氷川姉妹に弟がいたら_番外編   作:タクティくす

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魔王は暁斗の属性的に運命力が高かった。

暁斗:泥中の蓮
あこ:誕生花が蓮

なお本編


宇田川あこ誕生日記念:魔王のはらから(一部修正)

今日は7月3日! 闇の波動がえーっと……あれして、えっと……とにかく! 73(波)の日! じゃなくて、あこの誕生日なんだ〜お父さんお母さん、おねーちゃんもりんりんもプレゼント用意してくれてるって言ってたし、多分美味しいものとケーキも食べられるし、誕生日っていいこと尽くめだよ。あっ多分アッキーも何かくれそう。

 

とにかく! 今日はあこの誕生日。さあ皆の者よ妾の降誕を祝い、各々に、に、なんだっけ? ……あっ! 贄! そうだ。贄を捧げるのだー! 

 

 

……実に締まらない小さき魔王様の誕生日、これはそんな在りし日の光景。もう戻らない残照なのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『Happy birthday dear あこ(ちゃん/宇田川さん)〜Happy Birthday to you〜 』

 

おめでとう! その声の直後にクラッカーの小気味いい音が鳴り響く。

出会ってくれて、生まれてきてくれてありがとう。ある種最上の感謝を告げる愛の歌。ありふれているが、だからこそ尊い賛美歌。

 

まあ、深く考えずとも祝ってくれるから嬉しい。ただそれだけで十分だろう。あこも、純粋に祝ってくれたことを喜び、そして驚いている。

 

「まさか友希那さんが歌うなんて•••!」

 

それもそのはず。あの「孤高の歌姫」がバースデーソングを歌ってるのだ。ファンが聞いたら目玉飛び出す珍事なのではなかろうか? 

 

それに、友希那さんは「Roseliaに馴れ合いは必要ない」と豪語するストイックな少女だ。そんな少女が自分のために歌ってくれている。驚愕と喜びさえあれど嫌悪感は全くもって存在しなかった。

 

「も、もう一回お願いします! ちゃんと録画しなきゃ」

 

そして当然こうなる。それほどまでに貴重で、そして嬉しかったから。

その後はいつも通りの練習だった。この辺りはさすがRoselia。実にストイックである。練習前に皆からプレゼントをもらえて魔王様もご満悦のようだ。にへへへと笑みを浮かべる様は魔王とはとても思えない様相で可愛らしいものだが。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

練習が終わり帰宅する。

 

パーンパパーン! ぱふぱふ•••間違いない。デジャヴだ。2回目なので驚きは薄いが、正体がわかっているので嬉しさは健在だ。

 

あこの家族と数人の友人による歓迎。よくあるホームパーティのような光景、お菓子やポテトやジュースといった体に毒な、だが美味なジャンクなものが卓上の一面に所狭しと並んでいる。

 

「おかえり。それと誕生日おめでとう。あこ」

 

「ただいまー! ありがとおねーちゃん! あこすっごく嬉しいよ!」

 

他のみんな、Afterglowのみんなにはぐに沙綾ちゃん。

「おねーちゃん、アッキーは?」

 

「ん? あいつなら•••」

 

扉を開く音がした。ビニール袋の擦れる音も聞こえてくる。

 

「おまたー。お前ら人遣い荒すぎだぞ? 特にモカ。せめてスーパーで買えるものにしてくれよ」

 

「だって〜やまぶきベーカリーのパンが食べたかったんだもん」

 

「沙綾ちゃんが持ってきたのすぐに食べちゃったもんね」

 

「今回はもう済んだことだから不問にするけど。モカ、帰りにアイスでも奢ってよ」

 

「え〜アッキーの鬼〜悪魔〜甲斐性なし〜不能ー」

 

一瞬空気が凍った気がした。

 

「……何もそこまで言うことないだろ……」

 

沈痛な面持ちでアッキーが告げた。何故? 

 

「ちょっ……モカ!? まずいって色々」

 

蘭ちゃんが慌てだした。なんで? 

 

「げ、元気出して暁斗君! わ、私ふ、不能でも気にしないから!」

 

つぐちんは顔を赤くしている。ホワイ? 

 

「つぐ、寧ろトドメさしてない!? 暁斗大丈夫? 生きてる?」

 

沙綾ちゃんは暁斗の心配? をしている。

 

「だ、大丈夫。大丈夫。流石に冗談ってわかってるから。流石にきついジョークだったけど。要は奢りたくないってこと?」

 

「いやいや。ちょっとモカちゃんも言いすぎたからね〜後でアイスおごるよ〜ゴリゴリ君」

 

「安っ! 暁斗のメンタル治療費100円もしないの!?」

 

「許した」

 

「軽い!? 4.8グラムより軽い!」

 

 

 

ひまりちゃんは元気だ。今日もツッコみ担当。……不能ってどういう意味なんだろう? わかんないからいつもみたいに聞いてみよう。

 

「ねえねぇアッキー? 不能って何?」

 

「……あ〜……あこにはまだちょっと早いかな?」

 

……少し理不尽だ。暁斗となんて殆ど年の差なんてないのに。しかも暁斗は4月生まれだ。なのに学年が1つ上でおねーちゃんと同じ学年なのはやっぱりおかしいと思う。

 

……おねーちゃん、りんりんの次ぐらいに頼ってる気がする。あことほぼ同い年だからフランクだし、勉強教えてくれるし、あことりんりんで出かける時に一緒に来てくれる。それがまるであこの方がお子様って言われてるようで不服だ。

 

「む〜教えてよ〜! ケチ! あんぽんたん!」

 

でも、甘えても許してくれてるから嫌いにはなれない。

でも、あこの方がおねーちゃんなところもあるもんねーだ。意外とコーヒーカップ苦手だもんね? あとフリーフォール。

 

「ひどいな〜そんなイケナイこと言う奴にはプレゼントやらんぞ?」

 

そう言いながら取り出したのはNFOとコラボしてるシルバーアクセ。確か蓮の葉っぱがモチーフってりんりんが言ってた。

 

 

「あー! それもしかして!?」

 

 

「うん。高かったから、俺とりんさんからって事で折半して買ったんだけど•••あこは人に向かってひどいこと言う奴だしなー? どうする巴さん?」

 

「うーん、ちょっとどうかな……」

 

「うわーーーー! ごめん、ごめんって!」

 

「うそうそ。ちゃんとあげるよ。あこ、誕生日おめでとう」

 

「ありがとー! 付けていい?」

 

どうぞどうぞなら声を聞き届けて早速着けてみる。

……うむ。実に馴染む。まるで悠久の時を経て再会を果たしたような、えーっと何かこうピッタリくる感じ! いい! 実にいいよ! 

 

「ふふふふ……我が名は大魔姫あこ! 今宵闇の力により顕現し、祝福の時を迎えた! 我が同胞(はらから)よ、我を恐れ、狂喜するがいい!」

 

「•••はいはい。かしこまりましたよ魔王様」

 

家族じゃないけどあこにとって暁斗ははらからなようである。

 

 

 

 

 

これが在りし日の刹那の一幕。もう二度とない世界。




何気にこの回は暁斗の誕生日がわかる凄絶なネタバラシ回でした。

設定集で書きましたが、4/1というのがかなりのネタバレ要素なので、前半に嘘があること、暁斗が何かを切望していることがわかる回でした

そして後から知ったのですが、クロッカスには「私を裏切らないで」という意味があるそうです。
全く意図していなかったのですが、暁斗にぴったりでした。



・・・あとインポが元ネタ要素です。真人間的な意味で
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