もっと早く投稿するつもりでしたが諸々色々ありましてこんな時間に!
すまない!
本当にすまない!
そして誕生日おめでとうございますマリアさん!
千鶴は頭を抱えていた。
現在、8月1日。
マリアの誕生日まで、一週間を切っていた!
「あ、六堂さん!」
「立花か」
「珍しいですね、休憩室にいるなんて」
「ああ、ラムソーダが飲みたくてな…」
「どうかしたんですか?」
どうやら悩みが顔に出ていたようだ。
あまり人には悟られたくなかったのだが…。
「…マリアの誕生日が近くてな」
「ああ!マリアさんに渡すプレゼントで悩んでたんですね!」
「そんなところだ。それと…」
「それと?」
「8月7日はマリアの誕生日であると同時に結婚記念日でもあるんだ…」
そう、去年の8月7日に婚姻届を役所に提出した。
マリアはそれを最高の誕生日プレゼントだと言ったが、では今年はなにをプレゼントすればいいのか…。
「そうですね…わたし達は今年は六堂さん家にお邪魔してパーティーしようと思ってたんですが」
「なんだそれは、初耳だぞ。家主の許可なくやるつもりだったのか」
「えへへ~」
「えへへ~じゃない全く」
まあ、サプライズでパーティーすればマリアは喜ぶだろうが。それに、家でやろうとしたのもマリアを気遣ってのことだろう。
妊娠6ヶ月を迎え、いよいよお腹が出てきたマリア。
そういうことだから気遣ってくれたのだろうが、安定期に入ったのでむしろ散歩などで外に出まくりである。
芸能活動は休止し、S.O.N.G.も実質産休である。
労働基準法では出産を六週間以内に控えた妊婦が産休を請求したら就業させてはならないとあるが、S.O.N.G.は国連の組織であるし、最近はアルカノイズが出てくるようなことも無し。でたら他の装者が出動するので既にマリアは産休状態である。
本人は働きたがっていたが。
まあ、折角ゆっくりと出来る機会なのだからゆっくりしていてほしいものだ。
前は休みがないとぼやいて、今度は仕事がないとぼやいて。
安定期に入り、つわりもなくなったのでそういう風に言えるということは調子が良くなってきたということだろう。
「プレゼントかぁ。マリアさん、お腹大きくなってきたからマタニティウェアとか…」
「それならマリアがいつの間にか買ってた」
この間、仕事から帰った時に見せびらかされた。
かわいかった(語彙力)
「む、立花」
「あ、翼さん」
立花に続いて今度は風鳴が登場。
ちょうどよかった、風鳴なら何か欲しいものとかマリアから聞いているかもしれない。
「今、マリアさんの誕生日プレゼント何がいいかって考えてたんですよ」
「風鳴は何か聞いていないか?あれが欲しいとか」
「マリアの欲しいもの…欲しいもの…」
「はあ…」
「どうしたマリア。ため息なんてついて。噂のまたにてぃぶるーか?」
「いや、マタニティブルーではないけど…。最近というか妊娠してからずっと千鶴に甘えっぱなしで…」
「妊娠中だから無理させたくないんだろう。いい夫じゃないか」
「それはそうなんだけど…最近千鶴の休み少ないし、休みの日も家事して家に持ち帰った仕事してるし、二人でゆっくりしたいなぁって」
「なるほど…」
翼は回想を終え、ひとつの結論に達した。
「マリアなら、六堂さんを欲していましたよ」
「げほっ!?」
千鶴は飲んでいたラムソーダを吹き出しそうになったのをなんとか堪えたが、むせてしまった。
真面目な顔でそんなことを言われると思っていなかったからである。
「け、結婚してるのに更に六堂さんを求めるなんて、マリアさん情熱的だなぁ…」
「…その、なんだ。それに応えるには私はどうすればいいんだ」
「休みを取りましょう。折角のマリアの誕生日ですから、一日ぐらい二人でゆっくり過ごすというのもいいと思います」
この作品、いや、私(大ちゃんネオ)の作品の翼さんの中で一番まともな翼さんが今ここにいた!(当社比)
彼女は正しく、日本を代表するトップアーティストにして頼れるシンフォギア装者、「風鳴翼」であった!
「流石翼さん!六堂さん、早速7日で有給申請しましょう!」
「しかし…。いや、そうだな。確かに、最近はあまりマリアとの時間を持てていなかったからな…一日ぐらい、許されるだろう。しかし、やはり形あるものとして残るものを渡したい」
千鶴としてはやはり記念として残るものをプレゼントしたかった。
翼の案は良かったがそれでは物足りない。
では、何をプレゼントするか…。再び、悩む。
「二人してなにやってんだ?」
三人で頭を抱えていたところ、今度は雪音クリスがやって来た。
千鶴はなんとなく、次の展開を察した。
「クリスちゃん!いや今ね、かくかくしかじかなんだけど」
「かくかくしかじかじゃ分かんねぇよ!ちゃんと説明しろ説明」
「六堂さんとマリアに渡すプレゼントを考えていたのだ」
「ああ、すまないが知恵を貸しては貰えないだろうか?」
「まあ、いいけど…。プレゼントか…」
クリスはプレゼントに関連付いた記憶を思い返した。
その中で、今のマリアが貰ったら喜びそうなものをピックアップした。
「そういや前に服貰ったことがあったな。マタニティウェアとかどうだ?最近、腹も出てきたし。必要だろ?」
「クリスちゃん、そのくだりはもうやったんだ」
「雪音、腹が出てきたという言い方はまるで太ったようではないか。失礼だぞ」
「わ、悪かったよ…」
内心、なんでこんな責められたのか分からず困惑する。
先輩の言葉はまだ分かるとしてバカに関してはなんかよく分からない理由で却下されたぞ!
「おい!マリアが欲しそうにしてたものぐらい旦那なら分かんだろ!」
「…すまない。分からないからこうして知恵を貸して貰っているんだ。不出来な旦那で本当にすまない…」
わりとクリスから言われた言葉がショックで千鶴は項垂れた。
今度からはしっかりとマリアが欲しそうにしてたものを要チェックし、リストにまとめておこう…。
「そうだよクリスちゃん!プレゼント考えるってすごい難しいんだから!六堂さんを責めたら駄目!」
「…お前、やけにそいつの肩持つな」
「うん。だってこの間、楽しみにしてたプリンをクリスちゃんが食べるからぁ!未来が買ってきてくれた、数量限定のプリンなんだよ!朝早くに並ばないといけないやつ!」
「お前まだそのこと気にしてたのか!?謝ったし同じの買って返したんだからいいだろ!」
「いいや、食べ物の恨みは恐ろしいんだよ!というわけでク~リスちゃんの脇腹を…」
「こら、脇に逸れているぞ」
二人の喧嘩を諌める翼。
どうしたことか、いつもよりかなりまともである。(当社比)
「およ?皆さんお揃いで何してるデスか?」
「切歌ちゃん!調ちゃん!」
(あー…なんとなく、装者が揃う気はしてたんだよな…)
「なるほどなるほど」
「マリアへの誕生日プレゼント…」
「ああ、一番長くあいつといたお前達の力を貸してくれ」
やはり最後に頼りになるのはこの二人だろう。
これまでも何度も力を借りて、二人には足を向けて寝られない。
「六堂さんから貰ったものならなんでも喜ぶと思うけど…」
「とはいえゴミとかはダメデスよ!」
「当たり前だ」
「現状、考えているのは?」
「…有給を取って、二人で過ごそうかと。有給が取れればの話だが」
「そこは私達からも叔父様に口添えしますのでご心配なく」
そんなこんなで三人寄れば文殊の知恵どころか六人も寄ったので何かいい案が出るかと思ったがそんなこともなかった。
そんなこんなで8月7日当日。
立花達装者はプレゼントを渡すだけ渡して、今日はそれだけにして彼女達は帰った。
色々気を遣ってくれたのだ。
…最近、気を遣われ過ぎているな。あとでお礼をしっかりとしなければ。
「まさか、千鶴が有給使ってくれるなんて思わなかった」
「まあ、今日ぐらいはな。それに…最近は、あまり構ってやれなかった。すまない」
「いいのよ、千鶴だって忙しいんだし」
「だが…」
それでは納得いかない。という意思が伝わったのか、マリアはしょうがないわねと前置きしてこんなことを言った。
「千鶴じゃないけど、今日ぐらいはワガママ言わせてもらうわ。…寂しかった」
「…すまない」
「色々話したいこととかあったのに、仕事ばっかりで。家事だって任せてくれたっていいのに一人でなんでもかんでもして」
返す言葉もなかった。
罪悪感が心を刺し貫く。
だが…。
「けど、ありがとう。私のこと気遣ってくれて」
そう微笑むマリアを見た瞬間、マリアのことを抱き締めていた。
「…すまない」
「もう、さっきから謝ってばっかり。折角の記念日なんだから、ね?」
「そう、だな。お前の誕生日だというのに…すまない」
「また謝った!もう今日は謝るの禁止!」
「…善処する」
今日一日か…まあ、禁止とはいえ罰則はないから別にいいだろう。
「あ、謝ったらくすぐりの刑よ。いいわね?」
罰則をつけられてしまった、ちくしょう。
それにくすぐりとは…。
こわい。
「それじゃあ早速ケーキを食べましょう!」
「ああ、準備する。…なんか、食い意地張ってきてないか?」
「しょうがないでしょう。お腹の子の分もあるんだから」
それもそうか。
順調に成長しているようで安心する。
マリアのお腹を撫でてからキッチンへ入り、冷蔵庫に入れていたケーキを取り出す。
二人分しかないので、なんとも可愛らしい小さいケーキだ。
「ねえ、千鶴。このお店ってすごい人気のところじゃなかった?」
ケーキの箱のロゴを見たマリアが気付いたようだ。
ふふん。
「ああ、少し伝手があってな」
本当なら並ばないといけなかったが、『マリアさんの誕生日ケーキなら!』と店長が張り切って作ってくれたのだ。
この店長とは…まあ、今はいいだろう。
箱を開いて表れるシンプルなバースデーケーキ。
これをひとまず…四等分だな。
「あとの二つは冷やしておく」
とりあえず自分達が今食べる用のケーキを皿に取り分けて、あとの二つは冷蔵庫。
いや、ひとつは冷蔵庫の隣の電子レンジの上に置いておいた。
「さっさと食えよ」
『いや、私食べられないんですけど…。いえ、ありがとうございます。いただきます』
「3分経ったら冷蔵庫入れるから」
『はやっ!?』
これでセレナの分はよしと。
「千鶴、何か話してた?」
「いや、何も」
さっきのことは誤魔化して、席に座った。
「それでは、改めて…誕生日おめでとう、マリア」
「ありがとう千鶴」
笑顔でそう返された。
それにしても、マリアも今日で29か…。
「20代最後の年だな」
「そうね…この調子だとあっという間に30歳ね。千鶴は30歳になって何か変わった?」
「いや、何も変わらん。これといった感慨もなかったな」
「そっか…。なんか、千鶴に聞いてもあんまり参考にならなそう」
「どういう意味だそれは」
「だって色々人間離れしてるんだもの!風鳴司令と同類よ同類!」
失礼な。
俺は弦十郎さんの足下にも及ばない。
しかし、確かに弦十郎さんはもう中年もいいとこだがまるで衰えない。
まあ、父親があれだからな…。
それはさておき。
「最近は足はむくむし、腰は痛いしでなんか既に身体にガタが来てる気がするのよね…」
「それはお前、妊娠してるからだろう」
「それもそっか。あ、千鶴。今度、千鶴の休みがあえばだけど、両親学級に参加したいのよ」
「両親学級?」
あまり聞き慣れない単語だが、なんとなく字面から想像はついた。
マリアがスマホを操作してHPを見せられたが、やはり想像通りのものだった。
「母親学級っていうのもあるけど、やっぱり千鶴も一緒がいいなって思って…ダメ?」
「いや、行こう。そういうのは参加するべきだ」
「よかった。千鶴もちゃんと父親になる自覚がありそうで」
…まあ、あまり実感が湧かないものだ。
父性というやつは。
母親と違って腹を痛めて産むわけではないからな。
その代わり、父親はしっかりと守ってやらねばなるまい。働いて養う…必要はないといえばないが。
安定した生活費の供給は大事なことだろう(震え声)
そう自分に言い聞かせて、働く意義を再定義する。
…休日という話が出たところで、あれを渡すか。
「少し、待っててくれ」
席を立ち、寝室へと向かう。
ベッドの下の刃物コレクションケース内に隠していたものを取り出し、リビングへ…。
「こんなもので、喜んでくれるかは分からないが…」
お洒落にデザインされた封筒をマリアへと差し出す。
「開けてもいい?」
「ああ」
封筒を開くマリア。
それを緊張して見守る自分。
果たして、喜んでくれるかどうか…。
「…記念写真撮影?」
「あ、ああ…最近は、妊娠中の写真を撮るマタニティフォトというのがあると聞いて、それでだな…」
再び、ギフトへ目を落とすマリア。
やはり、微妙だったか…?
「…嬉しい」
「え…?」
「素敵なプレゼントだと思うわ!もちろん、千鶴も一緒に写ってくれるんでしょう?」
「いや、俺は写真は…」
「写ってくれるんでしょう?」
「…はい」
諦めるしかなかった。
写真は苦手なんだ…。
まあ、いい。話題を変えるか。
「…どうだ、子どもの様子は」
「元気に育ってるって。そろそろ男の子か女の子かも分かるって先生も言っていたし。それに最近!お腹蹴るようになったのよ!」
おお、よく言うあれか。
そこまで元気に成長してるようで何よりだ。
「それに、この時期になると耳も発達してパパとママの声を聞き分けるようになるって言われるみたいだからよく話しかけてるのよ。ねー?」
自分の腹を撫でながら、子どもに話しかけるマリア。
すっかり、母親みたいだと言われていたマリアが本物の母親になっていた。
「ほら、千鶴も話しかけて!声覚えてもらわないと!」
「話しかけろと言われてもな…」
ふむ…。
マリアの膨れた腹。
この中にいる子に、なんと話しかければいいのだろうか…。
…………。
「…こんにちは」
「ぷっ…なんで、そんな…ふふっ…他人行儀、なのよ…ふふっ…」
「笑うな!これでも真面目に考えて…」
「真面目にやってるのが面白いんでしょう!!!」
なんて奴だ。
人が真面目にやってるのに、それを笑うなんて。
…まあ、こんな風に明るく笑うマリアを見れたからよしとしよう。
誕生日おめでとう、マリア。
えー改めまして…劇場版ウルトラマンタイガ公開おめでとうございます!!!明日観に行きます!!!
…え?違う?
あ、マリアさんお誕生日おめでとうございます!!!
XDのメモリアマジで良かったっす!(XDはやってないけど)
なんとか、今日中に仕上げられてよかったです。