マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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こいつら旅行行き過ぎじゃね?
休み過ぎじゃね?
おかしくね?と思ってるのは作者が一番思ってるのでそういうツッコミは無しでお願いします。


新婚旅行 その1

「暑い…」

 

「ああ…」

 

 空港から出て真っ先に抱いた感想が『暑い』である。

 日本はもう冬の気配が近付いてきているというのに。いや、分かっていたことだ。

 北半球と南半球では季節が違うということぐらい。

 しかし、こうして実際に体験するとこう…地球の神秘的なものを感じられずにはいられない。

 ここはブリスベン。

 オーストラリア第三の都市である。

 クイーンズランド州のブリスベン川沿いの大都市で非常に住みやすく移住、留学、観光で人気の都市。

 背の高いビル街から山、川など自然もある魅力的な場所…というのはガイドブックの情報からだが、うむ。

 確かに、その通りだと思った。

 まず湿度。

 からっとしていて、暑くても不快感はない。

 なんというか、空気が軽い。

 それに、空がいやに青いのは気のせいだろうか?日本よりも青いような気がしてならない。

 ひとしきり空を見上げて、長い空の旅で固くなった身体に新鮮な空気を入れる。ファーストクラスに乗ったがやはり長時間座るのはよくない。

 まあ、バスでまた座ることになるのだが。

 荷物をトランクに入れてもらい、マリアと共にバスに乗り込む。

 車窓からの景色を眺めると…ふむ。

 日本車が多い。通る車の6、7割は日本車じゃないだろうか?道路沿いにも日本車メーカーの店がぞろぞろと並んでいる。流石、日本。車に強い国。

 それに、オーストラリアは左車線なので日本車をそのまま使えるのだろう。

 車に関して言えばナンバープレートが当然、いかにも海外!って感じなので外国感は出ている。

 それに立ち並ぶ看板なども以下にも異国情緒溢れている。

 ああ、本当にオーストラリアに来たんだなぁ…。

 

「ねぇ、千鶴」

 

「なんだ?」

 

「どうしてメルボルンでもシドニーでもなくブリスベンを選んだの?」

 

 …確かに、ブリスベンはメルボルン、シドニーに次ぐオーストラリア第三の都市。正直、上二つほどの知名度はないだろう。

 ブリスベンは日本でいうところの名古屋くらいだと小耳に挟んだ。

 しかし、しかしだ…。

 ここでしか、出来ないことがある。正確にはここじゃなくても出来るが。

 

「…を、…るんだ…」

 

「え?」

 

「コアラを、モフるんだ…」

 

 そう、ここクイーンズランド州は数少ないコアラを抱っこすることが出来る州である。

 コアラを、抱っこ…。

 

「~♪」

 

「…千鶴がとても楽しみにしてることはよく分かったわ」

 

 ああ、今から楽しみで仕方ない。

 

 

 

英語

 

 ホテルのチェックイン前…。

 

「英語なら私に任せて」

 

「別に俺だって話せないわけではないが…。まあ、任せる。俺は…ちょっと雉を撃ってくる」

 

「雉?」

 

 そう、雉である。

 生理現象なのだから仕方ない。

 不思議そうな顔をしてフロントに向かったマリアを見送って俺は少々早歩きでトイレに向かった。

 

 

 

 ふう、すっきりした。

 マリアは…いた。

 だが、妙な顔をしている。

 こう…なんとも言われぬ微妙な表情である。

 

「どうした?」

 

「うん…イギリス行った時も思ったんだけど、発音が違うなって思って」

  

 英語も国によってイントネーションに違いがある。

 よくイギリス英語やらアメリカ英語やらと言われるそれで、オーストラリアはイギリスの植民地だったので話されるのはイギリス英語のほう。

 アメリカ住みが長かったマリアにすれば違和感を感じるのだろう。

 

「あぁ…で、どんなだったんだ?」

 

「…大げさに言うとdayがdieに聞こえた」

 

 それはそれは…まあ、注意して聞けば大丈夫だろう。

 とりあえず部屋に行って荷物置いて少し休もう。

 時刻はまだ昼前。

 活動開始にはまだ早い。

 

 

 

 

部屋

 

 さて、ホテルはいいとこをとったが果たして…。

 おお、広い。

 そして窓の外に広がる青い海…。

 

「絶景だな」

 

 真っ直ぐに広がる海岸線。

 白い砂浜、青い空に海…。

 ここはブリスベンの南、ゴールドコースト市。

 オーストラリアでも人気の観光地。

 まさに南国といった様相で海にはサーファー達の姿が。

 海だけでなく、ショッピングも楽しめるエリアで街中にはトラム(路面電車)が走っている。

 実はゴールドコーストにも空港はあるのだが、便の関係でブリスベン空港の方を使った。

 正直、ブリスベンにホテルを取るか迷ったが折角のオーストラリア。海が近くにあるところがいいということでこっちにした。

 

「早くビーチに行きましょう」

 

「まあまあ、落ち着け。ここは少し落ち着いてからだな…」

 

「…千鶴って、結構出不精よね。折角の新婚旅行、一分一秒だって惜しいんだから!ほら、早く!Hurry up!」

 

 …何故に、英語?

 

 

 

 

サーファーズパラダイスビーチ

 

 42キロにも及ぶ砂浜はまさにその名の通り、サーファー達の楽園だろう。

 

「まさにバカンスにうってつけって感じね」

 

 サングラスを外しながら、ビーチを見渡すマリア。

 世界の歌姫がバレるぞ。

 

「いいのよ。ここにいる人達は私なんかより海に夢中なんだから」

 

 ふむ…。

 まあ、そういうものか。

 しかし、マリアの水着姿に夢中になった輩が近づいてきたら…斬る。

 

「それより日焼け止め、塗らないの?」

 

「いや、必要ない」

 

「確かに千鶴は日焼けしないタイプだけど、流石に紫外線量が日本と大違いよ。日焼けというより、火傷するわ。折角の白い肌が台無しよ」

 

 確かに…。

 けど、今みたいにパラソルの下でゆっくりと寛いでいれば日焼けの心配もない…。

 

「おじいちゃんになった時、シミが出来たりするわよ」

 

「別にじいさんになったら関係ないだろ。そういうの」

 

「千鶴はそうかもしれないけど…。私は、その…いくつになっても千鶴にはかっこよくいてほしいのよ…」

 

 む…。

 そういう顔でそう言われたら…塗るしかないじゃないか。

 

「じゃあ塗るから貸してくれ」

 

「…私が塗るわ」

 

「は?」

 

「だから、私が塗るわ」

 

 なるほど。

 確かに背中は自分では塗れない。

 

「頼む」

 

「ええ!」

 

 意気揚々と日焼け止めを手に出すマリア。

 マリアに背中を向けて、塗ってもらうのを待っていると…む、塗りはじめたか。くすぐったいが我慢我慢と。

 

「…意外と、大きいわね。千鶴の背中。見慣れてるはずなのに、やけにそう感じるわ」

 

「…そうか」

 

 自分は口が上手くない。

 だから、会話も続かない。

 静寂を好む質なのでこれまで特に直そうなんて考えたことはなかったが、マリアとこうなってからは…やはり、何か話した方がいいのだろうか。

 幸いにも新婚旅行中ということで話題は事欠かないのだが。

 …しかし、マリアは俺がこんな風に悩んでいることを知ってか知らずか、強烈な話題を提供してくる。

 

「背中は終わり。はい、こっち向いて。塗るから」

 

「…は?」

 

 こっち向いて?

 塗るから?

 つまり…マリアは前面も塗るというのか?

 

「いや、全部塗ってあげるつもりなんだけど…」

 

「い、いい!自分で出来るところは自分で塗る!」

 

「いいから!ヤらせなさいよッ!」

 

「そのやらせろは何かおかしい気がするッ!」

 

 結局、マリアに全部塗ってもらった。

 ものすごく、くすぐったかった。

 マリアは…すごい満足そうだった。

 

 さて、パラソルの下にレジャーシートを敷いて…。

 こうして、外で寝るというのはなんて贅沢なのだろう。

 なにもしないという贅沢。

 なんて、素晴らしいのだろう…。

 

「…千鶴」

 

「…」(なにもしない贅沢を満喫)

 

「千鶴~」

 

「…」(本格的に寝る)

 

「千鶴ッ!」

 

「…なんだ」

 

 全く…自然を感じて寝ていたというのに…。

 

「千鶴。目の前には海が広がっているわ」

 

「そうだな。青く、とても美しい海だ」

 

「ええそうね。とても美しい海だわ」

 

「だが透明度の高い海というのは栄養なんかが少なく、陸で言うところの砂漠に近いんだ」

 

「そう。だけどここは砂漠ではなく海よ」

 

「…何が言いたい」

 

「不毛よ」

 

「一年で二回作物を植えるやつか」

 

「それは二毛作よ。そうじゃなくて、折角来たんだからもっと二人でなにかしましょうよ。新婚旅行なんだから!」

 

 ふむ…。

 まあ、そうだな…。

 しかし、二人で穏やかに寝るというのも俺は悪くないと思うが…。

 

「いいから!はい、まずはこっちに寄って!」

 

 …反論すると大変なのでおとなしく従う。

 マリアに近付くと、マリアはスマホを掲げて…自撮りというやつである。

 

「オーストラリア記念すべき一枚目ね」

 

 確かに。

 あ、撮られた。

 

「む…あまり撮るな。俺は写真が得意じゃない」

 

「いいじゃない。思い出作らないと。あ、この写真翼に送りましょう」

 

 それはやめといたほうが、と言おうと思ったが既に送信されてしまった。

 …Wi-Fiって便利だなぁ(現実逃避)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む、マリアから通知が。…なんのつもりのあてこすりッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしてもこう真っ直ぐな海岸線というものは日本にはないのでなんだか不思議な光景だ。

 それに、海のすぐそこに高層ビルやら高級ホテルが建ち並ぶのもここがリゾートなのだなと思い知らされる。

 

「夜は街を見て回りましょう」

 

「ああ、そうだな。ショッピング好きにもいいとこらしいしな」

 

「…ねえ、千鶴」

 

「なんだ?」

 

「先に好きって言った方が負けってゲームしない?」

 

 …また変なゲームを持ち出してきたな。

 まあ、特に寝る以外していないのでいいか。

 

「それじゃあ、スタートね。…千鶴は、私のこと嫌い?」

 

 早速仕掛けてきたな。

 いや、好きだ。とでも言わせる気なんだろうが、想いを伝える言葉は色々ある。

 

「嫌いなわけないだろう。…愛してるよ」

 

「~ッ!私も好きよ。愛して…あっ」

 

「…俺の勝ちだ」

 

「…ええ。そして私の敗北よ」

 

 とりあえず、その澄ました顔で言うのはやめてもらいたい。

 笑いが…こみ上げてきて…。

 

「な、なんで笑うのよ!?」

 

「いや、全然格好ついてないから…」

 

 世間のイメージはクールビューティーかもしれないが、実際は子猫的な可愛さの人物なのだ。

 とまあこんな感じで一日目ショッピングして移動の疲れを癒して終了した。

 本番は明日からだ…!




オーストラリアまた行きたい(・ω・)
というわけで新婚旅行編、続く…
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