それにしてもウルトラマンZいいっすねぇ。
駆け出し好調。このまま突っ走ってほしいデス。
新婚旅行二日目。
今日も昨日のように天気はいいが、現在オーストラリアは水不足のためオーストラリアの人々は恵みの雨を待ち望んでいるだろう。
さて、いま俺達が来ているのは「ローンパイン・コアラ・サンクチュアリ」
世界最大のコアラ保護施設である。
それにコアラだけでなく、他にもオーストラリアに生息する動物達が多数展示されている。
しかしここは動物園ではない。
オーストラリアで動物園を名乗るのは難しく、国内の動物しかいないここは動物園としてはカウントされないとかなんとか。
「ねぇ、千鶴」
「なんだ」
「あのトカゲとか鳥もここの生き物なのかしら…?」
マリアが、道の端にいたトカゲを見ながらそう言った。
ふむ、これはヒガシウォータードラゴンだな。
ここにいるのは…多分、展示されてるとかそういうわけではないだろう。周りの人達はまったく気にしていないし、反応しているのは俺達のような観光客だけのようだ。
「こんなに大きなトカゲが普通にいるのね~」
「流石、オーストラリアだな…」
「あ、千鶴!コアラさんよ!それもたくさん!」
む、遂にコアラが…!
会いたかったぞ、コアラ。
だが…。
「…寝てるな」
「寝てるわね」
何頭もいるコアラが、みんながみんな寝ている。
ふむ…。
「かわいいからよし」
「そのうち起きるでしょうからまた来ましょう」
そうだな。
コアラの抱っこまで時間もあるし他にもいろいろ見て回ろう。
オーストラリアと言えばカンガルー。
「ふむ…なかなかの筋肉だな。大人の雄は弦十郎さんみたいだ」
「いや、流石にそこまでは…。けど、本当にすごい筋肉ね」
ふむふむ本当にすごいな。
この脚で蹴られたらひとたまりもないだろう。
それにしたってまさかこんな奈良の鹿みたいな感じになっているとは…。
いや、流石に柵の中だが広い土地の中で放し飼い。
その中に入って、なんとカンガルーに触れることが出来るのだ。
地面に寝そべるカンガルーは人が集まっても動じることはない。慣れている。
毛並みは…思ったより硬いな。
ふむふむ。
いい経験が出来…<パシャッ!
「…なんだ」
「いいじゃない。思い出を記録してるのよ。ほら、笑って笑って」
むう。
…こうだろうか?
上手く笑えているといいが…。
「全然笑えてない。けど、大人しく撮られてくれただけよしとしましょう」
むう…。
カメラは苦手だ…。
あの任務を思い出してしまうから…。
ダメだダメだ。
折角の新婚旅行、楽しまなければ…。
遂に…遂に…コアラを抱っこし、モフることが…!
「じゃあ赤ちゃん抱っこする感じで持ってください」
言われた通りにコアラを抱っこする。
お、おー…。
意外と体温が高いようで温かく、それでいて掴む力が強い。
そして…。
モフぅ…。
あ、これは…ダメになるやつ…。
「千鶴。コアラを抱っこした感想は?」
「(。・ω・。)」
「千鶴ッ!?」
(。・ω・。)
「くっ…あの顔を撮っておくんだった…。びっくりしてカメラのことをすっかり忘れていた…。もう二度とチャンスはないかもしれないというのに…」
後悔するマリア。
そんなに変な顔をしていただろうか?
まあいい。
とりあえず、昼飯だ。
フードコートでフィッシュアンドチップスを頼んで受け取り席に向かうと…。
「またいた。しかも席に陣取っているわ」
再び登場、ヒガシウォータードラゴン。
椅子の背もたれを木の枝かなにかと思っているのか、背もたれの上にドーンと乗っている。
全長は…60センチくらいはありそうだな。
腹も膨れて貫禄がある。
この手の奴は人に慣れないと思っていたが、こう人が多い所にいれば自然と慣れてくるのかもしれない。
と言っても触る気にはならないが。
この席は彼(彼女?)の席なので俺達は別の席へ座って昼食をとった。
たまには、こういうジャンクなものもいいな。
それにしても、チップが多いな…。
「カモノハシって、不思議ね…」
隣でカモノハシを見るマリアが呟いた。
確かに、カモノハシという生き物は珍しく、不思議だ。
カモノハシはこの一種しかおらず、仲間もいないオーストラリア固有の種。
哺乳類では非常に珍しく卵生。つまり、卵を産む。
オスの後肢の蹴爪には毒があり、特徴的な嘴は優れた感覚器官とかで水中では嘴で生体電流を察知し水中の獲物を狩る…。
うん、不思議だ。
「なんだか、ゆるキャラっぽくてかわいいわね」
「そうだな」
カモノハシもかわいい。
ここではカモノハシの繁殖も行っているらしいので、今後も種の保存のために頑張ってもらいたい。
ホテルに戻り、ベッドでくつろぐ。
ふかふかのベッドはとても素晴らしいが、更に素晴らしいアイテムをゲットして更にリラックス度を向上させてしまったのだ。
「もふ…」
コアラのぬいぐるみである。
あの感触が忘れられなくて、つい買ってしまった。
本物のコアラのように掴んだり、温かくはないがサイズともふもふ感は本物に負けてはいない。
あぁ…人を駄目にするものだ…。
「………」
もふもふ。
「………」
もふっ。
「………」
………。
マリアが、こちらを見ている。
「なんだ」
「別に。なんでもないわよ」
ふん、とそっぽを向かれてしまった。
とてもなんでもないようには見えない。
「何かあるなら言え。つまらないことで喧嘩はしたくない」
「………じゃあ、言うけど」
「ああ、言え」
しばらく、間が空いた。
言うけどと言ったが、どうにも言い難いことらしい。
そして、随分と長い前置きの後にようやくマリアは口を開いた。
「そ…」
「そ?」
「そんなぬいぐるみを抱くぐらいなら私を抱きなさいッ!!!」
なにやら、恥ずかしそうに顔を赤らめてマリアはそう言い放った。
しかし…。
いいのか?
いや、本人がやれというならいいのだろう。
「え、あ…ちょっと待って…。心の準備が…」
マリアの後ろに腰掛けたが…。
なんだ心の準備って。
そんな緊張することでもないだろうに。
まあいい。
やる。
俺はマリアへと手を伸ばし…。
「おお…」
「…千鶴。なにしてるの」
「なにって、お前の頭をモフっている。前から触ってみたかったんだ。この猫耳みたいなところ。セットしてるから触られたら嫌だろうなと思ってこれまで触らなかったが…。ふむ、いいもふだ」
髪の毛が集まってこんなにもいいもふもふになるとは…。
元の髪質とかもいいからだろう。
毛量も多いから触り甲斐がある。
これから毎日触らせてくれるだろうか?
「もう…ま、いいけど」
許しが出た。
よし、モフろう。
「千鶴。オーストラリアの人達は8時とか9時にはもう寝るそうよ。それで、朝早くに起きるっていう生活をしているみたい」
「らしいな。実際はどうだか知らんが」
「というわけで、郷に入っては郷に従えということでやってみない?それにほら、早起きして日の出を見に行きましょう」
「…やってみるか」
別に拒否する理由もない。
それに、日の出も見たい。
「それじゃあおやすみ」
「ああ」
部屋の照明を落としてベッドに入る。
生活サイクルとは違う時間だが寝られるだろうか?
マリアは既に寝息をたてている。
…俺も寝よう。
…
……
………
『……兄さん』
『ち…義兄さ…』
『千鶴義兄さん!』
「……お前か。俺の睡眠を邪魔するのは」
目の前には何故かセレナがいた。
本当になんでいるんだこいつは。
投擲しようとした煤付のメス(闇夜で光を反射させないための煤である)を袖にしまう。
『や、やめてくださいよ!千鶴義兄さんは霊体すら切り裂いてしまいそうなんですから!』
流石にそこまでオカルトチックな力はない。
「で、どうやってついてきた?いや、憑いてきた?」
『マリア姉さんに…えへへ』
「たく…新婚旅行についてくる奴があるか」
『ここにいます!』
「自信満々に言うな」
満面の笑みで言い放つセレナを見て思わず目頭を抑えた。
「それで、なんで今出てきたんだ?」
『折角の旅行なのに誰とも話さないのも寂しくて…』
「そう、か…まあ、話し相手ぐらいにはなってやるよ」
『本当ですか!ありがとうございます!」
マリアもぐっすりと寝ているから多少の音は大丈夫だろう。
朝4時。
「あーよく寝た。千鶴、起き…」
「…おはよう、マリア」
「どうしたの千鶴!?隈がひどいわ!?寝られなかったの?」
セレナの話し相手になっていた、とは言えない。
精々一時間ぐらいで終わると思ったがまさか3時まで話すとは思わなかったぞ…。寝そうになると起こしてくるし、俺の睡眠時間はおよそ一時間程しかないのだ。
まあ、動けないわけではないが仕事でもないのにこの睡眠時間はキツイ…。
「大丈夫?日の出見に行くのやめる?」
「…いや、行きたいんだろう?それに、調べたら今日は最高のコンディションらしいから見に行くのには絶好の機会だ」
「けど…」
「大丈夫だ。動けばそのうち本調子になる」
さて、日の出まであと30分くらい。
着替えてビーチまで歩くが…星空もいいものだ。
まあ、あと少しで見れなくなってしまうが。
「…少し、肌寒いわね」
まだ日が出ていないのもあって、確かに少々肌寒い。
俺は大丈夫だが、マリアには少し辛いだろう。
上着でも着せようかと思った瞬間、マリアが左腕に抱きついてきた。
「これなら暖かいわね」
「…効果あるのか?」
「千鶴とくっつくだけで暖かいのよ」
ふむ…。
まあ、俺もマリアを感じることが出来るからいいか。
そして…。
「綺麗ね…」
水平線の向こうから光が差していく。
…初日の出などを有り難がる日本人の一人だが、確かに日の出というものは有難いもののように感じる。
いや、それ以上に…日の光に照らされたマリアの姿を見れたことの方が有難い気がする。
しかし…。
『わぁ綺麗ですね~!』
…セレナがいるから二人きりとは相成らなかったが。
まあ、いいが。
こいつも今や俺の義妹なので家族だ。
だけどやっぱり新婚旅行についてくるのはどうなんだ…?
ショッピング中。
「前も思ったけどサンタさんがサーフィンしてるって、違和感ね」
「まあ、北半球とはあべこべだからな」
街中はクリスマス仕様にデコレーションされている。
夏のクリスマスというのは確かに違和感だが、こうして見ると面白く思える。
「というわけではい。ちょっと早めのクリスマスプレゼント」
そう言って紙袋を手渡してきたマリア。
開けてと促されて、開けてみると茶色いレザーのジャケットだった。
「着てみて。サイズは大丈夫なはずだから」
開けての次は着てみてか。
普通に街中なので、適当なベンチを見つけてそこで荷物を置いて着てみると…ふむ。肩もちょうどいいな。
「あとは最後にこれを被せてと…」
背伸びをしたマリアが俺の頭にこれまたレザーの帽子を被せて…。
「出来たわ!風来坊千鶴!」
…なんだ、風来坊千鶴って。
こんな格好で街中は歩けないぞ。帽子のハードルが高過ぎる。
ジャケットだけならまだしも。
「やっぱり元がいいとなに着ても似合うわね」
…褒められてるのか?
いや、それよりもマリアに先を越されてしまったか…。
いま渡すべきか…?
渡すべきなんだろうな、うん。
「マリア、その…これなんだが」
紙袋を手渡すとマリアは不思議そうな顔をした。
さっき自分が何を渡したのかもう忘れたというのか。
「だから、クリスマスだ。クリスマス」
「え!ごめんなさい。ここで渡されるとは思ってなかったから…」
マリアは俺のことをなんだと思っているのか。
まあ、確かにそういうイベント事には疎い方だが…。
「開けていい?」
「いいぞ」
…さて、喜んでもらえるだろうか?
さっきも言ったが、あまりこういうことはしてこなかったから自分のセンスみたいなものに自信が持てない。
もし、気を悪くされたら…。
「これ…マフラー?」
「…ああ、そうだが」
マフラーとにらめっこするマリア。
どうなんだ、これは。
いいのか?悪いのか?
変な緊張をしてしまい、唾を飲み干す。
そして…。
「とても…とてもかわいいわ!柔らかいし、それに軽いわねこれ。何の毛なのかしら?」
「アルパカの毛だ」
「へぇアルパカ…。日本に帰ったら使うわね。ありがとう、千鶴」
満面の笑みを浮かべたマリアがそう言ってくれた。
その顔を見たら、俺まで嬉しくなってしまって頬が緩んでしまった。
「あ!ちょっとその顔のままでいて!」
?
一体どうしたんだ?
「あー!折角笑ってる千鶴が撮れると思ったのに!」
…なんだ、そんなことか。
「なんだじゃないわ!今回の旅行どころかこれまでも千鶴が笑ってるところ全然撮れてないのよ!撮らせなさいよ!」
「そうは言ってもだな…」
「…また、コアラを抱っこすれば笑うかしら」
「は…?」
「またあのコアラのところに行くわよ!!!千鶴もコアラを抱っこ出来て嬉しいでしょう!!!」
「ま、待て待て!次はオーストラリア動物園がいい!!!」
こうして新婚旅行はあちこち行って、行く先々で俺が笑った瞬間をカメラに収めようとするマリアとなかなか上手く笑えなかったり、笑ったけどタイミングが悪かったりした俺という構図になってしまった。
そして…。
「寒い…」
「ああ…」
帰国。
久しぶりに吸った日本の空気は肺に重い気がした。
湿度のせいだろうか?
冬だからそう湿度は高くはないと思うのだが…。
「寒い…けど!あれがあるわ!」
「あれ?」
マリアはバッグの中から俺が贈ったマフラーを取り出した。
早速使ってくれるようで嬉しい…。
「…なんの真似だ?」
「いいじゃない。これ、結構長いから二人一緒に巻けるわ」
マリアが巻いたマフラーに巻き込まれてしまった。
これは、恥ずかし過ぎる。
脱出だ。
「ダメよ。このまま家に帰るわよ」
「こんな…こんな恥辱を衆目に晒すというのか…!?」
「なにも恥ずかしくなんてないじゃない。仲のいい夫婦だなぁって思われるくらいでしょ?…マフラーと千鶴の体温で暖かくなったわ!よし、帰りましょう!」
そうして、飛行機疲れなんて知らないようなマリアが俺を引っ張って歩き出した。
なんともまあ、俺はこれからもマリアに引っ張られていくんだろうなと思い知らされてしまった。
まあ、それがいいのかもしれない。
「ほら千鶴!雪よ!」
「…テンション、高いな」
ちょっとしたイベントが終わり、日常へと帰っていく。
なんとも得難い、日常に…。
エルフナイン「そろそろ六堂さんに仕返しがしたいですね…ショタ化と女体化の薬がありますがどちらを使えばいいでしょうか!」