テストは午前だけで、午後から自由だ。ゲームやりまくりの遊び放題な最高の日である。そのはずだった。
「なぜ俺は居残りしているのか…」
旧校舎二階の選択教室で俺は、真っ新なノートと睨めっこしている。
もちろん理由はわかっている。宿題を忘れたせいで、居残りしているんだ。だが、言い訳させてくれ!
「前日に連絡しなかった教科係のせいだ!俺は悪くないんだ!」
そう叫ぶと教室の扉が開く。先生かと思いドキッとする。
「煩いなぁ。廊下まで響いてるんですけど!と言うか教科係が連絡しても忘れるでしょ」
「…」
そう言いながら入ってきたのは、クラスメイトの真島さんだ。
真島さんはスタイルが良く、セミロングが似合っているが重度のオタク趣味で何人もの陽キャ男子が手を引いた残念美人だ。
「真島さんも居残りか?」
「んなわけないじゃん」
真島さんもよく宿題を忘れる居残り仲間だ。そのおかげで話すようになって仲良くなった。
いつもなら一緒に居残りをしてるはずなのに珍しい。
「今日の私は冴えてるのよ」
「これは裏切りでは?真島さん」
「あんたの悔しい顔をみたいからさ」
「は?キレそう」
「最近の若者はキレやすいなぁ」
笑顔でそう言うとノートを渡してきた。
「ほら答えをみしてあげよう」
「マジで!天使かよぉ」
「1万円ね♡」
「悪魔じゃねぇかよぉ!くそがっ!!」
「冗談だよw。表情コロコロ変わってホント面白いね」
「…騙したな!信じてたのにて!」
からかわれてしまった。くやしい…!でも…感じちゃう!
それから、しばらくたって日も傾き始めている。一階の古典部も帰り旧校舎にいるのは俺たちだけだろう。今日も鍵閉めを押し付けられた。
「ぼーっとしないで早く写してよぉ!」
「ま、待て!待つんだ!急かさないでくれ!」
「待てぬぅッ!先生にバレたらけじめつけてもらうからね!?」
「なんだよけじめって!?極道!?」
「指詰めるんだよ!おらっ!あくしろよ」
「なんでそんな詳しいんだ…」
そう言い合っているとまた扉が開く。恐れていた先生の降臨で俺たちは説教を食らった。畜生…この腹いせは古典部にぶつけるぞ。
いつものように真島さんと帰る。月か綺麗ですね。
結局、こんな時間じゃ遊べないじゃないか!俺たちの青春をなんだと思ってるんだ!
「隠すのが遅いのよ!バカ」
そう言うと顔をぷっくりさせる。
おっと話を聞いてなかった。可愛いなぁ…じゃなくて機嫌を治してもらおう。
「悪かったな。けじめはつける」
「鼻メントスコーラだっけ?」
「ハードル下がったのか上がったのかわかんねーな!」
ふざけたことを言いやがる。このアマッ!どうしてやろうかと考えていると。
「冗談に決まってるじゃん!私が忘れたら見してね」
「…」
また冗談か!やめろ!その笑顔は俺に効く。
「あんたが忘れなかったらの話だけどw」
またからかわれた…。頭にくるぜ…なぁ、カ○ロット。
寝る前のルーティンを終わらせてスマホを確認すると真島さんからLINEが来ていた。
『明日こそ遊びまくるんだから!宿題忘れないでよ』
「わざわざLINEをくれるとは…俺も頑張らないと」
『明日のために徹夜するぜ』
返信するとすぐLINEが来た。
『今夜ははかさないぞっ』
その時電流走る……!
「三島さんって俺のこと好きなんじゃね!?」
主人公に名前が決まってない。ヒロインの名前も決まってない。