがミオの前でくるりと1回転。紺色を基調としたフリルスカートがふんわりと舞った。普段フブキがミオ宅を訪問するときは下はホットパンツ、上はフード付きパーカーというのが標準装備だっただけにこれまでとのギャップにやられそうになる。

世の一般男性ならオーバーキルもいいとこだろう。

 

 

 

 

 

「よーし、今日もミオとゲームして遊びまくるぞー」

 

 部屋へ入るやいなやカバンからルンルン気分で自分専用のコントローラーを取り出し、ゲーム三昧体制のフブキ。

 

「フブキは気がはやいな!お菓子の準備するからちょっと待っててー」

「はーい」

 

 ミオが戸棚からお菓子を取り出す中、待ちきれないフブキはカバンからゲーム機の電源を入れる。画面にはさまざまなゲームタイトルが並んでおりこれから何で遊ぶか吟味中だ。

 

「ミオは今日何がやりたい?」

「ウチは何でもいいよー」

「え、ならホラゲーやる?」

「それはだめ!!あ、そういえば大学のレポートって終わらせた?確か提出今日までだったけど」

 

 ミオの言葉を聞いた瞬間、遊ぶゲームを選んでいたフブキの手が止まる。それに呼応するかのように顔から笑顔が抜け落ちる。

 

「あああああああああああ!!忘れてたぁああああああ!!」

 

そして、部屋いっぱいに叫び声が響き渡る。

 

 

 

 

 数分後、さっきまでの明るい空気は嘘のように部屋の中には鉛のように重たい空気、そして部屋に響くはタイピングの音のみ。

 

 

「ミオー……」

「なーにフブキ」

「息抜きにゲームぅ」

「だめ!まだ半分も終わってないじゃん!」

「あーうううう」

 

 フブキがレポートの存在を完全に抹消していたことが判明したため、楽しい楽しいゲーム大会なんてものは当然お預けになり急遽ただひたすらにパソコンとにらめっこして今日中にレポートを作り上げるというタイピングRTA大会が開催されることになった。まぁ参加者は狐一匹なわけなのだが。

 

 

「あーゲイ・ボルグで大学消し飛ばしたい…クー・フーリン兄貴ぃ」

「はいはいくだらないこと言ってないで早く終わらせようねぇ」

 

 こうなることを神様は予知していたのか、なぜかカバンに入っていた自前のノートパソコンを前にうなだれるフブキ。目の前の画面には十二分に余白の残ったレポート用紙。終わりが見えず絶望する白狐をまるで嘲笑っているように感じられた。

 

 自分の前に広がる現実から目をそむけるようにフブキがふと横を見ると、隣ではミオが真剣な表情でパソコンと相対していた。一体何をやっているのか。確かにそれも気になったがフブキが最も気になったのはさっきまではかけていなかった赤く縁取られたメガネだ。これまで見たことのなかった親友のメガネ姿に少し心が弾む。

 

「ミオって目悪かったっけ?メガネ持ってるんだ」

 

 フブキの言葉にミオは作業の手を止めると指摘されたメガネを軽く人差し指で指した。

 

「あーこれ?これは目が悪いからじゃなくてブルーライトカットのためのメガネだよ。大学入ってからパソコンの画面見る機会が多くなったからねぇ……もしかして似合ってなかった?」

 

 ミオが少し不安そうにメガネに手をかける。

 

「そんなことあるわけないじゃん!ミオはかわいいよぉー!!」

「キャッ!」

 

 そう言うとフブキはミオに飛びつくように抱きついてミオごとそのまま床に倒れ込む。黒と白の尻尾が交差した。

 

「ミオはやっぱり可愛いなぁ」

「恥ずかしいよぉフブキ、降りて……」

「ミオぉ」

「なに?」

「ゲームぅ!」

「だからだめだって!」

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後、さきほどよりもさらに重たい空気が部屋中に蔓延していた。

 

「ミオぉお終わらないよ……」

「まだ間に合う!あと少し頑張れフブキ!」

 

 狐と狼が日付変更線を跨ぐまであと一時間。つまり壁にかけられた時計はレポートの提出期限があと一時間しかないこと残酷にも告げているのである。

 

「あぁ、時間を巻き戻せないかな。ミオ…白上はここまでのようだよ」

「ノンストップ白上ぃ!!止まるなフブキ!!」

「だって!そもそも課題が『バーチャルという存在についてレポート用紙にまとめろ』だよ?これは一日で完成できる代物じゃないよ!ストップ白上!止まるぞフブキ!」

 

 フブキは涙ながらに訴えるがそもそもこの課題が出されたのはおよそ一ヶ月前。それから今日まで課題について考える時間は有り余るほど与えられていたのである。

その時間を全て大好きなゲームに充ててしまった残念きーつねの自業自得であるのだが。

 

「…どこができてないの?」

「ここの考えについての資料がほしいんだけど、どの資料を引用すればいいのかわからなくて……」

 

 フブキのレポートはミオのスパルタ監視体制とフブキの火事場の馬鹿力的な努力の結果八割は完成していたが残り二割というところで完全に手が止まってしまっていた。タイムリミットまであと30分。

 

「令呪を持って命ずる。時よ伸びよ!お願い伸びてぇ!伸びてくださいお願いします!!」

 

 敗色濃厚。掛け時計に手をかざし涙ながらに必死に懇願する姿がより一層悲壮感を漂わせていた。ついには時計に向かって土下座を始める始末。

そんな情けない白狐の姿を横目に作業を続けていたミオだが、しばらくして黙々とタイピング作業をしていた手を止めた。

顔には疲労の色が濃く出ていたがそれ以上に満足感で満ち溢れていた。一度大きく背伸びをするとそれまでずっとかけていたメガネを机に置いた。

 

「フブキ」

「ふぇ?」

「はい、これ」

 

 ミオはフブキに声をかけると何時間も向かい続けていた自身のパソコン画面をフブキに見せる。はじめは素っ頓狂な声を上げ、目を丸くしていたフブキだったがミオに見せられた画面を見ると大きく目を見開いた。

 

「ミオ、これって!」

「もしかしたら使うんじゃないかなっていうものを全部まとめてたんだ。……フブキ、諦めたらそこで試合終了ですよ」

「ミオぉお!!ラストスパート頑張るんじゃい!!」

 

 ラスト30分。体は等の昔に限界を迎えていたが持てる力を振り絞ってフブキは文字を打ち続けた。

 

そして

 

「お、終わったぁ……間に合ったぁ……」

 

 力の抜けきった声を発するとフブキは体全身の力が抜けて落ちたように床に倒れ込む。時刻は23:59。ほぼほぼアウトに近い滑り込みセーフを成し遂げたのである。

 

「おつかれーフブキ。はい、これお茶」

「……ありがとミオ」

 

 倒れ込んで伸び切っていた状態からむくりと起き上がるとミオから湯気が立ち昇る熱々の湯呑を受け取る。完全燃焼で燃え尽きた白狐の体に日本茶がじんわりと染み渡った。ミオがフブキの隣に座る。

 

「間に合って良かったねぇ」

「ミオがまとめてくれてた資料がなかったら間に合わなかったよ。改めてありがと。ミオ」

「いやぁまさか本当に使うことになるとは思わなかったけどねー。……ふぁあああ、なんだか眠くなってきちゃった」

 

 ミオはフブキの肩に自分の身を預ける。そしてそのまま意識は夢の中へ……

 

「え、ミオ寝ちゃうの!?」

 

 だがフブキの声でミオは夢の世界から現実世界へと引き戻される。

 

「だってもう24:00過ぎちゃったじゃん……流石に眠いよ……」

「えぇ、なんでよー。今からゲームしようよー。ねぇーミーオー」

 

 フブキは意識が飛びかけている親友の体を揺さぶる。揺さぶられたミオの首が赤べこのようにカクカクと揺れた。 

 

「あぁ……フブキ、揺らさないでぇ……わかったから。少しだけ付き合うからさ。もう揺らさないで首がもげちゃう」

 

 フブキのゲームへの熱意にミオはついに白旗を上げた。

 

「ようやくまちに待ったゲーム!!まだまだ夜は始まったばかり!今夜は寝かさないぜ、ミオ」

「あぁぁぅぅぅ……寝かせてぇぇ……」

 

 こうして長い長い夜が始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

ー翌日

 

「あああああああああぁぁ!!やばい!!今日講義あるの忘れてた!!」

「もぉ……いい加減にしろぉおおおおお!!」

 

 次の日、狼にどやされながら慌てて支度をする狐の姿があったとか……。

 

 

 ここは仮想空間。二次元世界ではないが三次元世界でもない少し不思議な世界。そんな仮想世界で起こった何気ない日常。

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