就活ダルすぎる。それに加えて家族から病気もらうという悪循環。
あれから互いの自己紹介を済ませた俺達は、通路を進んだ先の崩落した建物の中にいるスーパーミュータントたちを駆除していた。
「GO!GO!GO!」
「イタィッ!」
「人間、死ネ!」
勿論スーパーミュータントもタダでやられるわけもなく盛大に反撃をしてくる。その大きな体で突撃してくる者もいれば、物陰から確実に撃ってくるやつもいる。頭が弱くとも戦闘に関してなら流石はスーパーソルジャー計画と言わざるを得ない。
だが、こいつらの相手にしているのは俺を含めた最新鋭の装備と卓越した技能を持つ特殊部隊だ。サラを筆頭にして圧倒的な制圧力と連携を見せ、瞬く間にレーザーライフルの灰にしている。俺ももちろん戦っているが、チームとしての戦いには俺という異分子は邪魔なので単独行動をとらせてもらっている。遊撃隊と言えば聞こえはいいが、普通に一階を彼らに任せ、俺は二階を駆除しているだけだ。アーマーですぐさまジャンプして対処ができる。
「クリア!」
「オールクリアだ、サラ」
「良し。モンド、そっちは?」
「問題ない。二階も駆除した」
「ならこのまま一気に進むわ。皆気を引き締めて。これからは遮蔽物が少ないGNR前の広場よ」
サラに返答しつつこいつらからの戦利品を着々と回収していく。Pip-Boyへの収納はすぐなので歩きながらでも十分な数が確保できた。余り状態は良くないものの、これだけの数のハンティングライフルと中国製及びノーマルアサルトライフルがあればいくつかの綺麗な物に組み替えることが可能だろう。
ちなみにサラへの返答や互いの意思疎通にはアーマーの通信機能を使っている。お互いの周波数を知らなければいけないが、BOSのパワーアーマーにも通信機能は残っていたようで多少ならば離れていても通信が可能だった。ミョルニルだけならどれだけ離れていようと通信は可能だが、BOSのパワーアーマーの方が劣化しているために通信兵でもいなければ数キロ程度の性能に落ちてしまう。便利な事には変わりないのだけども。
「チッ!もう戦闘が始まってやがる!急ぐぞ!」
「モンド!あなたは50口径で上から援護して!一気に決めるわよ!」
戦闘が終わったにも関わらず未だ続く砲撃音はGNR広場から鳴り響いていた。HUDでズームするとGNR入り口の土嚢に隠れて反撃するBOSと、物量と強靭な肉体で突撃をかますスーパーミュータントで溢れかえっていた。幸い俺達が後方のミュータントを潰したし左右はがれきで通れないのでこれ以上の増援はない。
突撃するサラ達を援護するように俺は崩壊したビルの二階をジャンプして渡り、割れた窓にへばりつく。そしてアンチマテリアルライフルに弾丸を込めて奴らの後ろからマスターの頭を吹き飛ばした。
「ナニィ!?」
「ニンゲン!増エタ!」
俺の射撃を切っ掛けとしてサラ達がなだれ込んでいく。GNR側のBOSも増援のサラたちを見て士気が上がったのか一気に攻勢に出始めた。
「増援だぞ!リオンズだ!」
「よっしゃあ!一気にいくぜぇ!」
土嚢から飛び出した彼らは装備しているミニガンとレーザーライフルを一気に発射する。こちらも負けじと上から確実に奴らを吹き飛ばしていく。
しかし上から見ているから余計にわかるが、見事な制圧力だ。スーパーミュータントが瞬く間に倒れていく。軍の知識はある程度あるが、俺の本領はワンマンプレーだ。集団で動くのには向いていない。彼らの動きは俺には出来ないものだ。素直に賞賛に値する。
そうして数分もしないうちに背後からの奇襲攻撃は終わりを告げ、GNR前の噴水広場はミュータントとBOSの死体で溢れかえった。ミュータントが大半を占めているが、BOSの死体も少しいる。聞けば彼らの多くは新人らしい。サラは部隊に警戒の指示を出しながらそう語ってくれた。
「本当ならしっかりとした訓練と実地試験も行うべきなんだけど、そうも言ってられない状況なの。どこも人手不足で、碌な経験も無い新人を無理やり使って保たせている感じ。組織としては……って、ごめんなさい。つい愚痴っちゃったわ」
「いや、いいさ。隊長なんかやってると、愚痴も言う暇がないんだろう?たまには話して気持ちを楽にさせたほうが良い。俺で良ければいつでも相手になるさ」
「気持ちは嬉しいけど……私は部隊を預かる隊長よ。そんな私が守るべき現地民に対して愚痴ってたなんて知れたら立つ瀬がないわ」
「なら一人の女性として、サラ・リオンズ個人としてなら?俺は君と是非ともお話したいんだが」
「はぁ……まったく、あなたも大概強情ね。いいわ。時間が取れたときにでも連絡してあげる。その時は存分に相手してもらうわよ?もちろんあなたの奢りで」
「[Lady Killer]その位で君のような魅力的な女性の相手を出来るなら、お安い御用だ。その時はしっかりエスコートさせてもらうよ」
「……もうっ、調子がいいんだから」
途中でナンパみたいになってしまったが、彼女の心労を少しでも取り除きたいと思ったのは本心だ。このくそったれなウェイストランドを心から救おうと頑張っている彼女達のおかげで、D.C.近辺からミュータントが殆ど出ないのだ。彼女達の頑張りが無ければウェイストランドはとっくの昔にミュータントの巣窟と化していただろう。
まぁ、それを抜きにしてもサラが魅力的な女性であることは変わりない。ヘルメットを外してモンドフェイスで迫ったのも仕方がないのだ。少し頬を染めてそっぽを向く彼女が可愛すぎる。
「おいサラ。こっちは……って、何若いイニシエイトみたいなことしてやがる。こっちが仕事してんのにお前らときたら」
「う、うるさいわね!それよりもじょーきょーほーこくよ!じょーきょーほーこく!」
「ハッ!サラにナンパかけるなんて猛者は早々いなかったからな。トップの愛娘に色目使うなんて自殺行為だったんだが……なかなかどうして、面白い状況になってやがる」
「う・る・さ・い!今度言ったらミュータントの最前線に一人で放り込むわよ!モンド!あなたも笑ってないでレディンでも手伝ってきなさい!」
「おぉ怖い怖い。モンド、さっさと退散したほうが良いぞ」
彼女の部下の扱いになるパラディン・バルガスに促され、顔を真っ赤にしている彼女から離れて巡回しているイニシエイト・レディンのいる方に向かう。彼女は未だ訓練生のイニシエイトだが、本作戦が終わり次第一応ナイトへの昇格が決まっているらしい。戦いぶりを見ても実力はあるようだが、少しばかり周りが見えていないところと他者を見下す所が欠点と言える。それでもミュータントを駆逐できる実力はあるので、人手不足のBOSとしてはナイトに上げざるを得ないのだろう。
実際何度かバルガスに嗜められていたので少しばかり心配ではあるが、これ以上は彼らの問題であるので口には出すまい。未だにリオンズ部隊は一人前と認めてはいないみたいなので、彼女の無茶との悪循環にならなければ良いが。
「あら色男さん?こっちは私一人でも十分よ。あなたがいなくてもね」
「つれないな。これでもそこそこの実力はあるつもりなんだが」
「ミュータントに肉弾戦を挑む人がそこそこなんて言ったらBOSは今頃奴らを駆逐してるわ」
お互い軽口を叩きながら辺りを巡回していく。時折俺が倒したとわかる頭のはじけ飛んだミュータントからの戦利品も回収し、レディンの自慢話に適当な相槌を打っておくのも忘れない。話すほどに現地民としてはあまり付き合いたくないBOSの代表みたいだとわかる。部隊が認めないのも頷ける。
「だから私は言ってやったわけ。このクソッたれミュータント共がっ!ってね。パラディン・バルガスはうだうだ言ってたけど、戦場での高揚はよくあることだわ。実際自分も言ってるのに私だけ怒られるなんて意味が分からないわ」
「あぁそうだ――――ん?」
レディンに適当な返事をしていると、念のため付けていたヘルメットのHUDが微弱な振動音を検知する。それは初めは小さく、しかし段々とこちらに向けて大きくなっていった。
嫌な予感がした俺はすぐさまプロメシアンビジョンを起動し、真横にある大型バスの残骸越しに大通りを見る。すると、何で俺は忘れていたんだと思わず自分に怒鳴り散らかしたくなる現状がこちらに近づいていたのを発見した。
「あぁくそっ!来いレディン!」
「え?あ、ちょっと!」
今までで最速の動きでPip-Boyを操作し、アーマーアビリティをスラスターパックに切り替える。これは正式名称M805X前方加速システム/駆動緩和型と呼ばれる加速用システムだ。アーマー背後の噴出孔から一気にエネルギーを噴出させ、敵との距離を詰めたり身を隠す時等の激しい戦闘に使用する。そこまで長続きしないが、今回は一時的な離脱を考えればいい。短時間空を飛べるジェットパックもあるが、あれは動きが遅すぎる。
俺はレディンを右腕で抱えると、すぐさまその場を離脱する。急激な動きによってレディンから苦悶の声が聞こえるが、この際無視だ。俺はレーダーで奴がバスの側にいることを横目に見つつ、全力で叫んだ。
「ベヒモスだっ!」
瞬間、俺は背後からの強烈な爆風によって一気に吹き飛ばされたのであった。
最近プレーステーションplus会員になった作者です。無料の東京魔人学園剣風帖にドハマりしてます。一週目のDISC1時点で主人公がレベル90を迎えました。ヒロインはすでに99ですが。主人公強すぎる。
少しばかり期間の開いた投稿なので変なところがあるかもしれません。その時は遠慮なく感想かメッセージで教えて下されば幸いです。