マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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しばらくなにも書いていなかった…
これもPUBGとどう森(おいでよ)が悪いんや…
この前の日曜日はマコト兄ちゃんが大量に出現しましたね…
てなわけで今回あるキャラが幼児化します。
私が愛してやまないあのキャラです。
それはそれとして某アーケードゲームのパクリゲーのブルーなんたらはじめてみたけど、うん、パクリです。
けどキャラかわいいし声優さん豪華だしで許してしまいたくなる。


うるさい!お前達がパパとママになるんだよっ!

 どうして、こんなことになっているのだろう。

 もう何度目か分からぬこの問いに答えてくれるものはいない。ゼロもなにも言ってはくれないだろう。

 

「もう一回聞くんだけど、翼は今何歳?」

 

「5さい!」

 

「そう5さいなの~。ちゃんと答えられて偉い偉い」

 

「えへへ~」

 

 …俺は頭を整理するため、状況を整理するためつい三十分ほど前まで記憶を遡ることにした。

 

 

 

 

 

 今日は俺もマリアも休日で二人で家にいた。

 まあお盆休みなのだが俺もマリアも実家に帰省するなんてことがないから墓参りをして普通に家で過ごしていた。

 そう、普通に。

 休みなので俺もマリアもぐうたらしていたのだが、そんな時に突然の来客が訪れて俺は慌てて着替えて来客と会ったのだが、

 

「なんでスーツなのよ」

 

「慌てたらつい」

 

 普段着なれているスーツ姿になってしまった。

 折角の休みだというのに。

 そして、来客というのは風鳴翼。

 珍しいことこの上ない。

 

「突然すいません千鶴さん。結婚祝いをと思っていたのですがなかなか予定が空かなくてこんな時に…」

 

「それはわざわざすいません…麦茶でも出すのであがってください」

 

「そうね。立ち話もなんだし」

 

「それじゃあお言葉に甘えて」

 

 そして風鳴をリビングへと通して俺はキッチンで麦茶を入れて茶菓子にでもと水羊羮の準備をしていたらゴンと鈍い音が聞こえて、小さな子供が泣き叫ぶような声がしたのだ。

 当然だがこの家に小さな子供はいないのでかなりびっくりしてなんだなんだとキッチンから出ると…

 

「痛いよ~!!!」

 

「よしよし痛かったわね~痛いの痛いの飛んでけ~!」

 

 床に女の子座りで泣いている風鳴をマリアがあやしている。

 …なんだ、これは。

 

 

 

 

 

 なんてことがあり、マリアが風鳴をあやしていろいろ聞き取りを行っている。

 

「どうにも翼は幼児退行をしてしまったようね」

 

「幼児退行って…原因はなんだ」

 

「さっき翼が転んで頭を打ったのが原因かも…」

 

 そんなことで幼児退行してしまうものなのか人間は。

 ストレスがどうのとかでなると聞いたことがあった気もするが詳しいことは分からないのでとりあえず原因は置いておこう。

 で、

 

「どうする?」

 

「どうするって…この状態の翼を世間に放てるわけないでしょう。私達でなんとかするしかないわ」

 

 それは当然なのだが。

 

「だが退行っていうのは精神疾患のひとつだろう?医者でもない俺達ではどうしようも…」

 

「けどもし自分がこうなったとして多数の人間にこのことを知られたら千鶴はどう思う?」

 

 どうってそれは…

 心に大きな傷をつくることになりそうだ。

 

「でしょう?だから出来る限りこのことを知っている人間は少ない方がいい。翼のためにも」

 

 可能な限り俺達でこの事態を解決しなければならないということか… 

 

「ねえお父様」

 

 風鳴翼(5才)にシャツの袖を引っ張られた。

 お父様っていうのは…まさか俺のことだというのか?

 

「翼はあなたを父親と認識しているみたい」

 

 やはりそういうことなのか。

 いや、そうではなくて…

 

「私は君のお父様じゃない。君のお父様は八紘さんだ。もう亡くなられているが…」

 

 そう、俺が彼女の父親だなんて八紘さんに祟り殺されかねない。

 

「お父様なんで嘘を言うの…お父様はお父様なのに…ぐすっ」

 

 やばいぐずつきだした。

 こういうときは…どうしたらいいんだ?

 

「え、え~とね翼。違うのよ、その、えぇっと…」

 

 なんとか上手い言い訳を探すマリア。

 しかしマリアは、

 

「私嘘は苦手なのよ~!千鶴お願い!」

 

 まったくこの人は…

 正直でいいことだが誤魔化すことくらいは出来てほしいものだ。

 マリアを下がらせ、床に座る風鳴翼(5才)に目線を合わせて頭を撫でる。

 

「まったく翼は泣き虫だな…ほら、お父さんだぞ」

 

「お父様っ!」

 

 風鳴翼(5才)が明るい笑顔を浮かべ抱きついてきた。

 八紘さんごめんなさい。また墓参りしますから、いい和菓子を供えますからどうか祟り殺すのだけはやめてください。

 ひとしきり抱きつかれて風鳴翼(5才)が離れたので立ち上がるとマリアがジト目で睨んできた。

 

「なんだ」

 

「別に~」

 

「…5歳児の相手をしただけだ」

 

「ふーんだ」

 

 やきもちを焼いたマリアの機嫌をなおすには…

 ちょっと強引に且つ優しく抱きしめる。

 

「ちょ、千鶴…翼が見てる…」

 

「5歳児だ。子供に見られるくらいどうってことはない」

 

「もう…」

 

 ちなみにだが抱き合うことで疲労回復効果があるとかないとか。

 この状況に思っていたより疲れていたのか抱きしめあったら少しシャキッとした気がする。

 

「あー!お父様とお母様イチャイチャしてる!わたしも!」

 

「ちょっ!?」

 

 風鳴翼(5才)が勢いよくマリアに抱きついた。

 マリアは驚いたようだが…

 

「これ…いいかも…」

 

 何かに目覚めたらしい。

 よしよしと頭を撫ではじめて本当の母親のようだ。

 よし、このままマリアに任せて俺は事態解決のために頭を働かせるか。

 さて、彼女がああなったのは頭を打ってからとのこと。

 ここはシンプルにもう一度頭に強い衝撃を与えるというのはどうだろうか。一番手っ取り早そうだ。

 さて、まずはマリアにこのことを提案しよう。

 

「駄目に決まってるでしょう!?この子を傷つけるようなこと出来るはずがないわッ!!!」

 

 駄目でした。

 この子ってまるで自分の娘のようなことを言う。

 それに風鳴翼はお前の仲間だろうと言っても恐らく今のマリアになにを言っても無駄なので説得は諦める。

 それではこの策だ。

 

「そういえば近くのスーパーがセールだったな。野菜とかも切らしていたし行ってきてくれないか?それに、翼のおやつも買ってくるといいだろう」

 

「おやつね!買ってくるわ!翼、お父さんと留守番しててね」

 

「はーい」

 

「ふふ、ちゃんと言うこと聞けて偉い偉い」

 

 元気よくいってきまーすと言ってマリアは出ていった。

 予想通り。

 翼のおやつとか言えば素直に従うと思っていたぞ。

 さて、邪魔者はいなくなったので計画実行だ。

 勢い余って殺さないように力加減には注意しなければならない。

 手には頭を叩くように装備した百科事典。

 この重量ならば強い衝撃を与えるのに充分だろう。

 悪く思うなよマリア。

 風鳴翼は俺達の娘ではないのだ。

 その…子供は追々、追々な。

 

「眠い…」

 

「そうか…じゃあ昼寝でもするか」

 

「する~」

 

 風鳴翼、今本来の自分というやつを取り戻してやる…

 ソファに寝ている彼女に近付く。

 右手に持った百科事典がいやに重い。

 普段ならこんなに重いと感じないのだが。

 すやすやと穏やかに寝ている彼女を見るとドンドン右手が重くなって…

 だが、やらなければならない。

 百科事典を振り上げ…

 

「…お父様?」

 

 潤んだ瞳が俺を覗いている。

 俺は…俺は…

 これまでのことが思い返される。

 

『お父様!』

 

『お父様~』

 

『お父様こっち来て~』

 

『お父様遊ぼう~』(※虚偽が9割含まれています)

 

 あ、ああ…

 

「どうしたのお父様?泣いてるの?」

 

 俺は翼を抱きしめていた。

 俺に、この子を傷つけることは出来ない…

 

「ごめんな翼、ごめんな…」

 

 

 

 

 

 

「ただいま~翼、いい子にしてた~?」

 

 リビングに入るとソファに翼が寝ていて、寝かしつけた千鶴も一緒に寝ている。

 なんて微笑ましい光景なんだろう。

 毛布でもかけてあげましょう。

 あ、写真も撮っておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか寝ていた。

 なんというか昼寝って、いいな。

 マリアも帰ってきているようだ。

 

「おはよう千鶴。ぐっすりだったわね」

 

「ん。まあ、な」

 

 一度体を伸ばしてからキッチンに向かう。

 買い物に行かせてしまったし夕飯は俺が作るか。

 すると翼も起きてきて俺の袖を掴んだ。

 

「お父様。遊ぼう」

 

「あー…悪いがマリアと遊んでいてくれ。俺は夕飯作らなきゃいけないから…」

 

「やだー!お父様と遊ぶー!」

 

 駄々っ子だな…

 お母さんとも遊んであげなさい。お母さん寂しがってるから。

 それにそんなに袖を引っ張り揺らされると…

 

「こら。あんまり袖を引っ張るんじゃない」

 

「やだー!」

 

「おい、あまり袖を引っ張るな。やり過ぎると…」

 

 ストンと、袖から銀色に光るものが落ちて床に刺さった。

 メスである。

 

「ほら、暗器が出てくる」

 

 だから揺らすなと言ったのに。

 危ないから止めたのに。

 

「ちょっと千鶴!?」

 

 マリアがすごい剣幕で歩み寄ってきた。

 なんだなんだ。

 

「こんなもの隠し持って!翼が怪我したらどうするの!?」

 

「す、すまない…」

 

「これは没収するから!」

 

 ああ俺の刃物コレクションがっ!

 袖に隠して持ち歩く用のお気に入りのメスだったのに…

 

「まだ隠し持ってるでしょう」

 

「いや、もうないぞ」

 

「嘘ッ!」

 

 なんでこんなに今日は勘がいいんだ。

 いつもは俺の冗談に騙されるのに。

 

「いいから出しなさいッ!!!」

 

 勢いよくソファに押し倒されてマリアは俺に馬乗りになった。

 更にシャツのボタンを次々と外していって…

 

「や、やめろマリア!翼が見てるだろう…」

 

「子供に裸見られるくらいどうってことないでしょう!」

 

 そう言ってマリアはボタンを全て外して勢いよくシャツをはだけさせられた。

 そうして俺のお気に入り達が次々と没収されていく…

 

「お母様ダメ!お父様をいじめないで!」

 

 翼がマリアを止めようと駆け出すが…

 転んだ。

 

「翼ッ!?大丈夫!?」

 

「いたた…私はなにを…あっ」

 

 どうやら彼女は元に戻ったらしい。

 いやぁよかったよかった。

 本当に、それだけはよかった。

 今のこの状態を見られたことはまったくよくないのだが。

 ソファに押し倒され服がはだけた俺と、俺を押し倒して馬乗りになっているマリアというこの状態。

 非常にまずい。

 

「あ、あのね翼これはその違くて…」

 

「そ、その、すまない!二人の時間を邪魔して…それでは失礼するッ!!!」

 

「翼ッ!!!」

 

 走って、行ってしまった。

 誤解されたまま。

 

 

 

 

 

 

お盆休み明け

 

「マリアさん!マリアさん!」

 

「な、なにかしら…?」

 

「六堂さん押し倒してたって本当ですか!?」

 

(翼ぁ~!!!)




風鳴翼(5才)
知能、精神が5才児相当になった風鳴翼。
最初に見た男性、女性を両親だと思い込むようになる。
彼女から発せられる謎のオーラによって母性、父性が増幅し彼女を本当の娘だと思い込むようになるという謎の能力を持っている。

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