マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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ウェディングドレスを結婚前に着ると婚期逃すぞ翼s…(この先は読めなくなっている)


花嫁

 祭壇の前で一人、花嫁を待つ。

 正確にはこの場は俺一人ではなく、列席している招待客やらなにやらと…失礼だが、はっきり言うと有象無象。

 正直なところ、かなり緊張している。

 大勢の人間の前で何かするというのは学生の時に色々と経験してきたはずでもう今更ながらに緊張なんてしないだろうと余裕綽々でいたらこれだ。

 リハーサルはやはり本番とは違うということか…。

 緊張のせいで見知った顔すらいまいち判別出来ないほどだった。

 …あいつも、緊張しているだろうか。

 いや、人前に出ることが仕事みたいな奴だ。けろっとしているだろう。俺だけ緊張していたら後でからかわれるに違いない。リラックスしよう…。

 式に招待したのは互いの共通の知人。

 よく『近親者のみ』と言われるあれである。

 互いに家族はなく、交友関係は…マリアの方は仕事のおかげで広そうだがあまり他の芸能人の話を聞かないので結構淡白な付き合いをしているのだろう。

 まあ、この客の中に芸能人が溢れても俺はその人達を全く知らないので困るだけなのだ。

 以前、友人が「結婚式は新婦主役で新郎は流されておけばいい」なんて言っていたがあながち間違いではなさそうだ。

 主役は花嫁であるマリア。

 特にウェディングドレスに身を包んだマリア。

 俺は…まあ添え物だろう。

 今日のメインはマリア。

 俺は一日パセリになった気持ちでいればいいだろう。

 それくらいの気の持ちようでいれば自然と穏やかな気分に…。

 

「新婦入場」

 

 む、もうそんな時間か。

 よし、だいぶリラックスも出来たし後は流れに任せて…。

 

 

 それを見た瞬間、俺は雷にでも打たれたかのようだった。

 バージンロードを一人、淑やかに、かつ確かな足取りで歩くウェディングドレス姿の彼女から目が離せない。

 おかしい。

 もう既にあの姿のマリアを目にしていたはずなのに、何故かさっきよりも美しいと感じてしまう。

 あぁ、これは、いけない。

 いけないのだ。

 どうしようもないほどに、マリアを独占したいという気持ちが溢れてしまう。

 他の誰にも見せたくない、と…。

 

「ぁ…」

 

 小さく、声が漏れた。

 バージンロードを一人で歩く彼女の隣に、見知らぬ男がいた。

 マリアはどうやら母親似らしい。

 霊感がついてこんなに良かったと思えたのははじめてだ。

 

「…必ず、幸せにします」

 

 小声で呟くと、男は微笑み、消えてしまった。

 最後まで、見ていけばいいのに。

 娘の晴れ舞台だぞ。

 …いや、きっと見てくれているはずだろう。

 そうに決まっている。

 

「…千鶴?」

 

 不思議そうな顔をしたマリアが小さく訊ねたが、なんでもないとこちらも小さく返した。

 それからのことは…いまいちよく覚えていない。

 マリアの花嫁姿に心を奪われてしまったので気付けば、あっという間に挙式が終わって。あっという間に披露宴も終わって。

 とにかく、あっという間に全てが終わったのだ。

 

 

 

 

 

 二次会はない。

 理由としては…まあ、いつでも出来るし。ということだった。

 必ずしも行っているわけではないと聞いたので別に責められることはないだろう。

 だが、それでよかったと思う。

 教会を見上げ、ここで式をしたんだなぁと出来たばかりの思い出を噛み締めているとマリアがやって来た。

 

「どうしたの、千鶴?今日ずっと上の空だったじゃない。もしかして、緊張した?」

 

 案の定、緊張していたことを見抜かれ、からかいたげな挑発的な目と笑みが俺を貫く。

 だが、緊張なんて最早どうでもよかった。

 

「まあ、最初はな。けど、お前を見たら緊張なんてどこかに吹っ飛んだ」

 

「? どういうこと?」

 

 予想とは違った反応にマリアは頭上に?を浮かべた。

 いつもみたいにむきになるとでも思ったのだろう。

 だけど、そんなものより…。

 

「綺麗だったぞ。独占したいほどに」

 

 マリアを抱き寄せて、呟いた。

 

「ちょ…もう。ふふ…千鶴も、タキシード似合っていたわ」

 

 抱きしめ返したマリアが耳元で囁いた。

 もう一度言おう。

 二次会はない。

 なくて、よかったと思う。

 おかげでこうして、二人きりの時間を過ごせる。

 いつもとは違う、二人きりの時間が…。




司令「二人の結婚を祝って乾杯!!!」

「「「乾杯!!!」」」<デェス!

響「…今日の主役抜きで二次会しちゃっていいのかな?」

クリス「どうせ騒ぎたい口実ってだけだろ」

友里「はあ…主役がいないんじゃ弄って遊べないじゃない。…そういえば響ちゃん。最近、彼氏君とはどうなのかしら?」

響「ひっ…」

翼「立花、聞かせてくれるよな?惚気るべき二人がいないのだから誰かが代わりに惚気なければいけないのは自然なことだと私は思うぞ」

調「響さんの惚気話を肴に、一杯」

響「い、いや~…別にそんな聞かせるようなものでもないし…」

未来「響」

響「み、未来…?」

未来「私、信じてるよ。今日一日、響が私達の玩具になるって。私、信じてるから」

響「」

このあと、めちゃくちゃ弄られた。

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