氷川姉妹に弟がいたら_番外編   作:タクティくす

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当時の前書き: 0:00に間に合わず申し訳ない•••はい。タイトル通りかのちゃん先輩番外編です。

一応if扱いですが、本編初登場より前に知り合いでも別におかしくはない人なので、ここで起こったことは本編中の例のきらきら星の2日前にあったことにしてもいいのかもしれません。

あと、初の主人公以外の視点です。

改めて:実は暁斗が花音にしていたことをそっくりそのまま返したのが本編だったりします。なので実は相当のネタバレ回でした。

 


松原花音誕生日記念:君にもらったもの(一部修正)

立夏の候、新緑の眩しい5月11日。

 

心地よい眠りから少女が眼を覚ます。伸びを数回すれば、意識は完全に覚醒した。まだ眠そうであるが、モゾモゾと布団から這い出した。

 

制服に着替え、一階に降りてくると、両親と弟が「誕生日おめでとう」と声をかけてきた。それに対して「ありがとう」と返事をしてから席に着く。今日は誕生日だけど、平日だから、あんまりのんびりはしていられない。急がなくちゃ……

 

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段々夏も近づき気温も高くなってきた。朝でも冬服だと暑く感じる。

今は衣替えの前の夏服でも冬服でもどっちでもいい期間だけど、殆どの人が夏服。放課後冷えた時に上を着るかどうか考えるぐらいだと思う。

 

「あーっかのちゃん先輩だー! おはよー」

 

遠くから元気よく走ってくるのは一年生の北沢はぐみちゃん。私と同じ、「ハロー、ハッピーワールド!」というバンドでベースをやっていて、同じ学校の一年生。オレンジ色の短髪でいつも元気で活発な女の子。

 

「おはよう。はぐみちゃん。今日も元気だね」

 

「えへへ! はぐみは毎日元気だよ!」

 

屈託の無い良い笑顔だね。思わず私もほっこりして笑みがこぼれる。

 

「……あっー! はぐみ今日日直だったの忘れてた! じゃあね、かのちゃん先輩!」

 

「うん。またね。はぐみちゃん」

 

はぐみちゃんがまるで風のように走り去っていく。朝から元気なはぐみちゃんを見たことでこっちも元気になった気がする。

 

 

「あら、嬉しそうね。花音」

 

聞き慣れた声がした。

 

「おはよう。千聖ちゃん。今日は学校?」

 

振り返ると綺麗な黄色。整った顔立ち。間違いない。私の親友の白鷺千聖ちゃんだ。実は有名な芸能人だったりする。

 

「おはよう花音。ええ、今日はお休みよ」

 

「そっか。一緒に学校に行くのは久しぶりだね」

 

「そうね、パスパレの方で忙しくて……」

 

ここ最近仕事で忙しかったみたいだから、こうしてお喋りするのも久しぶりだ。Pastel*Palettesっていうアイドルバンドの一連のゴタゴタで忙しいみたい。

 

「じゃあ今日はゆっくりしようか。私も部活ないし、どこかお茶にでも行かない?」

 

千聖ちゃんは少し呆気に取られた顔をした後にクスクスと笑いだした

 

「花音。今日が何の日か忘れてないかしら?」

 

「え? ……あっ!?」

 

そういえば今日は私の誕生日だった。朝親と弟にも言われたのに忘れちゃってたよ……

 

「そう、今日は貴女の誕生日でしょ? 当然お祝いも用意してるから、放課後は私に任せて」

 

「えへへ……ありがとう千聖ちゃん。とっても嬉しいよ」

 

あら、花音の誕生日は今日なの? なら今日はとーっても素敵な日ね! ならお祝いをしなくっちゃ!」

 

突然大きな声がした。

 

「ふぇぇ•••びっくりしたよぉこころちゃん。後ろからじゃなくてせめて前から声をかけて欲しいな」

 

声をかけてきたのは弦巻こころちゃん。はぐみちゃんと同じく一年生でハロー、ハッピーワールド! のボーカルだ。

家がとってもお金持ちで、とっても破天荒な子。でも私にとっても大きな物──何かに挑戦する()()をくれた子。

 

「わかったわ! 次からは気をつけるわね! それより、今日は花音の誕生日なのよね? お祝いしましょう!」

 

「い、今から? ふぇぇ•••ダメだよぉ〜学校があるよ?」

 

「それもそうね。じゃあ放課後にしましょう!」

 

ダメだ。放課後は千聖ちゃんが祝ってくれるのだから。

 

「あの、こころちゃん。お祝いは明日にしてもらえると嬉しいかな」

 

「花音、貴女……」

 

少し前までの私だったら多分流されていたかもしれない。現に千聖ちゃんは驚いてる。

でも、ほんの小さな勇気と弱さを貰ったから、大丈夫。

 

それに、こころちゃんはこの程度で人を嫌いになったりなんてしない。少しばかり申し訳ないと思うけど、今日は千聖ちゃんがお祝いしてくれるって先約が入ったから、それを無下にするのはダメだと思う。

 

「わかったわ! なら明日を楽しみにしてて!」

 

「うん! ありがとね。こころちゃん」

 

こころちゃんはそのまま走り出した。凄いスピード•••こころちゃんはやっぱりすごいな。

 

「花音、貴女少し変わったわね」

 

「え? ダメ……なのかな?」

 

「そんなことないわ。とっても素敵よ?」

 

「えへへ、ありがとう」

 

少しは成長できているなら、それはきっと良いことなのだ。

 

「それにしても、貴女のバンドのボーカル、まるで嵐みたいな子だったわ」

 

「あはは……そうかも。でもこころちゃん凄いんだよ?」

 

 

お互いのバンドのメンバーの話で盛り上がった。彩ちゃんはバイトだと頼りになるけど、パスパレ内だとドジだって聞いた時は驚いちゃったな

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後千聖ちゃんに連れられて、羽沢珈琲店に着いた。

店に入ると、看板娘のつぐみちゃんが出迎えてくれた。

 

「いらっしゃいませー……あっ花音さん! 待ってましたよ」

 

「え? 待ってたってどういうこと?」

 

「奥に座って待っててくださいね?」

 

「う、うん」

 

何がなんだかわからずに促されるままに店の奥の席に座らされた。

 

「さて、改めて……花音、お誕生日おめでとう」

 

「うん。ありがとう千聖ちゃん。でも、ごめんね? 千聖ちゃんの時はお祝い出来なかったのに•••」

 

「仕事が入っていたから仕方ないわ」

 

「う、うん」

 

「お待たせしました。こちら本日限定松原花音さん限定のバースデーケーキになります!」

 

つぐみちゃんが持ってきたのはワンホールのケーキだった。フルーツも沢山使われてるし、すごく美味しそう。

 

上には「HAPPY BIRTHDAYS 花音」とメッセージが書かれていた。 

つまりこれは今日のために用意されたケーキってことだよね? 

 

「わぁ……ありがとうつぐみちゃん。とっても美味しそうだよ!」

 

「いえいえ。お礼なら千聖さんと暁斗君に言ってください」

 

お金はこの2人からですよ。と付け足した。

 

「本当に癪だけど彼と合同のプレゼントよ。勿論私個人からのものも用意しているわ」

 

あはは……千聖ちゃんは本当に暁斗君のことになると口が悪くなるよね

なんでも、かなり苦手な相手らしい。

 

暁斗くんはいつも優しいと思うんだけどな。

初めて会った時から商店街で道に迷ったところを助けてくれて、今でも迷子になった時に電話をかけたら道を教えてくれたり、その場所まで連れて行ったりしてくれるし、この店に来た時もにこやかに応対してくれる。

そして何より、弱気な自分を肯定してくれた人だから。

 

以前何かの拍子で、弱い自分が嫌いだと話したことがある。

 

「松原さんは確かに気弱だけど、それだけよく周りのことを考えることができる優しい人ってことでもありますよ? 

ただ、その優しい部分をもうちょっとだけ自分に向けてあげればいい。怒られない範囲で甘えちゃえばいいんですよ」

 

人間ズルしたもん勝ちです。なんて少し冗談めかしてたし、ただの受け売りだと言っていたけど、彼が言ったその言葉は確かに私の中で生きている。まだちょっと自分を出すのに勇気が要るけれど、その勇気もこころちゃんから貰った。

 

私にとっては道標で、とっても頼りになる人。

 

でも、千聖ちゃんはどうしてかはわからないけど、暁斗君のこと苦手みたい。つい口が悪くなってしまうらしい。特に悪い人ってわけじゃないと思うんだけどな•••

 

そのまま、ケーキを食べたりお喋りしながら時間を過ごしていると、

 

「遅れてすいません。もう始めちゃってますか?」

 

暁斗君が来た。

 

「遅いわ。花音が待ちくたびれてしまったじゃない」

 

開口一番千聖ちゃんが。私そこまで待ちくたびれてないよ? 

 

「全く以って言い返せないです。ごめんなさい松原さん」

 

「ううん。ケーキ美味しかったよ? ありがとう」

 

「……え? 全部食べたの? まじですか?」

 

「残念だったわね。貴方の分も食べてしまったわ」

 

「えーちょっと酷くないですか白鷺さん?」

 

「遅い貴方が悪いわ」

 

「どう思います? 松原さん」

 

「ふぇっ!? えー……っとごめんね?」

 

「……はい」

 

かなり落ち込んでいる。もしかして結構高かったのかな? ちょっと悪い事しちゃったかも。

 

「あっそうだ。松原さん。誕生日おめでとうございます。これ大した物じゃないですけど•••」

 

彼がそう言って小さな箱を渡してくる。

 

「ありがとう。開けてもいい?」

 

彼は頷いた。

 

そこには綺麗な石が使われたブレスレットが入っていた。

 

「わぁ、ありがとう。可愛いブレスレットだね」

 

「喜んでもらえたなら良かったです。白鷺さんは何を贈ったんですか?」

 

「実はね……千聖ちゃんもブレスレットなんだ」

 

そう、千聖ちゃんも同じなのだ。でも使われてる石が違う。両方とも青いけど、千聖ちゃんの方が濃い青で暁斗君の方が水色。

 

どうやら千聖ちゃんは暁斗君が同じ物を選んだことにかなりの不満があるようだ。

確かに少し使い道に困るかもしれないけど、2人が選んでくれた物だからとても嬉しいと思う。要らない。なんてことは絶対にない。

 

「2人ともありがとう。大事にするね?」

 

その後も千聖ちゃんが暁斗君に悪態をつきながら誕生日会は続いた。

暁斗君が不憫だとは思うけど、とても楽しい誕生日だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれ? 花音さん今までブレスレットってしてましたっけ?」

 

「あっ美咲ちゃん……えへへ。昨日プレゼントで貰ったんだ」

 

腕には2つのブレスレット。

 

後で聞いた話だと千聖ちゃんはアイオライト、暁斗君はブルーレースアゲートを使った物だったらしい。

 

「嬉しそうですね」

 

 

「うん。そうだねとっても嬉しいよ!」

 

松原花音17歳。これからもハロー、ハッピーワールドの一員として、私が貰った勇気と優しさを皆に届けたいと思います。

 




当時の後書き:
アイオライトとブルーレースアゲートは5/11の誕生石です
石言葉は
アイオライトが「真実の愛」「自由」「挑戦」
ブルーレースアゲート は 「勇気」です
こころちゃんから勇気を貰ったかのちゃん先輩との関連性もしっかりしてますね。公式はやはり有能だった?

余談ですが、5/11の誕生花はリンゴです。
リンゴの実の花言葉は「誘惑」「後悔」
リンゴの実•••禁断の果実•••アダムとイヴ•••二人きり•••
かのちゃん先輩のヤンデレが多い理由がなんとなくわかりました。

もし自分が書くなら孤立誘導+監禁型ですかね。
マッチポンプで社会的にダメージを与えて、自身に依存させるタイプのヤンデレになると思います

改めて:改めて見ると結構文の書き方が違う気がしますね笑
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