(るか)「あっ、岡…凶真さん、呼び出してしまってすみません」
神社に着いてすぐに掃き掃除をしていたルカ子に呼び止められた
その目は明らかに俺ではなく俺の服に向いている まぁ当たり前だが
(るか)「あの…この服は一体…」
(倫太郎)「助手がアメリカから送り付けてきたものだ 気にするな」
(るか)「はぁ…」
気にするなと言って返事しのにまだまじまじと服を物珍しそうに見てくる
(倫太郎)「で?」
俺の問いかけでようやく目を合わせることができた
(倫太郎)「用とは何なのだ?ただ呼び出しただけなら帰らせてもらうぞ」
(るか)「ご、ごめんなさい…でもこんなことを凶真さんにご相談に乗ってもらうのも少し悪い気がするんです…」
呼び出しておいてここで迷うのか
(倫太郎)「悪いかどうかは俺が聞いて判断する」
(るか)「じゃ、じゃあ遠慮なく…実は最近…」
最近?なるほど、大方想像がつく
(倫太郎)「なんだ、そのことか」
(るか)「ご、ご存じなんですか?」
(倫太郎)「案ずるなルカ子よ、その件は俺も十二分に承知している」
(るか)「本当ですか!?」
(倫太郎)「今すぐに妖刀・五月雨をここに!あとお祓いの準備もだ!」
(るか)「はっはい!」
ルカ子が持っていた箒を放り出して神社に戻って数分後、五月雨とお祓いで使用する白い
ひらひらが付いたあの棒を息を切らせながら持ってきた
(倫太郎)「ではルカ子よ!五月雨に宿る邪魔を祓うのだ!!」
(るか)「はい!!」
ルカ子が棒を振り始めたのを2、3歩離れて見守る
俺も何度かルカ子のお祓いは見たことがあるが毎度ただやみくもに棒を振り回しているよ
うにしか見えない
だが、そんなことはなく俺すらも知らない『何か』が浄化されているのだろう、多分
お祓いを始め数分後、未だ棒を振り続けるルカ子が息絶え絶えに口を開いた
(るか)「五月雨が…あの夢に…どう関け…関係するん…ですか…」
(倫太郎)「夢?一体何の事だ?」
立ち疲れてその場に座っている俺は逆に問い返した
そこでようやくルカ子のお祓いが止まった
(るか)「ご…ご存知じゃ…なかったんで…ですか…」
(倫太郎)「俺は五月雨に宿る加護が切れついに邪魔が取り付いてしまった、と思っていたが」
(るか)「ち…違いま…けほっ…」
ずっと休みなしに棒を振り続けたためフラフラとしている
頬も真っ赤になって今にも顔から倒れてしまいそうだ
(倫太郎)「すまなかったな、とりあえずここに座っていろ 俺は水を買ってくる」
(るか)「はい…」
ルカ子を石段に座らせ急いで水を探しに向かった
ルカ子が頬を赤めていた本当の理由も知らずに
(倫太郎)「ところでルカ子、その『夢』とは何なのだ?」
空がまばゆく橙色に輝き始めカラスが落ち葉をつつくのを見ながら気になった単語につい
て聞いた
(るか)「夢…たかが夢…そう思って聞いてほしいんです」
やけに焦らせるな… そこまで大事なのか?
(倫太郎)「あぁわかった、話してみろ」
(るか)「おかしな話だと思うんです、でもやけに現実的で…」
「凶真さんと、しかもその服を着た凶真さんと『デートする』夢を見るんです」
(倫太郎)「な…に……!?」
俺の驚きが束の間の長い沈黙を破った
いや、夢だ たまたまが生じただけだ …だが……
(るか)「偶然だと思うんです、でも何故かとてもリアルに感じるんです
その服も今日が初めてなはずなのにとてもそうとは感じなくって…」
…これは確かにリーディングシュタイナーの一種だ
β世界線のフェイリスと同じく夢のようにうつつに感知されている
なぜルカ子にリーディングシュタイナーが宿っているのかは定かではないが今確実に言え
ことは「今のルカ子には少なからず別の世界線の記憶が宿っている」ということ
(るか)「凶真さん、何かご存知ないでしょうか…?」
これは教えるべきなのか?
β世界線のルカ子もルカ子だ ルカ子が望むのであれば知る権利はある
だが、それを教えたことによる世界線変動は生じないのか?
なにより別世界線とてルカ子自身が泣く泣くβ世界線を捨てる決断をした意思をこちらの
世界線のルカ子に伝えてもいいのか?
それは本当にルカ子のためになるのか?
……ん……真さん…
(るか)「凶真さん!!」
っ!?
(倫太郎)「す、すまない…」
(るか)「いえ、ぼくこそこんな突飛もないご相談に乗ってもらって…
今日のことは忘れてください」
ルカ子の足が神社に向く
どうする
何が最善手だ どの選択が最善だ
考えろ
考えろ!!!
(倫太郎)「ルカ子!!!!!」