「椿の花言葉」を知っているかと鬼灯さんに聞かれた。花に縁のない俺は、花言葉を知るはずもない。
それより、椿と聞いてドキッとした。この人はエスパーなのかもしれない。
「俺、花言葉とかよくわからないです」
「知っている人の方が珍しいです。椿には、『控えめな素晴らしさ』『気取らない優美さ』と言う意味があります」
椿さんに悪いが、花言葉と真逆の性格だと思う。目の前にいる鬼灯さんの方が控えめな感じで花言葉にあっている。
「私みたいだと思いませんでした?そのように育てられたからです」
「…?」
「物心つく頃から椿のようなお淑やかな女性になりなさいと習い事や勉学を供用されました。私は本当の私を閉じ込めるようで気が進まず、反発しました。」
人の家庭はそれぞれと言うが、ここまで厳しいと辛いな。普通の家庭に生まれてよかった。
「それでどうしたんですか?」
「12歳の私は悩んだ挙句、家出しました。行くあてのない私は路頭に迷い、泣きじゃくりことしかできませんでした。」
今の鬼灯さんからは想像のつかない話だ。
「そんな時、同い年ぐらいの少年に声をかけられました。『もう大丈夫!何故って?私が来た!』と言って。」
んー?聞いたことあるぞこのセリフ。これ俺じゃない?
「情熱的に私を応援してくれました。私の話をしっかり聞いてくれる人は初めてで嬉しかった」
「その応援ってどんな感じでした?」
「『悔しいだろ…わかるよ。思うようにいかないこと沢山あるよな…実際思うようにいかないことばかりだ。でもそこで頑張れば必ずチャンスは来る!頑張れよ!』と一言一句覚えてます。」
この少年俺だよ!一言一句パクってしまって○造さんごめんなさい!違うんです!悪気はなかったんです!ただそのときの俺は修○さんにハマってただけなんです。
思考回路ショート寸前の俺に話を続ける。
「その言葉がきっかけでもう一度頑張ろうと決意しました。ですが少年の名前を聞き忘れてしまって、お礼を言えなかったことだけが心残りです」
目の前にいる俺なんですけどね。前にあったことある気がしたんだよ!奇跡の再会してるんですよ。
「何故その話を俺にしてくれたんですか?」
「悩んでるようで面影が重なったからだと思います。何に悩んでいるかはわかりませんが人に話せることではないのでしょう?」
気を使わせているようだけど恋煩いなんだよ…そんな大層なことではないんだよ。
鬼灯さんに悪いが俺が探している少年と言うことを黙っておこう。けして意地悪で言ってるわけではない…幻滅させたくない。
「ありがとうございます。俺、頑張ります!」
「では私も花を買っていきますね」
そういえば俺も花を買いに来たことをすっかり忘れていた。椿を買って帰るかな、姉ちゃんも少しはお淑やかになってもらおう。
「「ここに居ましたかお嬢!」」
黒づくめの屈強な男たちに声をかけられるのは鬼灯さんだった。お嬢!?
「父上への花を買っていたところです」
「それでも心配しました。お嬢がどうにかなったらこちらが親爺さんに顔向け出来ませんぜ!」
んー?極道?