特に今はコロナ流行ってるし…大丈夫かなぁ?
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女の買い物は長い。
これは真実であり、常識であるとすら思っている。
昔、よく妹の買い物に付き合ったが(付き合わされたが)、子供の時分から女という生き物の買い物は長いのである。
何も長いことが悪いとは言わない。じっくり、自分に合ったものを選ぶなり、財布と相談するなりすればいい。
だが、買うつもりのないものを眺めることだけはやめてほしい。店を冷やかすにもマナーというものがある。店の滞在時間、つまり、冷やかす時間が長いのはマナー違反である。冷やかすというからには一瞬でなければならない。川の水が上流から下流に流れるように、緩やかに、それでいて、ちゃんと店の中を一周してから店を出るのである。そしてなにより、冷やかしに来ましたよというオーラを出さなければならない。
滞在時間が長く、且つ何も買わずに店を去るともなれば、店員が悪鬼羅刹の如く怒りに狂い、包丁を持ち出すかもしれない。
さて、長々とこのような物思いに耽ったのには理由がある。
それは妻だ。あれでもない、これでもないと商品である服を手に取っては元あった場所に戻すということを繰り返している。ようやく購入する候補を二つまで絞り試着室に入りファッションショーの真っ最中。
まさにいま、俺は買い物に付き合わされているのである。妻の買い物に付き合う夫というものは別に珍しくもなんともないが、こう、女性ばかりの店にいると何故か知らないが罪悪感というものが沸いてくるものである。
ひどく場違い的な、なんで男がここにいるのよ!なんて風に他の客からは思われているかもしれない。
しかしまあ、人生というものを三十年近くやっていると分かってくるものもある。それは、他人は自分が思っているほど自分のことなんて見ていないということである。
このことになにも三十年近くかけて気が付いたというわけではないが、気付いてからと気付く前とでは振る舞い方というものが変わった。一種、超然とするようになったというか、気にしないようになったのだ。いろいろと。
つまりだ、いまこの店にいることに対しての謎の罪悪感こそ抱くが、だからなんだ?この店にいてはダメなのか?と強気に、超然としていられるわけだ。
「千鶴ったら!もう!聞いてるの?」
「あ、ああ…なんだ?」
深く考え事をしているといつもこうなる。試着室のカーテンを開けて、マリアが話しかけていた。人の話というものはしっかり聞くものだ。
「これとこれ、どっちがよかった?」
白い服と黒い服を持ち、マリアはそう訊ねるが…
「どっちでもいいだろう」
「千鶴。真面目に答えて」
怒られた。
着るのは自分なのだから自分が好きな方を選べばいいだろうに。何故、俺に答えを求める。
どっちでもいいという答えでは駄目なのか?
真面目に答えたつもりだったのだが…
「真面目に答えたつもりだが」
「真面目に答えるつもりならどっちがいいかを答えなさい」
むう。
確かに。
「…俺はただ、どっちも似合うと思ったからどっちでもいいと答えたんだ」
「そ、そうかしら?それじゃあどっちも…ダメダメ!節制よ節制…」
マリアは稼いでいるのにあまり金を使わない。
よくセレブっぽいと言われる彼女だが、その実は庶民派だ。確かに高くていいものを買うが、むやみやたらと散財したりはしない。
「ねぇ千鶴。やっぱりどっちがいい?」
結局そうなるのか。
どちらもお気に入りのようだから決めあぐねるか…
どれ、少し本腰入れてみるか。
「黒のほうが引き締まって見えていいぞ」
「そうね…じゃあ、こっちにするわ」
ふう…
これで買い物終わりか。
マリアは買わないほうの服を戻して会計へ。
あとは荷物持って帰って終わり、と。
俺もマリアの後を追ってレジに行く。店員から紙袋を受け取ってさあ行かん、我らが家へ。
「ねぇ、千鶴」
「なんだ」
「前から気になってたんだけど、私服、それしかないの?」
「ん?これしかないわけじゃないが…まあ、私服は少ないな。基本的にスーツだし、私服なんて休みぐらいでしか着ないからな」
ここまで言って、はっと気付いた。
これは、いけない。
いけないのだ、こういうことを言っては。
「じゃあ私の買い物付き合ってもらったから、今度は千鶴の服を買いに行きましょう」
「いや、俺は大丈夫…」
「私が千鶴に似合うの選んであげるから。ほら、行きましょ!」
「お、おい!」
マリアに手を引かれて、そのまま男物の店へ。
このあとは大体予想がつくだろう。
とりあえず、着せ替え人形になった、とだけ言っておく。
今後はこういう短い話メインにしていくつもりデス。
まあ、テコ入れってやつデス。