マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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近日投稿(告知から24時間以内)
前章最終回はなんだこれという声が多数。
唐突な展開にお気に入りの数がごそっと減りました笑
恐らく…深夜テンション+酒少々とOQ+P.A.R.T.Y. による平成力の高まり。
のせいだと思われます。
うるせえ!無理矢理でもハッピーエンドにしてやんだよ!というテンションから生まれましたね、はい。
というわけで人妻編の開幕です。
まだ人妻ではございませんが。


人妻マリアさん
素直になりました


 交通事故の一件から二週間ほど。

 既に桜のシーズンとなりテレビをつければ花見がどうの~とやっている。

 そしてS.O.N.G.でも毎年恒例の花見がありそれに参加する…はずだった。

 奇跡的な生還を果たした俺は身体の怪我等なく三日で退院したわけだが司令から「三ヶ月の自宅療養とする!」というお達しが出てしまい現在進行形で自宅療養中なのである。

 というわけで恒例の花見にも出ることは許されず自宅に監禁されているのだ。

 それにしても…暇だ。

 身体は特になんともないのに療養しろなんて言われてもな…

 暇潰しになるものなんて特になく、日がな一日中刃物コレクションを手入れして眺める日々。

 なんというか、早くも定年退職したような気分だ。

 これまでの人生を仕事に費やしてきた人が会社に行かなくなって家でどうしたらいいか分からない的な感じ。

 なるほど、趣味がないとこうなってしまうのか。

 趣味がないと認知症にもなりやすいと言うし何かインドアな趣味も見つけよう。

 なんだろう…アクアリウムとか?

 自宅で魚飼うとか憧れてたんだよな。

 あと最近は水草水槽とかすごいし。

 Charmあたり覗いて見るか…家から出ることが出来ないし通販なら大丈夫だろう。

 さて、家から出ることが出来ないと今言ったのだが本当に今の俺は家から出ることが出来ない。

 自宅療養なんだから当たり前だろ!って思うかもしれないがそれでも必要最低限な外出は認められるわけだ。

 しかし…その必要最低限の外出すら俺には認められていないのだ。

 何故なら…

 

「千鶴どうかしたの?私をじっと見て…見惚れてた?」

 

「いや、そういうわけでは…悪かった、悪かったからシンフォギアを使うのは無しだ」

 

 この通り、マリアが家にいる。

 ずっと。

 二十四時間の内、二十時間くらいは最低でもいる。

 何を言いたいかというとつまり…現在、マリアは我が家で暮らしている。

 俺が自宅療養、病気休暇になると同時にマリアは長期休暇を取得。我が家に押し掛けてきたというわけである。

 ここに、マリアがやって来た初日の会話を抜粋する。

 

「マリア…その、なんでギアを纏っているんだ…?」

 

「なんでって千鶴を外に出さないのと千鶴を守るために決まってるじゃない」

 

「…なにから?」

 

「千鶴の命を脅かすもの全てよッ!」

 

 なーんてことがあったのである。

 必死の説得でギアを纏うことはやめてもらったが、外出は禁止されてしまった。

 正に監禁である。

 それにしても家に自分以外の人間が住んでいるというのは少し懐かしいような違和感のような。

 一人暮らしが長かったせいでそんな感想を抱くしかない。

 しかし…これからのことを考えるとそれでいいのかもしれない。

 二人で暮らすということに慣れておかないといけない。

 何故なら…

 自分の左手薬指の指輪。

 マリアも同じようにつけている。

 言ってしまえば婚約指輪である。

 本来なら男性である俺から渡すのが普通なのであるが事故って外出禁止の身なので指輪を買いにも行けず、逆にマリアから婚約指輪を貰ってしまったのである。

 これは婿入りルートだろうか?

 そこら辺決めとかないとな…

 六堂マリアとなるか、千鶴・カデンツァヴナ・イヴとなるか…

 まあ特にこだわりはないのでどっちでもいいが。

 名字で思い出したが一応、鯉音に伝えておくか。

 個人の連絡先は知らないので実家の固定電話にかけるしかないか…番号が変わってないといいが。

 呼び出し音が鳴るとすぐに繋がった。

 受話器の向こうは高齢の女性のようだ。

 聞き覚えのある…

 

『はい、六堂でございます』

 

「…その声、ソノさんか?」

 

『…まさか千鶴坊っちゃんですか!?お久しゅうございます!もう何年ぶりになるでしょうか…』

 

 ソノさんは使用人として長い間六堂家で働いている方で優しいおばあちゃんのような存在だ。

 まさか今も働いていたとは…もういい歳だろうに。

 

「もう10年になるな…家を出てから。すまないが鯉音はいるだろうか?仕事で忙しいかもしれないが…」

 

『鯉音様ですね!ちょうど今日は休日ですのでいらっしゃいます。少々お待ちくださいね』

 

 待機音に切り替わり、鯉音が出るまで待つ。

 なんというか緊張してきたな。

 まあ、妹に結婚を報告するだけだ。

 鯉音に言っておけば他の兄弟達にも伝わるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 スマホを手に持ち、右手の人差し指を画面に近づける。

 押すべきは…兄さんの番号。

 これを押せば、兄さんに繋がる…

 押せ…押せ…押せ…!

 部屋の固定電話の音が鳴る…うるさい。こちらは集中しているんだ…

 あー!見ると緊張する…

 緊張するから目を離して…

 押した!

 スマホを耳に当て、コール音を聞く。

 するとすぐに相手は出て…

 

「もしもし兄さん!」

 

『…あの、鯉音様。千鶴様の番号を押そうとして私の番号押すのそろそろやめません?』

 

 電話口から聞こえる女性の声。

 私の付き人である山吹友恵の声だ。

 ちなみに彼女は…同じ部屋にいる。

 

「友恵!また貴女はそうやって私と兄さんの仲を引き裂こうとするの!?」

 

「かけてきてるのは鯉音様の方でしょう…これで何度目ですか」

 

 これで1108回目の失敗。

 私は兄さんに電話をかけることさえ出来ずにいた。

 折角風鳴のおじ様から兄さんの連絡先を戴いたのに…

 

「はあ…もういいです。私がかけてあげますから…」

 

「あー!?ちょっ!待ちなさい友恵!人のスマホを取らないで!」

 

「えっ、ちょっ、鯉音様この検索履歴は…うわぁ…ブラコンここに極まれりというか最早そんな次元じゃないです。変態です」

 

「なに人の検索履歴を見てるの!?返しなさい!返しなさいッ!!!」

 

 背伸びをして友恵の持つスマホに手を伸ばすが届かない。

 高身長の友恵に腕を上げられると背が低い私では届かないのだ。

 それにしてもこの使用人は本当に使用人なのか疑わしくなってくる。

 腹立たしく思っているとドアをノックする音が。

 どうぞと部屋に入るよう促したが若干声に怒気が混じってしまった。反省、反省。

 部屋に入ってきたのはここの使用人で一番ベテランのソノさんだった。

 お辞儀をして、ここ最近で一番の笑顔でソノさんは呼び出し用件を伝えはじめた。

 

「失礼します鯉音様。鯉音様にお電話が来ております」

 

「電話?誰から?」

 

「千鶴様にございます」

 

「そう兄さんね…兄さんッ!?」

 

 まさか兄さんの方から電話をかけてくるなんて…!

 どうしよういろいろ準備が…

 

「あの、鯉音様。なんで部屋の掃除をしているのですか?」

 

「もしかしたら兄さんがいらっしゃるかもしれないでしょう!?」

 

「掃除の前に電話に出ろよ…」

 

「なんか言った!?」

 

「いえ、なにも。それより鯉音様。電話に出るほうが先かと。掃除は電話を終えてからでも出来ます」

 

「そ、それもそうね…ソノさん電話をこちらに回して」

 

「はい。分かりました」

 

 ソノさんは部屋を出た。

 しばらくすると部屋の電話が響きそれを一瞬で取る。

 

『もしもし鯉音?千鶴だが…』

 

「はい兄さん!あなたの妹の鯉音です!どうしたのですか兄さんから電話なんて?」

 

『ああ…伝えておきたいことがあってな』

 

 伝えておきたいこと…

 まさか、兄さんが家に戻ってくる…!?

 遂に決心がついたのですね兄さん!

 ああ…これで私の苦労が報われる。

 兄さんの邪魔になるだろう存在の排除等々いろいろやってきたが遂に…

 

「それで、伝えたいこととはなんですか?」

 

『お兄ちゃん、結婚するから』

 

「そうですかそうですか結婚ですか…結婚ッ!?」

 

 けっ、結婚…?

 高校時代付き合ってきた歴代彼女から「あなたといても面白くない」と言われフラれ続けてきた兄さんが!?

 というか誰と!?

 まさか、マリア・カデンツァヴナ・イヴ…

 

「…その、お相手は?」 

 

『マリアだ。この間、本部に来た時に会ったんだろう?その時なにやらマリアに言ったようだが…もし、私達のことを邪魔するようなら縁どころかお前を斬るから。それじゃあ』

 

「え!あ!ちょっと兄さん!」

 

 切れて、しまった…

 兄さんが、結婚…

 兄さんを、取られた…

 

「友恵!今すぐタ○ンページ持ってきて!殺し屋を探すわ!」

 

「タ○ンページに殺し屋の番号なんて載ってませんよ。ネットのことを信じ過ぎです。それに、さっき千鶴様に言われたこと忘れたのですか?(斬る云々は冗談だと思いますが…面白いので言わないでおきましょう)」

 

「うっ…だって…だって…兄さんが帰ってこれるように色々したのに…うわーん!!!」

 

「はいはい…けど千鶴様から電話してきたということは鯉音様との繋がりを大事に思ってのことだと思いますよ?千鶴様達の邪魔さえしなければ…普通に関わる分には恐らく大丈夫かと」

 

「普通に関わるって、なに…?」

 

「例えば…千鶴様にお子さんが出来たらその子の叔母さんとしてとか」

 

 叔母さん…

 兄さんの血を継いだ子…

 ・

 ・※以下妄想

 ・

『あけましておめでとう。鯉音』

 

『あけましておめでとうございます兄さん』

 

『あけましておめでとうございます!(千鶴子)』

 

『千鶴子ちゃん大きくなったわね~はいこれお年玉』

 

『わーいありがとう!鯉音叔母様大好き!』

 ・

 ・妄想終了

 ・

「うへへ…よし!それでいきましょう!」

 

「どれですか」

 

「友恵!タ○ンページを持ってきて!最高の産婦人科を探すわ!」

 

「…はあ。それにしても、なんでそんなにタ○ンページにこだわるんです?」

 

 こうして、鯉音による素敵な叔母様作戦が始動したのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふう…電話終了っと。

 

「妹さんに斬るなんて言っちゃダメよ千鶴。縁は切ったかもしれないけど血の繋がった家族なんだから」

 

「いや冗談なんだが…」

 

「千鶴が言うと冗談に聞こえないの」

 

 そうなのか?

 かなり冗談めかして言ったつもりなんだが…

 

「…それと、この間のこと叱ってくれたんでしょう?」

 

「…まあ、な。自分の好いてる人にそんなことを言うような人間であってほしくないからな」

 

「ふふ」

 

「なんだ、急に笑いだして」

 

「好いてる人って言ってくれたことが嬉しくてね」

 

「なんだ…別に事実を言っただけだ。なにもおかしいことはない」

 

「前まで結婚しないとか言って誤魔化してたくせに…ねえ、千鶴」

 

「なんだ…んっ…」

 

 首に手を回され、唇に柔らかい感触が伝わる。

 鳥が啄むようなキス。

 唇と唇が離れると、目の前にマリアの顔。

 ふっと彼女は微笑み、囁いた。

 

「好きよ」

 

「ああ…俺も好きだよ、マリア」

 

 二度目の口付けは自分から。

 愛された分はしっかりと返さなければならない。

 ああ、自分がこんな素直になるなんて。

 けど、これからはこれでいい。

 だって、俺はマリアのことを愛しているのだから。




人妻編はこんな感じでやっていきたいと思います。
これまでより甘さを増量していきます!
あと別件なんですが、次回でガイガン過去編終わらせます。
長くなると思いますが…よろしくお願いします。
早く翼さんとピー助の絡みを書きたくなってな。
しばらくガイガンに専念させていただくッ!

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