春らしいぽかぽかとした日。
日差しがリビングに射し込んでいた。
「ああ、これはいいな」
思わず呟いてしまうほどに心地がいい。
折角の休日だしここで昼寝でもしよう。
そうだ、それがいい。
そうと決まれば早速クッションとマットを持ってきてと。
クッションを枕代わりにして左側を向いて寝た。
心臓を下にして寝ると健康によいと何かで見たのだ。
それにしても、こんなに幸福なことは滅多にないぞ。
というわけで、ぐう。
千鶴が寝て少し経った頃、暇を持て余した二号がリビングにやって来た。
一人で留守番している千鶴と遊んでやろうとやって来たのだが千鶴は寝ていた。
マリア達は買い物に出かけているのでいない。
どうしたものかと悩む。
……眠気が訪れた。
なるほどここは寝るのに良さそうだと思ったので即行動。
千鶴の左隣に陣取ると二号も穏やかな眠りの中へと誘われた。
『千鶴義兄さ~ん』
ご近所幽霊とのご近所付き合いを終えて帰ってきたセレナ。
面白い話があったので千鶴に聞かせようとわりと急いで帰ってきたのだが……。
『二号と一緒に寝ちゃってる……』
折角面白い話を聞かせようと思ったのに。
まあ、このぽかぽかとした陽気なら仕方ない。
『なんだか私も眠くなってきちゃった……。幽霊なのに』
あれ、幽霊の私が眠るってそれはいわゆる成仏というやつでは?
なんて思いもしたが結局睡魔には勝てず、セレナも暖かな光の中で眠りについたのだ─────。
『私は成仏してません……むにゃ……』
買い物から帰ってくると、千鶴と二号がリビングで寝ていた。
窓の近くで日光に当たりながら寝るのはとても気持ち良さそうだ。
「パパと二号寝てる」
「そうね。起こしちゃダメよ?」
最近、千鶴は忙しかったようで帰りが遅かった。
久しぶりのまともな休日なのでゆっくり休ませてあげたい。
「Zzz」
「ママ~千歳も寝ちゃった」
買ってきた野菜などを冷蔵庫にしまっているとアリアが駆け寄りそう言ってきた。
見ると本当に寝ている。
寝つきが早い千歳らしい。
これで我が家の男性陣は全員寝てしまった。
「アリアもお昼寝したら?」
「ねむくないもん」
ちょっとむすっとした顔のアリア。
遊び相手がいなくてつまらないのだろう。
「これ終わったら相手してあげるからちょっと待ってて」
「はーい」
返事をしてキッチンから出たアリアを見送ってから再び買ってきたもの達をしまって……。
しまっていたら、電話が鳴った。
相手は翼から。
珍しいと思いながら電話に出るとまさかのライブへの出演オファー。そこから流れて最近のことだとか色々と話に花が咲いた。
マリアが翼と電話している間、アリアは暇だった。
千鶴も千歳も二号も寝ているからだ。
マリアは電話に夢中になっている。
暇で暇で仕方ないので起こしちゃダメと言われたが、もう無理矢理起こしてやろうと思って昼寝中の二人と一匹のところに座り込んだ。
「ねーねーパパー」
千鶴のシャツを引っ張るアリア。
話しかけても起きる気配が全くない。
「二号~」
二号を揺さぶる。
すると寝惚け眼でアリアを見たがすぐにまた眠りについた。
「千歳~」
呼んでも起きる気配はない。
つまらない……と思っているうちに、アリアにもまた眠気が訪れた。
太陽の恵みは誰にも平等である。
ぼうとした頭で、もう寝てしまおうと思ったら最後、夢の中である。
「ええ、それじゃあまた。お疲れさま」
つい長電話をしてしまった。
アリアを待たせてしまったのできっと拗ねているだろう。
「アリア~……あら?」
子供部屋にでもいるかと思ったが、アリアまで皆と一緒になって昼寝をしている。
家族でお昼寝だなんて、微笑ましいことこの上ない。
折角なので写真を一枚。
いい写真が撮れた。
これは印刷してアルバムにいれておきましょう。
「あ、折角だからSNSにも投稿しちゃおうかしら」
顔は隠すように編集して……。
文章は……。
「これから私も混ざりますっと……」
折角だし私も混ざることにする。
千鶴は起きたらビックリするだろう。
みんなにタオルケットをかけて私もいざ横に……Zzz……。
日が傾きかけてきた頃になって千鶴は目を覚ました。
「……あ、あぁ……。よく寝た……」
久しぶりにちゃんと寝たような気がする。
とても質の良い睡眠だった……。
「おお、いつの間にこんなことに」
横を見ると家族全員揃って眠っているではないか。
二号とセレナまで。
確かに今日の陽気に当てられれば誰だって眠るだろう。
マリア達は起こさないでおくか。
スマホで時間を確認するとマリアが何か投稿したようだった。
見ると昼寝中の俺達。
「まったく。こういうのは俺に聞いてから投稿しろと言っただろうに。まったく」
まあ、別にいいが。
さて、しばらく起きそうにないから夕飯は俺が作るとするか……。
早くこんな風に眠れる春になってほしいですね……gkbr
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