マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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ちょっと試験的にやってみる。
設定はまだ付き合ってない段階。
付き合う秒読み。
そしてなんとこの時空の千鶴さんは……
酒 に 強 い←ここ重要


別の世界線のお話

 飲みに誘われた。

 あの世界の歌姫のマリア・カデンツァヴナ・イヴから。

 そんなことを言われても普通は信じないだろうが、なんせ職場が一緒なので面識はあるのだ。飲みにぐらい誘われる。

 まだ彼女がよく一緒に行動を共にしている装者達の大半は未成年なので酒の席には付き合えないのだ。

 装者の中でも共に行動することの多い風鳴翼はライブツアーで今は福岡だと緒川さんから聞いている。

 飲む相手がいなくて俺を誘ったんだろうが……。

 

「いいのか?男と二人で飲みなんて。すっぱ抜かれるぞ」

 

「いいのよ別に。スキャンダルのひとつやふたつあったって。日本が気にしすぎなのよ」

 

 まあ、芸能人の不倫とか叩きすぎではないかとも思うが……。

 

「さあ!飲むわよ!」

 

 堂々と店内に入っていくマリア。

 それにしても、こんな場末のチェーン店でいいのだろうか……。

 本人がいいならいいか……。

 というわけで俺も店内へ。

 座敷席に通され、品書きに目を通す。

 海鮮メインの店なので適当に刺身の盛り合わせでも頼めばいいだろう。

 

「どれにしようかしら……」

 

 意外と悩むな……。

 そうこうしているうちに店員がやって来て、オーダーを取りにきたので注文。

 

「熱か「生ふたつで」

 

「生ふたつですね~」 

 

 ……。

 

「なによ。まずはビールでしょう」

 

「……まあ、そういう風潮はあるな」

 

「千鶴。あなたもしかしてビール飲めない人?」

 

「べ、別にいいだろう……」

 

 そして運ばれてくるビールとお通し。

 正直、成人して酒を飲むようになってからもう数年経つがビールの美味さというものがまったく分からない。

 苦いだけだろうあんなの……。

 ビール飲むぐらいならビールっぽいリンゴジュースが飲みたい。

 

「結構可愛いところあるじゃない」

 

「からかうな」

 

 とりあえず乾杯して口をつける。

 やっぱり苦い……。

 こんなものを飲むなんてマリアはすごいな……。

 

「苦……」

 

 訂正、すごくなかった。

 なんだ、仲間じゃないかただの。

 

「お前、見栄張っただろう」

 

「だって……」

 

 顔を赤らめるマリア。

 もう既に酔ったのか、あるいは羞恥からか、それとも両方か。

 詮索はしない。

 とりあえず、この注文されてしまったビールをなんとかするか……。

 

 

 

 

 酒の席というものはあんな話やこんな話ととにかく酒と共に会話を楽しむものである。

 しかし口下手な性分なもので話すのはマリア。聞くのは俺といった感じになっているのが現状。

 もっと休みが欲しいだのとか主に芸能関係の仕事の方の愚痴がどんどん出てくる。

 そういった芸能関係にはあまり明るくないのでとにかく聞き役に徹する。

 そして愚痴を吐けば吐くほど酒が入る。

 

「あまり飲みすぎるなよ」

 

「これくらいで潰れないわよ……」

 

 そう言うわりには目がトロンとしている。

 その様は見ているとどことなく、ドキッとさせられて……いかんいかん。

 集中しろ集中。

 

「千鶴はビールより日本酒が好きなの?」

 

「ん……まあ、ビールよりかは」

 

「ちょっと飲ませて」

 

「いいぞ」

 

 酌をしてやろうと持っていたおちょこを置く。

 すると何を思ったかマリアは俺が使っていたおちょこを手に取りぐいっといってしまった。

 ぐいっと。

 

「あ~酒って感じの味がするわね」

 

 そりゃ酒なのだから当然だ。

 いや、それよりだな……。

 

「マリア、その……それは俺が使ってたやつでだな……」

 

「もう一杯!」

 

 そういって徳利まで奪ったマリアは日本酒を楽しみだした。

 それより、そのおちょこは俺が口をつけたやつでだな……。

 いや、間接キスぐらいで動じるような人間ではないのだろう。

 そんな中学生でもあるまいし、俺も細かいことを気にしない大きな人間になろう。

 それにしても日本酒をそんなガブガブといくのはよろしくない。

 

「少しペースを抑えろ。度数高いんだぞ」

 

「千鶴こそ飲み過ぎたら駄目、よ……」

 

 いや、お前に強奪されたから今現在なにも飲んでないのだが……。

 って、待て。

 

「おい、マリア?おい、寝るな。マリア、マリア」

 

 ……駄目だ、完全に寝た。

 どうする? 

 家まで送る……のはマリアの家を知らないので無理。

 あー、こういう場合は……。

 ……ここから家、近いな。

 いや、しかしそれは……。

 だがそこらのホテルとかに入る方が余計にまずいような……。  

 ……。

 よし、タクシー呼ぼう。

 

 

 

 

 マリアをベッドに寝かせる。

 が、上着は脱がせた方がいいよな……。

 心の中ですまないと手を合わせてコートを脱がすが……。

 これは、いけない。

 見るな、見るな、見るな。

 考えるな。

 心を無にして、コートを脱がせることに成功した。

 誰かによくやったと褒めてほしいぐらいである、が……。

 寝顔を見ていると、いけない気分にさせられる。

 いかんな、これは……。

 とりあえず、シャワーでも浴びて酔いを覚まそう。

 言うほど酔ってはいないが、別のものに酔わされた気分だ。

 コートはハンガーにかけておいて、シャワーを浴びに浴室へと向かう。

 ……いっそのこと、冷水を浴びてしまおうか?

 

 

 

 

 

 

 

「ん……ふぁぁ……よく寝た……って、ここどこ……?」

 

 目覚めたら知らない部屋。

 ベッドとクローゼットしかないというと過言だが、いやに生活感のない部屋。

 なんで知らない部屋で寝ていたのか?

 それを探るために寝る前の記憶を呼び覚ますが……。

 

「そっか……千鶴と飲んでて……」

 

 飲んでて……。

 えっ、まさか、えっ。

 これって、え、まさか、そういう、その、え?

 うっすらと、部屋は千鶴の匂いがする。

 ということはその、寝てしまった私は千鶴によって千鶴の家にお持ち帰りされて……。

 

「落ち着きなさい私……。心の準備をするのよ……」

 

 そう、心の準備さえすれば問題ない。

 なんなら酔い潰れた千鶴を持ち帰るぐらいはするつもりだったし?

 当初の計画通りではなくなったがお持ち帰りされたのが千鶴か私かの違いでしかない。

 そう考えればむしろ好都合……。

 

 突然だが、人とは唐突に記憶を呼び覚ますことがある。

 ふと、ある時脳裏に浮かぶのだ。

 その現象が冷静になってきていたマリアを襲った。

 

『千鶴はビールより日本酒が好きなの?』

 

『ん……まあ、ビールよりかは』

 

『ちょっと飲ませて』

 

『いいぞ』

 

『あ~酒って感じの味がするわね』

 

『マリア、その……それは俺が使ってたやつでだな……』

 

『もう一杯!』

 

 千鶴と間接キスしてるじゃない私!?

 ちょっと待ってどういうこと!?

 酔った勢いで何してるの私!?

 

 冷静になったと思ったらこれである。

 再び、心の中は冬の日本海の如く荒れに荒れる。

 ベッドの上をのたうち回るマリア。

 そんなことをしていると、どこかの戸が開いて足音がこちらに近づいてくる。

 足音の正体は当然千鶴である。

 とりあえず、起きたのであればそのままでいればいいものをマリアは……狸寝入りした。

 

「マリアは……寝てるか」

 

 寝室を確認する千鶴。

 寝ているものを起こすのも悪いとそのまま千鶴はそっと扉を閉めて、マリアが目覚めるまでは寝室には入らないと固く誓いリビングのソファを寝床として夜を明かした。

 そして、太陽が昇り……。

 

「なんで……なんで手を出してこないのよ!もう!!!」

 

 マリアは千鶴の枕をサンドバッグにしていた。

 

 

 

 ぽんぽんと何かを叩くような音で目を覚ました。

 寝室から聞こえてきたのでマリアが目を覚ましたのかもしれない。

 急に知らないところにいるのだからちゃんと説明はしておこう……。

 寝室の扉の前で一呼吸。

 意を決し、ノックをしてから中を伺う。

 やはり予想通りマリアが起きていたのでとりあえず挨拶を。

 

「おはよう」

 

「お、おはよう……」

 

「まあ、その、なんだ。やましいことは何もないから安心してくれ」

 

「え、ええ、そうね。大丈夫。信頼してるわ」

 

(いいわよ!やましいことしなさいよ!)

 

 とりあえずコーヒーでもどうだと誘うと「いただくわ」と返ってきたので俺はキッチンへと向かう。

 ……まて、これは夜明けのコーヒーとかいうやつではないか?

 だとするとなんというかその、なんというかだ。

 いや、昨晩細かいことは気にしないと心に決めたばかりではないか。

 それに、目覚めにコーヒーを飲むことぐらい普通である。

 

 一方マリアは……。

 

(これって夜明けのコーヒーってやつじゃ///)

 

 さて、コーヒーを淹れているのだが座っていればいいものをマリアは俺の隣に立ってコーヒーを淹れるところを見ている。

 コーヒーを淹れるといってもインスタントなので別に面白くもなんともないのだが。

 とりあえず出来上がりということでカップを渡すと冷ましてからマリアはコーヒーに口をつけた。

 猫舌のようだ。

 

「……美味しいわね」

 

「ただのインスタントだぞ?」

 

「千鶴が淹れてくれたからかしら」

 

「……あまり、そういうことは言うな。勘違いしてしまう」

 

「……勘違いしてくれてもいいのに」

 

 心臓が跳ねた。

 マリアが小声で呟いたそれを聞き逃しはしなかったのだ。

 しかし、俺なんかが彼女と……。

 ため息をつき、カップをシンクの上に置いた。

 指が疲れたのだ。

 するとマリアもそのすぐ隣にカップを置いた。

 そして、沈黙。

 コーヒーの香りだけが、存在感を醸し出していた。

 

「ねえ」

 

 沈黙を先に破ったのはマリアの方だった。

 

「なんだ」

 

「どうして、その……何もしてこなかったの……?」

 

 また、心臓が跳ねた。

 彼女のストレートな思いは心臓に悪い。

 

「……そんなこと普通しないだろう」

 

 逃げの一手。

 とにかく誤魔化して、この話を早く終わらせたかった。

 自分なんかが彼女に……。

 はあ。

 とりあえず落ち着くためにコーヒーを飲もうと手の記憶だけでカップを掴みコーヒーを口に運ぶ。

 

「……あっ!!」

 

 急に、マリアが大きな声を出した。

 

「どうした?」

 

 訊ねるとマリアは頬を赤く染めて……。

 

「それ、私が飲んでた方……///」

 

 その言葉を聞いた瞬間、顔が熱くなった。




えー今回は試験的にやってみるとのことでしたが何の試験かというとマリアさんは結婚したいのリメイクですね。
作風といいますかなんといいますかこんな感じですよ的な感じで。
リメイクはリメイクでまた別物なのでこちらも続けてはいきますのでご安心を。
これの反響次第で色々変わる……かもしれない。
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