マリアさんは結婚したい   作:大ちゃんネオ

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お試しでまず一話
短いのは許して(・ωく)


IFマリアちゃんは結婚したい……なんて一言も言ってないわよ!

 APPLEとはウロボロス残党に対抗する特殊部隊である。

 エアーキャリアーという母艦であらゆる並行世界を渡り、行く先々で滅びゆく世界の人々を放ってはおけないと我が隊の隊長が助けた結果なかなかの大所帯となった。

 人が増えれば色々と忙しくなる。

 当然、敵との戦闘も行うのでそれなりの大怪我なんかもよくある。 

 そのためここは日々忙しい。

 

「いでででっ!?」

「喚くな男だろう」

 

 男性隊員の傷口の消毒を行う。

 頭部を強く打ったとのこと。

 外傷は額のみ。

 検査の結果は特に異常はなかったが頭を打つというのは後から響いてきたりもするので要注意。

 

「まあ、こんなところだ。異常があったらすぐに医務室に来るように」

「ありがとよ先生」

 

 お大事にと患者を送り出し、ようやく一息つける。

 一度眼鏡を外して身体を伸ばす。

 長時間座っているのはやはり身体に来るな……。

 

「お疲れさま千鶴」

 

 伸びをしていると背後から声が聞こえたので振り向くが誰もいない。

 疲れて幻聴でも聞こえるようになったか……?

 

「ここよここ!」

「あぁ、マリアか。小さくて気付かなかった」

「うるさいわね! いっつもそうやって馬鹿にしてるの分かってるんだからねこっちは!」

 

 眼鏡をかけ直して改めて見る。

 小さい身体で大きな声を出す奴だ。

 それにしても。

 

「今日も可愛いな」

 

 頭に手を乗せて言う。

 するといつものように。

 

「可愛いって言うなッ!」

 

 この台詞。

 テンプレートと化しているがやはり聞いてて楽しいな。

 マリア・カデンツァヴナ・イヴ。

 我が隊の隊長。

 こんなだが22歳だ。

 

「事実だから言っているんだ。マリアは可愛いぞ」

「うるさいこのロリコン! ペド!」

「ロリータコンプレックスとは12歳から15歳までの少女に特別な感情を抱くことだ。だがお前は22歳。つまりロリータにはならないということだ。更に言うならロリコンというのは精神医学には存在しない言葉でありぺドフィリアがこれに該当する。ぺドフィリアとは10歳未満の少年少女に性的嗜好を見出だすものでありロリコンとぺドフィリアはその性質上全く違うものである。ということは理解したか?」

「ご高説どうもありがとう。で、何が言いたいのよ」 

「つまりだ、お前のことを可愛いと言った俺をロリコンと言ってしまうとお前は自分のことをロリータだと思っているということになる。子供扱いするなと言ったお前が自分で自分を子供扱いするとはなんとも滑稽だな」

 

 俺の言葉を聞いたマリアは固まっていた。

 どうやら自分で自分を子供扱いしていたことにショックを受けてしまったらしい。

 ……ふむ。

 

「マリア」

「なによ……」

「俺は別に小さいから可愛いって言ったわけではないぞ。お前が年相応の姿だったとしても可愛いと言っている」

「ッ!?!?」

 

 分かりやすいほどに照れてる。

 やはり可愛い奴だ。

 

「そ、そんなにわたしのことをからかって楽しいッ!?」

「からかってないぞ。本気で可愛いと思っているから可愛いって言っている」

「か、か、可愛い可愛い連呼するなぁ!!!」

 

 顔を真っ赤にして叫んだマリアは走って出ていってしまった。

 やれやれ。

 精神は肉体に引っ張られるというのは本当のようだ。

 

「千鶴さんいらっしゃいますか?」

 

 ドアの向こうから聞こえた声は大きい妹のものだった。

 姉妹入れ違いで来るとは。

 

「失礼しますね。あの、姉さんと何かありました?」

「いや、何もない。あいつが照れただけだ」

「そうですか……。むう」

 

 頬を膨らませ抗議の目線を送るセレナ。

 なんだと言うのだ。

 

「あんまり姉さんをいじめないでください」

「いじめてない。話していただけだ」

「じゃあ照れさせないでください」

「無理だなそれは。あいつのリアクションを見るのは俺のライフワークだ」

「そんな自信満々で言うことですか……」

 

 別に恥ずかしがることではないからな。

 

「そ、それなら私もその……」

 

 セレナが何かを言いかけた。

 その先を促そうと思ったが医療班の部下が部屋に入ってきた。

 

「六堂先生明日の打ち合わせなんですが……」

「ああ、今行く。悪いな、セレナ」

「いえ……」

 

 また分かりにくいがむすっとした顔を浮かべるセレナ。

 最近はそんな顔をされることが多い。

 前はそんなことなかったのになんだと言うんだ……。




if千鶴 
ifマリアちゃんに対して無敵かつ特攻。
原作?のツンツンぶりはどこへやら。
APPLE医療班主任で眼鏡と白衣を装備。
某ヤブ医者レベルのメスさばきだとかなんとからしいがそんなの書けないので実際のところは分からないぞ!
ifセレナのことは妹分としか思っていない。

ifマリア
APPLEのマスコット兼隊長。
千鶴とはF.I.S.の同期的なそういう感じのあれ。
一応、相思相愛ではあるが見た目のこともあって踏み出せない模様。
呪いが解けたら自分から告白するつもりでいる。
最近妹が強敵(ライバル)ではと戦々恐々している。

ifセレナ
APPLEの副隊長にして教官。
訓練後のビールは美味しいがなんだか寂しいと感じる今日この頃お年頃。
早く二人がくっつけばいいと思うと同時に実力行使(意味深)に出ちゃえば……とか考えちゃう。そんな悪い考えはビールで洗い流す。
千鶴を飲みに誘ったら生活習慣病の話をされたのでしばらく誘わない。
    

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