引っ越し、就職と忙しくまた他の作品を執筆していてなかなか投稿出来ませんでした。
久しぶりのマリ婚はいい刺激になりました。
というかあれ、ヒロインがマリアさんではない……?
休みの日は休むためにある。
それが当然のことなのだが世の中は必ずしもそういう風に休みの日を消化させてはくれない。
本来ならば静かな家で一人、ゆったりと過ごすのが自分の休日というものであるが何故か人々で賑わう街の中に身を置いていた。
「それは違いますよ千鶴さん。何もしないことで確かに休むことは出来ますが、休みの日にしか出来ないことをすることでリフレッシュすることが出来るってマムが言っていました」
「だからといってなぁ、いきなり家に押し掛けてきて出かけようってのは流石に困るぞ」
「じゃあこれからは前もって連絡してから来ますね」
笑顔でそんなことを言うがそういうことではない。
連絡してきても断るだけだ。
休みの日ぐらい何もしないということをしていたい。
「けど連絡入れなくても千鶴さんは休みの日は何もしてないですよね。だったらこれまで通りでも大丈夫じゃないですか?」
「休みの日だからって何もしてないわけじゃないぞ」
「じゃあ何をしてるんですか?」
「……貝の生態模倣」
「なるほど何もしてないんですね!」
いや、何もしていないことをしているのだが。なかなか理解されがたいことである。
「それより、今日は何をするんだ。買い物か?」
「今日はデー……ええと、お散歩です!」
「散歩?」
「そう! お散歩です!」
少し焦り気味というか、慌て気味というか、何か誤魔化しているようなそんな感じがするがまあ大したことではないだろう。
それより。
「散歩というならもっと相応しい場所の方がいいな。こんな街中とかじゃなく森林浴が出来るような場所とかそういう自然とふれあえるような……。それこそリフレッシュじゃないか? こんな街中なんかより」
「わ、私はこういう街中の方がリフレッシュするんです」
さいですか。
まあようするに私のリフレッシュに付き合えということか。
悲しいが、こういう時は男というものは反抗しても無駄らしいということをとある友人から学んだので反抗はしない。
流されるままでいる。
少し話は逸れるがその友人というのはいつも女に振り回されてその度に反抗して、返り討ちにあっている。
別に悪い奴ではない。
その友人の彼女というものが少々、こう、重いので仕方ないのだ。
「千鶴さんまずは服を見ましょう!」
少々考えに耽っているとセレナが俺の手を引いて駆け出した。
小さな、手。
あいつの守った、手か……。
セレナが意気揚々と入っていった服屋は女もののところだがセレナの体格には少々合わないというかなんというかな感じの店で……。
「私だっていずれは大きくなります!」
「どうだかな」
「もー千鶴さんまで!」
拗ねるセレナであるが仕方ないだろう。
あとひとつ言いたいのは、ああいう店は非常に居心地が悪い。
あの店内にいた少ない男性諸君も同じ心地を抱いていただろう。
「それより、お昼ですよ千鶴さん」
「たかる気か」
「そういうつもりじゃ……」
「冗談だ。奢ってやるから何食いたい?」
「いえ奢られるのは駄目です。割り勘です」
きっぱりとそう断るがそういうわけにもいかない。
こっちは働いている身なので収入は十分だ。
別に昼を奢るくらいは問題ないのだが。
「ちゃんと自分の分は払います」
「何をそんな意固地になってるんだ。一食浮いてラッキーぐらいに思っておけ。で、何の口だ。和、洋、中。ここらなら店も揃ってるぞ」
「じゃあこのカフェにしましょう!」
スマホを見せつけてきたので見ると如何にも若い女性に人気!みたいな感じの店が。
……さっきもだが、こういうところは苦手だ。
しかしセレナが行きたいというのであれば付き従おう。
というわけで早速店に入ってメニューに目を通しているのだが。
……昼飯にはならんな、これは。
いや、個人の主張なのだが。
もう少し量とかそこら辺をだな……。
「千鶴さんは決まりました?」
「ん、あぁ……。このパスタセット」
「じゃあ私もそれにしますね。パスタは、ナポリタンにします!」
ナポリタン。
口の周り真っ赤にするんだろうな。
「なに笑ってるんですか千鶴さん」
「いや、なんでも」
むうとした顔を浮かべるセレナにいまさっき思ったことを言えはしない。
怒られて、機嫌を損ねてしまう。
まあ、それはいいとして早く注文しよう。
思っていたよりもセレナは綺麗にナポリタンを食べた。
こちらが思っているよりかは子供ではないということか。
いや、そもそも実年齢を考えればまあ……。
見た目があれなのであれなのだ。
「ちょっとお手洗いに行ってきますね」
そう言って席を立ったので一人。
ふむ。
「それで、勝手にお会計したんですか」
「ああ」
「割り勘って言いましたよね」
「言われたがまあいいだろう。それに、金を使わせたらマムに何を言われるか分からん」
店の外でセレナから説教を受けた。
セレナが席を離れていた間に会計を済ませてしまったのが原因である。
「なんでそんな割り勘にこだわる。さっきも言ったが一食浮いてラッキーって思うものだろう普通」
「それはそうかもしれないですけど! ……対等で、いたいんです」
「対等?」
「千鶴さんと、対等でいたいんです」
……正直、困惑している。
俺と対等というのは、どういうことだろうか。
「その、隣に。隣に立てる自分でありたいというか……」
「……よく、分からないが。ああ、正直その隣に立てるって言葉の意味を飲み込めてはいないんだが。俺は、お前の隣にいる気でいるぞ。昔から」
「え……」
「昔からお前達姉妹には振り回されてきたからな。俺の人生の半分近くはお前達といたわけだし。別に、気にするな」
なんとなく、ただ出た言葉を言っただけなので果たして意味を持つ言葉となっただろうか。
セレナに伝わっているかは分からない。
だが、それでも。
「まあ、その、なんだ。変に気にしなくていい」
「……じゃあ、気にしませんよ」
「ああ」
気にしないと言ったセレナは俺の腕に抱き付いた。
腕を組むというよりかは、抱き付いたと言った方がこの状態を表すのに相応しい。
体格差のせいであるから、仕方ない。
「それじゃあ、行きましょう!」
「ああ」
セレナと共に歩く。
歩く。
歩く。
歩く。
歩く…………。
「……なんだか、大きいワンちゃんをお散歩させてる気分です」
街中から外れて、公園のベンチで一休み中。
夕陽に包まれていたらそんなことを急に言い出した。
「失礼な。人を犬扱いか」
「千鶴さんは昔から犬っぽかったですよ。姉さんと一緒にいる時とか」
それはあれだろう。
恐らく諦観からくる無抵抗さが犬っぽいと思われてしまっているのだろう。
「よしよししてあげますね」
「本格的に犬扱いだな……」
頭の上に乗せられた手。
人から撫でられるとか果たしていつぶりだろうか……。
「ほら、犬っぽいです」
「撫でられてやってただけだ。ほら、駅まで送ってってやるから帰るぞ」
「……そうですね。今日はもう帰らないとマムが心配しちゃうので……。あ、千鶴さん。マムがたまには顔を見せろって言ってましたよ」
「そのうちな」
別になんというはないが、微妙に顔を合わせにくいのだ。
なんというか、顔を合わせたら説教されそうな気がして近付き難い。
「あの、千鶴さんも一緒に暮らしませんか?」
唐突な誘いに内心驚くがすぐに冷静になり、それは出来ないと拒否した。
そうすると、セレナの顔が曇ると分かっていながら……。
「また今日みたいに遊びに来ればいいさ。毎回、付き合ってやれるとは保証出来ないが」
「……そうですね。まったく会えないというわけでなければそれでいいです」
どこか、寂しげな笑みを浮かべる。
本当は、さっき言ったとおりに一緒に暮らしたいのだろうが……。
「今は無理かもしれないですけど、いつかは、また……」
「……そうだな。いつか、またな……」
「……約束ですよ」
ふと、左の頬に何かが触れた。
というか、セレナの顔が横を向けばぶつかるほど近くにある。
数秒、そのまま。
やがて、ゆっくりと顔を離すとさっきとは違う寂しさを含んだ笑みではなく、照れを含んだ笑みを俺に向けた。
「約束、ですよ。……それじゃあ、お家に帰りましょう!」
「……あ、おい!」
さっきのことには何も触れず、一人先に急ぐセレナを小走りで追いかける。
追い付いても、セレナはこちらに顔を向けず下を俯いたまま。
その顔色が赤いと思ったのは、夕陽のせいだけではない……のかもしれない。
こっちの千鶴さん
F.I.S.でマリア、セレナ達と共に育つ。
ネフィリムの事件の際にマリア死亡、セレナは冷凍睡眠。
千鶴はF.I.S.を出奔し聖遺物を悪用しようとするもの達と戦って(暗殺とか汚い手段で)いた。
セレナが冷凍睡眠から目覚めた後もそれを知りながらF.I.S.には戻らずにいたがなんやかんやセレナに見つかってからは家凸されるようになる。
引っ越しを考え中。
イメージとしてはリリーナの演説か講演か何かをこっそりと見てるヒイロ的なあれ。